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[D−2 有害化学物質による地球規模海洋汚染の動態解析と予測に関する研究]
(1)有害化学物質による地球規模海洋汚染観測の最適化と動態解明に関する研究
独立行政法人国立環境研究所
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化学環境研究領域 動態化学研究室
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功刀正行
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兵庫県立健康環境科学研究センター
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藤森一夫 中野 武 松村千里
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鶴川正寛 吉田光方子
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<研究協力者> 東海大学海洋学部
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津金正典 金子 仁
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(株)日本海洋科学
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古川洋一
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[平成15〜17年度合計予算額]
平成l5〜17年度合計予算額 90,106千円
(うち、平成17年度予算額 23,685千円)
[要旨]
有害化学物質の地球規模海洋汚染の動態解明に資する観測態勢を確立するために、商船を用いた海洋観測システムの構築し、同システムを用いた地球規模の有害化学物質による海洋汚染観測を実施した。新たに2種類の海洋観測装置を開発し、既存のシステムと併せて、各年度それぞれ2回の広域観測を実施した。2003年度は、石炭運搬船による日豪間、および客船による南太平洋―南極海域、2004年度は、石炭運搬船による日豪間、およびコンテナ船による日米間の北太平洋、2005年度は、客船による欧州沿岸域と北大西洋、およびコンテナ船による日米間の北太平洋において、それぞれ観測を行った。これらの観測結果をみると、HCHsは、ほとんどすべての海域から検出され、その濃度範囲はきわめて広い。南半球においては極めて低濃度であるが、北半球では南半球と比較して一般的に高濃度で海域によって大きくその濃度が異なることが明らかとなった。日豪間においては、北半球では高緯度ほど濃度が高いが、赤道域以南においては濃度が低く明確な傾向は見られない。日米間の同緯度海域では、日本から離れるに従い若干濃度が上昇した後、中間点付近で一旦下がり、北米に近づくにつれ濃度が上昇する傾向にあった。この傾向は、往復の航海で同様であった。クロルデン類は、多くの観測地点から検出されたが、全体に低濃度であり、海域における明確な分布パターンは示さなかった。本研究において開発、確立した商船を用いた広域観測態勢は極めて有用であり、圧倒的に不足している地球規模海洋汚染実態を把握するための観測情報の取得に強力な支援をもたらすものである。
[キーワード]
有害化学物質、難分解性有機汚染物質、広域海洋汚染、篤志観測船、固相抽出