5 持続可能な開発と環境論理
1989年9月、日本政府とUNEPによる「地球環境保全に関する東京会議」でとりまとめられた東京宣言では、「今世紀以降の持続可能な将来を設計するためには、種々の社会経済政策を統合し、開発途上国の人々にその基礎的ニーズを充足できるようにし、生活様式を含む先進国の社会経済活動を改めることにより行動が取られ得るような環境倫理が、すべての国によって新たに確約されることが必要である。」と環境倫理が強調された。
この環境倫理は、単なる心構えを述べたものではなく、開発途上国に対して環境保全のパートナーになるべきであるという主張をする一方で、国際的な市場経済を通じて多くの資源を使い、大量生産、大量消費、大量廃棄の物質文明を享受している先進国が、これを改める方策を講じないことに対する反省をも促すものである。
我が国においては、最近、大量生産、大量消費、大量廃棄のライフスタイルを改める国民レベルでの動きが活発になってきた。また、企業においても環境保全活動への協力や企業行動そのものを改革しようとする動きが芽生えてきた。地球レベルでの持続可能な開発を実現するためには、まず先進国が率先して経済社会活動を環境にやさしいものに変革し、地球的な利益という新しい思考にのっとった行動が必要である。環境倫理はこのような実践のなかで具体化される。