11月15日(火) 10:00-11:15

10:00-11:15

タイトル グローバル・バリューチェーンにおける温室効果ガス排出量の追跡:ポスト「パリ協定」に対する新見解
概要 これまでの COP では、温暖化ガス削減に関する国際環境ガバナンスと政策論議について、グローバル・バリューチェーンに関する明示的な議論は それほど多くなかった。ジェトロ・アジア経済研究所は、これまで複数年にわたり他機関と連携して継続してきた研究事業(Tracing Greenhouse Gas Emissions in Global Value Chains)の成果から得られた、新たな発見、 及び政策的含意(途上国や地域・企業・消費者の異質性の観点)を示す。
これにより、国際社会全般(各国政府、学術会、ビジネス界、及びマスコミ等)の関心を集め、新興国・開発途上国に主眼を置いた気候変動に関する政策提言を行う。
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サマリー
先進国と途上国・新興国とがサプライ・チェーンを通じて繋がり、財やサービスの付加価値を高めていく実態を捉えた「グローバル・バリュー・チェーン(GVC: Global Value Chain)」に関する研究からアジア経済研究所が開発した環境勘定システムを利用することで、途上国・新興国間のカーボン・リーケージが近年急増傾向にあることが明らかになった。特に、中国とその他途上国・新興国間のカーボン・リーケージは顕著であり、途上国・新興国の完全な自己責任による排出(国際貿易とは関係なく、途上国で発生し途上国の最終需要のための排出)もまた急速に増加していることがわかった。
中国は、他国で生産された中間財を用いて消費者市場に輸出するための最終財を生産している。この状況から中国を"ハブ"、そしてサプライーや最終市場を"スポーク"とする、国際貿易及び温室効果ガス排出におけるハブ・アンド・スポークの関係を認識できる。そして今般の方法論によってそのハブ・アンド・スポークの活動を計量的に把握することが可能となった。
企業の異質性情報を踏まえた産業連関表の研究によると、中国の中小企業による温室効果ガス排出が見過ごされてきた事実が明らかになった。
GVCへの参加による国際化の拡大により経済格差が広がり、これにより、豊かな人々が多くの、そして貧しい人が少量の温室効果ガスを誘発する不平等な状況が深刻化している。世銀のデータ、及び米国と中国で行った家計調査を基にした分析によると、収入レベルが上がるほどカーボン・フットプリントが増加することが分かった。
途上国による積極的な取り組みの必要性が強調されたパリ協定の採択により、途上国と先進国間の責任の境界線が薄まっており、それと同時にパリ協定の実践には国・政府以外にGVCに参加する民間セクター利害関係者の役割もまた重要性を増している。
キーメッセージ 途上国・新興国は今後、完全な自己責任による温室効果ガスの排出量のピーク時期やそのレベルについてより積極的に参画していく必要がある。

中国の国際貿易における重要性、及び中国が国際貿易と温室効果ガス排出にとって重要なハブである一方で、政策的な含意を見出すためには更なるデータ及び指標の整備が必要。

温室効果ガス排出削減に向けて、中小企業による削減目標、外資系企業が途上国・新興国でGVCに参加する際のCSR、そしてGVCの上流へ参加する途上国・新興国による環境規制が重要。

パリ協定の実践には経済格差を減少させていくことが重要であり、また経済格差の減少と排出削減を同時に進めるためにはバランスを取る必要がある。

GVCの観点はこれまで気候変動分野において多く議論されることがなく、今後は必要となる。
各種資料 イベントフライヤー(英文)(PDF・196KB)
イベント風景
  • 11月15日(火)10:00-11:15のイベント
  • 11月15日(火)10:00-11:15のイベント
報告者 ジェトロ・アジア経済研究所 荒木慶太郎