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3. |
プロジェクトの概要 |
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3.1 プロジェクトの枠組み |
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APEISは、3つのサブプロジェクト、すなわち統合環境モニタリング・サブプロジェクト(IEM)、統合環境アセスメント・サブプロジェクト(IEA)、及び政策オプション研究・サブプロジェクト(RISPO)から構成される。また、APEISの支援機能として、ネットワーク化とキャパシティビルディング及び情報共有・発信がある。それぞれのサブプロジェクトは、個々に独立した研究プロジェクトとしても機能できるが、3つ合わせて、環境状況の理解、評価及び将来予測、政策オプションの立案という環境政策決定に必要な主要要素をカバーしていることから、サブプロジェクト間の活発な相互連携を通じ、相乗的な効果が大いに期待できる。具体的には、例えば次のような連携効果が期待される。 |
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統合環境モニタリングで得られたデータによるシミュレーションモデルの向上と検証 |
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環境-経済統合モデルを活用することによる政策オプションが環境と経済に及ぼす効果の定量化 |
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統合環境モニタリングの結果に基づいた政策オプション研究の対象項目や対象地域の優先順位の設定 |
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APEIS活動の成果は、アジア太平洋地域の政策決定者が参加する国際フォーラムに報告され、その議論に科学的な基盤を提供するとともに、政策決定者側のニーズを反映させるための政策ガイダンスを得る。 |
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APEISは、相互支援が可能な他の国際的・地域的な活動との連携を推進している。これらの活動には、ミレニアム生態系評価、APN、アジア開発銀行が国際環境計画、国立環境研究所、地球環境戦略研究機関と協働して検討中の「大メコン準地域における国のパフォーマンス評価と準地域の戦略的環境枠組みプロジェクト」がある。APNはネットワーク化及びキャパシティビルディングでのAPEISの強力なパートナーであり、その統合モニタリング及びアセスメントに関する研究活動や研究資源は、APEISへの潜在的な参加者や協力者をもたらすものと期待される。 |
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APEISは、「アジェンダ21実施のためのパートナーシップ/イニシアチブ」の形で、「持続可能な開発に関する世界首脳会議実施計画」の関連部分を具体化する取組のアジア太平洋モデルとして、2002年8-9月に南アフリカで開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議において報告され、世界に発信された。 |
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3.2 プロジェクトの主な構成要素 |
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3.3 政策決定者との相互関係の確保 |
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3つのサブプロジェクトの成果は、エコアジア、エコアジア・パネル等の政策決定者の会合で報告され、アジア太平洋地域における環境管理・保全政策の形成・実施のための検討の材料となる。同時に、政策決定者のニーズをサブプロジェクトの内容に最大限反映すべく、その場で政策的な指導を得る。さらに、より幅広い視野に立った指導を得るため、検討結果は、「アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)」やその他の国際フォーラムでも報告されることが想定される。 |
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このようなプロセスにより、科学的活動と政策決定者の間の動的なフィードバックの仕組みを形成し、両者の密接な相互関係を確保する。 |
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3.4 ネットワーク化、キャパシティビルディングと普及啓発 |
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APEISは、元来革新的な手段と手法に立脚した地域的な研究であるため、関連する科学者と研究機関のネットワーク化と参加が促進されるべきである。同時に、プロジェクトを効果的かつ効率的に実施するため、統合モニタリングと統合アセスメントに関する地域における既存の研究成果を十分に活用すべきである。このため、APNの支援プロジェクトの成果をAPEISに統合することが期待される。 |
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キャパシティビルディングは、APEISにおいて最も優先度の高い活動の一つである。キャパシティビルディング活動においては、国際的な活動に参加し、政策オプションを理解し、統合モニタリングと統合アセスメントを実施し、個々の科学者や研究機関の専門性を高めたいという途上国のニーズに焦点をあてる。APEISの科学的活動への参加は、研究機関にとって研究レベルでのキャパシティビルディングを行う良い機会となる。さらに研究活動の成果は、ワークショップ等を通じて、研究機関その他の機関のキャパシティビルディングのために幅広く提供され、共有される。統合モニタリングとデータ収集及びモデル化等の特定の事項に関する一連の準地域ワークショップをAPNとAPEIS参加機関との共催で実施する。また、科学的活動の成果を政策決定者側に継続的に提供することにより、政策決定者側のキャパシティビルディングが可能となる。 |
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APEISの成功のためにもう一つの重要な点は、関係者の意識向上である。このため、関係者の意識向上もまた優先度の高い課題である。よって、科学的活動の成果を、他のサブプロジェクトに参加する研究者、政策決定者、その他の科学者、一般市民等それぞれの個別ニーズに応じて、適切な時期に効果的に提供できるようにするための情報提供戦略が必要となる。さらに関係者の意識を向上し、プロジェクトの透明性と説明責任を確保するため、情報共有・発信システムを構築する。このため、APEISのインターネットウェブサイトを、エコアジアのウェブサイトの一部として開発・運営する。ウェブサイトでは、プロジェクト設計や実施計画に関する文書、技術文書、技術文書の要約及び全体要約等の研究成果報告書を閲覧できるようにする予定である。 |