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第3節 

4 海外に進出する際や貿易を行うに際し、相手国や地球の環境に配慮すること

 すなわち、現地の環境の現状や特性、社会経済的発展段階、人的・技術的な受容能力等に配慮しつつ十分な環境アセスメントを実施するとともに、単に現地の環境規制に適合するだけでなく、できるだけ最善の技術を用いて(少なくとも、有害物質の管理については日本国内並の基準を適用して)公害の未然防止に努める必要がある。
 また、貿易を行うに際しても、危険物や環境上有害な物質等の輸出には十分注意を払い、特に、我が国で使用禁止となっているものは輸出しないとの方針を確立すべきである。また、輸出しようとする製品や物質の環境上の危険性に関する情報を適切な形で相手方に提供する等、貿易相手方の適正管理能力の確立を支援することも重要であろう。熱帯木材等の商業伐採や輸入に際しては、できるだけ現地における持続可能な森林管理について配慮するとともに、伐採跡地や代替地への植林等にも努めていく必要がある。
 民間企業の海外活動や貿易、投資行動等に関しては、既に多くの国際的な規制や関係団体の自主的な規約が定められているが、現在、国連、OECD等の場においても多国籍企業の海外投資に際しての環境配慮に関するガイドラインの整備等が進められており、近年これらの国際的規制は更に強化される方向にある。
 我が国の民間企業が海外投資するに際しては、産業界が自主的に「海外投資行動指針」(昭和62年)などを定めているが、昨年6月、通商産業大臣より関係団体に対して「海外事業展開に当たって期待される企業行動」について通知が行なわれ、その中でも海外事業展開に当たって「投資先国での環境問題について十分配慮する。」ことの重要性が指摘されている。
 今後これをさらに発展させ、国内外での環境に関連した企業活動のあり方につき、具体的かつ詳細に規定した「環境行動規範」や、各業種あるいは各社ごとの「環境に関する基本方針」、「社是」などが採用されていくことが期待される。

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