8 有害廃棄物等の越境移動
有害廃棄物等の越境移動による環境汚染も地球環境問題の一つである。有害廃棄物は、処分費用の高い国から安い国へ、また規制の厳しい国から緩い国へと移動されやすく、そのため、有害廃棄物を適正に処理する能力を持たない国で処分され、その国の環境に大きな被害を及ぼすおそれがある。このような有害廃棄物の移動と処分を適正に管理するため、1989年3月「有害廃棄物の越境移動及びその処分の管理に関するバーゼル条約」(仮称)が採択された。
環境庁としては、このような国際的な動向に適切に対処し、有害廃棄物の越境移動による地球的規模での環境汚染の未然防止に積極的に貢献するため、平成2年10月、中央公害対策審議会に「有害廃棄物等の越境移動対策の在り方について」諮問し、同年12月、有害廃棄物等の国内処分の原則や越境移動に係わる手続等を盛込んだ国内制度の整備等を主な内容とする答申が取りまとめられた。
また、厚生省においては、同年12月生活環境会議により、国内での廃棄物処理対策の観点から、同条約への加入等の必要性を含む答申が取りまとめられた。
さらに、環境庁では、本条約に規定される有害廃棄物に関する調査を行った。