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第1節 

3 騒音

 騒音は日常生活に関係の深い問題であり、発生源も多種多様であるため、例年、地方公共団体に寄せられる苦情件数は各種公害の中で最も多く、昭和63年度では全体の27.7%を占めている(第1-1-11図)。
 騒音発生源の種類ごとの苦情件数は、工場・事業場によるもの(36.9%)、建設作業によるもの(19.8%)が多い。また、深夜営業店からのカラオケの音、家庭からのピアノ、クーラーの音などのいわゆる近隣騒音に関する苦情が、騒音苦情全体の36.8%を占めている(第1-1-12図)。
 一方、一部の交通施設周辺においては、自動車、航空機、新幹線鉄道等の運行に伴って発生する騒音が交通公害問題の大きな要素となっている。
 このうち、自動車騒音についてみると、昭和63年中に測定した自動車交通騒音の結果では、4,509測定点のうち、朝、昼、夕、夜の4つの時間帯のいずれにおいても環境基準を達成している地点は14.5%(652地点)と低い。また、昭和59年から5年間継続して同一地点で測定している測定点における環境基準の達成状況をみると、4時間帯のすべてで基準を超過している地点が過半数を占め、前年度よりやや悪化しており、要請限度(騒音規制法に基づき都道府県知事が道路の周辺の生活環境が著しく損なわれていると認め、都道府県公安委員会に対し所要の措置を要請する際の基準)の超過状況においても、改善が見られない状況にある(第1-1-13図)。
 新幹線騒音については、対策実施によりかなりの改善が認められるものの、環境基準の未達成の地域も相当みられるため、引き続き努力が必要な状況にある。
 航空機騒音については、主要な空港については大幅に改善されてきているが、すべての地点で環境基準を達成している空港は少ないことから、なお引き続き環境基準の達成のための努力が必要な状況にある。

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