環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護南極地域観測隊同行日記

野外調査の食料分配

2014年12月11日(木)

 今日は特に船の揺れが激しく、少々酔いながらこの日記を書いています。地球儀を軸の上側と下側から見比べてみると、北極は大陸に囲まれた海で、逆に、南極は海に囲まれた大陸であることがよく分かります。南極大陸を取り囲む南極海では、地球の回転によって生じた風が大きな陸地に遮られることなく周回することができてしまうので、強風となり海が荒れることが多くなります。多くの観測隊員はこの荒海の揺れにやられてぐったりとしていますが、一度南極を体験した隊員は、ひどい船酔いに悩まされながらも南極に惹かれて何とかまた戻ってきたいと考えてしまうようで、そのように皆さんを駆り立てる南極の魅力がどういったものか、この日記で少しでもお伝えすることができればと思っています。

食料の分配作業写真拡大

 このように揺れが激しい中ですが、野外調査に必要な食料の分配を皆で行いました。
 観測隊は基本的に昭和基地をベースに活動しますが、いくつかのチームは昭和基地からさらにヘリを使って、周辺エリアにある小屋等の拠点で数日間~1,2週間ほど野外調査を行うこともあります。私は、前半は陸上生物チームに同行して周辺エリアの各拠点を回り、後半は昭和基地を中心に、モニタリング用の試料採取や設営のお手伝いをする予定です。今回の陸上生物チームは、これまで比較的調査が進んでいなかった昭和基地周辺エリアの微生物の生物多様性を把握するため、各拠点を網羅的に回って土壌や水などのサンプリングを行う予定です。
 野外調査中の食料は「しらせ」より提供され、各調査チームがそれを分配して持っていきます。合計1カ月ほど各所を巡る陸上生物チームは拠点ごとに大量の食材を分配する必要があるので、かなり大がかりな作業になり、既に3日間酔いと戦いながら講義の合間の作業が続いていますが、明日には終了する予定で、もうひとふんばりです。

≪今日の生きもの≫

ハイイロアホウドリ

ハイイロアホウドリ写真拡大

 オーストラリア・フリーマントルから昭和基地への航海中には、通常5種類程度のアホウドリが見られるそうですが、中でも愛嬌のある顔で私のお気に入りがこのハイイロアホウドリです。とぼけた表情をつくりだす白目部分は実は眼球の色ではなく、メジロのように目の周りの皮膚が白い色をしています。

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