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第1節 

9 開発途上国の公害問題

 開発途上国では、貧困に起因する環境問題が生じるとともに、首都圏等の都市では経済の発展に伴い深刻な産業公害が発生しており、また、人口の増大に公共サービスが追いつかず、自動車排気ガス等による大気汚染などの都市・生活型公害にも悩まされている。開発途上国の公害問題は、その国の国内において大きな問題となるばかりでなく、酸性雨のように近隣諸国にも直接の被害をもたらすおそれがある。
 開発途上国の公害問題に対する国際協力は、その国が現実に直面している公害問題の解決に資するだけでなく、環境問題解決能力の向上を通じて、地球温暖化防止等の地球環境問題に共同して立ち向かう条件を整備することにもなる。このため、開発途上国の官民の理解を得て、公害を発生させないような経済協力を着実に実行するとともに、直接公害問題解決に資する協力案件にも力を入れていく必要がある。

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