放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料
(令和2年度版、 HTML形式)

第4章 防護の考え方
4.4 長期的影響

土壌中の放射性セシウムの分布の状況

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今回の東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い環境中に放出された放射性セシウムの土壌中の深度分布に関する調査が、2011年度から福島県、宮城県南部、茨城県北部において実施されてきています。
土壌に沈着した放射性セシウムの90%が存在する土壌表面からの深度(90%深度)は、時間の経過と共に僅かずつ地中に浸透しており、その幾何平均値は2018年9月時点で5.1cmでした。
除染や深耕やひび割れなどの土壌の性状により、放射性セシウムの分布状況が変わります。土壌中の粘土質の中には、バーミキュライトを含む粘土鉱物やゼオライトなどはセシウムを強く吸着する性質を持っています。セシウムは、これらの粘土質に吸着され、水に溶けにくくなり、土壌に固定されて土壌の表層付近に長期間とどまります(上巻P181「環境中での放射性セシウムの動き:粘土鉱物による吸着・固着」)。
これにより、放射性セシウムが土壌の表層付近にあることで、地表面よりも深くに根を生やしている植物では、物理的に根と放射性セシウムが隔てられていることになります。
1986年に起こったチェルノブイリ原子力発電所事故の影響調査では、事故後14年経過しても、事故により降ったセシウム137の約80%が、表面から10cm内の所にとどまっていることも分かっています。(国際原子力機関(IAEA)国際チェルノブイリフォーラム報告書(2006年))

本資料への収録日:2017年3月31日

改訂日:2020年3月31日

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