環境省保健・化学物質対策化学物質の内分泌かく乱作用SPEED'98検討会平成12年度第1回資料

内分泌攪乱化学物質問題検討会平成12年度第1回資料1別紙1


文献調査・信頼性評価の結果

1.文献調査結果

 文献調査の進捗状況を表-1にまとめて示した。

表-1 文献調査の進捗状況
トリブチルスズ ノニルフェノール  オクチルフェノール フタル酸ジ-n-ブチル フタル酸ジシクロヘキシル n-ブチルベンゼン ベンゾフェノン オクタクロロスチレン スチレン2量体・3量体
検索条件 文献検索データベースとして情報源が比較的広いMEDLINE及びTOXLINEを利用して、各検討物質毎に文献検索を行い、複数の専門家により文献要旨を作成し、その中から作用に関する文献を選抜し、専門家による信頼性評価を行った。
検索件数 259 194 80 132 10 25 25 19



文献要旨作成中 文献要旨作成中 文献要旨作成中 文献要旨作成中 文献要旨を作成した後、作用に関する3件の信頼性評価を実施 文献要旨を作成した後、作用に関する3件の信頼性評価を実施 文献要旨を作成した後、作用に関する6件の信頼性評価を実施 文献要旨を作成した後、作用に関する13件の信頼性評価を実施 文献要旨を作成した後、作用に関する9件の信頼性評を実施

2.フタル酸ジシクロヘキシルの有害影響に関する文献の信頼性評価結果

フタル酸ジシクロヘキシルの有害影響に関連するものとして、既存の文献において、エストロジェン様作用の有無および生殖毒性に関連した作用の有無に関する報告がある。これらの作用について、個々の文献の信頼性も考慮し、その有無について文献上からの結論を現時点で以下のようにまとめた。
(1)エストロジェン様作用
 Nakaiらによって、フタル酸ジシクロヘキシルについて、ヒトエストロジェン受容体αと17β-エストラジオールとの置換能力(結合阻害)1)についての検討が行われている。フタル酸ジシクロヘキシルのヒトエストロジェン受容体αとの結合は2相性を示し、そのIC50値は、1.0μM及び>2,000μMであった。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
(2)生殖毒性
 Lakeらによって、フタル酸ジシクロヘキシル500,1,000,1,500,2,000,2,500mg/kg/dayを7日間強制経口投与された30日齢の雄SDラットの肝臓、腎臓、精巣への影響2)が検討されている。その結果として、肝臓重量、肝臓のチトクロームP450活性、アルコール脱水素酵素活性の上昇が認められた。フタル酸ジシクロヘキシル2,500mg/kg投与群の5匹のうち1匹において、両側の精巣の精細管萎縮が観察された。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
Lefauxが1968年に報告した総説3)には、餌1kgに100mgのフタル酸ジシクロヘキシルを混ぜ、ラットに与えて4世代(18ヶ月)における毒性が観察され、フタル酸ジシクロヘキシルはラットの成長及び出生率に影響を与えず、生殖毒性も発ガン性もみられなかった旨の記載があるが、引用文献が示されておらず詳細は不明で信頼性の評価は出来なかった。
以上のように現在入手した文献の評価からは、
  • フタル酸ジシクロヘキシルのエストロジェン様作用については、試験管内試験においてヒトエストロジェン受容体αとの結合が認められたとする信頼性のある報告が得られた。
  • 動物試験において最大投与量で精巣への影響が認められたとする信頼性のある報告が得られた。精巣への影響については、極めて高用量においての作用であり、ごく一部の被験動物に作用が観察されたに過ぎないが、内分泌器官への影響が認められていることからフタル酸ジシクロヘキシルをリスク評価の対象物質とする。
なお、エストロジェン様作用については、今後、試験管内試験を行い作用の有無について再確認を行うことが必要である。

参考文献

  1. 1)Nakai,M.,Tabira,Y.,Asai,D.,Yakabe,Y.,Shimyozu,T.,Noguchi,M.,Takatsuki, M. and Simohigashi,Y.(1999)Binding characteristics of dialkyl phthalates for the estrogen receptor.Biochemical and Biophysical Research Communications,254,311-314
  2. 2)Lake,B.G.,Foster,J.R.,Collins,M.A.,Stubberfield,C.R.,Gangolli,S.D. and Srivastava,S.P.(1982)Studies on the effects of orally administered dicyclohexyl phthalate in the rat.Acta pharmacol.et toxicol.,51,217-226
  3. 3)Lefaux,R.(1968)Practical Toxicology of Plastics.CRC Press,350

3.n-ブチルベンゼンの有害影響に関する文献の信頼性評価結果

n-ブチルベンゼンの有害影響に関連するものとして、既存の文献において、エストロジェン様作用の有無および薬物代謝酵素P450に関連した作用の有無に関する報告がある。これらの作用について、個々の文献の信頼性も考慮し、その有無について文献上からの結論を現時点で以下のようにまとめた。
(1)エストロジェン様作用
 Joblingらによって、n-ブチルベンゼンについて、ニジマス肝臓エストロジェン受容体への17β-エストラジオールの結合阻害及びヒト乳ガン細胞ZR-75の増殖についての検討1)が行われている。n-ブチルベンゼンは,10-4M-10-3Mという高濃度でエストロジェン受容体への17β-エストラジオールの結合を阻害したが、10-5Mの濃度でZR-75細胞の分裂・増殖を促進せず、エストロジェン作用を有するとは判定されていない。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
(2)薬物代謝酵素P450関連作用
 Backesらによって、n-ブチルベンゼンについて、ウサギ肝臓チトクロームP450の代謝反応阻害についての検討2)が行われている。n-ブチルベンゼンがP450による代謝反応を比較的強く阻害したが、これは"n-ブチルベンゼンが強く阻害する"ということを示しているのではなく"疎水性の強い単脂肪鎖ベンゼン類が強く阻害する"という一般論を示しているにすぎない。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
また、Imaokaらによって、n-ブチルベンゼンについて、ラット肝臓チトクロームP450の誘導(テストステロンの各位の水酸化活性阻害を含む)についての検討3)が行われている。ラットにn-ブチルベンゼンを腹腔内投与したところ、P450の誘導が認められた。n-ブチルベンゼンが比較的強く誘導したが、これは"n-ブチルベンゼンが誘導を強くかける"ということを示しているのではなく"疎水性の強いn-アルキルベンゼン類が誘導を強くかける"という一般論を示しているにすぎない。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
以上のように現在入手した文献の評価からは、
  • n-ブチルベンゼンのエストロジェン様作用については、試験管内試験において比較的高濃度でニジマス肝臓エストロジェン受容体と結合したが、続いて行った細胞増殖試験においては細胞増殖を認めなかったとする信頼性のある報告が得られた。
  • 薬物代謝酵素P450関連作用については、ウサギ肝臓チトクロームP450の代謝反応阻害及びラット肝臓チトクロームP450の誘導(テストステロンの各位の水酸化活性阻害を含む)が認められたとする信頼性のある報告が得られた。
エストロジェン様作用については、最終的にはエストロジェン作用を有するとは判定されていないが、試験管内試験を行い作用について検証を行う必要が有る。また、薬物代謝酵素P450関連作用については情報が少なく、内分泌攪乱作用との直接の関連が不明確であることから、引き続き情報を収集する必要がある。
これらの情報が集まった時点で、n-ブチルベンゼンをリスク評価の対象物質とするかどうかの判断を行うこととする。

参考文献

  1. 1)Jobling,S.,Reynolds,T.,White,R.,Parker,M.G. and Sumpter,J.P.(1995) A variety of environmentally persistent chemicals, including some phthalate plasticizers, are weakly estrogenic(1995)Environmental Health Perspective,103,6,582-587
  2. 2)Backs,W.L.,Cawley,G.,Eyer,C.S.,Means,M.,Causey,K.M. and Canady,W.J. (1993)Aromatic hydrocarbon binding to cytochrome P450 and other enzyme binding sites:Are hydrophobic compounds drawn into the active site or pushed from the aqueous phase? Archives of Biochemistry and Biophysics,304,1,27-37
  3. 3)Imaoka,S. and Funae,Y.(1991)Induction of cytochrome P450 isozymes in rat liver by methyl n-alkylketones and n-alkylbenzenes. Biochemical Pharmacology,42(Suppl.),S143-S150

4.ベンゾフェノンの有害影響に関する文献の信頼性評価結果

ベンゾフェノンの有害影響に関連するものとして、既存の文献において、エストロジェン様作用の有無、薬物代謝酵素P450関連作用の有無、アラキドン酸代謝酵素関連作用の有無および肝毒性に関連した作用の有無に関する報告がある。これらの作用について、個々の文献の信頼性も考慮し、その有無について文献上からの結論を現時点で以下のようにまとめた。
(1)エストロジェン様作用
 Joblingらによって、ベンゾフェノンについて、ニジマス肝臓エストロジェン受容体への17β-エストラジオールの結合阻害及びヒト乳ガン細胞ZR-75の増殖についての検討1)が行われている。ベンゾフェノンは,10-4M-10-3Mという高濃度でエストロジェン受容体への17β-エストラジオールの結合を阻害したが、10-5Mの濃度でZR-75細胞の分裂・増殖を促進せず、エストロジェン作用を有するとは判定されていない。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
(2)ヒト胎盤アロマターゼチトクロームP450関連作用
 Vazらは、ベンゾフェノンについて、ヒト胎盤アロマターゼチトクロームP450との結合及びその結果生じる阻害作用の強さを検討2)している。ベンゾフェノンは、逆相Ⅰ型のスペクトルを取り、活性部位でステロイドとの疎水性相互作用を示した。阻害様式を検討したところ、拮抗阻害を示した。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
(3)アラキドン酸代謝酵素関連作用
 アラキドン酸代謝においてリポキシゲナーゼ経路とシクロオキシゲナーゼ経路が重要である。Goswamiらは、ベンゾフェノンについて、 大豆リポキシゲナーゼと雄羊精嚢シクロオキシゲナーゼの阻害作用を検討3)した。ベンゾフェノンの存在下では、100μMの場合には、リポキシゲナーゼ活性に何の影響も及ぼさず、1mMの場合には、18%の阻害を示した。シクロオキシゲナーゼ・アッセイ産物のオートラジオグラフによれば、ベンゾフェノンはシクロオキシゲナーゼ活性を完全に阻害した。酸素消費を検討した結果、ベンゾフェノンのシクロオキシゲナーゼに対するID50は8×10-7Mであった。本研究はCell Free系での作用で、ベンゾフェノンが阻害作用をもつことは確認されたが、生理的障害との関連などは不明である。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
(4)肝毒性関連作用
 ベンゾフェノンについて、Duttaらはモルモット4)の、Freemanらはラットとマウス5)の、Burdockらはラット6)の肝毒性について検討を行っている。何れの報告でも肝毒性が認められ、Burdockらによりベンゾフェノンの無作用量は90日までにおいて20mg/kg/dayであることが示された。この量はヒト(仮に体重を60kgとした場合)において、1,200mg/dayにあたり、一日許容摂取量PADI(0.33mg/day)は安全係数3,600以上を持つことになる。また、ヒトの一日平均摂取量が0.32μgなので、摂取量の約3,700万倍の量が最大無作用量になる。Duttaらの報告4)は単濃度のみの試験で用量反応的な判断ができない点、試験に使用した動物数について未記載の点等で問題があり、Freemanらの報告5)は、講演要旨で信頼性の判断ができなかったが、Burdockらの報告6) については文献上からみて信頼性が認められた。
以上のように現在入手した文献の評価からは、
  • ベンゾフェノンのエストロジェン様作用については、試験管内試験において比較的高濃度でニジマス肝臓エストロジェン受容体と結合したが、続いて行った細胞増殖試験においては細胞増殖を認めなかったとする信頼性のある報告が得られた。
  • ヒト胎盤アロマターゼチトクロームP450関連作用については、拮抗阻害を示したとする信頼性のある報告が得られた。
  • アラキドン酸代謝酵素関連作用については、アラキドン酸代謝において重要であるシクロオキシゲナーゼ活性の阻害が認められたとする信頼性のある報告が得られた。
  • 肝毒性関連作用については、肝毒性が認められ、無作用量は90日までにおいて20mg/kg/dayであること、この量はヒト(仮に体重を60kgとした場合)において、1,200mg/dayにあたり、一日許容摂取量PADI(0.33mg/day)は安全係数3,600以上を持つこと、ヒトの一日平均摂取量が0.32μgなので、摂取量の約3,700万倍の量が最大無作用量になることが示されたとする信頼性のある報告が得られた。
体内でテストステロンをエストロジェンへ変換することが知られているアロマターゼチトクロームP450との拮抗阻害を試験管内試験において示しており、アロマターゼチトクロームP450はエストロジェン生成に関与する酵素であることから、ベンゾフェノンをリスク評価の対象物質とする。
なお、エストロジェン様作用については、今後、試験管内試験を行い作用の有無について再確認を行うことが必要である。

参考文献

  1. 1)Jobling,S.,Reynolds,T.,White,R.,Parker,M.G. and Sumpter,J.P.(1995) A variety of environmentally persistent chemicals, including some phthalate plasticizers, are weakly estrogenic(1995)Environmental Health Perspective,103,6,582-587
  2. 2)Vaz,A.D.N.,Coon,M.J.,Peegel,H. and Menon,K.M.J.(1992)Substituted pyridines:Nonsteroidal inhibitors of human placental aromatase cytochrome P450.Drug Metabolism and Disposition,20,1,108-112
  3. 3)Goswami,S.K. and Kinsella,J.E.(1985)Inhibitory effects of tannic acid and benzophenone on soybean lipoxygenase and ram seminal vesicle cyclooxygenase.Prostaglandins and Leukotrienes and Medicine,17,223- 228
  4. 4)Dutta,K.,Das,M. and Rahman,T.(1993)Toxicological impacts of benzophenone on the liver of guinea pig(Cavia porcellus).Bull.Environ. Contam.Toxicol.,50,282-285
  5. 5)Freeman,G.B.,Toft,J.D.,Yarrington,J.T.,Ryan,M.J.,Trela,B.A.,Kurtz,P.J. and Chhabra,R(1994)13-week dosed feed toxicity study of benzophenone in F344 rats and B6C3F1 mice.Toxicicologist,14,829,2216)Burdock,G.A.,Pence,D.H. and Ford,R.A.(1991)Safety evaluation of benzophenone.Food and Chemical Toxicology,29,11,741-750

5.オクタクロロスチレンの有害影響に関する文献の信頼性評価結果

オクタクロロスチレンの有害影響に関連するものとして、既存の文献において、エストロジェン様作用の有無、甲状腺への作用の有無、ポルフィリンに関連した作用の有無、肝臓ガン発症の有無、変異原性の有無、薬物代謝酵素P450に関連した作用の有無および非P450系薬物代謝酵素に関連した作用の有無に関する報告がある。これらの作用について、個々の文献の信頼性も考慮し、その有無について文献上からの結論を現時点で以下のようにまとめた。
(1)エストロジェン様作用
 Sotoら1)とSonnenscheinら2)は ヒト乳がん細胞 MCF-7細胞を用いた細胞増殖試験の結果として、1nM-10μMの範囲ではオクタクロロスチレンによる細胞増殖を認めなかった。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
(2)甲状腺への作用
 これまでのところ甲状腺への作用に関連するものとして、Chuらにより離乳したてのSprague-Dawley系雌雄ラットを被験動物として、コーン油に溶解したオクタクロロスチレン(5段階の濃度:0,0.5,5.0,50および500ppm)を28日間与えた試験3)、コーン油に溶解したオクタクロロスチレン(6段階の濃度:0,0.05,0.5,5.0,50および500ppm)を13週間与えた試験4)、コーン油に溶解したオクタクロロスチレン(6段階の濃度:0,0.005,0.05,0.5,5.0,50 ppm)を含んだペレット状の餌を12ヶ月間与えた試験5)が行われている。
28日間試験3)においては、雄50,500ppm投与群と雌500ppm投与群における肝重量が対照群と比較して有意に高値であったこと、雄5.0ppm以上投与群と雌50及び500ppm投与群で肝ミクロソームアミノピリン脱メチル酵素活性増加が対照群と比較して有意に高値であったことがみられた。肝ミクロソームアニリン水酸化酵素活性は投与量依存的に増加傾向を示し、特に50ppmで顕著な増加がみられた。血清中コレステロール値・総タンパク量・ソルビトール脱水素酵素活性は、500ppm投与群で増加が認められ、血清カリウム値は濃度依存的に減少していた。肝組織の構造変化等の病変は、雌雄で濃度依存的に重篤になったが、甲状腺組織は、雄にのみ病変が認められた。甲状腺傷害は雌より雄の方が感受性が高かった。また、オクタクロロスチレンは濃度依存的に肝、脂肪組織に蓄積してい亜急性毒性試験の結果より、毒性作用を及ぼさない最大値は0.5ppmと推測される。
13週間試験4)においては、雌雄ラットともに50ppm以上の投与群において肝重量が、500ppm投与群で腎及び脾重量が対照群と比較して有意に高値であった。血清中コレステロール値は、雄で5.0ppm以上投与群、雌で500ppm投与群において対照群と比較して有意に高値であった。血清中アミノピリン脱メチル酵素活性は雄で5.0ppm以上投与群において、雌で50ppm以上投与群において有意に高値であった。また、肝ミクロソーム中アニリン水酸化酵素活性は雌雄ともに50ppm投与群のみにおいて有意に高値であった。甲状腺組織の傷害の程度は、雄より雌の方が重篤であったのに対し、肝及び腎では、雌より雄の方がオクタクロロスチレンに対する感受性が大であった。オクタクロロスチレンの肝及び脂肪組織への蓄積量は、投与量依存的に増加した。
12ヶ月間試験5)においては、雄雌ラットとも50 ppm投与群において肝重量が対照群と比較して有意に高値であった。雌50 ppm投与群において血清中コレステロール濃度が対照群と比較して有意に高値であった。雄0.05、0.5ppm投与群において血清中グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)値が対照群と比較して有意に低い値であった。雌50 ppm投与群のアルカリホスファターゼ値が対照群と比較して有意に高値であった。雌50 ppm投与群のヘモグロビン濃度が対照群と比較して有意(p=0.02)に高値であったが血液一般検査は全て正常範囲にあった。病理組織学的には腎臓、特に甲状腺と肝臓に影響が認められ、その割合は雌の方が大であった。腫瘍の発生についてはオクタクロロスチレン投与の影響は認められなかった。5.0、50 ppm投与群においては、12ヶ月投与の群における甲状腺の傷害が90日間投与群と比較して重大であった。オクタクロロスチレンの蓄積は脂肪組織において顕著であった。何れの試験結果についても文献上からみて信頼性が認められた。
(3)ポルフィリン関連作用
 Seldenらは、アルミ精錬の脱気工程でヘキサクロロエタンを用いた場合に副産物として放出されるヘキサクロロベンゼンとオクタクロロスチレンとのポルフィリン代謝への影響について、アルミ鋳物工場内でこの作業に従事する男性アルミ精錬工を対象として研究を行い、尿中総ポルフィリン濃度の増加6)を疫学調査の結果として報告している。この調査結果については文献上からみて信頼性が認められた。
Smithらは、オクタクロロスチレンについてポルフィリン症発症への影響7)を検討している。雌F344Nラットにオクタクロロスチレンを経口投与し、C57BL/6N、C57BL/10ScSN、DBA/2Nimrマウスにオクタクロロスチレンを腹腔内注射した。C57BL/6Nマウスにおいてオクタクロロスチレンの酵素発現に対する影響は、エトキシフェノキサゾン脱エチル化に対しては、フェノバルビタールと同程度の効果を示した。雌ラットのポルフィリン症発症は、観察されなかった。この調査結果については文献上からみて信頼性が認められた。
Strikらは、オクタクロロスチレンのポルフィリン症、薬剤代謝酵素の活性、肝細胞の形態変化との関連性8)を検討している。ニホンウズラにオクタクロロスチレン500 mg/kg/dayをゼラチンカプセルにて3日間経口投与させポルフィリンの蓄積を検出した。また、Wistar系ラットにオクタクロロスチレン濃度400 ppm を12週間食餌投与した。8、12、14週目にポルフィリンの蓄積を検出し、ホモジナイズした肝臓よりアミノレブリン酸合成酵素活性及び薬剤代謝酵素活性を測定し、さらに肝臓の組織学的観察を行った。オクタクロロスチレン投与においてニホンウズラの腎臓へのポルフィリンの蓄積が10羽中7羽に認められた。8週目以降、オクタクロロスチレン食餌投与のラットでわずかにアミノレブリン酸合成酵素活性が上昇していた。肝臓でのP450量は、全投与ラットで上昇していた。全投与ラットで肝肥大が認められた。アミノレブリン酸合成酵素活性の上昇は肝でのポルフィリン蓄積の増加よりむしろP450の産生に関係し、それに伴い薬剤代謝酵素活性も上昇することが示唆された。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
Smithらは、マウスに0.01%のオクタクロロスチレンを含む餌を投与したところ尿中ポルフィリン量の増加を認めなかった9)。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
(4)肝臓ガン発症
 Smithらは、マウスに0.01%のオクタクロロスチレンを含む餌を投与したところ肝臓ガン発症を認めなかった9)。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
(5)変異原性
 Tarkpeaらは、Ames 試験を実施したところ、オクタクロロスチレンの変異原性は認められなかったと報告10)しているが、扱ったデータ数が少ないこと、方法が現在の測定法に比べて正確性に乏しいこと等を考慮して参考としたほうが良いと思われる。
Holmeらは、サルモネラ変異原試験としてWistar系雄ラットに、200mg/kgの用量でオクタクロロスチレンを腹腔内に単回投与した後、肝臓ホモジェネート9,000G遠心上清画分(S9)を作製し、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸生成システムを添加して、アセチルアミノフルオレン(発ガン性物質)とベンゾピレン(発ガン性物質)について調べた11)。ラット肝S9分画のオクタクロロスチレン処理は2-アミノフルオレン及びアセチルアミノフルオレンの変異原性を増大させたが、N-ヒドロキシ-2-アセチルアミノフルオレンには同様の効果はなかった。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
(6)薬物代謝酵素P450関連作用
 Holmeらは、オクタクロロスチレンの薬物代謝酵素誘導について検討12,13)している。オクタクロロスチレンを芳香族炭化水素に対して反応性のあるマウスであるB6マウスの腹腔内に注射した後、ミクロソーム内の酵素を測定12)したところ、多環芳香族炭化水素水酸化酵素はほとんど増加しなかったが、チトクローム P450、チトクロームb5、チトクロームP450還元酵素、エチルモルフィン N-脱メチル酵素、4-ニトロアニソールO-脱メチル酵素、アセトアニリド4-水酸化酵素といった他の酵素は増加した。Wistar系の雌雄ラットにコーン油に溶解したオクタクロロスチレンを10,50,100,200mg/kgの濃度で腹膜内に単回投与後、あるいは250mg/kgのオクタクロロスチレンを週1回8週投与した13)。200mg/kgオクタクロロスチレン投与群では、肝ミクロソーム中タンパク質濃度およびチトクロームP450及び関連酵素活性を増加させた。250mg/kgオクタクロロスチレンの週1回8週投与における効果は、チトクロームP450活性に有意な増加がみられなかったことを除いて、200mg/kgオクタクロロスチレンの単回投与結果とほぼ同じであった。何れの試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
Smithらは、0.01%のオクタクロロスチレンを含む餌を投与したマウスの肝ミクロソームにおけるP450CYP1A1及びCYP2B1の発現9)を認めている。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
(7)非P450系薬物代謝酵素関連作用
 HolmeらはWistar系雄ラットに、200mg/kgの用量でオクタクロロスチレンを腹膜内に単回投与し、肝ミクロソーム中に含まれる非チトクロームP450系薬物代謝酵素活性を測定した11)。オクタクロロスチレン投与によって非チトクロームP450系代謝酵素活性は対照群と比較して有意に高値を示した。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
以上のように現在入手した文献の評価からは、
  • オクタクロロスチレンのエストロジェン様作用については、試験管内試験である細胞増殖試験において増殖を認めなかったとする信頼性のある報告が得られた。
  • 甲状腺への作用については、12ヶ月間の動物試験において甲状腺の組織学的な変化が観察されたとする信頼性のある報告が得られた。
  • ポルフィリン関連作用については、アルミ精錬の脱気工程で副産物として放出されるヘキサクロロベンゼンとオクタクロロスチレンとのポルフィリン代謝への影響について、アルミ鋳物工場内でこの作業に従事する男性アルミ精錬工を対象として調査を行い、尿中総ポルフィリン濃度の増加が認められたする信頼性のある疫学調査結果が得られた。ニホンウズラ、ラット、マウスへの投与試験結果ではニホンウズラの腎臓へのポルフィリン蓄積が認められたが、ラットの腎臓及びマウスの血中へのポルフィリン蓄積は認められなかったとする信頼性のある報告が得られた。
  • 肝臓ガン発症については、作用が認められなかったとする信頼性のある報告が得られた。
  • 変異原性については、ある種の発ガン性物質の変異原性を顕著に増大させる作用が認められたとする信頼性のある報告が得られた。
  • 薬物代謝酵素P450関連作用及び非P450系薬物代謝酵素関連作用については、各種酵素が発現したこと、酵素量が対照群と比較して有意に高値を示したこと、酵素活性が対照群と比較して有意に高値を示したこととする信頼性のある報告が得られた。
    動物実験により甲状腺の組織学的変化が認められ、内分泌器官である甲状腺への影響が懸念されることから、オクタクロロスチレンをリスク評価の対象物質とする。

参考文献

  1. 1) Soto,A.M.,Sonnenschein,C.,Chung,K.L.,Fernandez,M.F.,Olea,N. and Serrano,F.O.(1995)The E-SCREEN Assay as a tool to identify estrogens:An update on estrogenic environmental pollutants.Environmental Health Perspectives,103(Suppl.7),113-122
  2. 2) Sonnenschein,C. and Soto,A.M.(1998)An updated review of environmental estrogen and androgen mimics and antagonists.The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology,65,1-6,143-150
  3. 3) Chu,I.,Secours,V.E., Villeneuve,D.C. and Valli,V.E.(1982)Acute and subacute toxicity of octachlorostyrene in the rat.Journal of Toxicology and Environmental Health,10,285-296
  4. 4) Chu,I., Villeneuve,D.C., Secours,V.E.,Yagminas,A.,Reed,B. and Valli,V.E. (1984)Octachlorostyrene:A 90-day toxicity study in the rat.Fundamental and Applied Toxicology,4,4,547-557
  5. 5) Chu,I., Villeneuve,D.C., Secours,V.E.,Valli,V.E.,Leeson,S. and Shen,S.Y. (1986)Long-term toxicity of octachlorostyrene in the rat. Fundamental and Applied Toxicology,6,69-77
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  7. 7) Smith,A.G.,Francis,J.E. and Bird,I.(1986)Distinction between octachlorostyrene and hexachlorobenzene in their potentials to induce ethoxyphenoxazone deethylase and cause porphyria in rats and mice. Journal of Biochemical Toxicology,1,105-117
  8. 8) Strik,J.J.T.W.A. and Koeman,J.H.(1976)Porphyrinogenic action of hexachlorobenzene and octachlorostyrene.Porphyrins in Human Diseases. S.Karger,418-423
  9. 9) Smith,A.G.,Carthew,P., Francis,J.E.and Ingebrigtsen,K.(1994)Influence of iron on the induction of hepatic tumors and porphyria by octachlorostyrene in C57BL/10ScSn mice.Cancer Letters,81,145-150
  10. 10) Tarkpea,M.,Hagen,I.,Carlberg,G.E., Kolsaker,P. and Storflor,H.(1985) Mutagenicity, acute toxicity, and bioaccumulation potential of six chlorinated styrenes.Bull.Environ.Contam.Toxicol.,35,525-530
  11. 11) Holme,J.A. and Dybing,E.(1983)Increased cytochrome P450 independent drug metabolism and mutagen activation in rat liver by octachlorostyrene.Acta pharmacologica et Toxicologica,53,325-332
  12. 12) Holme,J.A. and Dybing,E.(1982)Induction of liver microsomal cytochrome P-450 and associated monooxygenases by octachlorostyrene in inbred strains of mice.Lack of correlation with the murine Ah locus. Biochemical Pharmacology,31,15,2523-2529
  13. 13) Holme,J.A. and Dybing,E.(1982) Induction of liver microsomal cytochrome P-450 and associated monooxygenases by octachlorostyrene in the rat. Acta pharmacol0gica et Toxicologica,50,1,41-49

6.スチレン2量体・3量体の有害影響に関する文献の信頼性評価結果

スチレン2量体・3量体の有害影響に関連するものとして、既存の文献において、アンドロジェン様作用の有無、エストロジェン様作用の有無、甲状腺ホルモン様作用の有無およびプロラクチンに関連した作用の有無に関する報告がある。これらの作用について、個々の文献の信頼性も考慮し、その有無について文献上からの結論を現時点で以下のようにまとめた。
(1)アンドロジェン様作用
 信原らによって、3種のスチレン2量体と3種のスチレン3量体について、アンドロジェン受容体との結合の検討1,2) 、精巣細胞ステロイドホルモンの生合成についての検討1)および去勢雄ラットの副生殖器重量の増加についての検討2)が行われている。
これらは、いずれもスチレン2量体・3量体のアンドロジェン様作用に関連して検討されたものであり、試験としての信頼性も問題がないと評価できた。
これまでのところ、これらの試験結果を含めて、スチレン2量体・3量体がアンドロジェン様作用を呈するとの報告は文献的には全く得られていない。
(2)エストロジェン様作用
 これまでのところ、エストロジェン様作用に関連するものとして、エストロジェン受容体との結合1,2)、エストロジェン受容体レポーター遺伝子を導入したヒト乳ガン細胞MCF-7に誘導されるガラクトシダーゼ活性の増加3)、ヒト乳ガン細胞MCF-7の増殖1,4)、幼若雌ラットの膣開口日齢の早期化5)、幼若雌ラットの子宮重量の増加1,3,6,7,8)についての検討が行われている。
信原らが、3種のスチレン2量体と3種のスチレン3量体についてエストロジェン受容体との結合をみた試験1,2) では、これらのスチレン2量体・3量体がエストロジェン受容体と結合するとの結果は得られていない。また、文献からみた試験の信頼性も評価できるものであった。
Failらによるエストロジェン受容体レポーター遺伝子を導入したヒト乳ガン細胞MCF-7の試験3)は、誘導されるガラクトシダーゼ活性の増加により、エストロジェン作用の有無を判断しようとするものである。その結果は、ポリスチレン抽出液はコントロールと比べてガラクトシターゼの増加がみられないことを示したものであるが、用いられたポリスチレン抽出液の組成など含まれるスチレン2量体・3量体の組成及び量が不明であるため、この結果のみではスチレン2量体・3量体がエストロジェン受容体を介した作用を持たないとの一般化した結論を導くことはできないと考えられる。
3種のスチレン2量体と3種のスチレン3量体についてヒト乳ガン細胞MCF-7を用い、信原らが行った試験1)では、スチレン2量体・3量体による増殖刺激性はみられなかったという結果が得られている。また、この試験結果は文献からみた信頼性も評価できるものであった。
一方、大山らは、最近、同じくヒト乳ガン細胞MCF-7の増殖試験4)により、2種のスチレン2量体と3種のスチレン3量体について高濃度域(1~10μM)において、ヒト乳ガン細胞の増殖を認めた結果を報告している。しかし、この結果については、現時点で講演要旨しか発表されておらず、文献の信頼性についての評価ができなかった。
ダウケミカル社のRaoらは、ポリスチレン製造工程で得られる副産物を含む濃縮混合物が幼若雌ラットの膣開口日齢の早期化を起こすことを1978年に報告5)している。しかし、用いられた濃縮混合物には様々な混入物の夾雑の可能性があり、この結果が、ただちにスチレン2量体・3量体の作用を表すとの一般化はできないと考えられる。
ヘラクレス社が1996年に報告した幼若雌ラットの子宮重量の増加をみる試験8)で増加を認めたとする結果については、曝露物質の成分分析がなされておらず、この結果がスチレン2量体・3量体の作用を表すとの一般化はできないと考えられる。
日本スチレン工業会が報告した汎用ポリスチレン試験片のエタノール抽出液7)及びポリスチレン抽出物3)の経口投与によっては、子宮重量増加がみられなかったという結果については、汎用ポリスチレン試験片のエタノール抽出液及びポリスチレン抽出物の組成と含まれるスチレン2量体・3量体の組成及び量が不明であるため、この結果がスチレン2量体・3量体の作用の有無を表すとの一般化はできないと考えられる。
Bachmannらが報告した23種のポリスチレンオリゴマーについての経口投与による子宮肥大試験6)および信原らによるカップ麺容器からの溶出が確認されているスチレン2量体・3量体についての、子宮肥大試験1)では、いずれも子宮重量増加を示さなかったとしている。これらについては、子宮肥大試験の実施方法の詳細化や内分泌撹乱作用の評価についての有効性についての確認作業がなお国際的に進行中ではあるが、文献上として信頼性は評価できるものと認められた。
(3)甲状腺ホルモン様作用
 甲状腺ホルモン様作用に関連しては、信原らが3種のスチレン2量体と3種のスチレン3量体について、甲状腺ホルモン受容体との結合性を検討した報告2)が現時点で唯一のものであるが、その結果は、被験物質には甲状腺ホルモン受容体との結合性は認められないとしている。この試験結果については文献上は信頼性が評価できるものと認められた。
(4)プロラクチン関連作用
 1984年にMuttiらは、スチレン曝露婦人労働者の血中プロラクチンと成長ホルモンの増加を疫学調査の結果として報告9)している。
この調査では、スチレン曝露婦人労働者の血中プロラクチンと成長ホルモンの増加が認められたとしているが、環境中のスチレンレベルを測定しておらず、環境曝露の実態が不明であるので、この結果のみでは、スチレン2量体・3量体がプロラクチンに関連する作用を持つとの結論を一般化はできないと考えられる。
これに対して、信原らは、3種のスチレン2量体と3種のスチレン3量体について雌ラットを用いて血清中プロラクチン濃度への影響を検討した2)。その結果は、雌ラットの血清中プロラクチン濃度への影響では、被験物質による血清中プロラクチン濃度の増加はみられないとしている。この試験結果については文献上からみて信頼性が認められた。
以上のように現在入手した文献の評価からは、
  • スチレン2量体・3量体のアンドロジェン様作用、甲状腺ホルモン様作用については、否定的な報告しかなく、これらの作用についての評価のエンドポイントとして現時点では取り上げる必然性は無いと考えられる
  • プロラクチン関連作用についても、スチレン2量体・3量体を直接用いた試験では否定的な結果しか得られておらず、評価のエンドポイントとして現時点では取り上げる必然性は少ないと考えられる
  • エストロジェン様作用については、エストロジェン受容体との結合及び幼若雌ラットの子宮重量の増加についてはこれまで否定的な報告しかない。ヒト乳ガン細胞MCF-7の増殖に関しては否定的な報告がある一方、講演要旨ではあるが、大山らがヒト乳ガン細胞MCF-7の増加を認めたとする報告をしている。この報告のみが科学的にみて、現時点で唯一のスチレン2量体・3量体とエストロジェン様作用との関連を提起するものと考えられ、その他の文献的に信頼できる試験は、すべてエストロジェン作用については否定的結果が導かれていると考えられる。しかしながら、相反する結果が得られたヒト乳ガン細胞MCF-7の増殖試験は、エストロジェン様作用のスクリーニング試験として重要視されていることを考慮すれば、エストロジェン様作用をエンドポイントとして更なる検証が必要であると考えられる。
追記:本文献調査及び信頼性評価のとりまとめ後、五十嵐委員より長尾らの論文(Nagao,T. et al、Effects of prenatal exposure to styrene dimers and trimers on reproductive function in rats. Reproductive Toxicology,14,in press(2000))の評価について以下の提案がなされた。
長尾らはスチレン2量体・3量体の母ラット及び次世代仔に対する影響を検討し、生殖学的悪影響は全く認められないとの結論を得ている。この文献についての信頼性も確認された。

参考文献

  1. 1) 信原陽一、平野 哲、東 幸雅、伊達勝廣、大野克利、田中和永、松代創一郎、 櫻井敬展、塩澤 聡、千葉 勝、山田敏広(1999) スチレンオリゴマーの内分泌撹乱作用に関する生物学的評価、食品衛生学雑誌、40、1、36-45
  2. 2) 東 幸雅、信原陽一、伊達勝廣、大野克利、田中和永、平野 哲、小林和浩、 櫻井敬展、千葉 勝、山田敏広(2000)スチレンオリゴマーの内分泌撹乱作用に関する生物学的評価(第2報)、食品衛生学雑誌、41、2、109-115
  3. 3) Fail,P.A.,Hines,J.W.,Zacharewski,T.,Wu,Z.F. and Borodinsky,L.(1998) Assessment of polystyrene extract for estrogenic activity in the rat uterotrophic model and an in vitro recombinant receptor reporter gene assay.Drug and Chemical Toxicology,21(Suppl.1),101-121
  4. 4) 大山謙一、佐藤智子、柴田香里、地崎聡子、西澤美穂、土屋悦輝(1999) E-SCREEN Assayによるスチレンの検討、日本内分泌攪乱化学物質学会第二回研究発表会要旨集、B26、68
  5. 5) Rao,K.S.,Murray,J.S.,John,J.A.,Crawford,A.A. and Jersey,G.C.(1978) Evaluation of the estrogenic potential of condensate from a polystyrene manufacturing plant.Dow Chemical U.S.A. unpublished
  6. 6) Backman,S.,Hellwig,J.,Jackh,R. and Christian,M.S.(1998)Uterotrophic assay of two concentrations of migrates from each of 23 polystyrenes adminstered orally (by gavage) to immature female Wistar rat. Drug and Chemical Toxicology,21(Suppl.1),1-30
  7. 7) 日本スチレン工業会(1998)Determination of uterotrophic activity of GPPS in the Tiecco test with young female rats.TNO report V98.621
  8. 8) Prinsen,M.K.(1996)Determination of oestrogenic activity of F2L5250 in the Tiecco test with rats.Hercules Incorporated unpublished, TNO report V96.160
  9. 9) Mutti,A.,Vescovi,P.P.,Falzoi,M.,Arfini,G.,Valenti,G., and Franchini,I.(1984) Neuroendocrine effects of styrene on occupationally exposed workers. Scand.J.Work.Environ.Health,10,225-228

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