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4.環境汚染の防止、安全・安心な生活の確保

441億円(399)


 現代の社会においては多種多様な化学物質が使われ、様々な汚染物質が環境中に放出されています。その中には適切な管理が行われない場合には環境汚染を引き起こし、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすものがあります。
 このような環境汚染を防止し、生態系を保全するとともに、国民が安全で安心な生活を送れるようにすることは環境省として極めて重要な責務であり、この責務を果たすために幅広く取組を進めます。


[1] 改正化学物質審査規制法に基づく審査・規制の強化とリスクコミュニケーションなど化学物質対策の推進
  •  本年5月の化学物質審査規制法の改正を踏まえた動植物への影響に着目した審査・規制等の強化や既存化学物質の安全性点検などを実施します。
  •  また、本年公開されたPRTRデータを環境リスク評価及び管理に的確に活用するとともに、化学物質に係る分かりやすい情報の整備や効果的なリスクコミュニケーション手法の開発と普及を図るなど、リスクコミュニケーションを推進します。
【主な予算措置】 百万円
既存化学物質安全性点検調査 264 (  9)
内分泌攪乱化学物質のリスク評価・試験法開発及び国際共同研究等推進経費 2,002 ( 1,288)
水環境における有害物質リスク管理手法検討調査 150 (   85)
(新)POPs廃農薬等無害化処理技術検証事業 102 (  0)
(新)特定農薬環境安全性調査 80 (  0)
化学物質環境安全社会推進費 92 ( 49)
(新)ダイオキシン類対策総合検証事業 60 (  0)

[2] 環境基準の達成に向けた自動車排出ガス対策の一層の推進等
  •  平成22年までに環境基準を概ね達成すること等の目標達成に向け、自動車排出ガス規制の一層の強化を図るとともに、地域における低公害車の一層の普及やディーゼル微粒子除去装置(DPF)の装着の促進、使用過程車のNOx・PMの排出実態の把握、局地における大気汚染改善対策等を総合的に推進します。
  •  自動車NOx・PM法の円滑な施行のため、買い換え等を行う事業者に対する支援措置について、関係府省と連携しつつ担保条件の緩和など拡充を図ります。
  •  また、浮遊粒子状物質(SPM)の削減に向け、自動車以外の発生源も含めて総合的な取組を進めるための追加的措置を講じます。
【主な予算措置】 百万円
低公害(代エネ・省エネ)車普及事業(石油特会) 600 ( 300)
ディーゼル車排出ガス低減対策推進費補助 400 ( 210)
(新)大気環境保全対策中小企業金融公庫出資金 100 (    0)
自動車排出窒素酸化物及び粒子状物質総量削減対策推進費 500 ( 298)
【主な税制措置】
環境負荷の少ない自動車の普及及び事業者負担軽減のため、自動車税のグリーン化及び自動車取得税の税率軽減措置を延長・拡充(再掲)
エネルギー需給構造改革投資促進税制における低公害車及び低公害車用燃料供給設備に係る特別償却制度又は税額控除措置を延長するとともに、その対象を拡充し、新たに燃料電池自動車及び水素ステーションを追加(再掲)
 
  •  大都市圏を中心に、都市における人工排熱の増加、緑地の減少などによりヒートアイランド現象が生じているため、関係府省と連携しつつ都市環境の改善に向けてメカニズムの解明調査や先駆的な地方公共団体の事業の支援を進めます。また、花粉症対策のための花粉予測体制整備、黄砂対策のための移送モデル開発などの取組を推進します。
【主な予算措置】 百万円
ヒートアイランド対策に関する調査 50 ( 23)
花粉観測・予測体制整備費 112 ( 102)
黄砂対策推進費 48 ( 26)

[3] 健全な水循環・水環境等の確保に向けた取組の推進
  •  健全な水循環の確保に向け、統合的な水管理を促進するために、水環境の健全指標の開発や流域ごとの水循環計画策定への支援などの措置を講じるとともに、優れた水環境保全活動の普及啓発を進めます。また、世界水フォーラムにおける国際約束を具体化するため、アジア地域での水環境管理に関する情報及び知見の共有化を図ります。
  •  さらに、有明海・八代海の再生に向けた取組を推進するほか、閉鎖性水域における水質悪化の機構解明を進めるとともに、土壌汚染対策法の円滑な運用を図ります。
【主な予算措置】 百万円
(新)水環境の健全性指標検討調査 50 (  0)
水循環計画策定等調査費 250 ( 46)
(新)水環境保全活動の普及支援事業 44 (  0)
(新)アジア水環境パートナーシップ構築事業 130 (  0)
(新)有明海・八代海再生方策検討調査 112 (  0)

[4] 旧軍毒ガス問題への対応
 茨城県神栖町における旧軍毒ガス由来と考えられる有機ヒ素化合物による健康影響の発生に対し、引き続き緊急措置事業を実施していくとともに、原因の究明を含め適切な対応を着実に進めます。また、旧軍毒ガス弾等による被害の未然防止を図るため、昭和48年全国調査のフォローアップ調査の結果を踏まえ法制度の整備を含めた検討を行い、これらに基づき必要な管理施策を進めます。
【主な予算措置】 百万円
(新)茨城県神栖町における有機ヒ素化合物汚染等への緊急対応策 2,785 (  0)

[5] 環境汚染防止等に係る国際的対応
  •  廃棄物の海洋投入処分に係る条約(ロンドン条約)議定書の締結に向けた法制度の整備、船舶からの大気汚染物質等の排出規制などに係る国際条約(MARPOL条約附属書VI)の締結に向け関係府省と連携して対応を図るとともに、生態系への影響が懸念されるバラスト水に係る基礎的な調査を進めます。
  •  また、地球規模での化学物質による環境リスクの低減に向けて、アジア太平洋地域における残留性有機汚染物質(POPs)汚染実態把握を推進するとともに、国際協調による取組を強化します。
【主な予算措置】 百万円
(新)ロンドン条約96年議定書国内対応事業費 30 (  0)
(新) バラスト水条約対応基礎調査費 15 (  0)
POPs条約総合推進費 317 ( 276)

[6] 公害健康被害の補償・予防
 「公害健康被害の補償等に関する法律」に基づき、公害健康被害者の救済及び健康被害の予防の着実な推進を図るとともに、環境保健サーベイランス調査を拡充し、幹線道路沿道の局地的大気汚染による健康影響について調査研究等を一層推進します。また、水俣病対策については、水俣病総合対策医療事業など、平成7年12月の閣議了解等に盛り込まれた施策を着実に実施します。