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[キーワード] エアロゾル全球モデル、都市大気汚染、アジア、海陸風、オゾン

[C-051 アジア大陸からのエアロゾルとその前駆物質の輸送・変質プロセスの解明に関する研究]

(5)南アジア~東南アジア~中国~日本における輸送と化学変化に関するモデル研究[PDF](1,917KB)

  豊橋技術科学大学工学部

北田 敏廣

<研究協力者>

 

  豊橋技術科学大学

倉田 学児
(現・京都大学地球環境学堂)

  [平成17~19年度合計予算額] 4,772千円(うち、平成19年度予算額 1,454千円)

[要旨]

  東アジアを中心に広く東南アジア、南アジアを対象に大気汚染輸送/反応/沈着のシミュレーションを行い人為・自然発生源の寄与推定を行うことを目的とした。まず、開発した全球エアロゾルモデルを用いて、2001年2月―3月の全球シミュレーションを行い、中国各地の都市および日本の 2 都市(東京、大阪)について、2001年3月の 1か月分の観測と計算の比較を行った。粒子状物質の総質量濃度だけでなく、その組成についても表示した。組成を直接比較するデータはないが、中国北部諸都市に対する土壌粒子の影響の相対的な割合、南部内陸都市でのバイオマス燃焼等を起源とする粒子の寄与、日本の都市でのエアロゾル組成の特徴などをモデルは概ね再現した。燃料使用に関する季節ファクターの良い推定がローカルな汚染にフォーカスするときに重要な課題であることを示した。ホームメイドの全球エアロゾルモデルの開発については、一定の成果を上げた。次に東南アジアのメガシティ・ジャカルタの大気汚染に焦点をあてて検討した。ジャカルタ(緯度6-7S)の気候は大きく乾季と雨季の 2 季に分かれ、その変わり目に 1-2 週間の移行期を持つ。乾季と雨季で総観規模の気象はまったく異なる。乾季は上空に安定した東風が吹くが、ジャワ島南部の東西に延びる高い山脈にはばまれ、山脈の北側に位置するジャカルタの高度 1-2 km 以下ではこの一般風が弱く、継続的な晴天のため海陸風などの局地風が繰り返される。このなかでジャカルタの大気汚染は、夜間にジャワ海に運ばれた汚染物質が翌日海上で反応し生成したオゾン等を豊富に含む汚染気塊が上陸するという繰り返しが 10 日間にもわたることが分かった。この研究は東南アジア島嶼部のメガシティ・ジャカルタの大気汚染に関する初めてのまとまった報告である。なお、メソスケールのコミュニティ気象モデルとして広く用いられているMM5 は、雨季についてその精度がかなり落ちることが気象観測値との比較により示された。