(番外編)基地外の調査の思い出 動植物・風景
以前の日記でシェッゲという高さ400mにもなる絶壁や、一面の雪原、ペンギンの営巣地(ルッカリー)等素晴らしい景色や生きものたちを紹介してきましたが、今回は今まで紹介しきれなかったものをまとめて紹介したいと思います。日本でも見られるもの、日本では見られないものがありますが、いずれも私が見てきたもので印象が強かったものの一部になります
幻日
以前紹介したハロー現象が起こったときに、太陽の左右に太くて短い虹のようなものが現れることがあります。これを幻日といいます。写真のものは太陽と右側の幻日だけを撮影したものです。
彩雲
太陽の近くにかかった雲が日光を回折させることで色がついてみえる現象です。南極滞在中に何度か見られました。この写真では太陽のまわりにわずかに虹のような色が見られます。
飛び跳ねるペンギン
海中から飛び出した瞬間のペンギンを写真に捉えることができました。飛び跳ねながら氷上に上陸できそうな場所がないか、営巣地(ルッカリー)に異常がないか等、周囲の状況を確認していると考えられています。
海氷(パドルやクラック)
基地外にヘリで調査に出るたび、氷上にはパドルと呼ばれる水たまり、クラックと呼ばれる氷の割れ目が見られました。このような氷上を移動することは大変危険です。
棚氷
海上に発達した棚氷は少しずつ潮汐の影響を受けながら、棚氷から分離して、氷山として海に流れ出します。その後、氷山は何年もかけて溶け、海に戻ります。
長い影
夏の南極では、太陽は地平線近くまで下がり、沈むことなくまた昇ります。夜、太陽が地平線に近づいたときに撮影したものです。この写真では足元から20m程度先まで影が伸びています。
夕日に照らされる長頭山(ラングホブデ袋浦)
雪氷、植生がなく、岩肌が露出している露岩域は、日の入りの時間が近づくと日が当たり大変きれいに映ります。また、この写真ではわかりませんが、地層がはっきり見える場所が多くあります。
ケラトセロリス・メリディオナリス
南極地域に生息する生き物として紹介されることはほとんどないものだと思います。死骸が乾燥し、土が付着していました。海辺で偶然見つけたのですが、固い殻があったため形が残されたのだと思います。大きさは5cm弱でした。南極大陸の周辺に棲息している生物で、本来は黒い色をしています。
浮遊する藻被
中央の茶色の石に見えるものは石ではなく、藻類(藍藻、珪藻、緑藻)等が混生しているものです。内側は緑色が外に比べて濃くなっており、スポンジのように柔らかく、しばしば湖岸に打ち上げられています。
石(ケーキのような層状の石、蜂の巣のように穴があいた石)
主に露岩地域で行われる調査に同行したことから、様々な地層や石を見ることができました。層状にきれいに線が入っていてケーキのように見える石や蜂の巣のようにたくさんの穴が開いている石も見られました。蜂の巣状の石は、穴に入った小石が強風で動かされることにより、少しずつ削られてこのような形になります。