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平成17年度(2005年度)「化学物質と環境」(詳細版)
第3章 平成16年度モニタリング調査結果(詳細版)

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  [8] マイレックス 【平成16年度調査媒体:水質、底質、生物、大気】
 
 ・ 調査の経緯及び実施状況
 マイレックスは、米国で開発された有機塩素系殺虫剤で、難燃剤としても使用されている。日本では農薬登録されておらず、国内での製造・輸入実績はない。平成14年9月には化学物質審査規制法に基づく第1種特定化学物質に指定され、製造・使用が原則的に禁止された。過去の本件調査においては、「化学物質環境調査(昭和49年度~平成13年度)」で昭和58年度に水質及び底質を調査しているが、継続的な調査は実施されていない。
 
 環境省内の他調査としては、「内分泌撹乱化学物質に係る環境実態調査」6) において平成14年度に調査を実施している。
 
環境省内の他調査の結果
 
 ・ 調査結果
 平成16年度のモニタリング調査において、マイレックスは全ての媒体から検出され、生物及び大気からは全ての地点から検出された。
 マイレックスの測定結果は、水質で定量下限値 0.4 pg/L、検出下限値 0.2 pg/Lにおいて nd~1.1 pg/L(幾何平均値 nd)、底質で定量下限値 2 pg/g-dry、検出下限値 0.5 pg/g-dryにおいて nd~220 pg/g-dry(同 2.1 pg/g-dry)、貝類で定量下限値 2.5 pg/g-wet、検出下限値 0.82 pg/g-wetにおいて tr(1.1)~12 pg/g-wet(同 4.5 pg/g-wet)、魚類で定量下限値 2.5 pg/g-wet、検出下限値 0.82 pg/g-wetにおいて 3.8~180 pg/g-wet(同 11 pg/g-wet)、鳥類で定量下限値 2.5 pg/g-wet、検出下限値 0.82 pg/g-wetにおいて 33~110 pg/g-wet(同 61 pg/g-wet)、大気で定量下限値 0.05 pg/m3、検出下限値 0.017 pg/m3において温暖期 tr(0.042)~0.16 pg/m3 (同 0.099 pg/m3)、寒冷期 tr(0.019)~0.23 pg/m3 (同 tr(0.046) pg/m3)であった。
 
 ・ 評価
 マイレックスは全媒体において、平成15年度からモニタリングを開始した。国内での製造・輸入実績はないが、平成15年度及び16年度ともに、生物(貝類、魚類、鳥類)及び大気は全地点・全検体で検出され、水質及び底質も半数以上の地点から検出されており、広範な地点で残留が認められる。
マイレックス 実施
年度
幾何
平均値
中央値 最大値 最小値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
15 tr(0.13) tr(0.12) 0.8 nd 0.3 [0.09] 25/36 25/36
16 nd nd 1.1 nd 0.4 [0.2] 18/38 18/38
底質
(pg/g-dry)
15 tr(1.8) tr(1.6) 1,500 nd 2 [0.4] 137/186 51/62
16 2.1 tr(1.6) 220 nd 2 [0.5] 153/189 55/63
貝類
(pg/g-wet)
15 4.8 4.2 19 tr(1.1) 2.4 [0.81] 30/30 6/6
16 4.5 4.3 12 tr(1.1) 2.5 [0.82] 31/31 7/7
魚類
(pg/g-wet)
15 7.9 9.0 25 tr(1.7) 2.4 [0.81] 70/70 14/14
16 11 11 180 3.8 2.5 [0.82] 70/70 14/14
鳥類
(pg/g-wet)
15 110 150 450 31 2.4 [0.81] 10/10 2/2
16 61 64 110 33 2.5 [0.82] 10/10 2/2
大気
(pg/m3)
15 温暖期 0.11 0.12 0.19 0.047 0.0084 [0.0028] 35/35 35/35
15 寒冷期 0.044 0.043 0.099 tr(0.091) 34/34 34/34
16 温暖期 0.099 0.11 0.16 tr(0.042) 0.05 [0.017] 37/37 37/37
16 寒冷期 tr(0.046) tr(0.047) 0.23 tr(0.019) 37/37 37/37
 平成15年度 温暖期:H15.8.25~10.11、寒冷期:H15.11.4~12.18
 平成16年度 温暖期:H16.8.30~10.19、寒冷期:H16.11.1~12.13
 
 マイレックスは、POPs条約の対象物質であり、全地球的な汚染監視の観点からも、今後さらにモニタリングを継続し、その消長を追跡する必要がある。
 
○ 平成16年度マイレックスの検出状況 (経年変化図)
媒体
()内は単位
幾何
平均値
中央値 70%値 80%値 90%値 95%値 最大値 定量[検出]
下限値
  検出頻度
検体 地点
水質
(pg/L)
nd nd tr(0.3) 0.4 0.4 0.6 1.1 0.4 [0.2] 18/38 18/38
底質
(pg/g-dry)
2.1 tr(1.6) 4 9.4 21 37 220 2 [0.5] 153/189 55/63
生物:貝類
(pg/g-wet)
4.5 4.3 9.5 11 11 12 12 2.5 [0.82] 31/31 7/7
生物:魚類
(pg/g-wet)
11 11 16 20 27 34 180 2.5 [0.82] 70/70 14/14
生物:鳥類
(pg/g-wet)
61 64 100 110 110 110 110 2.5 [0.82] 10/10 2/2
大気
(pg/m3)
温暖期 0.099 0.11 0.12 0.13 0.14 0.15 0.16 0.05 [0.017] 37/37 37/37
寒冷期 tr(0.046) tr(0.047) 0.052 0.061 0.072 0.085 0.23 37/37 37/37
 
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