3R徹底宣言!

 3Rとは、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の頭文字を取った3つのアクションの総称です。持続可能な未来のためには、リデュース=ごみの発生や資源の消費自体を減らす、リユース=ごみにせず繰り返し使う、リサイクル=ごみにせず再資源化する。この3つの考え方へ意識を転換し、アクションを起こしていく必要があります。

 では、なぜ、意識の転換と行動が必要なのでしょうか。順を追ってみていきましょう。

なぜ3Rが必要なの?

 「持続可能な未来」を阻害する問題の一つに、世界のごみが引き起こす環境問題があります。

 ごみを焼却する時に排出される二酸化炭素、また、ごみの運搬にも多くのエネルギーを消費し、地球温暖化の原因の一つとなっています。海に目を向ければ、行き場を失った廃棄物やプラスチックごみが海洋環境や生態系に影響を及ぼしているほか、途上国では、埋め立て地に投棄され続けるごみが近隣住民に健康被害をもたらす状況も報告されています。

 ごみを減らして、持続可能な未来を実現する……。

 こう表現すると、手の届かない壮大な計画のような気がしますが、使い捨てや過剰消費を見直し、詰め替え製品、簡易包装、リターナブル容器を選ぶなど、3Rのアクションは、私たちが身近な暮らしの中で、誰にでもできる取り組みです。環境問題の解決は、一人ひとりの意識とアクションから始まります。

3Rの優先度が高い順に、リデュース、リユース、リサイクル。

今日からできる3つのR

 ごみを減らすことは、焼却や埋め立て処理に伴う環境への負荷、作業に伴うエネルギー消費を小さくすることにつながります。

 大量生産・大量消費・大量廃棄の社会から「循環型社会」の実現に向けて、自分ができることから3Rに取り組んでいきましょう。

Rデュース】
資源の消費、ごみの発生をもとから減らす

 「リデュース」は、ものをつくる時に使う資源の量や廃棄物の発生を減らすことで、廃棄するもの自体を減らすアクションです。

 例えば消費者は「マイボトル」を使えば、ペットボトルや缶のごみをリデュースすることができます。事業者は、使用した後のことも配慮して製品を設計したり、長く使えるように部品交換や修理を含めたメンテナンス体制を整えたりすることが、リデュースにつながります。


リデュースアクション!

ごみになるものを買わない、もらわない。/長く使える製品を買う、手入れや修理をしながら長く大切に使う。/マイバッグを持って無駄な包装は断る。/詰め替え容器に入った製品や簡易包装の製品を選ぶ。/利用回数の少ないものは、レンタルやシェアリングシステムを利用する。/省資源化設計の製品を選ぶ。

廃棄されるプラスチックの
パッケージを製品の一部に

 1924年の創業以来、おもちゃを作り続けてきた株式会社タカラトミーでは、子どもたちがおもちゃで遊び続けることのできる未来のために、2011年からエコトイ活動に取り組んでいます。同社では、省資源・省エネルギー、再生材の使用、廃棄物の削減など、環境配慮の自社基準を満たしているおもちゃを「エコトイ」と認定。電池なしで電動走行を実現したプラレール「電池いらずで出発進行!テコロでチャージ」シリーズなどがその一例です。

 さて、近年は国内だけでなく、海外旅行客にも大人気のカプセルトイ(ガチャ®)。タカラトミーグループではエコトイ活動の一つとして、通常は廃棄してしまうプラスチックのカプセル自体が製品の一部になった「カプセルレスガチャ®」の開発に取り組んでいます。

 「パッケージであるカプセル自体が製品になっていることを、お客様は驚きつつ、好意的に受け取ってくださっているようです。プラスチック削減という時代の動きを受け、素材を有効活用したカプセルレス製品の価値は見直されていると感じています」とは、製品の企画開発を担当する株式会社タカラトミーアーツ取締役の近藤歳久さん。加えて、これまで直径65mmで統一していた200円カプセルも、製品のサイズが小さければ直径48 mmのカプセルとすることで、プラスチックの使用量を約10g削減。省資源化を図っています。

 こうした環境に配慮した製品を手に取る子どもたちにとって、「3Rを含めた環境問題を考えるきっかけ」になればというのが同社の願いでもあります。

*「ガチャ」は株式会社タカラトミーアーツの登録商標です。

カプセルレスガチャ

カプセル直径65mmと48 mmの比較

Rユース】
繰り返し使うことで、ごみを減らす

 「リユース」は、使用した製品やその部品などを廃棄せずに繰り返し使うことで、廃棄するものを減らすアクションです。フリーマーケットやガレージセールなどを通じて不用品を再活用することも取り組みの一つです。

 身近なリユースの例として、ビールやジュースをはじめ、回収後、洗浄・殺菌して繰り返し利用するリターナブルなビン類が挙げられます。ガラスビンのまま再使用されるので、環境負荷が小さくてすみます。


リユースアクション!

リターナブル容器に入った製品を選ぶ。/リターナブル容器は、使い終わったらリユース回収に出す。/フリーマーケットやガレージセールなどを利用し、不用品の再活用に努める。

手軽なデジタルツールを使って
多様な製品の容器を再使用

 1991年からマイバッグの持参、食品トレーやペットボトルなどの資源回収を通じて環境保全運動を進めてきたイオン株式会社。同社が2021年5月に参画したのが、アメリカで始まり、本格的なリユースの取り組みとして注目されている「Loop(ループ)」です。

 Loopは従来、使い捨てにされてきた消耗品や食品の容器を耐久性の高いものに変え、繰り返しの利用を可能にした製品提供システムです。専用アプリに登録し、購入した製品の容器を店舗で返却すると、容器代がアプリに返金されます。東京都を中心にイオン19店舗で始まったLoopは、現在、近畿、中国・四国エリアを含む78店舗に拡大、取り扱う製品は20品目に上ります。

 イオンリテール株式会社広報部の関本彩佳さんによると、導入にあたり、「実店舗としては日本初の取り組みだったこともあり、店舗にはLoopに取り組む背景や目的を伝え、Loopについてお客様に説明できるよう、時間をかけて準備をしてきました。エシカル意識の高いお客様にリピート購入いただいており、コンスタントに実績が上がっています」とのこと。デジタルツールを活用し、人を介さずに容器代を返金できる仕組みは、昔からあったビールやジュースのビンだけではなく「さまざまな製品にも広げていくことができる」と、今後は取り扱う製品の拡大にも取り組んでいく予定です。

 「捨てるという概念を捨てよう」というLoopのミッションは、循環型社会に向けて、私たちのライフスタイルの転換を促す取り組みといえるでしょう。

*データは2022年10月31日現在。

QRコードを読み取り返却

Rサイクル】
資源として再び利用することで、
ごみを減らす

 「リサイクル」は、ごみなどの廃棄物や不用品を、原材料やエネルギー源として有効に利用するアクションです。使用済製品を回収すること、リサイクル技術や装置を開発することも、リサイクルの一環です。最近では、不用品に手を加え、新たな価値や魅力を付加するアップサイクルも注目されています。

 分別回収が普及したスチール缶、アルミ缶、牛乳パック、ペットボトルなどは、私たちにとってもっとも身近なリサイクル品でしょう。


リサイクルアクション!

資源として分別する。/資源ごみの効率的な分別回収を広める。/リサイクル製品を積極的に利用する。

身近なLINE、ポイントを活用した手法で
リサイクルを“あたりまえ”に

 LUX(ラックス)のシャンプーやDove(ダヴ)のボディウォッシュなどで知られるユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社では、「LINE」を使ってエコポイントがたまる「UMILE(ユーマイル)プログラム」を2020年からスタートしました。ユニリーバ公式LINEアカウントにお友だち登録し、同社製品の使用済プラスチック容器を洗浄・乾燥して回収ボックスに返却、あるいはボトルよりもプラスチックの使用量が少ない詰め替え製品を購入すると、UMILEと呼ばれるポイントが付与される仕組みです。いずれも、回収ボックスと空き容器の写真、または購入したレシートの写真を撮ってLINEに送信するだけ。たまったポイントは、「エコグッズ」「寄付」「LINEポイント」から選び、交換することができます。

 現在は30以上の自治体に回収ボックスが設置されており、「自治体の方々に回収ボックスの設置を了承・サポートいただくため、全国を駆け回っています」とは、UMILEプログラム担当の繁田知延さん。「現在登録者は75万人、リピート率は20~40%、これまでのリサイクル回収量は95,081gにのぼります。多くの方にこのプログラムに参加していただくことで、環境問題を日々の暮らしの延長と捉え、プラスチックのリサイクルが“あたりまえ”という意識を持っていただくきっかけとなれば……」とプロジェクト推進の思いを語ります。

 回収ボックス設置店舗では未設置の店舗よりも、詰め替え製品の購入率が上がっているそうです。「ビジネス」と「環境」を両立した同社の取り組みは、消費者のリサイクル意識を確実に広げています。

*データは2022年9月30日現在。

回収ボックスの上に空容器をセットして撮影、
または詰め替え商品とレシートを撮影してLINEへ送信

詰め替え製品の裏にはUMILEプログラムの告知

循環型社会が
持続可能な未来をつくる

 日本各地で猛暑日が増え、記録的な暑さが続く一方、豪雨による土砂災害・水害が起きているように、地球温暖化による気候変動は、世界でも深刻な自然災害を起こしています。

 その対策として最も重要なのが「脱炭素」です。2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。これは日本を含めて120以上の国と地域が掲げる目標であり、国、自治体、企業による取り組みも活発化しています。

 そして2022年9月、環境省は2050年を目標として循環型社会の方向性を示した「循環経済工程表」を策定しました。これには、持続可能な循環型社会の実現には、国の施策などだけではなく、私たちの意識変革や行動変容が非常に重要であることが書かれています。例えば、資源循環型製品・サービスを選択することは、脱炭素や天然資源の消費量の抑制に密接につながる行動となります。

 今年4月には新たに「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行され、プラスチックの製品設計からごみ処理までのライフサイクル各段階で、資源循環の取り組みを促進することとされました。限りある資源を守り、持続可能な未来へつなげるために、まずはごみ問題を自分ごととして考え、身近なところから3Rを始めてみましょう。


*参照:エコジン2022年4月6日公開「【特集】プラスチックと、どうつきあう?」

イラスト/ナカオテッペイ

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