ecojin’s eye

環境のことをもっと知りたくなる、
注目のキーワードや
ニュースをお届けします。

今月のキーワード 熱中症
特別警戒
アラート

熱中症特別警戒アラート

ポイント!

近年、気候変動等の影響により、国内の熱中症による救急搬送人員は毎年4~9万人となっており、死亡者数も高い水準で推移しています。2021年度より、環境省と気象庁が共同で「熱中症警戒アラート」を運用し、熱中症への警戒を呼びかけてきました。また、環境省は24年度から熱中症警戒アラートより一段上の「熱中症特別警戒アラート」の運用を新たに開始しています。

1.熱中症の現状と取り組み
日本の年平均気温は、100年あたり1.35℃の割合で上昇しており、特に23年夏は、北日本と東日本で観測史上1位、西日本で1位タイの高温となりました*1このような年平均気温の上昇に伴って、日本における熱中症死亡者数は増加しつつあり、年間1,000人以上の方が亡くなることも珍しくなくなっています。しかし、熱中症は防ぐことができる病気です。このため、政府と地方公共団体では、さまざまな熱中症対策に取り組んでいます。
*1 出典:気象庁「日本の年平均気温偏差の経年変化(1898〜2023年)」より
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn.html

熱中症による死亡者(5年移動平均)の推移

〈取り組み① 気候変動適応策にまつわる法律の改正〉
これまでの地球温暖化の進行状況を踏まえると、今後も熱中症による被害が更に拡大するおそれがあります。熱中症対策をより一層推進していくため、23年4月に「気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律」(以下「改正法」)が可決・成立、24年4月から全面施行されました。
改正法では、熱中症警戒アラート、熱中症特別警戒アラート、クーリングシェルター、熱中症対策普及団体の取り組みが法によって定められるとともに、各府省庁が連携して熱中症対策に取り組む計画が閣議決定計画に格上げされました。

〈取り組み② 熱中症特別警戒アラート、熱中症警戒アラートの発表〉
環境省と気象庁は、21年度より国民へ熱中症予防行動の呼びかけとして、暑さ指数(WBGT)*2の予測値が33以上になった場合に「熱中症警戒アラート」を発表しています。また、24年度からは改正法に基づき、熱中症警戒アラートより一段上の「熱中症特別警戒アラート」の運用を新たに開始しました。「熱中症特別警戒アラート」は、熱中症により人の健康に係る重大な被害が生ずるおそれがある場合、具体的には、都道府県内全ての情報提供地点において、翌日の日最高暑さ指数(WBGT)の予測値が35以上となった場合などに発表します。
なお、毎日の暑さ指数(WBGT)や熱中症特別警戒アラートなどの発表状況は、環境省の「熱中症予防情報サイト」や「メール配信サービス」、「環境省LINE公式アカウント」などで確認することができますので、ぜひご覧ください。
*2 出典:暑さ指数とは
https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php

〈取り組み③ 指定暑熱避難施設(通称:クーリングシェルター)や熱中症対策普及団体〉
改正法では、暑さをしのげる地域の施設を市区町村長が「指定暑熱避難施設」(通称:クーリングシェルター*3)として指定できる制度、地域で熱中症対策の普及啓発などに取り組む団体を市区町村長が「熱中症対策普及団体*4」として指定できる制度も創設しました。
「クーリングシェルター」は適当な冷房設備を備えていて、公表した受け入れ可能人数に対して必要かつ適切な空間を有する施設が指定されます。熱中症特別警戒アラートが発表された際には、一般に開放されます。「熱中症対策普及団体」は、広報活動やアドバイスを通じて熱中症対策を普及させる団体が指定されます。熱中症による死亡者を減少させるために、高齢者などの特に熱中症対策が必要とされる人への見守りや声かけといった「共助」を積極的に行います。

クーリングシェルター・マーク(左)とロゴマーク(右)

クーリングシェルター・マーク(左)とロゴマーク(右)

*3 指定暑熱避難施設(通称:クーリング・シェルター)
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/doc_shsa/20240227_doc02.pdf
*4 「熱中症対策普及啓発団体」
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/doc_shsa/20240227_doc04.pdf

2.熱中症特別警戒アラート等が発表された場合に心がけてほしいこと
国民の皆様におかれましては、以下を心がけていきましょう。
・エアコンなどの利用、こまめな水分・塩分補給などの熱中症予防行動を徹底しましょう。
・高齢者や子どもなどの熱中症にかかりやすい方が周りにいる際は、涼しい環境で過ごせているか確認しましょう。
・教育機関、職場、スポーツ活動の現場等の管理者の方においては、熱中症対策が徹底できているかを確認し、運動や外出、イベント等の中止・延期・変更を含めた判断を行ってください。

CATEGORY