1.日時: 平成20年3月6日(木)10:00~12:00
2.場所: 合同庁舎5号館 22階 環境省第1会議室
3.出席者
-委員- |
(委員長) | 須藤 隆一 | 埼玉県環境科学国際センター総長 |
| 井村 秀文 | 名古屋大学大学院教授 |
| 大塚 直 | 早稲田大学法学部教授 |
| 河野 正男 | 中央大学経済学部教授 |
| 崎田 裕子 | ジャーナリスト・環境カウンセラー |
| 佐野 角夫 | ソニー株式会社社友 |
| 藤井 絢子 | 滋賀県環境生活協同組合理事長 |
| 三橋 規宏 | 千葉商科大学政策情報学部教授 |
| 山本 良一 | 東京大学生産技術研究所教授 |
| 鷲谷いづみ | 東京大学大学院農学生命科学研究科教授 |
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| [欠席] | |
| 細田 衛士 | 慶應義塾大学経済学部教授 |
-事務局(大臣官房)-
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小林大臣官房長、鷺坂大臣官房審議官、小林秘書課長、三好総務課長、
阿部会計課長、柴垣政策評価広報課長、他 |
-環境省各局部-
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紀村企画課長(廃棄物・リサイクル対策部)、後藤総務課長(総合環境政策局)、
森本企画課長(環境保健部)、梶原総務課長(地球環境局)、
岡部総務課長(水・大気環境局)、中村総務課課長補佐(自然環境局) |
4.議題:
(1)環境省政策評価基本計画の改定について
(2)平成20年度環境省政策評価実施計画(案)について
(3)平成18年度政策評価書の検証について
(分かりやすい評価書の作成に向けての検討)
(4)その他
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5.議事録要旨 |
〔議事録要旨〕 |
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(各委員紹介・配布資料確認)
(大臣官房長挨拶)
(事務局より資料説明)
議事(1)環境省政策評価基本計画の改定について及び議事(2)平成20年度環境省政策評価実施計画(案)について
【須藤委員長】
議題の(1)、(2)について、委員の先生方から御質問あるいはコメントをお願いしたい。
【大塚委員】
参考資料2の2.(2)クにおける「関連する審議会」とはこの環境省政策評価委員会を考えているのか、ご説明いただきたい。
【政策評価広報課長】
各規制の策定のための中環審、検討会などを想定している。
【河野委員】
40目標を9の評価対象単位にくくったのは、わかりやすさということからいうと、評価できる。
予算と決算との連携について説明があったが、「1.地球温暖化対策の推進」以外は各部局が担当ということで連携しているとのことだが、大くくりの評価についてはどうか、11ページでいうとそれぞれの目標について評価をするということであるが、大くくりの全体の評価について工夫をどうするのか。
【政策評価広報課長】
ご指摘のとおり工夫が必要と考えている。今回、目標は目標として個別に残し、さらに上でくくることとした。
ただし、地球温暖化は、政府全体の目標もあるために別個になっている。個々の目標の評価と施策全体の評価について若干の重複もあるが、その整合性をどうするかについてはご意見をいただきたい。
【山本委員】
政策評価にも国際比較ということがあると思うが、日本の評価はあまり芳しくない。周知だと思うが、ワールドバンクの温暖化対策ランキングで61位、エール大学で21位という評価がある。
これがどのような指標でどのようなランキングになったかということはいろいろあると思うが、要するによその国から見て、この政策評価の評価体系は適切なのか。国際的な標準に適合しているのか。
【政策評価広報課長】
国際比較の観点からの検討は正直できていない。試行錯誤をしながら評価方法などを詰めてきており、実務的な検討しかなされていないのが現状であるため、今後の課題とさせていただきたい。
【須藤委員長】
国際的に耐えうる評価をしなければならないだろうという意味が山本先生の背景にあると思うが、官房長はどうお考えか。
【小林大臣官房長】
実務者としてみれば、世界で20番目という行政をしているつもりはない。いずれにしても今後の勉強課題であり、なぜそういう成績になるのか、どういうところを外国は見ているのか、議論していきたい。
一番実務的な観点からは、OECDのパフォーマンス・レビューを一つの国際的な観点としている。その分厚いレポートでの評価では、別に悪い成績とはなっていない。
極論するところによれば、例えば水産行政等も含めて環境になると聞いているため、温暖化や廃棄物の部分だけで点数がついているとは限らないとは思うが、
国際的にどのように見られているのかについて、さらに勉強していきたい。
【佐野委員】
民間の立場から見ると、評価基準にグローバルな観点が入っていない。民間企業はベンチマーキングがすべてグローバルである。
グローバルな観点から指標・指針について整合性がとれているのか、どこが劣っているのか、その対応をどうするべきか、そのために中期計画をどうするべきか、を考えなければならない。
環境はまさにグローバルな施策が必要で、ますます重要になっている。非常に重要な視点であるため、今すぐには無理かもしれないが、洞爺湖サミットもあるので速やかに、環境省なりに取り組むべきである。
【藤井委員】
山本委員と佐野委員からグローバルな視点でお話があったが、私は逆に都道府県や基礎自治体も毎年このような評価をしている。
都道府県でも国を超えたような施策があるが、実際に足元でやっていることとの比較が出てこない。
グローバルなところと、足元で動いている部分との両方の比較がこの中では出てこないので、この視点も必要ではないか。
【三橋委員】
政策評価の必要性、効率性がどのようになっているのかお伺いしたい。環境省のいろいろな政策を評価することに対して、環境省の職員がどれくらい動員され、どれくらいの時間をかけて取り組んでいるのか。
環境省がやるべき様々な政策に対して、評価に費やされるエネルギーはかなり多い気がする。
また、評価をより簡潔かつ効率的に行う方法はあるように感じるが、これも総務省の方から一律に押し付けられているので仕方ないことなのか。
あるいは、こちら側がもっと簡便化していく提案をできるのかどうか伺いたい。
【鷲谷委員】
環境保全に関わる便益は、経済的な評価になじまない価値を創出することが含まれていると考えている。
23ページに示されている評価では、規制の費用便益、B/C(コスト・ベネフィット)を想定しているが、今言ったような意味で経済的な評価になじまないものもある。
一部貨幣価値で評価できるものもあるが、それが直接的でないことが多い。波及効果的な貨幣的価値だと、データをたくさん収集、統合、分析するのにコストがかかる。
評価はできたけれども、施策に手がまわらないということがあるのではないか。簡素だが的をはずさない、必ずしも一般的なコスト・ベネフィット評価でないものを考えることが重要な観点だろう。
今回の変更に伴う改訂文章を見ると、必ずしも総務省から来ていることがそのままではないため、そのようなことも含まれているのかと感じている。
【河野委員】
先ほど、佐野委員からグローバルスタンダードのお話があったが、国の環境政策というのは、環境省だけではなくて農林水産省や他の省庁でも環境に取り組んでいるので、国全体の環境予算を対象として評価しないといけない。
環境省だけの予算で考えても、国全体の評価にはならない。環境省がリーダーシップをとるなどして、評価できるような仕組みを考えればよい。
総務省の評価はプログラムごとなので、やはり環境が非常に重要になれば、縦割りではなく全体としての評価を考えていただきたい。
【崎田委員】
河野委員と全く同じ意見である。環境省の施策と環境予算の全体像を評価することで、国民もわかりやすく納得し、世界への発信もきちんといく、ということが担保されると考えている。
【大塚委員】
今回、事後評価だけではなくて、事前評価も22、23ページに入ってきているが、この事前評価でコスト・ベネフィット評価をやると、環境施策ができなくなる。
コスト・ベネフィット評価は避けられないとは思うが、それだけではない、環境省として独自のものを検討すべきである。
環境価値は評価しにくいところが多いが、他方、環境対策にかかるコストは算定しやすい。
環境省が規制をしたいから作ったと言われないように、説得力のある新しい評価の仕方を、諸外国の例も参考に開発すべきである。
アメリカでは、レーガン政権後に規制影響評価の枠組みが入って、EPAによる規制の数が激減したことがある。適切でない対応にならないように是非お願いしたい。
【政策評価広報課長】
規制の事前評価について、費用便益のやり方自体、特に便益の部分の説明責任といった部分も含めて今後検討したい。
また、政府全体で第三者機関により規制を評価するという動きがあるのを懸念しており、注視したい。
政策評価全体のやり方については、基本は各部局、課室で予算を検討する際に、その作業の一環として前年度の実施施策の評価をルーティンに組み込もうというものであった。
今回、9施策の下に40目標と体系立てたのは、40目標の議論だけでなく、さらに部局単位となる9の重点施策単位での議論にも、政策評価の総合的評価を反映するためである。
こうした評価を4月、5月に行い、委員会でご議論いただいて、それを各課室に戻していく作業をしている。政府全体、グローバルな視点については政評課から注入しないと出てこない。
国際的な施策であればその中でグローバルな視点を含むが、客観的な指標は改善していく必要があると考える。
【須藤委員長】
グローバルに関する議論については、国民としては、環境省は一体何をしているのかと考えるのではないかと心配している。どのように対応すべきかという議論はされているのか。
【小林大臣官房長】
そのような不名誉な評価に関しては憤りを感じている。しかし、その理由をしっかり探求しないと反論もできないので、よく勉強したい。
環境省自体の評価というか、環境基本計画や循環型社会形成推進基本計画の点検などがあり、すべて広い意味での政策評価が結果としてできてきている。
この中で外国からの目も反映されているのではないか。例えばベンチマークも整理されてきており、三橋先生のご指摘だが、こういったベンチマークが例えば基本計画の中に設けられていて、合理的な評価ができるようになってきた。
積み重ねの中で、政策評価を予算に反映するという狭い意味での政策評価ではなくて、ご指摘があったことについてはかなり対応できるようになってきていると考えている。
そういったことも含めて、例えば評価の考え方そのもの、国全体の環境政策も評価すべきではないか、外国のものに照らした評価の必要性、評価の効率的な実施方法など、必ずしも狭い意味の評価だけに留まらず、今後考えていくということでご議論いただければありがたい。
【佐野委員】
一般にはわからない。外国から言われっぱなしという感触しか残らない。企業の場合だと、実際の場所へ行って、すぐにインタビューをして何が悪いかということをきちんと把握して対応を示す。その繰り返しである。環境省は言われっぱなしではいけない。その対応を示さなくてはいけない。危機感を持ってスピードアップしていただきたい。環境省に対する他省の見方、国民の支持も変わると思う。
【鷲谷委員】
若干まとめるような感じになるが、どうしても重視しなければならない観点として、B/Cに限定されない多面的な評価が必要である。国際的な水準、国民の期待に応えている程度、この二つの観点が欠かせないと考える。評価の視点に取り入れるべきである。
【須藤委員長】
国際的に耐えられる評価にしてほしい。何が悪かったのかを探求し、迅速に対応してもらいたい。
議事(3)平成18年度政策評価書の検証について
【須藤委員長】
(3)については、政策評価手法検討部会での議論を踏まえたということから、最初に井村部会長からコメントをいただきたい。
【井村委員】
現在、外部評価による大学ランキングというのが世界的に大変である。ここ4、5年やっていているが、大きな負担を強いられている。
自分の業績について、また論文がどう引用されたか、学会でどう評価されたかなどを整理しなければならない。しかし、やっているうちにだんだん慣れてきて、日常的にシステム化するということが大事であると思う。
どのようにすれば得点が上がるのかについては、評価ランキングのベンチマーキングに応じて対策をとればいい。点数を高くするためにはどうすればいいかを分析し、それに基づいて対策を行えばよい。
手法検討部会では、先生方のリクエストに応じて検討してきたが、これまでの重点は、評価書をいかにわかりやすくするかということであったと思う。
この点では、平成14年度から改善をしてきており、不満はあるだろうが確かに分かりやすくなっており、進歩はしていると言ってよい。目標の議論、記述のわかりやすさも進歩している。
ただ、先生方のご期待にどこまで添えたかについては、まだ忸怩たる思いがある。
総務省との関係もあるので、環境省だけがドラスティックな評価システムを採用することはむずかしい。一方で、コスト・ベネフィットのように、総務省の要求が環境省に合わないなどの問題も出てくる。
その中で、手法検討部会としては野心的にはやりたいが、今までと違うものを急に出すわけにはいかないので一年一年少しずつではあっても着実に改善を進めていきたい。
わかりやすさというテーマでは、いくつかの視点がある。一つは政策体系・施策・項目を見やすくすることで、これは以前に比べれば大分整理されてきた。
次に、言葉・用語の定義である。当初は、言葉の意味がいろいろに使われて混乱していたが、段々と整合性がとれてわかりやすくなってきている。一番大変なのは、数値目標である。
目標を定量的に設定して達成度を示せる施策は非常にわかりやすく書けるが、それがなかなかできないために苦労している。
さらにもう一つ、わかりやすくしてどうするかというゴールのことも考える必要がある。予算と決算の連携を環境省でしっかりやっていただくことが必要である。
下手な評価をしたら予算がつかないシステムにするなど、政府全体として改善する努力をしてもらいたい。
また、国際的な競争については、日本の環境政策が世界的に優れたものだということが国際的に理解される必要があるが、国際比較は難しい面もある。
そうなると、日本の環境省の政策は世界的に優れたものなのだということについて、国民に自信を持ってもらうことが大事なので、それには評価書を読んでもらうことがまず必要である。
その点は、政府全体で改善していく努力をお願いしたいし、各省の中で環境省の評価書を突出して良いものにできればなおいい。国際的な評価として参考になるのは、例えばODAの評価である。
ODAプロジェクトの国際的評価には研究者も熱心に取り組んでいるので参考になる。
OECDによる環境政策パフォーマンス・レビューについては、政策評価システム自体が評価の対象になったことはまだないので、次のレビューのときにこれを項目に加えてもらうのもよいのではないか。
【山本委員】
このような仕組みは大変結構だが、政策がまじめに愚直に履行されているのか。民間の場合だとコンプライアンスの問題であろうが、これについての説明はどの項目に書かれているのか。
というのも、古紙混入率等の偽装問題は、グリーン購入法の施行以前からされてきた。
グリーン購入法の施行について、自分は特定調達品目検討委員会の座長という立場であったが、善意に基づく法の執行体制を信頼していた。
その観点から申し上げると、廃棄物・リサイクル対策部はどのような対応をしていたのか。古紙混入率の信頼性の担保はどこがやっていたのか。
大変よい施策が立てられて、ほとんどの職員は真面目にやっているが、国民側からすると、行政のコンプライアンスはどのように考えたらよいか、そこが問題である。
法の執行が適切に行われているかどうかというところだと考える。
【佐野委員】
それと関連して、企業も大変な被害を受けている。子会社を含めて名刺利用など古紙を使用してきた。企業の環境配慮は紙から始める。このような活動を展開してきて、今回は裏切られた感じがする。
企業はすべて回収して、「100%再生紙」というラベルをとって、新しいものを作り直している。このことについて、国の責任、企業の責任を明確にしてもらいたいと強く感じている。
そうでないと、今後の環境行政についても非常にイメージダウンになる。
【大塚委員】
そもそもグリーン購入法は、自主的取組みであり、かなり企業に任せているためにこういう問題が出てくる。
今回の問題は非常に重く受け止めるべきだと思っているが、法律の性格自体を若干変更したほうがよいのかもしれないという話につながるだろう。
CSRと一緒に取り組むというのは、全体が常にうまくいくとは限らなので、自主的取組を重視している中で、最低限のチェックをどこかでしなければならないという問題をはらんでいる。
そういう意味で見過ごすべきではない問題が隠されている。
【井村委員】
評価の中で、先ほどの有効性・効率性・必要性に加えて、欧米では透明性、情報公開、住民参加などのいろいろな要素がある。しかし、日本の政策評価にはそのような要素がない。
政府全体として、加えることも検討した方がよいのか。事後評価としてときどき抜き打ちでレビューするなどの対応が必要かもしれない。
【廃棄物・リサイクル対策部】
この問題については非常に遺憾である。リサイクル全体については、法体系的に循環基本法があり、容器リサイクルをはじめとした個別リサイクル法がある。
その中間に環境省専管の廃掃法の世界と、主として経産省の資源有効利用促進法の世界があり、全体をカバーするグリーン購入法があるという形である。これら全体でリサイクルを含めた政策をカバーしている。
昔と違って、廃棄物と有価物が一体となって国際的にも国内的にも動いている状況である。
現行法体系の中でできるかぎり対応しており、特に、個別リサイクル法の範囲であれば入口と出口でしっかり管理されている。
廃棄物の関係では、廃掃法において罰則の強化だけではなくて様々なことをやってきたという状況である。
紙の話になると、有価物であり、グリーン購入法の対象品目になっている。
現行の廃リ部が持っている法体系の下では対応できないが、問題が問題であるため、どちらかというと動脈系を主として持っている経済産業省とうまく協働することによって対応していきたい。
しかし、紙の話、プラスチック関係などの話になってくると、どちらかというと有価物主体ということがあるので、現行法体系の下では、商取引で対応することが原則であると考えている。
費用対効果から、普段の行政の範囲で徹底してそれを見るということは難しい。何か問題が起きて、その上で、対応範囲内でどこまでできるかということをしっかり踏まえた上で対応していきたい。
【佐野委員】
経営責任を明確にするような決着をつけてほしい。この業界は業界ぐるみであるから問題外である。
【崎田委員】
業界が内部検証委員会を急激に立ち上げ、細田先生とご一緒に参加させていただいている。
気になったのは、対策が決まるのには時間がかかるが、今回の問題が非常に大変なことであるということを、国から明確なメッセージとしてはっきり出していただきたい。
私たち自身も、きちんと市民目線で納得ができるような答えが出せるように努力して発言していきたいと思っている。宜しくお願いしたい。
【小林大臣官房長】
紙の問題は大臣を先頭に、きちんと整理しなければいけないと厳しい対応をしている。製紙業界の社長が報告に来た際に、大臣も国民の信頼回復は大変だと強く言っている。
最終的にどういう措置になるのか見通せないが、そういったせめぎ合いが行われており、かなり厳しい対応をとっている。
ただし、法制的に見ると、そういったことについて監視する条文になっていなかった。国務大臣の立ち入り権限などの規定については時期早尚ということで、そこは自主的取組みで担保することになった。
事はそれだけではなく、コンプライアンスがどうなっているかということについて、評価というか、政策のアウトカムみたいなレベルを評価する仕組みについて論点がある。
その点を見ると、例えば家電リサイクルの管理不行き届きの問題や、製紙・製鉄企業による排出基準違反を隠していたことについてもどうするのか。
現場の人たちが経営幹部に対して言えない状況をどのように直していくか。
例えばアメリカのEPAでは、被害のない軽い違反について申し出があった場合は法的な対応を変えてあげるとかいろいろな仕組みが用意されているようである。
直罰か自主的取組みという両極端しか持っていない日本の仕組みは果たしてそれで十分なのかということは問題意識として持っている。
直罰で担保する排出基準についてどうするかという勉強会をすでに2種類重ねている。改善したいと思っている。
【河野委員】
一言追加させてもらえば、大塚委員が言われた自主的取組みというのは、企業の責任もあるだろう。
経団連はしきりに自主的取組みと言うが、CSRの視点から言うと、経団連がこの問題についてもっと徹底した姿勢を示す必要がある。
すべて官に頼るということは、信頼性のコストが非常に大きくなってくるのではないかと個人的に思っている。
官が出るなということではないが、自主的取組みと言うのであれば、経団連もきちんとやるべきと思う。
先ほど井村先生から指標の体系について苦労されたとのことだが、二つの観点から苦労があると考える。
一つはわかりやすさという点は外部報告目的であること、もう一つは予算と決算の利用ということで内部目的である。
内部目的で言えば、詳細さとか専門情報があった方がよいということで、だんだん指標が多くなり、報告書が厚くなる。この二つをどのように統合するのかは難しい問題であろうと思う。
現実的には改良を重ねながらやるしかないのではないか。
わかりやすさについて一つ、決算と予算について一つ質問がある。目標ごとに評価に関する記述があるが、23ページ以降のひな形を見ると、目標ごとに「期待以上」と書いてある。
総合的な評価は読んだ人に任せるということか。ウェイト付けはないのか。
また、予算と決算の連携についてであるが、基本的に評価書にしたがって環境省の各部局が予算を組んでいるというが、全ての部局がそのようなことをやっているのか。
財務省はどの程度考慮しているのか。ある会合で財務省の方が政策評価を予算編成に活用しているケースもあるという言い方をされていたので、
政策評価が必ずしも全面的に利用されていないのかな、という印象を持った。
【政策評価広報課長】
まず一点目は、今回は大きく見直していない一番の課題である。総合評価と目標ごとの評価については、二段構えにしている。
総合評価のところは、少なくとも整合性はとりたいということで、今回の案で目標ごとに【達成の状況】欄というものを設定した。
ただ、それは逆に言えば重複してしまい、それぞれの評価が同じことが書いてあるという問題がでてきてしまった。
予算をどのようなところに利用するのかという観点、まさに外部的な観点と内部的な観点の二重構造が表れている部分である。
むしろ評価の部分、外部的なところは、【④今後の主な課題】とうまくつないで、翌年の評価書につなげることを含めて課題として考えていきたい。
財務省との関係は、個別の目標ごとの評価の部分をもとにした抜粋版を、予算を要求するときに提出している。
【崎田委員】
関連した質問であるが、それぞれの目標に対する達成の状況というコメントがあり、市民にとってここを読めば今の政策がわかるということをイメージして考えると、
例えば、30、31ページを比較して読んでみると環境パートナーシップの形成については、厳しく自己評価しているが、環境教育については非常によくやったとの評価がある。
国民の活動がCO2削減にあまり結びついておらず、普及啓発から行動に移すなどいろいろなことが言われている中で、このように目標に関してシンプルに答えていいのかと気になった。
定性的なものをどのように目標を作るのか。それをどう評価してここに書くのかについて、皆さんでいろいろ考えながら作っていただきたい。
【井村委員】
これだけの予算を使って、これだけの業務をやったという意味での効率や効果は定量化できても、そのアウトカムはどうかということは非常に評価の難しい問題である。
【三橋委員】
19年度は目標達成計画の見直しについて、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合をやったが、この形の議論は非常に問題を含んでいると考えている。環境省としてはどのような評価をしているのか。
合同会合に参加した経験から言えば、科学的知見に基づいた冷静な議論ではなくて、一部の業界団体によるキャップ&トレード反対の発言の場になってしまっている。
その中で、環境省の存在というのがどういうものだったのか、きちんと評価、自己反省をして、今後、環境省としては、大きな問題である目標達成計画を進めるに当たって、
どういうやり方がいいのかをきちんと評価していただきたい。要望として出しておきたいと思う。
【藤井委員】
地方環境事務所の発言がないが、国民へのわかりやすさでは地方環境事務所をどう位置づけるか、環境省の精鋭部隊が各政策を各地域で実施すると同時に、
都道府県、基礎自治体の環境政策と比較検討し、それをまた国の政策に反映させるというダイナミックな地方環境事務所の使い方を考えてほしい。
まだ1、2年だから難しいかもしれないが、このままだと地方環境事務所はいらないと言われてしまう。
ここがあるからこそ、環境政策を下へ、そしてまた引き上げることができるというような使い方を検討していただきたい。
【佐野委員】
環境省として、政策として打ち出したことをどうアピールしたかということを継続して評価書に明記してほしい。そうしないと、他の省庁と合体した議論になると埋没してしまう。
やはり首尾一貫した主張・政策を出し、どのような成果があったのかを経過報告として入れてもらいたい。環境省としてきちんとまとめることが必要ではないか。
また、総合評価として自己評価するのはいいが、例えばCSRのファンド規模については、成果があったという数字では全くない。
2,600億が2,900億になったといっても、昨年の投資信託の金額は何十兆円である。これではCSRに誰も注目しておらず、このような記載の仕方を改めてほしい。
これで期待通りの成果が得られたという評価はできない。
もう一点、政策評価については、パブリックコメントで、国民からどれくらいコメントをもらうかも重要である。昨年は10件くらい、今回から100件にする等の目標を持ってもよいと思う。
そうすれば、どのような要旨の説明がいいかなど、いろいろ解が出ると思うので、やはり国民に環境行政に目を向けてもらうことが重要である。
【鷲谷委員】
地方環境事務所の話が出たので、ちょっとずれてしまう面もあるが、感じていることを言わせていただく。
環境省の施策を国民生活へ浸透させるルートとして、一つはNGOを通じてもあるが、もう一方で市町村行政にどのように反映をさせるかも重要であると考えている。
市町村に環境に関する部署がない場合もあるので、他省庁の地方事務所と違い、働きかけのルートがなくて難しい。
環境基本計画のようなものを作る地域というのが出てきているとしても、市町村のレベルになるとおそらくわずかになってしまう。
従来からの産業との関わりで市町村には必ずある部署もあり、そこが環境と関わるように変わっていくために補助金等のインセンティブを考えるなど、道筋を何らかの形で照らしていただきたい。
それがないと、新しい政策などができても国民全体に広がるようなネットワークができない。環境に関わることは非常に緊急性があるが、一般の生活までいかないのではないか。
【地球環境局】
エール大学の評価については、結果として日本の排出量がなかなか減らないことが原因と聞いている。今後いろいろなところで評価が出てくると思うが、きちんと対応していきたい。
また、合同部会の件では、目達達成計画の実施状況を審議するという目的であり、それに伴う作業を効率的にやる意味で合同とした。
いずれにしても、目達計画は4月に始まるということで、現在話し合い中であるが、その中でフォローアップを今の回数より増やしていくということがあがった。
成果が足りなければ見直して追加していくプロセスを入れようという話はたくさんしているため、そのやり方については十分考えていきたい。
【小林大臣官房長】
三橋委員からは、政策の作り方、実行の仕方についても評価すべきではないかというご意見をいただいた。佐野委員からはそのときに国民を巻き込むことが大事ではないかというご意見をいただいた。
そういう中で、組織の話が出ている。これは政策評価を離れて、地方事務所をどうするかという話だが、ご指摘のような温対法の改正事項がある。これは後にご用意している資料を参照いただきたい。
環境省の地方組織は、新しくできた組織であるから役に立って初めて存続ができる。そういう意味でフル活用ができる仕組みにしたい。
今回の温対法改正案では、例えば地方の協議会を設けて、その中に国の顔である機関も参加させていただくことも考えている。そういう中で意見等を言わせていただきたい。
もう一つは鷲谷委員からのお話だが、地方分権の中で市町村に環境に重きをもって取り組んでいただくようになることが大事ということがあった。
地域の温暖化計画はそこの都市計画に反映させるという規定を今回の改正案に設けており、市町村が温暖化対策に取り組む仕掛け作りをしたつもりである。
うまく市町村とタイアップしながら、地方組織が実際に役割を果たせるようにしていきたい。
(事務局より参考資料4の説明)
【須藤委員長】
以上をもって本日の第3回環境省政策評価委員会を終了させていただく。
以上
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