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政策対話・地域協力の促進

地域協力メカニズムの促進

第4回 環日本海環境協力会議(NEAC)

1995年9月19~21日 釜山・韓国

  1. 第4回環日本海環境協力会議は、1995年9月19日から21日まで、韓国の釜山市において開催された。韓国環境部及び釜山市が世界保健機関 (WHO)の支援を得て同会議を組織した。同会議には、中華人民共和国、日本、大韓民国、モンゴル及びロシア連邦の中央・地方政府及び研究機関の高級官吏並びに、国連環境計画 (UNEP)、国連開発計画 (UNDP)及び国連アジア太平洋経済社会委員会 (ESCAP)の代表が出席した。
  2. 会議の大きな目的は、北東アジア地域の環境問題のための協力関係を構築することであった。参加者は、各国が環境問題に如何に対処しているか、及び地域環境協力を進めるために北東アジアの国々が如何に効果的に共に行動することができるか、について情報及び、意見を交換した。
  3. 会議の内容及び成果から、大気汚染、水質汚濁、廃棄物管理及び温室効果ガスの排出の分野で地域環境協力のために既にいくつもの道筋があることが示された。さらに、アジェンダ21の採択以降、各国は、持続可能な開発に向けて、国内及び国際的な環境問題を統合する努力をしている。この点に関し、参加者は、国によって経済及び技術開発のレベルが異なることから、地域環境戦略を立案し採用する際、共通だが差異のある責任があることを強調した。
  4. 第4回環日本海環境協力会議の主要なテーマは、(1)アジェンダ21の実施を支援するための主要なグループ (地方自治体、NGO)の役割、(2)汚染物質の越境移動に伴う問題に関する協力方策、(3)気候変動枠組条約に関する各国の見解及び方策、(4)有害化学物質の管理に関する経験と方策、⑤都市環境問題 (持続可能な都市、廃棄物管理)への取組み、であった。
  5. 地方自治体及びNGOの役割
    1. 地方自治体及びNGOの活発な参加及び協力は、アジェンダ21で述べられている持続可能な開発というゴールを達成するために重要である。これらのグループは、持続可能な開発の必要条件である市民の個々の意識及び行動に対し、より直接的に影響を与え得る。
    2. 全体的に、これらのグループがアジェンダ21の実施を支援するために、環境保全型都市の実現及び開発と環境の統合のための短期的及び長期的ビジョンが必要である
  6. 汚染物質の越境移動に関する協力方策
    1. 大気や水を通した汚染物質の越境移動は、国内的及び地域的に重要な問題である。多くの北東アジア諸国は、海洋汚染、廃棄物の違法取引等に対処する二国間協定を既に結んでいる。
    2. 比較可能なデータベースの構築や協力メカニズムの創設のような課題への取り組みを明らかにするために、各国間の協力が必要である。さらに、越境大気汚染問題に対処するため、任意の約束に基づく行動計画が参加者から求められた。東アジア酸性雨モニタリングネットワーク設立に関する進捗状況も報告され、参加者から歓迎された。
  7. 気候変動枠組条約に関する見解及び方策
    1. 温室効果ガスの発生源及び吸収源に関する各国からの正確で包括的な報告が、条件を効果的に実施するために必要である。
    2. 参加者は、この問題は複雑で入り組んだ性質を持っており、共同研究プロジェクトや意見、情報及び資料の頻繁な交換に関する協力のスキームが必要であるとの結論に達した。
  8. 有害化学物質の管理に関する経験と方策
    1. 各国においては、経済開発及び工業化により、環境中の有害化学物質が増加しつつある。このため、これらの化学物質ラベリング、分類及び環境上健全な管理が、人間の健康及び環境を保護するため、次第に重要になってきた。
    2. 有害化学物質の分類及びラベリングを調和させるために、隣国間で統合されたデータベースや有害化学物質の目録のようなスキームを開発するという、より行政的、技術的な協力が必要である。
  9. 都市環境問題
    1. 人間の活動は、通常都市地域に集中し、これが、環境悪化に最も影響を及ぼす要素の一つである。
    2. 参加者は、都市環境を改善するために個々の、及び共同の努力が重要であることを認識した。全ての階層のこれらの努力への参加がさらに奨励される必要がある。個人、政府及びその他のセクターは、都市環境の改善に関する問題、解決方法及びゴールを明かにし、その上で具体的な方策によりこれらに対処するという調和のとれた行動が必要である。
    3. 参加者は、韓国の「従量制家庭ごみ収集料システム」が、都市廃棄物を減量しリサイクルするための都市廃棄物管理の一つの好例であると認めた。特に、主催都市釜山市ではこのシステムの実施に成功しており、また、釜山市は、ローカルアジェンダ21も作成している。
    4. 参加者は、環日本海環境協力会議が、ハビタットII (第2回国連人間居住会議)において、積極的な役割を果たすべきであるとの提案を歓迎した。
  10. 行動の勧告
    1. 参加者は、共通の課題に関する地域協力のための具体的な方策が必要であるとの結論に達した。特に、年次報告書、環境法、統計等を相互に交換する行動計画を本会議として策定するメリットを認識した。
    2. 参加者は、有害化学物質の管理に関する協力スキームを開始するため、北東アジア地域の各国の環境庁 (庁)がコンタクトパースンを指名する必要があることに合意した。
    3. 参加者は、北東アジア地域の環境問題に対処するための協力スキームに関し、当地域の全ての国が参加することが、地域環境問題解決に役立つことを認識した。その意味で、参加者は、環日本海環境協力会議の現在の参加国に加え、北朝鮮が参加すれば、地域環境協力が促進されるであろうと認識した。
  11. 感謝
    各国代表及び参加者は、韓国環境部及び釜山市に対し、彼らの暖かいホスピタリティーと第4回環日本海環境協力会議を成功裡に組織したことに対して心よりの感謝の意を表した。
  12. 次回会合
    参加者は、1996年に中国にて第5回環日本海環境協力会議を開催したいという中国の提案を満場一致で承諾した。正確な開催の日時及び都市は、後日、中国側が決定する。