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第3節 

3 地球サミットの成果の具体化

 現在、地球環境は着実に悪化しつつある。一刻も早く対策を強化する必要があり、今回の地球サミットで採択したアジェンダ21の内容をそれぞれの国で具体化し、着実に実施していくことが重要である。アジェンダ21では、その着実な実施のために、各国に国別行動計画(ナショナル・アジェンダ21)の作成を要請している。地球サミット直後に開催されたミュンヘン・サミットでは、国別行動計画を1993年(平成5年)末までに作成し、公表することが合意された。国別行動計画では、環境保全を必須とする持続可能な開発の視点から、アジェンダ21に盛られた幅広い分野に関し、21世紀に至るまでの施策を明らかにすることが求められている。我が国では、ミュンヘン・サミットでの合意を受け、かつ、地球環境問題において我が国が積極的な役割を果たすことが期待されていることから、世界各国の範となるような行動計画を早期に作成すべく作業を進めている。
 他の先進国でも、例えば英国では、国別行動計画作成のための調査を実施中であり、米国でも、現状分析、具体的施策の調査に着手しており、地球サミットで合意されたアジェンダ21を受けて各国のナショナル・アジェンダとするための体制が整備されつつある。
 さらに、アジェンダ21では、地球サミットの国際的なフォローアップのための仕組みとして、国連の経済社会理事会の下に、持続可能な開発委員会を新設し、アジェンダ21の実施状況を監視し、国連システム内の調整等を行うこととされた。また、高級諮間評議会(有識者会議)の設置につき国連事務総長に対し、勧告を行うことを要請することなどを求めている。
 これを受けて、1992年(平成4年)11月から12月の第47回国連総会において地球サミットのフォローアップのための機構整備について討議が行われ、その結果、1993年(平成5年)2月、持続可能な開発委員会(CSD)が設置された。我が国は、アジアグループから、メンバー国として選出された。持続可能な開発委員会の役割は、アジェンダ21及び環境と開発の統合に関する国連の活動の実施状況の監視、各国がアジェンダ21を実施するために着手した活動等のフォロー、アジェンダ21に盛り込まれた技術移転や資金問題に関するコミットメント(約束)の実施の進捗状況のレビューと監視、リオ宣言及び森林原則声明に盛り込まれた諸原則の推進などである。本委員会の第1回会合は1993年(平成5年)6月にニューヨークにおいて開かれる予定であり、1994年(平成6年)以降、毎年1回開催される予定である。このほか、持続可能な開発委員会で扱われる広範な分野について造詣の深い世界各国の有識者による高級諮間評議会を設置し、アジェンダ21の実施に関して、国連事務総長及び事務総長を通じて持続可能な開発委員会、経済社会埋事会、国連総会へ助言を行うこととされた(第3-3-3表)。

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