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自然再生推進法 Q&A


I 自然再生って何?

問I-1
自然再生推進法は簡単に言えばどのような法律ですか。[第1条関係]
答I-1
自然再生推進法は、自然再生の推進に関する基本的方向を定めるとともに、地域に固有の自然環境を取り戻すための自然再生事業を、地域の多様な主体が参加して進めていくための枠組みや手順を定めたものです。
地域からの発意により、地域の多様な主体が参加して、自然再生協議会の場で合意形成を図りながら、自然再生を進めていくことが大きな特徴の一つです。国会審議では、このことを「ボトムアップ」というキーワードで表していました。
問I-2
「自然再生」の定義について詳しく教えてください。[第2条関係]
答I-2
法の第2条第1項に規定してあるとおり、「自然再生」とは、過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的として、[1]関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者等地域の多様な主体が参加して、[2]河川、湿原、干潟、藻場、里地、里山、森林その他の自然環境を保全し、再生し、若しくは創出し、又はその状態を維持管理すること、を言います。
つまり、自然再生の定義は、「過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的として」[1]及び[2]の2つの要件からなっているわけですが、このうち[1]については、自然再生基本方針1(2)アに、[2]については、同1(2)イにより詳しい考え方が記されていますので、そちらをご覧ください。
問I-3
自然再生の概念には、人為的改変により損なわれる環境と同種のものをその近くに創出する代償措置は含まれないのですか。
答I-3
含まれません。自然再生基本方針1(2)アに「開発行為等に伴い損なわれる環境と同種のものをその近くに創出する代償措置としてではなく、過去に行われた事業や人間活動等によって損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻す」との記述があります。
自然再生事業が、過去に損なわれた自然環境を積極的に取り戻すことを通じて生態系その他の自然環境を取り戻すこと等を目的とするという点で、人為的改変により新たに損なわれる環境と同種のものをその近くに創出する代償措置と区別されます。
問I-4
法第2条 第1項の「自然再生」の定義にある「保全」、「創出」、「再生」、「維持管理」の違いを教えてください。
答I-4
この違いについては、自然再生基本方針1(2)ア自然再生事業の対象において記載しています。
「このような自然再生事業には、良好な自然環境が現存している場所においてその状態を積極的に維持する行為としての「保全」、自然環境が損なわれた地域において損なわれた自然環境を取り戻す行為としての「再生」、大都市など自然環境がほとんど失われた地域において大規模な緑の空間の造成などにより、その地域の自然生態系を取り戻す行為としての「創出」、再生された自然環境の状況をモニタリングし、その状態を長期間にわたって維持するために必要な管理を行う行為としての「維持管理」を含みます。」
なお、この「維持管理」は、「保全」、「創出」、「再生」とは別次元の概念ですが、多様な主体が参加する自然再生事業では、「維持管理」のみを行う参加形態が多くなると考えられたため、定義において特に明記されています。
問I-5
法第2条第1項の「自然再生」の定義には「保全」、「創出」、「再生」、「維持管理」の4つが示されていますが、これらのいずれか一つだけでも自然再生になるのですか。そうだとすれば、従来からの自然環境の保全に関する各種制度も全て「自然再生」に包含されるのではないでしょうか。[第2条関係]
答I-5
自然再生推進法における「自然再生」の定義で示されている「保全」、「創出」、「再生」、「維持管理」は、それぞれ一つであっても自然再生として扱われます。ただし、過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的として、多様な主体が参加すること等が前提となります。
なお、この第2条の定義は、あくまでも、この法律において対象とする「自然再生」の定義を行ったものです。
問I-6
自然再生を行うには、つねに自然再生推進法の手順を踏まないといけないのですか。
答I-6
そのようなことはありません。この法律は、地域からの発意により自然再生を進める場合の枠組み、手続を定めるものです。この法律を適用するか否かは、一義的には自然再生事業を実施しようとする方の判断によることとなります。
問I-7
従来から、各地で行われてきている自然再生的な事業は、この自然再生推進法でいうところの自然再生事業にあたるのでしょうか。また、この法律に基づく自然再生事業としての認定はどのようにすれば、受けられるのでしょうか。
答I-7
すでに様々な主体によって、自然を取り戻すための取組が各地で行われてきています。これらのうち、自然再生推進法の規定する要件を満たし、所要の手続きを踏んで進められるものが、この法律による自然再生事業になります。
また、この法律に基づかない自然再生事業の存在についても、この法律は否定してるわけではありません。したがって、所要の手続きを踏んで、法律による自然再生事業と位置づけるのかどうかは、自然再生事業を実施しようとする者の判断次第とも言えます。
なお、この法律に基づく自然再生事業かどうかについて国等が認定を行うことはありませんので、自然再生事業実施計画の写しを主務大臣等に送付したとしても、必ず返答があるわけではありません。ただし、関係行政機関や関係地方公共団体が全く参加していないなど、法律の要件を満たしていなければ、自然再生事業実施計画の写しを送付したとしても、受理されないことになりますので、あらかじめ、国の相談窓口と十分にご相談いただくことが必要です。
問I-8
自然再生推進法に基づく自然再生事業の中で、ダムや私企業の設置した施設を撤去することが出来ますか?
答I-8
不要となった既存の施設を管理者(又は設置者)自らが撤去する事業のみを、自然再生の名を借りて、自然再生推進法に基づく自然再生事業として進めることは、基本的に想定していません。
なお、不要となった既存の施設の撤去を周辺地域の自然再生とあわせて、過去に損なわれた自然環境の再生を目的として、自然再生協議会を設置して、この法律の手続を踏んで行うことは可能ですが、その場合においても、施設の管理者(又は設置者)などの関係者の合意形成等所定の手続を経ることが必要です。
問I-9
第6条において、自然再生は、国土の保全その他の公益との調整に留意して実施されなければならないとありますが、どういうことですか?[第6条関係]
答I-9
この規定は、例えば、自然再生にあたって、災害防止対策等との調整が必要な場合も考えられることから、事業の実施に当たって国土の保全その他の公益との調整について留意すべきことを規定したものです。
また、自然再生基本方針の2の前文においても、「自然再生が、地域の自然的社会的状況に応じて、国土の保全その他の公益との調整に留意されるよう、自然再生協議会において十分検討することが必要」と規定しています。
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