ちょっとecoに詳しくなる ecojin's EYE 環境のことを考えるヒントとなる、エコなキーワードを解説します。
今週のテーマ トキと共生する里地づくり
かつて日本中に生息していたトキは、明治時代以降、乱獲や生息環境の悪化によって生息数が激減し、2003年には日本の野生生まれの最後の1羽が死亡しました。一方で、1999年には中国から提供されたトキの飼育、繁殖が始まり、その後、野生復帰が進み、2021年12月現在、国内のトキの生息数は野生下で推定約480羽、飼育下で約180羽まで増えています。
これまで新潟県の佐渡島を中心に進められてきたトキの野生復帰ですが、佐渡島での取り組みが順調に進んだことを背景に、環境省は本州でのトキの定着を目指して「トキと共生する里地づくり取組地域」を公募し、今年8月、石川県と能登半島の9市町、島根県出雲市、宮城県登米市、秋田県にかほ市、コウノトリ・トキの舞う関東自治体フォーラム(茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県の18市町)の5地域を選定しました。今後、先進地である佐渡市や関係機関、選定された地域による協議会を設置し、地域間の交流や連携を図りながらトキと地域住民が共生できる環境を整備していきます。
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トキの生息には、えさ場となる浅い水辺や巣を作る森林が必要です。そうした環境を守ることは豊かな生態系を維持することにもつながります。トキとの共生には地域のご理解、ご協力も欠かせません。本州でも再びトキが舞う日の実現に向け、トキとの共生について理解を深めるとともに、自然との共生に向けて考えてみませんか。
写真/PIXTA