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干潟(ひがた)の観察に出かけよう

干潟の機能やそこに見られる生物については、Chapter3 藻場と干潟で説明しました。ここでは、実際に干潟に観察に行くための準備や生きものの観察方法等について説明します。

海と陸地の接点にある干潟は、潮汐、波浪、淡水流入等により生きものにとっては厳しい環境にあります。しかし、それらに適応した底生生物、塩性植物などが見られ、それらを餌やすみかとする鳥類が多く見られる場所でもあります。

これらの生きものたちが、干潟のどんな場所に生息しているのか、どんな行動をしているのか、実際に足を運んで観察してみましょう。

1.干潟に出る準備(その1)

準備としては基本的に磯に行くときと同じですが、干潟にいる生物を調べるためには次のような準備をして出かけましょう。

1.1 目標

何をどのように調べるのか目標を立てます。

そのためには、どんな方法で調べるのが良いのかについて、本やインターネット等で調べましょう。

最初は、あまり難しいことを考えず、まず干潟に行ってみて、どんな場所か、どんな生きものがいるかをおおまかに見て来た後で、具体的な目標を立てるのがいいでしょう。

1.2 記録

観察したことは必ず記録しておくようにしましょう。ポケットに入るくらいの小型のノート類(野帳)、シャープペンシル又は鉛筆が必要です。ぬれても破れない紙(耐水紙)でできた小型のノート(レベルブック;通常紙と耐水紙の2種類ありますので注意)も市販されています。

記録しておくこととしては、日付、観察時間、天気、可能であれば気温や水温、観察者の名前、そして目標とした生きものの観察結果などです。日付は年も忘れずに記録しておきましょう。

1.3 地図や資料

調べに行く所の地形図があれば、大きな範囲で見て、どのような地形の所に行くのか見ておきましょう。

また、近くに自然博物館などがあれば、該当する所や付近の資料(過去に調べた結果、その地域の一般的な生物の解説書など)を購入しておけば便利です。そのほかに、最近では博物館や研究会、そして個人での観察結果をインターネット上に公開されている方が多くいます。そうしたページを参考にするのもいいでしょう。

1.4 潮位(海面の高さ)

観察や採集は、潮が引いていないときでもできる場所や種類はいますが、潮が引いた干潮のときに多くの生き物を見ることができます。ですから、観察や採集に出かける前には必ずその日の干潮の時刻がいつなのか調べておくことが必要です。

観察には、潮が最も良く引く大潮の日が良いでしょう。大潮といっても、春から夏の大潮は昼間の方が良く引きますが、秋から冬にかけては、大潮であっても昼間はあまり潮が引かず、夜の方が良く引きます。

観察当日のおよその干潮、満潮の時刻は、新聞の天気予報欄などに載っています。代表的な場所の時刻ですから、満潮、干潮の時刻には少しずれがあります。場所によって異なりますが、最干時刻(最も潮が引く時刻)の2~3時間前には現地に行って準備を始めましょう。

1.干潟にでる準備(その2)

1.5 服装

暑いからといって、半袖、半ズボンはお勧めできません。干潟の上では、直射日光と干潟からの照り返しで、肌を長時間露出していると日焼けすることがありますので十分に注意が必要です。

服装注意事項
服装位置 注意事項
干潟上には日影はありません。必ず帽子をかぶりましょう。むぎわら帽子のようなツバの広い帽子がいいでしょう。しかし、あまり大きすぎると観察や写真を撮影する時、風が強い時などには邪魔になる場合があります。ある程度ツバが固く、風でばたばたとあおられないものが良いでしょう。
上着 強い直射日光を受けないために、長袖のものが良いでしょう。また、ポケットが多く付いていると便利です。ポケットの代わりに、最近は様々な種類、大きさのナップザックやウエストポーチがあります。海水に濡れたり、汚れたりし易いので、古くなったものなどを利用すると良いでしょう。
ズボン 上着と同じ理由で、できれば長ズボンが良いでしょう。
岩の角などでけがをしないように、また、トゲのある生物を持ったりするために、必ず手袋を用意しましょう。普通の軍手が便利です。伸縮性のある小さな軍手も市販されています。
場所によって様々ですが、長靴、ぬれてもよい古くなった靴下とズックシューズ、ダイビングブーツ等がよいでしょう。ビーチサンダルなど、底が薄く、肌の露出があるものは、石やガラス片などでけがをし易いので避けましょう。

1.干潟にでる準備(その3)

1.6 道具

干潟に観察や採集に行く時には、表のような道具があれば便利です。服装であげたものは省略してあります。

干潟に観察や採集に行く時に便利な道具
道具名 説明
ピンセット 採集した小さな生き物を摘むのに便利です。
ルーペ 小さな虫めがねで十分です。小さな生き物を観察するのに使います。
スコップ 干潟の砂、泥の中にいる生き物を探すのに使います。小型の園芸用スコップ、折りたたみ式のものが持ち運びには便利でしょう。
バケツ 布、ビニール製のおりたためるものが便利です。
容器 採集した生き物を種類ごとに分けて入れるときに使います。色々な大きさのビニール袋、ふた付きケースなどを使います。冷凍食品用のチャック付き小型ビニール袋や、写真フィルムの入っているプラスティックケースなどが使いやすいでしょう。
図鑑 軽くて、小さな、携帯用のものが便利です。最近は少しくらい濡れても大丈夫な図鑑もいくつかあります。
モノサシ、巻尺 生物の大きさや地形の距離をはかるときに使います。生物のおよその大きさを測るには、小型ノート(野帳)の端にあらかじめ5mmか1cm区切りの目盛を書いておき、それを測るものに当てるか、測るものを持ってきて当てれば簡単で、便利です。 巻尺はグループでもう少し本格的に調べる場合に使います。それまでは、特に必要はないでしょう。また、市販のハンディタイプのもの(コンベックス)は高価ですので、荷造り用の細なわに目盛を付けて作成するとよいでしょう。
カメラ 観察した場所、生き物の記録用に使います。どんな場所であったかを記録する方法としては一番でしょう。
双眼鏡・望遠鏡 鳥の観察や人が近づくと隠れてしまうカニなどの観察には便利でしょう。
その他 道具ではありませんが、持っていったほうがよいものとして、タオル、傷消毒用液、傷テープなどがあります。

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