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第3節 

5 地球環境保全に積極的に貢献する活動を行うこと

 以上に述べてきたことをまず実践するとともに、企業自らも積極的に地域や地球の環境保全活動に参加していくことが重要である。例えば、企業が率先して工場敷地内や事務所周辺の土地の緑化・植林に努めるとともに、全国的な緑化運動や海外における造林計画に参画していくことが望ましい。現に、国内ではすでに多くの民間企業がそうしており、最近では海外で植林事業を行うものも現われているが、この点に関連して注目されるのは、アメリカのある電力会社が南米のグァテマラで行っている植林事業である。すなわち、ヴァージニア州にあるこの電力会社は、新設する石炭火力発電所から今後耐用期間の40年間に排出される二酸化炭素を相殺し固定化するため、グァテマラでの5,200万本の植林計画に200万ドルの資金を提供するというものである。
 他の団体等が行う環境保全活動に対する支援という意味では、我が国にも活発に活動する多くのNGOsや公益法人があり、これらに対し民間企業として支援の手を差し伸べていくとともに、最近では環境保全を目的とした公益信託や環境保全基金も設けられているので、これらによる幅広い活動を行っていくことも期待される。また、前述3.のように直接企業の利益につながる技術開発ばかりでなく、より広く長期的にみて地球環境の保全に貢献する観点から、基礎科学的な研究を充実させるとともに、そのような基礎研究を行う大学等の研究機関を助成することも考えられる。
 民間企業による途上国への技術協力・資金援助については後述するが、先進国、途上国を問わず、海外諸国への直接投資の機会を通じて我が国の優れた公害防止等の技術移転を促進することもまた重要である。さらに、途上国の有する債務を肩代わりにする代償にその国における自然保護措置等を強化させるという、いわゆる「債務の自然保護スワップ」に、途上国の主催等にも配慮しつつ、参加・協力していくことも考えられる。

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