3 その他の自然資源
温泉
我が国は世界でも有数の温泉国であり、温泉地は古くから保養、休養に利用され、既に述べた優れた自然景観地とともに、我が国の行楽の中心地を構成してきた。近年は、温泉ブームに加え、地方振興の核として温泉に対する注目が集まっている。
温泉の現状は、温泉地数、源泉数ともに一貫して増加している。しかし、その内訳を見ると、利用源泉のうち、自噴線の数は一定である一方、動力による揚湯が増えている。また、温度別に見ると42℃未満の源泉の増加が著しい。この背景には、温泉利用者の増加に伴い、動力によって揚湯量を増大させていること、より深層からの揚湯が進んでいることといった要因が考えられる。
温泉地の利用者の増加も著しい。平成2年度1年間における温泉地の延べ宿泊利用者数は1億4,000万人に上り、昭和59年度以来の増加傾向が続いている(第1-2-10図)。温泉地のうち、環境庁長官は国民が豊かな自然の中で保養のために利用する温泉地として国民保養温泉地を指定し、その振興を図っている。この国民保養温泉地の利用の伸びは特に著しく、昭和56年から平成2年までの10年間で1.57倍となっている。これは自然の中で余暇を過ごしたいという国民の意識の現れであると考えられる。