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政策対話・地域協力の促進

地域協力メカニズムの促進

第3回 環日本海環境協力会議(NEAC)

1994年9月28~30日 兵庫・日本

  1. 第3回環日本海環境協力会議は、1994年9月28日から30日まで日本の兵庫県城崎町において開催された。同会議には、中華人民共和国、日本、モンゴル及びロシア連邦の中央・地方及び研究機関の高級官吏、並びに国連アジア太平洋経済社会委員会 (UN-ESCAP)の代表が出席した。
  2. 本会議は北東アジア地域の環境問題に関する意見・情報交換のためのフォーラムの役割を果たしており、域内の環境保護に関する協力の強化を目的としている。本年の会議の中心テーマの1つは国連持続可能な開発委員会 (UNCSD)のイニシアティブについてフォローアップすることであった。各国の環境保護政策の策定と実施及び域内の持続可能な開発の推進が議論され、持続可能な都市、生物多様性の保全及び将来の地域協力をめぐる問題について情報と意見の交換が行われた。
  3. 域内で工業化が進むにつれて、環境と人間の健康に関連する問題も増加している。このような問題は、この地域に広がっており、産業公害、廃棄物処理及び砂漠化は、その問題の一部である。しかしながら、気候変動や生物多様性の喪失を含めて、地域的に取り組まなければならない地球規模の問題も数多くある。したがって、各国はそれぞれの環境保護政策、規制及び活動を強化してきている。
  4. 地球サミットにおけるアジェンダ21の採択により、各国は持続可能な開発を達成するための国家戦略を策定することを、努めるように求められている。これは、国際的義務を果たすための国内法の整備を含めて、北東アジア諸国に重要な責任を課している。持続可能な開発への移行が行われるようにするためには、社会・経済構造の改革も必要となるであろう。本会議では、持続可能な開発を達成するためには国家戦略とともに総合的な地域戦略が必要であることが認められた。このような戦略には、経験、情報及び技術の交換、並びに経済的手法の実施を含む効果的な政策と措置の促進を通じた国際協力及び地域協力が含まれるべきである。地域戦略の策定は地域独特の多様性と域内諸国共通の特徴の双方を識別し、これらを効果的に利用するべきである。
  5. 本会議で注目を集めた3つの主要テーマは持続可能な都市、生物多様性の保全、及び協力の強化であった。
  6. 持続可能な都市
    1. 都市は人間の主要な居住地域であり、人間の経済、社会、政治活動の中心となる地域である。市街地や郊外では大量の廃棄物が排出されるため、これらを処分する必要がある。巨大都市の成長が続いており、ハイペースの都市化が予想されている。適切な対策が取られなければ、すでに多くの都市に存在している大気、水及びその他の汚染問題がさらに悪化することになろう。下水処理システムや廃棄物処理システムのようなインフラ施設の不足は汚染や他の都市問題につながるであろう。そのような問題への取組は、持続可能な都市を創造するためのすべての戦略における必須の構成要素とならなければならない。大都市部における資源大量消費パターンを、リサイクリング、再利用及び消費削減を通じてより持続可能な消費パターンに変更していく必要がある。
    2. 都市問題は極めて密接に相互関連しているので、持続可能な都市開発の実現には包括的、総合的アプローチが必要である。公害を出さない大量公共輸送システムが必要であり、他方、大気汚染及び水質汚濁を削減するために最良の汚染削減技術及び下水処理技術が導入されるべきである。北東アジアにおける膨大な都市開発問題の解決には注意深く策定された戦略が必要である。
  7. 生物多様性の保全
    1. 生物多様性条約は1993年12月に発効しており、その実施の詳細について議論するため、締約国会議の第一回会合が本年11月に開催される。本会議は同条約の実施について議論し、関連情報を交換するための時宣にかなった機会を提供した。
    2. 域内の生物多様性が保全されるには、各国の状況を明確に把握することが重要である。調査及び監視データを利用可能な形式にまとめるとともに、新しい保護地域と保護されるべき種の指定を含めて、既存の保全活動を改善するために利用する必要がある。参加国間には、類似した似たような自然生態系があるので、各国の保護地域や絶滅に瀕した種の管理のための保全技術並びに生物多様性の状況に関する情報を交換しあうことが有用であろう。
    3. 地方政府、地域社会及び個々人による地域レベルでの行動をもっと重視する必要がある。適切な草の根レベルの行動がとられるように生物多様性の重要性について国民の意識を高める必要がある。
    4. 生態系と生物多様性を維持するメカニズムは複雑であるので、科学的に適正な政策を開発するためには、それらについての知識を深めることが不可欠である。したがって、所要の研究の推進、研究計画の調整及び情報の交換を促進するべきである。
  8. 協力の強化
    すべての参加者は北東アジア地域諸国間の協力の強化の重要性を認識した。持続可能な開発に関する行動が効果をあげるためには、社会のあらゆるレベル間の協力が必要である。政府はその政策、計画及び予算が持続可能な開発に向けての協力的な行動を支援するように保障する必要があるだろう。このような計画への国民と産業界への参加を促進するべきである。最終的には、域内における持続可能な開発の成否は、ある程度、民主的意思決定プロセスにおいて自由かつ効果的に協力を行う、域内国民の教育及び能力に依拠するところとなるであろう。
  9. 行動のための提案
    本会議で2つの協力活動が提案された:
    *国連等の国際機関との緊密な協力により、北東アジア地域の都市の持続可能性に関する報告書の作成。
    *この地域の環境分野で活動している中央政府、研究所及び関係機関の連絡先名簿の作成。
  10. 感謝
    参加者はこの大いに成功した会議を組織した兵庫県及び環境庁に心より感謝の意を表した。
  11. 次回会合
    第4回環日本海環境協力会議を1995年秋に韓国の釜山市で開催したいという韓国側提案が会議参加者により満場一致で承諾された。