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第1節 

7 海洋汚染

 油、プラスチック、有害廃棄物等による海洋汚染は、海鳥、ウミガメ、魚等がプラスチックを飲み込んだり、これらの生き物に有害化学物質を蓄積させるおそれが生じるだけでなく、長期にわたり海の生態系に大きな影響を及ぼすおそれがある。
 海洋汚染の防止のためには、主として陸上で発生した廃棄物の海洋投棄を規制する「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(ロンドン・ダンピング条約)及び船舶からの油や有害液体物質などの排出を規制する「1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書」(MARPOL73/78条約)があり、我が国もこれらの条約を批准し国内法を整備している。
 また油による海洋汚染については1989年3月、アラスカ湾で坐礁したタンカー、エクソンバルディーズ号からの大量の原油流出事故は、防除対応の遅れから大規模な海洋汚染を招き、ラッコなどの哺乳動物、海鳥、魚類に深刻な被害をもたらした。さらに、イラクのクウェイト侵略に始まる湾岸危機では、1991年1月、エクソンバルディーズ号事件を大幅に上回る原油が、イラクにより意図的にペルシャ湾に放出され、史上最大の原油による海洋汚染が引き起こされた。
 エクソンバルディーズ号事故を発端として、大規模油汚染事故対応のための国際協力の確立及び国内体制の整備等を目的とする「油汚染に対する準備、対応及び協力に関する国際条約」(仮称)(OPRC条約)が1990年11月に採択され、湾岸危機による油汚染に関連して、1991年1月に開催された第4回OECD環境委員会閣僚レベル会合のコミュニケにその早期かつ完全な履行が盛り込まれた。

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