4 サミットにおける環境問題への取組
昭和56年のオタワ・サミットにおける経済宣言で環境問題に言及がなされて以来、サミットにおいて環境問題が様々な角度から議論されてきているが、近年は地球環境問題が重要な課題として位置付けられていることが大きな特色である。
63年6月のトロント・サミット経済宣言においては、WCED報告書の中心的概念である「持続可能な開発」に対する支持が表明されるとともに、地球環境問題に対する一層の行動の必要性が強調された。
そして、平成元年7月のアルシュ・サミットでは、環境問題が主要議題の1つとして位置付けられ、経済宣言の3分の1以上が将来の世代のために環境を保護する緊急の必要性等をうたった環境関連部分で占められたほか、政治宣言においては、現在の世代たる我々が将来の世代が健全な環境を受け継ぐことを確保する義務を負う旨がうたわれた。
平成2年7月のヒューストン・サミットにおける経済宣言においては、森林に関する国際的な取決め又は合意の策定等の新たな取組みや、地球温暖化防止、オゾン層の保護等の面で具体的な対応が示された。我が国は、開発途上国における環境問題の解決を図るため、環境保全技術の移転促進を主たる目的としたUNEP国際環境技術センターを我が国に誘致すること等を表明したほか、地球温暖化防止のための世界的長期ビジョン(地球再生計画)づくりの必要性を提唱した。
3年7月のロンドン・サミットでは、環境の管理を引き続き優先課題とし、経済政策は資源利用を持続可能なものにし、現在及び将来の世代の利益を保護すべきとするとともに、市場経済は環境保護の手段を最も良く引き出し得、民主的制度は適切な責任体制を確保するとした。他方、環境問題に対処するための協力的取組を国際的に開発すべきとし、先進国は自ら範を示し開発途上国及び中・東欧諸国を奨励すべきとした。地球サミットについては、画期的な出来事とし、会議成功のため努力し、その準備に必要な政治的弾みを与えることを約束し、開催までに、気候変動に関する効果的な枠組み条約及び森林の管理・保全・持続可能な開発のための原則に関する合意の実現を目指すとともに、途上国の環境問題への取組を支援するための資金動員、環境面で有益な技術の開発・途上国への普及、環境関係の国際機関の強化等に努める一方、生物多様性に関する枠組み条約につきUNEPの支援の下で交渉することを支持するとした。