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第2節 

8 農薬

 農薬は、農業生産性の向上や作物の品質の向上等を図る上で、重要な生産資材であるが、他方、開放系で使用されるものであるので、残留性の高い農薬は環境を汚染するおそれがある。
 昭和40年代にはそれまで広く使用されていた残留性の高いドリン剤、DDT、BHC等による環境汚染が明らかになり、その使用が中止されるとともに、国民の健康の保護と国民の生活環境保全に寄与することを目的として、「農薬取締法」が改正され、環境汚染を未然に防止するための登録保留基準の充実と作物残留性農薬等の政令指定制度による使用規制が強化された。このため、近年は農薬による環境汚染の問題は少なくなっている。
 しかしながら、ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の懸念などが社会的な問題となっていることから、農薬の適正使用とゴルフ場排水の水質調査の実施につき指導してきたところである。これまでの都道府県からの報告によれば、ゴルフ場排水口の大部分で農薬は検出されていないものの、一部では、直ちに人の健康に影響を与えるものとは考えられないが、ごく微量の農薬が検出される場合があるので、地方公共団体が水質保全の面からゴルフ場を指導する際の参考となるよう「ゴルフ場使用農薬に係る暫定指導指針」を平成2年5月に定めた。

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