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第2節 

2 1982年ナイロビ会議(UNEP管理理事会特別会合)

 1980年の第35回国連総会は、国連人間環境会議10周年を記念してUNEP管理理事会特別会合を開催することを決定した。UNEP管理理事会特別会合は、1982年5月10日から18日までケニアのナイロビで開催された。
 このナイロビ会議では、「ナイロビ宣言」や「1982年の環境:回顧と展望」などが採択された。ナイロビ宣言では、「過去10年間に、新たな認識が生まれた。すなわち、環境の管理および評価の必要性、環境、開発、人口、資源の間の密接かつ複雑な相互関係、並びに特に都市においての人口増加により生じた環境への圧迫が広く認識されるようになった。この相互関係を重視した総合的で、かつ、地域ごとに統一された方策に従うことは、環境的に健全で、かつ、持続的な社会経済の発展を実現させる。」また、「環境に対する脅威は、浪費的な消費形態のほか貧困によっても増大する。双方とも人々に環境を過度に利用させる可能性がある。」とされ、先進国と開発途上国との環境と開発をめぐる議論についての共通の土俵ができた。
 日本政府代表の原文兵衛環境庁長官(当時)は、地球の環境保全に関する諸施策を長期的かつ総合的な視点から検討し、21世紀の地球環境の理想像を模索するとともに、これを実現するための戦略を策定するため、高い識見と深い洞察力を有する世界有数の学識経験者を構成員とする特別委員合を国連に新設することを提案した。これに基づいて、1983年の第38回国連総合は、「環境と開発に関する世界委員全」の設立を決議し、翌1984年同委員会が発足した。

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