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第2節 

3 経済協力開発機構(OECD)における活動

 経済協力開発機構は、先進工業国間の経済に関する国際協力機関であり、現在24ヵ国が加盟している。最高議決機関は理事会であり、毎年春に閣僚レベルの閣僚理事会が開催される。
 1960年代末の全世界的な環境問題への関心の高まりを反映し、科学政策委員会において取り扱われていた環境問題を専門的に検討するため、昭和45年7月環境委員会が設置され、以来、環境保全のための活発な活動が展開されている。
 環境委員会では、加盟各国政府が環境政策を企画立案する上で重要と思われる問題について検討が行われ、その結果は必要に応じて理事会においてOECD決定あるいは勧告として採用されるほか、調査、研究等の成果がレポートとして公表され広く活用されている。
 環境委員会は、概ね5年に一度、閣僚レベルの会議を開催し、加盟国の中期的な環境政策の方向付けについて審議することとしており、平成3年1月に経済政策と環境政策の統合をテーマに第4回環境委員会閣僚会議が開催された。
 また、近年はOECDのその他の委員会においても各々の視点から環境問題が横断的に取り上げられてきており、開発援助委員会(DAC)では、現在開発援助と環境に関するガイドラインを事項別に作成しており、3年10月には国別環境調査及び戦略、開発プロジェクトの環境影響評価、意に反した移住及び地球環境問題に関するものが採択された(第4節3参照)。また、中・長期的観点から「環境」と「開発」についてのOECD諸国としての基本的考え方を取りまとめるとともに、地球環境問題に関する国際的取組の集大成の場となる地球サミットの成功に向けて、OECD諸国の地球環境問題に対する考え方、特に開発途上国との協調・協力を明確にすることを目的に、OECDは同年12月、「環境と開発大臣会合」を開催し、非OECD諸国とのパートナーシップ、持続可能な開発に向けた共同行動等を盛り込んだポリシーステートメントを採択した。更に、貿易委員会との間では環境と貿易について、租税委員会との間では環境と税制について検討が行われる等、環境委員会と他の各委員会との合同の作業も増加している。
 さらに、平成3年1月の第4回環境委員会閣僚会議はOECD加盟各国が国内の環境政策の目的や国際的なコミットメントをいかに達成しているかをより系統的に検討することが望ましいということに合意し、国別経済審査において構造改革の項目の一つとして環境を含めるとのOECDの最近の決定を歓迎した。また、一つの重要かつ新たなイニシアティブとして、OECDが加盟国の環境政策の実施状況の審査の開始に向け努力を振り向けることを承認し、その初期の段階には、審査計画の範囲、目的、資源的側面、態様を具体化することや、指標に示された基準を確定するために、加盟国の政策と状況についての比較可能な情報を包括的に収集することなどが行われるべきであることについて合意した。
 なお、平成2年度からは、我が国の提唱及び相当の拠出により、技術と環境プログラムが発足し、委員会にわたる横断的な活動を行っている。我が国は、積極的に活動に参画し、我が国の実情を的確に紹介するとともに、各国の知識、経験、技術等を吸収して政策に反映させるよう努めている。

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