4 主な環境保全関連多国間条約等
(1) MARPOL73/78条約
我が国が昭和58年6月に加入した「1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書」(MARPOL73/78条約)は58年10月に発効している。同条約附属書?(油による汚染の防止のための規則)については、同時にその規制が実施された。
また、昭和60年12月にその改正が採択された同条約附属書?(ばら積みの有害液体物質による汚染の規制のための規則)及び議定書?(条約第8条の規定に基づく有害物質に係る事件の通報に関する規則)については、62年4月からその規制が実施されている。さらに、附属書?(船舶からの廃棄物による汚染の防止のための規則)については、63年12月末に発効し、同時にその規制が実施されている。
平成元年10月に開催された第16回IMO総会及び平成2年3月に開催された第29回海洋環境保護委員会では、アルシュ・サミットにおいて課題とされた海洋の油濁防止に関する国際条約等に関する議論が行われた。
(2) 海洋投棄規制条約
「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(ロンドン・ダンピング条約)は昭和47年11月に採択され、50年8月に発効した。我が国も55年10月に批准し、同年11月我が国について発効した。
また、平成元年10から11月にかけてこの条約の第12回締約国協議会議が開催され、主に本条約の長期戦略等について議論が行われ、これらについて今後引き続き検討を行うこととなった。
(3) ワシントン条約
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)は昭和48年3月に採択され、50年7月に発効した。本条約は55年11月に我が国についても発効した。また、平成元年10月には、この条約の第7回締約国会議が開催され、附属書の見直し等につき議論が行われ、アフリカ象の附属書?(取引禁止)への移項、次回会議(1992年予定)の日本開催等の決定がなされた。
なお、本条約のより効果的な履行のため、昭和62年5月「絶滅のおそれのある野生動植物の譲渡の規制等に関する法律」が成立し、同年12月より施行されている。
(4) ラムサール条約
「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)は、昭和46年2月に採択され、50年12月に発効した。我が国も55年6月に加入し、10月に我が国について発効した。我が国は、同条約の指定湿地として北海道の釧路湿原・クッチャロ湖及び宮城県の伊豆沼・内沼を登録している。
(5) ウィーン条約及びモントリオール議定書
「オゾン層の保護のためのウィーン条約」は、UNEPにおける検討を踏まえ、昭和60年3月採択され、63年9月に発効し、また、具体的な規制内容を定める「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」は、62年9月に採択され、64年1月に発効した。同条約は63年12月に、同議定書は64年1月にそれぞれ我が国についても発効した。
また、平成元年4月から5月にかけては、この条約及び議定書の第1回締約国会議がそれぞれ開催され、議定書締約国会議においては、同会議の参加国の間で、できるだけ早期に、遅くとも今世紀末までに特定フロンを全廃すること等を謳ったヘルシンキ宣言が採択された。
なお、我が国では、これらの内容を受けた国内制度として「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」が施行されている。