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第4節 

3 公害防止計画の実施の推進等

(1) 公害防止計画事業の実施
 公害防止計画に基づき、地方公共団体等は公害の防止に関する施策を総合的に講じている。その実施状況は第1-4-4表のとおりであり、平成2年度における公害対策事業の事業費は1兆8,232億円、公害関連事業の事業費は8,953億円、合わせて2兆7,185億円である。


(2) 公害防止対策事業に対する財政上の特別措置
 公害の防止に関する施策の一層の推進を図るため、公害防止計画に基づき地方公共団体等が実施する公害防止対策事業については、「公害防止財特法」に基づき、国の負担又は補助の割合のかさ上げ、地方債の適債事業の拡大、地方債の元利償還金の基準財政需要額への算入等、国の財政上の特別措置が講じられた。
 過去5年間の公害防止対策事業の事業費及び国の負担又は補助のかさ上げ額をみると第1-4-5表のとおりであり、平成2年度のかさ上げ額は282億円となっている。


(3) 「公害防止財特法」の延長
 「公害防止財特法」は、昭和46年に制定され、その後56年度から10年間の適用期限延長措置を講じたのち、平成2年度末限りでその効力を失うこととされていたが、次のような理由から公害防止対策事業に対する国の財政上の特別措置を引き続き講じる必要があるため、さらに平成12年度末までの10年間の適用期限延長措置を講じることとされた。
? 公害防止計画策定地域においては、現在の環境質の動向を勘案すれば、大都市を中心として、環境基準等の目標を確実に達成するには、なお相当の努力を要し、さらには、交通公害、水質汚濁、廃棄物問題等をも考慮すれば、今後とも公害防止計画の策定、推進を図る必要がある。
 関係地方公共団体においても、公害防止計画に基づいて実施する公害防止対策事業を将来とも相当量必要としている。
? 自治大臣が指定する農用地土壌汚染対策事業等についても、今後なお相当の事業を実施していかなければならない。
? これらの公害防止対策事業を円滑に推進するためには、財政的な支援措置が不可欠である。
(4) 広域的観点に立った公害防止施策推進のための検討
 首都圏、中部圏及び近畿圏の連たんした公害防止計画地域に関し、広域的な環境問題への対処方針を明らかにするため、公害防止計画地域広域環境等調査解析を行った。
(5) 公害防止計画策定地域における主要環境質の状況
 公害防止計画に基づく各種施策の推進等により、公害防止計画策定地域における主要な環境質は次のような状況にある。
 二酸化硫黄については、環境基準の長期的評価による達成測定局数の割合(達成測定局数/有効測定局数)は、平成元年度では99.7%となっている。
 二酸化窒素については、環境基準との対応状況をみると、第1-4-6表のとおりであり、平成元年度では環境基準ゾーンの上限である0.06ppmを超えた測定局数の割合は、7.9%となっている。
 浮遊粒子状物質については、環境基準の長期的評価による達成状況は第1-4-7表のとおりであり、平成元年度の達成局数の割合は52.3%となっている。
 光化学オキシダントについては、平成元年度では環境基準(1時間値が0.06ppm以下)を達成した測定局は686局中7局となっている。また、注意報発令基準濃度(1時間値0.12ppm)以上の濃度を観測した測定局は、686局中231局となっている。
 河川、湖沼及び海域の水質については、BOD又はCODの環境基準達成状況(達成水域数/全水域数)は第1-4-8表のとおりであり、平成元年度においては、河川(BOD)について63.5%、湖沼(COD)について28.6%、海域(COD)について77.7%となっている。


(6) 自治大臣指定に係る公害防止対策事業の実施
 公害防止計画策定地域以外の地域において地方公共団体が実施したしゅんせつ、農用地土壌汚染対策等の公害防止対策事業のうち、自治大臣が主務大臣及び環境庁長官と協議の上、指定したものについては、「公害防止財特法」第3条第3項の規定により、公害防止計画に基づく公害防止対策事業と同様の財政上の特別措置が講じられた。
 過去5年間に指定された公害防止対策事業は第1-4-9表のとおりである。

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