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第2節 

2 環境資源保全・活用によるふるさと創生

 ふるさと創生を推進するためには、清浄な水や空気、豊かな自然といった環境資源を保全・活用し、快適でうるおいのある生活を確保することが不可欠である。そのため、地域の特性や地域の環境を構成している要素を活かし、地域の行政、住民、事業者等の様々な主体が参加して、魅力ある地域の環境を形成していくことが必要となっている。また、近年、地域活性化の要請が高まっているが、地域固有の環境資源を保全・活用したまちづくりを進めることにより、生活と活動の基盤としての地域づくりを推進していくことが重要である。
 環境庁では、環境資源を保全・活用し、快適でうるおいのある生活を確保するための施策として、昭和59年度から61年度までの3か年で全国58市区町の「アメニティ・タウン計画」の策定を助成するとともに、62年度から、管下の市町村に快適環境づくりを普及・促進するうえでの基本的指針を示す「アメニティ・マスタープラン」を策定する都道府県に助成を行っている。また、平成元年度から、地域振興を図るうえで重要な環境資源の適切な保全・活用を通じた活力あるまちづくり、ふるさとづくりを推進するための総合的な計画を策定する都道府県に補助を行う。
 さらに、自然との共生の場を創造するため、環境庁は、ホタル、チョウ、トンボ等の小動物及びその生息地を保全する地域住民の活動が積極的に行われている地域を「ふるさといきものの里」として選定する作業に着手するととともに、平成元年度からは、ふるさとの特色ある自然を保全し、併せて自然保護教育を図るための施設(「ふるさといきものふれあいの里」)の整備を支援することとしている。
 一方、自然環境の利用に際しては保全との調和を図る必要がある。特に、このところ活発化しているリゾート開発に際しては、自然公園等の優れた自然環境を保全するため、自然公園の公園計画等との調整を図るとともに、事業が実施に移される際には、必要に応じて事前に環境を与える影響を調査・検討するなどにより、施設の具体的な規模、内容等を環境保全上適切なものとしていくことが重要である。
 また、大規模な開発が予想される首都圏等の大都市圏では、環境資源の適切な保全活用を図ることにより良好な環境を形成していく必要がある。環境庁では、広域的な視点に立った環境管理に関する検討を進めるとともに、首都圏に残されたかけがえのない身近な自然である東京湾地域の環境資源の持続的利用と生態系の再生を基本とする環境改善に関する検討を行うため、「東京湾地域の開発と環境保全に関する専門部会」を設置し、平成元年3月には東京湾地域の開発と環境保全に関する基本的な方針・政策等についての提言を取りまとめた。

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