5 監視測定体制の整備
(1) 公共用水域の水質監視
環境庁においては、水質汚濁防止法に基づき、都道府県知事及び政令市長が実施する公共用水域の水質の常時監視のために必要な経費のうち測定計画の作成費及び公共用水域の水質調査に係る経費について、昭和63年度においても助成を行った。この水質調査の対象水域は、環境基準の水域類型の指定が行われた水域等水質監視の必要性の高い水域となっている。
また、建設省においても河川管理者の立場から、都道府県知事の作成する測定計画に基づく箇所を主体とする全国一級河川の主要な水域について、水質汚濁状況を把握するとともに、水質の測定を実施した。
公共用水域の水質の常時監視体制の強化を図るため公共用水域の重要地点における水質監視の自動化を推進する必要がある。昭和62年度末現在、都道府県、政令市により159か所において水質自動監視測定機器が設置されており、環境庁においては、その設置について助成を行っている。一方、建設省においては、河川管理者の立場から全国の一級河川の主要な水域について、62年度までに65水系126か所に水質自動監視測定機器を設置するとともに、水質の集中監視を行うため、105か所においてテレメータ化を図っている。これらの機器については、富栄養化に係る項目の測定が可能な機器やより維持管理の簡易な機器の開発普及が望まれており、環境庁においては、全窒素及び全りんの測定の自動化の推進を行い、建設省においては、より機能が良くかつ維持管理の簡易な測定機器の整備を行った。
また、都道府県及び政令市における監視体制の強化を図るため、環境庁においては地方公害研究所等の水質分析機器の整備につき助成を行った。さらに、環境庁及び建設省は、都道府県の環境部局及び地方建設局河川関係事務所の指導のもとそれぞれ19,200名、9,600名(昭和63年度)に及ぶ一般市民の参加を得て河川において水生生物による水質調査を実施した。
(2) 排水の監視
「水質汚濁防止法」に基づき、都道府県知事及び政令市長は、工場、事業場の排水基準の遵守状況を監視するため、必要に応じ工場、事業場に報告を求め又は立入検査を行っている。これらの監視行為に基づき、都道府県知事及び政令市長は、改善命令等の必要な行政措置を工場、事業場に行っている。環境庁においては、都道府県知事及び政令市長がこのために必要とする経費について助成を行った。
また、水質汚濁防止法においては、総量規制基準が適用されている指定地域内事業場から排出する者は汚濁負荷量を測定し、その結果を記録することが義務づけられており、環境庁では、指定地域内の事業者を対象に測定技術の普及指導を実施した。
一方、関係地方公共団体において水質テレメータ監視システムの整備が進められているが、環境庁ではその整備に対して助成を行った。