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1.はじめに

 ダイオキシンの耐容一日摂取量(TDI: Tolerable Daily Intake)は、ダイオキシンによるヒトの健康影響を未然に防止する観点から的確な対策を講じる上で重要な指標となるものであり、世界保健機関(WHO)や各国において科学的知見に基づき設定されている。
  我が国においても、これまで環境庁及び厚生省において、ダイオキシンのTDIあるいは健康リスク評価指針値を設定し、現在の汚染状況がヒトの健康に及ぼす影響の評価の指標、ダイオキシン対策の指標等として活用してきた。
 このような状況の中、1998年(平成10年)5月、WHOの欧州地域事務局及び国際化学物質安全性計画(IPCS)により、専門家会合(以下「WHO専門家会合」)が開催され、ダイオキシンのTDIの見直しが行われた。
 我が国でも、環境庁及び厚生省が専門家会合を組織し、その合同会合(中央環境審議会環境保健部会ダイオキシンリスク評価小委員会及び生活環境審議会・食品衛生調査会ダイオキシン類健康影響評価特別部会)において、TDIの見直しを行うこととした。さらに、本年3月30日、ダイオキシン対策関係閣僚会議において「ダイオキシン対策推進基本指針」が策定され、その中でこのTDIの見直しを3ヶ月以内に行うこととされた。

 本報告書は、1998年(平成10年)のWHO専門家会合での議論を可能な限り詳細に分析・評価した上で、新たな知見を加えてダイオキシンのTDIについて検討したものである。

(注)本報告書における用語法

・「ダイオキシン類」とは、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)及 びポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)を言う。
・「ダイオキシン」とは、ダイオキシン類に加え、コプラナーポリ塩化ビフェニ ル(コプラナーPCB)を含めたものを言う。

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