環境省総合環境政策超長期ビジョン検討について

第4回超長期ビジョン検討会議事録


平成18年10月6日(金)14:00〜17:35  
三田共用会議所 4階 第4特別会議室

○議事次第
1.開会

2.議事
  (一)気候変化対応から見た将来ビジョンについて
     (西岡主査からの発表)
  (二)国際関係と環境・持続可能性等について
     (太田、明日香、細田検討員からの発表)
  (三)その他

3.閉会

○配付資料一覧
【資料】  
資料 気候変化対応から見たビジョン(西岡秀三主査)
検討員発表資料1 国際政治と超長期ビジョン(太田宏検討員)
検討員発表資料2 中国・温暖化・国際協力
−超長期ビジョン策定/合意形成/実現のための課題−(明日香壽川検討員)
検討員発表資料3 超長期ビジョン検討会資料(細田衛士検討員)
【参考資料】  
○第3回超長期ビジョン検討会(平成18年9月19日開催)議事録
○本検討会における超長期ビジョンの検討の進め方(第1回検討会 資料4 抜粋)
○超長期ビジョン検討会の今後のスケジュール(第3回検討会 資料1 抜粋)
○超長期ビジョン検討会名簿

○出席委員
安井至座長、西岡秀三主査、明日香壽川委員、太田宏委員、沖大幹委員、川島博之委員、柴田康行委員、花木啓祐委員、原沢英夫委員、細田衛士委員、森口祐一委員、山本博一委員、湯原哲夫委員、湯本貴和委員、若林敬子委員

午後 2時00分 開会

○増田課長補佐 それでは、まだお見えになっていない先生がいらっしゃいますけれども、時間になりましたので、資料の確認から入らせていただきたいと思います。
 まず、資料といたしまして検討会の座席表、その下に議事次第、それから資料といたしまして西岡主査からの資料「気候変化対応から見た将来ビジョン」、それからその後ろに続きまして各検討員からの資料が1、2、3というふうに続いてまいります。そのほか参考といたしまして第3回の超長期ビジョン検討会議事録、それから第1回検討会の資料4からの抜粋、それから前回の資料、中間とりまとめに向けた作業の進め方からの抜粋、そして最後に検討員の名簿が付いてございます。もし足りないものなどありましたら事務局までお申し出くださいますよう、よろしくお願いいたします。
 それから、座席表の方には広井検討員の名前が載っておりますが、急遽ご欠席というふうに連絡をいただいております。それから、湯原検討員がご都合により途中で退席されるというふうに聞いております。湯本先生も途中で退席ということでございます。
 それから、第2回から第5回までの各回関係省庁にオブザーバー参加いただいていますが、本日は経済産業省からご出席を賜っております。簡単にご紹介させていただきます。
 産業技術環境局の地球環境対策室、西尾室長補佐でございます。よろしくお願いします。
 それから、本日はマイクがこのように置いてありますけれども、ご発言をされるときには真ん中の大きなボタン、これを押していただきまして、発言が終わりましたらボタンをもう一度押していただくというふうにお願いします。同時に4名までしゃべれるということですので、発言が終わりましたら消していただくよう、よろしくお願いいたします。
 まだ、全員そろってはいませんが、そろそろ始めさせていただきたいと思いますので、では、座長の方からよろしくお願いいたします。

○安井座長 ご多忙中のところ、またどうも台風に祟られておりますが、お集まりいただきましてありがとうございました。
 それでは、第4回目になりますけれども、超長期ビジョンの検討会を開催したいと思います。
 早速でございますが、きょうは各ご専門の先生からご発表をいただくことになっております。2050年というものをどう見るかという例によっての話でございますが、いつもでございますと最初に若干の議事を行いましてから3名の先生にご発表をいただいておりますが、その最初の全体的な議事をいたします時間を今回活用させていただきまして、西岡先生から多少短めのご発表をいただくということになっております。大体20分ぐらいかなと、そのあと質疑応答を大体10分ぐらい行いたいと思います。それ以後、太田先生、それから明日香先生、細田先生とご発表を続けさせていただきたいと思います。途中で例によりまして1時間半ぐらいのところで休憩を入れさせていただくということでございます。
 それでは、早速でございますが、西岡先生、よろしくお願いいたします。

 発表1.気候変化対応から見た将来ビジョンについて

○西岡主査 西岡でございます。お手元に「気候変化対応から見た将来ビジョン」という資料を配布しております。ちょっと字が見えにくいものですからそちらの方も参照しながらお聞き願いたいと思います。それから当日用ということで配布とちょっと違ったスライドも出てきますので、そのところはご容赦願いたいと思います。
 きょう、ここでお話しする所以と申しますのは、こういうビジョンをやっているときに先行して脱温暖化2050というプロジェクトがあるけれども、それは一体いかなるもので、かつそれがこのビジョンの研究にどういう位置づけといいましょうか、役割を示すのだろうかというようなことについて簡単に話をしろというのが今日の趣旨かと思います。細かいことにつきましては幸いなことに本日の出席の委員の方、花木先生にしても森口先生にしても、それから太田先生にしてもこのプロジェクトに参加していただいておりますので助けていただけるかと思いますし、また細かいモデルの質問につきましては、この研究のモデルを担当しておりますうちの研究所の増井さんに来ていただいておりますので、そこで対応願いたいと思います。
(パワーポイント)
 この将来ビジョンといいますか脱温暖化2050と一言でいっておりますけれども、これは推進費の研究でありまして、ここにあります上の3つのどの程度の温室効果ガスを削減しなければいけないかという目標をどう設定するか、そしてその低炭素社会といっておりますが、そういうもののビジョンをつくり、そこまで行く道筋をどうやってつくかという研究であります。
(パワーポイント)
  もちろんのことですけれども、これは日本の社会福祉をさまざまな制約の中で最大化するよう設計するための政策を提示するというところにポイントがあります。まず、そういうことでしたら一体本当に低炭素社会へ移行する必要がどれだけあるのだろうか、日本の目標はどのあたりだろうかということを確認し、かつ低炭素であり、かつ望ましい社会の実現は可能か、低炭素社会であれば何でもいいということではないし、また、むしろ我々が2050年ぐらい長期にわたってどういう形か知りませんけれども、望ましい社会を構築する、その中で一体低炭素というのが実現可能かどうかということを見極める。そしてもし、可能であるということでしたらそれを具体的な姿はどんなもので、そこへもっていくための政策はどんなものであるべきかといったことについて内容、手順、手段等々について示せばいいなということであります。
 現在、これは3年目になっており、第一の点は済んでいるのですけれども、第二の中間当たりで仕事はまだ止まっているという状況であります。研究手法ですけれども、Back castingというのを取りたいと思っておりますが、Back castingというのは Forecastingの要するに予測ではまったく性質がまず異なる、使い方が異なるといった方がいいかと思いますが、Back castingというのは最終的には政策をどうもっていくかを検討するためのものでありまして、予測が当たるとか当らないという話ではまったくないということであります。
 まず最初に、その望ましい社会を同定し、これをシナリオでやる。これはIPCCなどでよくやっているように一体世間がどうなるかわからないけれども、幾つかの軸でもって考えてということで2つのシナリオで幅をもたせており、そしてそういうシナリオの行く先、2050年には社会産業構造がどう変化しているだろうかという、これは低炭素であろうとなかろうとそんなことは関係なく変化を予測し、そしてその予測された構造に対して技術を組み合わせる、あるいは消費構造を変えていくということで低炭素の排出にとどめる可能性をチェックするということをやっております。
 スナップショットとありますけれども、時間断面2050年あるいはその途中経過ポイントとしまして2020年のスナップショットで低炭素排出可能性をチェックすると、それがうまくできましたということになりますと、では、その間をうまくつなげられるのだろうかといったことも提示しなければいけません。それから集約されたデータ、日本全体のデータについての話だろうが、フィジカルプランニングに落としたときに果たしてそういう集約的なデータとの一致が見られるだろうかといったことについての説得性を示す必要があるかと思います。いったんそういう道筋ができましたら一体そこへ導くための政策というのはどんなものだろうか、これは政策手段もあるでしょうし、手順もあるでしょうし、いろいろございますけれども、それを示していってなるべくコストミニマムあるいは消費、あるいは効用が最大になるような形の政策を検討していこうということであります。
(パワーポイント)
 これからちょっとはしょらせていただきますが、まず最初に、この低炭素社会の移行への必然性の確認をしました。この絵はもう三、四年使っておりますが、いずれにしましても大気中にたくさん入ってくる二酸化炭素を制限し、濃度をフラットなレベルにしなければいけない、フラットなレベルにするということを考えてみると、それが100年先か何年先になるかわかりませんけれども、危険なレベルに達してそこでとめておこうとするならば、入りと出が一緒だろう。そうすると出の方が3Gtぐらいとか5Gtになっているときに、この現在6Gtの二酸化炭素をどれだけ、どうやってこの水道の栓をうまいこと閉めていくか、軟着陸的に閉めていく手もあるだろうし、あるいはいったんオーバーシュートしてから閉めるという手もあるかもしれないけれども、いずれにしてもそういうコントロールが大切ですねということになります。
(パワーポイント)
 私ども簡易な気候モデル、経済モデルを組み合わせたモデルを用いて計算しました。 
左の方にありますように例えばGHG 475ppm、すなわち2℃程度に世界の温度上昇にとどめるとすると、(この三角形の赤の一番下の線)この右側のように全ガスの排出量推移(世界)をかなり急激に減らしていく必要があるという計算結果になります。しかしながら、まあ、3℃でもいいのじゃないかと、究極的に3℃、ここの左のグラフでいきますと650、上から2つ目の線で押さえ込んでもいいのではないだろうかということを皆さんが合意なさるなら、そのときはかなり手を打つのがゆっくりできるなということで、2050年で15Gtぐらいまでいって、それから落としていくという手も考えられます。ですから、危険なレベルをどうとるかといったことが一つの論点になっていくかと思われます。
(パワーポイント)
 そこで我々は日本がどれだけ減らさなければいけないかということを3つの不確実性を考慮して考えてみようということで、先ほどの究極目標2℃、2.2℃、2.6℃、これは ppmに対応するので余りレギュラーではない区分になっておりますけれども、これくらいの幅を見たらどうか。一方、モデルの不確実性、これは気候感度という言葉であらわせますが、大体今のところ2.6ぐらいがIPCでも大体の中央値(どういう意味をもっているかわかりませんが)です。いろんなモデルの平均値みたいなものがその辺にある。3になりますとかなり高めに温度が出るとかいろんなことがございますので、これくらいの幅で考えてみよう。
(パワーポイント)
 そして最後に世界でこれだけ減らすといったときに日本はどれだけ分担しなければいけないか、これは太田先生の方でやっていただいているわけですが、いろんな分担の方法がある。そして日本が非常に不利になるといいましょうか、たくさんの Burden-sharingをしなければいけないケース、あるいは少ないBurden-sharingで済むケース、あるいは当初は低くてあとでうんと出していいとかいろいろあるかもしれません。そういう3つの組み合わせでもっていろいろ計算してみようということになります。
 第1のポイント、すなわち危険なレベルをどういう具合にとっていこうかということについて、現在IPCCではここにございますように、もう皆さんご承知のとおり2℃あたりを中心として1℃だとどうなるか、2℃だとどうなる、3℃ならどうなるといったこと、これは原沢委員の方から提供していただいている分だと思いますが、大体このあたりで1℃から3℃ぐらいのことを考えておけば、そのセンシティブティ・アナリストはいいかなあなんてことで、2℃を一つの感度解析の中心に、出発点にしたらどうかということで、第1の要因についてはこれぐらいの幅をとる。
(パワーポイント)
 第2の要因、これは気候モデルの不確実性でございますけれども、これも先ほどの数字でお示しいたしましたようにいろんなモデルを、それぞれのモデルがパラメーターをふらして計算し、それを全部このグラフに集めてみたものがこれですが、今、2.6と申しましたけれども、そんなものあるし、うちのモデルは2.9だったか、ちょっと多めになっていたでしょうか、そういうことでこの図からいえますのは、1℃以下というのはないにしても下手するとむしろ高い方に尾を引いていることがわかります。それを適宜3つぐらいに分ける。
(パワーポイント)
 それからBurden-sharingにつきましても市場経済重視シナリオ、あるいは多国間協調主義シナリオ。市場経済重視シナリオといいますのは経済的効率を重視して安いところで出来るだけCDM等々で削減しようなどということです。多国間協調主義シナリオというのは、大体一人当たりの平等性みたいなのをちょっと念頭におこうという考え。一方、このまま放っときますと勢力均衡シナリオでみんな勝手なことを始めるようなシナリオもございますが、こういうことは論外だということで一応考えない。で、この上の2つのぐらいのところの幅でいろいろ考えてみて計算します。
(パワーポイント)
 この計算の例でございますが、2℃、2.2℃、2.6℃といった目標の方を変えてみたときにどうなるかということで、あと2つは書いてありませんけれども、その2つのそれぞれ一つ一つをとってやったという例であります。こうやって計算してみますと、この断面では2020年ぐらいでも結構減らさなければいけないと、2050年ではやっぱり65乃至85%ぐらい減らさなければいけない。ほかにもいっぱいこういう絵がそういう3つの組み合わせを変えますと書けるわけですが、全体を見たところ大体この60から80%削減という削減目標は妥当といえる。
(パワーポイント)
 このケースを先ほどのケースなのですけれども、それを各国ではどういうBurdenになるかなということを計算しますと、インドとかアフリカとかまだまだ出していい、中国もまだいいというのもありますけれども、先進国は大変だなとかそんなことが出てきまして、いろんな組み合わせがありますけれども、これを表にして眺めてみようというのでやってみると、6、7、80%ぐらいのところがやはり妥当かなということであります。
(パワーポイント)
 ご承知のように欧州においては既に60%削減を欧州等でやるとか、いろんな国がそういうことを宣言しはじめているという状況でありますし、あるいは今までいろんな研究がそういうことでなされているわけでございますけれども、そのとき日本に幾ら減らせといってきているかということを見てみますと、例えば450 ppmぐらいのところで見ますと、マルチステージアプローチだと80%減らせるとか、convergence、一人当たり一人に必要などとなると70%等々、いろんなことをこうやって眺めてみますと、やはり日本は70%ぐらいは減らせなどというのがだんだんと、何というか基調になりつつある。
(パワーポイント)
 第1の結論でございますが、結局どうも日本はこの60乃至80%減らすということを考えに入れなければいけないなということであります。ここにありますようにそう腹を決めればあとはもうやれるだけやってソフトパワーを増大し、リーダーシップをとっていく方がいいのではないかということがありますので、そういう目標でいったらどうかということであります。
(パワーポイント)
 2つ目の話題に入りますが、それでは我々のBack castingはどうやっていくか。ここで書きました絵は我々は2050年のロングタームの対策を見てさかのぼって計算するのですよということをいっているのです。これはちょっと誤解をもたらす図です。これはあくまでも二酸化炭素を減らす、温室効果ガスを減らすという断面だけの話で、実はこの断面がもう少したくさんあって、それが望ましい社会、それはGNPかもしれませんし、あるいは文化的な何かもしれません、いろんな意味での断面が本当はこれに平行していっぱいあるのですが、そういうものだという具合に思っていただきたい。
(パワーポイント)
 シナリオを構築するのが次です。これは1つだけ見ていただくとすると、差し当たり一番下のところなのですけれども、CO2のことを考えないで2050年はこんな社会にしたいなということになったときに、それではそういう社会を満足するエネルギーの量とそのときの構成はどうなっているかなどということを調べるためには一般均衡型経済モデルを使って産業構造をちょっと見るというようなことをまずやりまして、そしてその姿が見えたときにそれをどういう形でそのエネルギーを配分していけるだろうか、本当にそういうことが可能だろうかなどということをいろいろと検討しようということであります。
(パワーポイント)
 その望ましい社会といっても本当にいろいろ千差万別、皆さんそれぞれ違うわけでございますが、我々もいろいろ検討をしましたけれども、IPCCみたいに4つにすると面倒くさいということもありまして、2つぐらいの幅で考える。そうしたときに、やや急ぎ気味みの活発な社会(左の方でAといっている)、一方、もう少しゆっくりした社会、これは皆さんがそういう社会を望むかもしれないということもありまして、その2つぐらいをちょっと念頭において考えようということで、将来のビジョンの姿をこういうものかなと描いてみる。
(パワーポイント)
 それが経済産業に対する意味づけというのはどういうものかといったことを考えてみると、シナリオAでは多分一人当たりの経済成長率は非常に高いだろうし、技術進歩もガンガンいくだろうと。それから市場としては規制緩和でグローバリズムのところに大分いっているというようなことが与えられた。一方、シナリオBの方は多分このGNPといわれる数字であらわしたものの成長率は低いだろうし、それからシナリオAほど技術進歩は高くないかもしれないといったことがいえる。それから農林業は回復し復権するとありますが、こういった産業構造を念頭において最終的な姿を、CGMで計算してみる。
(パワーポイント)
 その結果、何度も申し上げますが、温暖化であろうとなかろうとそんなこと関係ないのですが、そういうゆっくりした社会、急いだ社会の2つで産業の構造がやや変わってくることがわかります。一番右側がサービス産業です、サービス産業はいずれにしても伸びる、しかしサービス産業の伸び方が水色(A)と、赤(B)では違う。すなわちサービス産業の中身はちょっとよくわからないのですけれども、これは非常に伸びる。それから小売などを見ていただきますと、小売業もAの方が盛んですし、それから農業は、いろいろ農業の方はやらなければいけないといわれても余り差はないなといったような構造がわかってまいります。
 このほかに例えば伸びから見ますと伸びの違い、生産額のシェアというもので例えば見ていただきますと、この右上の方にあるのがサービス産業なのですけれども、公共サービス、その他のサービスという具合に書いてありまして、それがいずれもこれはシナリオAの場合では大分伸びていくねというような、先ほど私が申し上げたようなことが見えてきます。
(パワーポイント)
 これは途中経過ということでありますが、次のステップに入りますと、そういう産業構造が見えていきますと、一番左の方にそれぞれの部門の最終的な消費あるいは付加価値といったものがわかってくる。それを満足させるようなエネルギー、活動量が出てきます、その活動量を満足させるような技術システムはどういうものだろうか。需要側でどういうものがあるか、ということでエンドユースの技術シェア、これは我々は400―600ぐらいの技術に対するデータベースを持っておりまして、そのデータベースの中でこういう技術が将来どのくらい伸びる可能性があるか、技術進歩はどれだけあるか、省エネはどれだけになるだろうか、コストは幾らになるだろうかといった将来見通しをもった技術のハンドブックがありまして、その中から引っ張り出しまして一番活動量を満足できるようなエネルギーの構成はどんなものかといったものを出してきます。
 一方、今度はそういう需要が決まっていきますと、右側の方のエネルギー転換技術についても同様なデータベースを用いて最大の効率を出すようなものをやっていく。そうすると、需要側と供給側でマッチングができてエネルギーバランス表ができていく。そのエネルギーバランス表を計算しますと温室効果ガス排出量が計算できる。
(パワーポイント)
 さて、こういうものをある程度専門化の見解を入れながらやっていきますと、シナリオAでどれだけ減らせられるだろうか、シナリオBでどれだけ減らせられるだろうか、そのときの技術の構成はどうだろうか、需要側でどれだけやっていかなければいけないのだろうかなどということがわかってきます。そしてここで70%削減する対策オプションの検討シナリオAという社会を実現したときに、果たして70%削減ができるだろうか、できるとしたらそれはどういうところでできるのだろうかといったことが集計されております。
 これで見ますとシナリオAでもできると、むしろシナリオAはできるといった方がいいのかもしれませんが、多分これは技術で何とかいけるだろうと、そのときに一番右側に……左の方にはどこで減らしたかというのがあるのですが、右側の集約したのを見ますと需要の削減で40%ぐらい減らせられる。それからCCSも結構頑張ってもらわなければいけない。それから真ん中のエネルギー効率の改善78%とありますが、これにも結構進歩がいる。
(パワーポイント)
 これに対応しまして、もう一つシナリオBだとどうなるか。このAとBの違いをこうやって見てみますと、やはりBの方は需要削減の方でライフスタイルだとか、省エネの方で減らすということが期待されますし、それからCCSは入っても入れてもいいのでしょうけれども、入っていないところで炭素強度の改善というところに非常に尻を持ち込んでいるというようなストーリーだということがわかります。いずれにしましてもA、Bで今の技術の進歩をある程度無理して仮定していけば何とかできるのではないかといったことが結論されます。
(パワーポイント)
 これはシナリオによる削減要因の違いということで、先ほど私が申し上げましたように、シナリオAの方だとハイブリットというようなものを考えに入れていこうなどというシナリオになりますしょうし、シナリオBの方だとむしろ需要側でのエネルギー転換、ハイブリット自動車のバイオマス利用の拡大等々といったことが上がってくるなということで、そういう分析ができるということです。
(パワーポイント)
 そして結局、最後の最終エネルギー需要の構成はこうなりまして、今申し上げたことですが、それに対応する一次エネルギー供給の構成、これはまだ十分できていないところがありまして、やればできるところもあるのですが、ちょっと方法論的に難しい、なぜかといいますと、原子力なんかですと初めにそういう路線を決めないとどんどんいかないわけで、途中でバッと切り替えるなんていかないわけですね、バイオマスにしても相当これから輸入していかなければいけない、そういう体制がうまくできているかということで、多分路線の違いによって大きく変わってくるのではないかということもありまして、この最適化計算といった形がいいのかどうかといった問題が残っているのですが、今ありうるもので構成しようと思ってもできなくはないなというのが、この最後の結論です。そういうことで2つ目の疑問、すなわち望ましい社会を低炭素で位置づけすることはできるだろうかという質問に対しては、できなくはない、できるといったことであります。これはこれまでの技術進歩等々を考えたときに、一体どこまで我々はそういう技術を使えるだろうかということを検討するための調査でございます。
(パワーポイント)
 さて、ここで2つめの仕事は終わりまして、全国的に見たときに何とかできるという結論が出たのですが、そんなことをいってフィジカルプランとしてはどうなのだろうかという疑問が当然出てくるわけです。そうしますと国土利用であるとか交通だとかそういうシステムが今の推移に合うだろうかということを計算しました。これは花木先生にお願いいたしまして、将来この人口が右と左、Aのシナリオの方は多分都市集中だし、Bの方は分散型になるだろうというようなことを検討していただいて、そのときに世帯数、人口の推移がどうなるかということを計算していただきました。そしてそれの一方で典型的な都市がどれだけ省エネできるだろうか、これは規模によるだろうし、あるいはその土地が温かいか寒いかで大分変わってくるのではないかということもあって、代表的な幾つかの都市について省エネの可能性について検討していただきましたところ、結構札幌市でも世帯数が23%ぐらい減る。
(パワーポイント)
 これでCO2の変化になりますが、これも想定された技術を入れていったりすると、それぞれではできると、しかしこれを集約したらうまく一つの日本国全体の数字が出るかというと、まだそこまではいっておらないということであります。
(パワーポイント)
 交通についても同様にやっていきますと、今の交通の分布からいうと、将来乗用自動車は頭打ちになってCO2もそうなっていくというのですが、ここにいらっしゃる森口さんがこれをやっていただいたわけですけれども、右側の絵で見ますと、CO2をたくさん出しています。僕は一生懸命自転車に乗っているのですけれども、そこはいくらやってもだめなので、やっぱりこの右側の水色の普通貨物のあたりの長距離を走っているのをどうモーダルシフトしていくかなどということが大切だということがこの絵からは出てくる。
(パワーポイント)
 全国で一体どこが自動車で走り回らなくてはいけないかというと、北海道東部の赤いところは自動車以外はもうとてもじゃないけれども使いものにならないというところがあります。
(パワーポイント)
 そういう具合に集中されたところと分散されたところをどこでどれだけ減らしていくかという目標を立てましてどんどん減らしていくということを考えていただいておりまして、いろんな手があるということは申し上げませんが、地域特性に応じてどうやって減らしていくかということをやっていただきまして、技術で−55%ぐらい減らせられる、あるいは技術とそれから需要側のモーダルシフトと比べていきますと、まあ、何とか70%ぐらい減らせられるのではないかというような結果も得られておるということであります。
(パワーポイント)
 もう一つ、我々はIT社会ということをこれからどうなるかということでお願いして東大の藤本先生のグループでやっていただきましたが、2020年までは何とかそのプラスマイナスがわかる、あるものはプラスに効き、あるものはマイナスに効くということなのですが、2050年になると、とてもじゃないけれども……藤本先生の表現でいいますと、ドックイヤーでいうと4倍としたら、50年なんていうのは数世紀先の話でそんなものわかるわけないといったことで、そこまではちょっとどうしようかということで、今方法論で頭を悩ませているというところであります。
(パワーポイント)
 今わかったのは2050年では可能だよと、2020年でも可能だとわかった、そしたらそれはどういうつながりでいくかということについては、それをつなぐBack castingモデルをつくっていかなくてはいけませんし、そしてそれができたときに初めて我々が政策を検討するためのツールができたということになるかと思います。
(パワーポイント)
 これまで得られた主な結果でございますが、一番最初に申しましたようにどうしても減らさなければいけないということ、それから頑張っていけば需要側と供給側で何とか減らせられるだろうと、しかしながらこれをやるには相当無理をしているなということがわかって、では、これを無理を承知でどんどん押さえ込んでいくような政策というのはどういうものがあるかということを今後考えていきたいということであります。
 最終的に出したいメッセージとしては低炭素社会は国力を落とすことなく実現可能であると、低炭素社会へ向けた早期の構造改善の方が国際競争力を増すことになるのではないかと、国民の生活はより豊かになるだろう、そのためにはこれこれしなければいけないなということを皆さんのご協力を得てやっていきたいというのが現在の状況でございます。

○安井座長 ありがとうございました。非常に多岐にわたりましてというか非常に豊富な内容をご説明いただいたと思いますが、多分質問しはじめるとこれだけで1時間ぐらいかかってしまうような気がするのですけれども、どういたしましょうか。
 これからおそらく今までのとおり3人の方にご発表いただきまして、3人とも経済関係ということでございますが、とりあえず二、三件の質問をいただいて、それで移らせていただきますか。何かご質問があれば……では、沖先生どうぞ。

○沖検討員 この中でエネルギーの価格もシュミレートの結果が何らか入っていると思うのですが、それはどんなふうになっているのでしょうか。

○西岡主査 増井さんに言っていただいた方がいいですね。

○国立環境研究所 国立環境研究所の増井です。モデルの方を担当しているのですけれども、エネルギーの価格はいろんな予測、見立てがありまして、最近ですと原油1バレル70ドルを超えたという話もあるのですけれども、この計算の中ではIEAの将来の長期見通しをもとに設定しています。見通しは2030年までなのですけれども、30年までは予測データをそのまま使っております。それを外挿するような形で2050年まで設定しています。

○沖検討員 2030年の価格は幾らなのですか。すみません、知らないものですから。

○国立環境研究所 すみません、ちょっと正確な数字は忘れたのですけれども、100ドルまではいってないです。最近の原油の上昇というものは反映されていませんので、感覚からいくとかなり低い想定ではあります。

○沖検討員 わかりました、ありがとうございます。

○安井座長 ありがとうございました。ほかに何かございますか、どうぞ。

○川島検討員 今の趨勢の中で格差社会とかいうのが大きなキーワードになっていると思うのですが、IT化とかいろいろな条件から日本の社会が2つに分裂していくのではないかということもかなり懸念されていると思うのですね、この中で地方と東京の比較をしていますが、私は農業に近いところにいるのですが、そういう地方がだんだんさびれていってしまうというような効果というのはこの中では考慮されているのでしょうか。または富が東京に一極集中してくるというような現象は、私はかなり顕著に今もう起こっていると思うのですが、そういうようなことはこの中では考慮されているのでしょうか。

○西岡主査 考慮されていないと私は認識しております。といいますのは、今のところは2つのシナリオということで、それが言葉ではAは急ぎのシナリオ、Bはゆとりのシナリオなんていっておりまして、しかしながら、その具体的なものというのはまだここにできていないですね、これは我々も非常にしっかりとやっていかなければいけないことですが、今のところ都市集中型のシナリオと分散型のシナリオ、そしてもし分散型のシナリオでそれぞれに人が張りつくとしたら、どういう形でそれをいわゆるゆとりをもった形でやっていくかということは次のステップの話になっております。それでよろしゅうございますか。

○花木検討員 それは格差を考慮するかどうか私のところでやることになっていて、少なくとも人口の分布はAの方は集中して格差社会なのです。で、問題はそれぞれ格差社会に進んだときにそれぞれの一人の家の中での生活パターンが違うというところまで入れるかどうかということになってくると思うのです。だから経済アクティビティが変わるというところは直接的には入っていない、商業活動をどう割り振るかというところでちょっと考えなければいけないと思っています。

○西岡主査 経済的な格差は入りますか。

○国立環境研究所 そこまでやっていないです。

○西岡主査 そんな状況です。

○森口検討員 ちょっと格差ということとは異なるのですが、交通の方を担当しているのですけれども、きょうのスライドを見ますと後ろから2ページ目の上の方のスライドに幾つかの違うパターンの社会書いているのですが、例えばその自動車依存度ということからいえば地方の方が非常にやっぱり自動車依存が高い。だからそういうところは計画的に撤退するというようなシナリオがありうるのであれば、むしろそれは積極的に削減できるようになるのですけれども、そういうのを社会が受容するかどうかは別として、減らすためにはこういうことの方がかえっていいのだということは多少は考慮しているという状況です。

○細田検討員 すごくテクニカルな質問ですけれども、一般均衡モデルですよね、これ。多分ダイナミックに説いていると思うのですけれども、投資関数はどういう投資関数を想定しているのでしょうか。

○国立環境研究所 このモデルではダイナミックに説いているわけではなくて、本当に2050年だけを考えております。2050年のその労働力、2050年に想定される経済成長を満たすためにどれだけの資本ストックがあるのかということを考えまして、2050年の社会像だけを描いていますそのあと、その2050年を満たすために dynamic optimization モデルを使ってどういうふうな投資をすればいいのかというふうなことを検討しております。

○細田検討員 わかりました。でも、一般均衡ですから投資は入っているわけですよね、その スタティックに。

○国立環境研究所 はい、スタティックに入っております。

○安井座長 多分きりがなさそうに思いますが、おそらくこれで2050年が実現できる、2050年はこういう社会が実現できると思うのですが、おそらくこれから3人の方にそちらに向かうドライバーというのは何なのかとか、そちらに向かうべきインセンティブというのはあるのかないのかとかですね、そういうようなお話が多分うかがえるのかなと思いますが、それは3人の先生方の発表をうかがいましてから、また議論させていただきたいと思います。ということで、ありがとうございました。
 それでは続いてまいりたいと思いますが、まずはこの2050年モデルの担当をされております太田先生からご発表をいただきたいと思います。

発表2.国際政治と超長期ビジョン

○太田検討員 それでは、私のきょうの報告を始めさせていただきます。環境省の方からいろいろご注文を受けまして、あれもやれ、これもやれと言われましたのですけれども、(笑)なかなか一人ではできないということで、私はどちらかというとマクロな政治という観点から国際政治と環境の関連、特に持続可能な開発というところでの接点を見つけたいと思います。そして私のあとに明日香先生がミクロ、いわば地域の、アジアの環境問題等々含めたややミクロな話、より詳細な話をしていただくということで二人でちょっと分業させていただきました。
(パワーポイント)
 話の内容は、初めにごく簡単に一つの表を見ていただくことで現在の国際政治の長期予測、forecastingですからこの検討会の趣旨とは違いますけれども、現状の主な議論を簡単に紹介させていただきます。そもそも国際関係論(ここでは国際政治と同義として使用)は、特に、第二次世界大戦後体系化されましたので、戦争の原因、紛争の原因究明という一つの大きなテーマを学の基本的なテーマの一つに掲げていますので、(長期予想の)次に、国際関係論と環境問題の関連で、資源・環境問題と紛争の因果関係的な研究を少し紹介します。ただし、ほとんどの地球環境問題は長期に渡る問題であり、この資源・環境問題と紛争の観点から扱う問題とはちょっと性格が違うので、その違いに触れさせていただいたあとで、グローバル・ガバナンスという概念について若干解説させていただきます。この概念は、90年代初頭から広く使われ出したのですが、一種の学問的流行語で終わるのかなと思っていたのですけれども、意外に国際関係論の中でも理論化が試みられていて、グローバル・ガバナンスというタイトルでいろんな本も、あるいは雑誌の刊行も95年から現在まで続いていますし、イギリスあるいはドイツなどのヨーロッパ諸国等々そして日本でも、グローバル・ガバナンスコースが大学や大学院でかなり開講されてきています。
 この概念の意義を簡単にいうと、国際社会に中央政府が存在しない中でどのように国際的な問題、グローバルな問題に対処していくかということで、この国際政治の一番中心のクエスチョンというかテーマに関してこの概念が使われています。そして、私なりの超長期ビジョンの提示に関して、現在もう既にあるビジョンの紹介とより理想的なあるいは理念的な面からの世界観をビジョンの基本にすえ、そして最後にまた現実に戻りまして、現在の地球環境ガバナンスの実態というか構造を簡単に紹介して、今後の課題というふうに話をまとめさせていただきます。
(パワーポイント)
 このスクリーンの表中の文字は小さすぎますので、お手元の資料を見ていただいた方がいいいと思うのですけれども、主な国際政治あるいは国際関係論学者の主著をサーベイし、それをごく簡単に表にまとめたものです。これはモデルスキーとトンプソンによって書かれた論文の中に掲載されていまして、非常に便利なのでここで使わせていただきました。全部を詳細にお話することはできませんが、ケネス・ウォルツという国際政治学者がこの表に載っていますが、彼は現実主義者のリーダー的な存在の思想家で、国際政治は主権国家を基本単位としたパワーの支配の世界だということで、各国間のパワーの違いによって世界的な政治構造も決まっていくという考えに立脚します。そして、彼の21世紀の世界のイメージというと、核大国による多国間体制が続くのだろうと、また、このモデルの主たるドライバーというか推進力というのは、勢力均衡でいくのか、あるいは勝ち馬に乗る (bandwagoning)か、つまり強い方に相乗りするか、という選択であるというわけです。現実主義者が想定するアナーキーという世界は、中央政府が存在していない社会で、そうした国際社会にあって競合する国家同士がどのようにこの自助努力の体系の中で生き残るか、という世界状況のなかで各国はいろんな同盟関係を結んでいくと。ただし、ウォルツは世界経済については特に議論していない。彼による紛争の予測ですけれども、核の第二迎撃能力があるところではもう核戦争はないだろうということで、大国間のあるいは大国の同盟間の戦争はないだろう。また、グローバルな問題のアジェンダは特になし、あるいは議論なしということです。そして、将来的には、彼の考えでは、米国対その他の対抗しうる国という国際政治状況になるのではないか、ということです。
 サミュエル・ハンティントン、皆さんもご存じだと思われる『文明の衝突』で有名なハーバード大学の先生ですけれども、彼の20世紀の世界イメージは地域・文化間の分裂状態で、その推進力は文化的親近感というものです。経済に関しては特に議論なしで、紛争の予測は当然、文明の衝突あるいはその脅威であるということになります。グローバルなアジェンダとしてはこの文化の同一性なり卓越性という問題、それにどのように対処していくかというようなことですね。で、将来的な世界の対立構造は西洋対イスラムあるいは中国文明圏ではないかと。なぜか日本が日本文明といわれているのはちょっとくすぐったいような気もしますけれども、日本も彼が挙げている8つぐらいの文明の中に入っています。
 その次にモデルスキーとトンプソンの考えは、この表の中で扱われている論者の中で一番中庸的なあるいは折衷案的なモデルを提示しているのですけれども、モデルスキーという学者はこれまでずっと長期的な政治変動のサイクル論を論じている方です。以前からある経済的な好不況のサイクル論を踏まえて、政治にもそうしたサイクルがあるのではないかということです。コンドラティエフの経済好不況の50〜60年のサイクル論というのをベースにという感じです。また、モデルスキーは社会進化論的な考えをとりまして、人間社会には学習能力があるということで変化する国際情勢に対応する制度づくりというのはできるのだと、その文脈で進化とか情報・革命・民主化、それから世界的な世論というのも非常に重要な推進力であると。で、2000年から2026年ぐらいまで高度成長はするのではないかと。彼は、特に、50〜60年のスパンで何か大変化があるということで2026年から2050年の間にマクロな変化があるのではないかと、これは1000年ぐらいの過去の事例をいろいろ見て、ある規則性を発見してこういうことが言えるのではないかということです。そこで、モデルスキーにとってのグローバルな問題のアジェンダとしては先ほど言いました学習ということが人類には可能ですので、統合に向かってあるいはグローバルな組織化というのを目指すのではないか。ただ、問題はそのグローバルな変化に人類社会がついていけるかどうか、それに間に合うようにうまい体制づくりができるかどうかというのが大きな課題であると。また、将来の世界状況としては、民主的な共同体の内外の連合はありうるだろうと。
 ケネディというのはポール・ケネディで『大国の興亡』を書いた人ですけれども、彼の21世紀の世界イメージは大混乱の可能性もあるということで、主な変数は人口統計なり技術の変化で―日本などは少子化が進んでいくにしたがって、ロボットの活用がもっと進むだろうとかいろんな細かい議論も多少していますけれども―、あとは不均衡な発展という問題、経済拡大はこのような条件を前提としていると。紛争の予測は高いだろうと。また、グローバルな問題としては人口問題、世界的発展の不均衡あるいは環境問題などです。ただし、彼は政治的なことには余り言及していません。
 フランシス・フクヤマですが、彼は『歴史の終焉』という著書で世界的に知られていますが、元アメリカの国務省の役人だった人です。現在、学者として活躍しているのですけれども、彼のモデルの推進力としては技術変化とか自尊心(self-esteem)です。そして、彼の議論の核心に従えば、民主主義が共産主義に勝ったということですから、もうこれで民主主義の平和ということで紛争は起きないだろうと、かなり楽観的な見方をしています。したがってグローバルなアジェンダも特にないということで、連合/提携というのも議論もしないということですね。
 イマニュエル・ウォラースタインというのは世界システム論で有名で、やや左寄りのマル経の考えをもつ人ですけれども、世界は二分化、富める者と貧しい者との二分化が進んでくる、さらにそれは激しくなるだろうと。モデルのドライビングフォースは資本の蓄積とか不均衡な発展で、世界的には経済拡大が続き、紛争の機会はかなり高まるだろう。また、グローバルなアジェンダとしては福祉とかプロレタリア化、民衆のさらなる無産階級化ということですかね、それと環境問題。なぜか彼は、日・米・中の連合に対して西欧・ロシアが対抗するような将来の世界政治状況を想定しています。
 さらに詳細を説明するほど私も準備していませんし、時間もありませんのでこれぐらいしますが、以上が国際政治の質的な長期変動予想というか一般的な将来イメージです。残念ながら、環境問題というものを主テーマとしている国際政治学者はまだまだ少ないということです。
(パワーポイント)
 次に、紛争の原因に環境あるいは資源の枯渇問題がなりうるとしてどのようなケースがあるかということ、あるいはどのような仮説が成り立つかということで、これはホーマー・ディクスソンという学者とその研究チームがいろいろ研究しているのですけれども、特に暴力的な紛争につながるようなものを。彼の概念は「環境の希少性」、資源の希少性に類して “environmental scarcity” という言葉を使っているのですけれども、主に対象になるのはここに書いてあるような農業用地の土壌の劣化とか喪失、あるいは森林の破壊とか喪失ですね、あるいは淡水供給量の不足による水の奪い合いという可能性や水産資源の枯渇などです。
(パワーポイント)
 いろんな仮説が考えられて3つぐらいの主な仮説、これをいちいち説明することはできませんが、資源枯渇型紛争仮説、グループ・アイデンティティー紛争仮説とか経済的損失(起因)型紛争仮説といろいろあります。
(パワーポイント)
 主な変数、とりわけ、独立変数としては環境の変化、人口増加あるいは社会的に不平等な資源の分配です。ちなみに、従属変数は暴力的な紛争です。
(パワーポイント)
 資源争奪から始まってアクセスが悪くなって環境の希少性が進むというものと、あるいはもともと人口が増えて不平等な資源へのアクセスから再生可能な資源量の減少とか質の劣悪化ということで、環境の希少性が増大するというような形でいろいろ組み合わせて、上述の3つの独立変数が環境の希少性を生じさせるということで、環境の希少性という変数は介在変数として捉えられています。
(パワーポイント)
  要するに、独立変数の状況をさらに促進するという形で紛争を助長するのではないかと、それが社会的な影響を及ぼして国境付近での移民の排除につながるとか、あるいは経済的生産性の低下を招き、さらに、そうしたことがお互いに作用しあって国家の弱体化を招く、そうして弱体化してくると民族的な紛争が押さえられなくなってしまうかもしれないし、国自体がクーデターによって統治能力を失ってしまうかもしれない。さらに国家弱体化ということでより資源争奪紛争が起こるかもしれないという、このような急進的で激しい紛争が起こるような資源の枯渇あるいは環境の枯渇(environmental scarcity)ということで、いろんな事例がこの仮説に基づいて研究されています。中南米、アフリカの事例等の色々な研究があります。河川に関わる事例だけ見ても、たとえば、チグリス・ユーフラティス川はトルコを上流にしてシリアとかイラク、そしてクウェートを流れますし、ナイル川やメコン川など多くの国際河川が存在していますしので、国際的な紛争の潜在的な火種をかかえている地域は多いということです。
(パワーポイント)
 これらの環境の枯渇が紛争に発展するというときに言及される環境問題は、私の理解ではいわば急性疾患という感じで、すぐに対応を要するような環境問題です。ところが環境問題には気候変動問題、成層圏のオゾン層破壊問題、あるいは生物多様性の喪失問題のように、一般的に、長期的な影響がじわじわ出てくる問題で、すなわち、急性疾患患者のようにすぐに症状があらわれるものではなくて、成人病のようにじわじわと健康がむしばまれてくるようなものもあります。たとえば、糖尿病等々の現代病、成人病のような症状をあらわします。こうした長期的に影響が徐々に顕在化してくるような環境問題に対しては、すぐに悪影響がみてとれませんので予防対処的な方法しかないと、したがって、これらの症状を早めに予知し早めに対応していくということが必要ですが、根本的な解決のためには経済・社会構造の大変革なり市民のライフスタイルの見直しが欠かせないということです。
 以上、単純な見方ですけれども、環境問題と紛争に関する国際政治論の基本的なテーマにある程度即した見方です。しかし、こうした認識の枠組みを超えて、我々はグローバルな環境問題をどのようにとらえるかという課題あるいはテーマを設定できます。そこで、グローバル・ガバナンスの話に移りたいと思います。
(パワーポイント)
 先ほど冒頭にお話ししましたように、国際政治あるいは国際関係論の大前提としてはアナーキーな社会であると、それはどういう意味かというと国際社会には中央政府は存在していない、国連は一国の政府のように権限もないし行政能力もないし、十分な予算もないということで、(世界)政府ではないということです。そして、現在の国際社会の基本構成単位は主権国家で、この主権国家より上位の権威は認められていないということです。これは1648年のウェストファリア条約から現在まで綿々と発展してきた主権国家間の共存の原理でありまして、第一次・第二次世界大戦を経ても根本的には変わらなかった国際政治システムの基本構造原理です。
 もちろん、人権という新しい概念というのがこの国家主権に対抗する原理としてかなりその重要性が今日的にも認められてきていますけれども、まだ依然としてこの主権国家という権威を超える権威は存在していないということで、主権国家がお互いの政治的独立と領土保全を認め合うこと、そして内政不干渉の原則が国家共存の大原則になっています。ただし、コソボとかソマリアとかルワンダの事件を見ましても、大規模な人権侵害が行われているときに、それを国際社会として座視していていいかどうかというのは大きな問題でありまして、「人道的介入」という武力あるいは軍事力を使ってもそういった場合は主権国家の内政への干渉が許されるのではないか、というような議論も多く聞かれるようになってきました。これは今まさに議論されているところで、国際法的にはまだまだその原則は確立されていません。ただ、最近よくいわれているのが “responsibility to protect”、つまり、「保護する責任」ということもいわれ出して、もう少し積極的に人道的介入を正当化しようという議論も出てきております。こうした文脈で、国際社会には中央政府は存在していないという状況下、どのように越境する国際的な環境問題あるいは地球規模の環境問題に対処していくか、ということが国際政治でも大きな課題になっています。
(パワーポイント)
国際社会はこれまで、皆さんすでによくご存知のように、大きな国際会議を開きましてその都度、国際的な原則なり特定の環境問題に関する国際的な条約等々も設立させてきました。私が冷戦時代にアメリカの核戦略等々をアメリカの大学の大学院で研究しているころには全く想像できなかったような形で、環境問題についての国際的な会議が開かれ、しかも気候変動問題や生物の多様性条約などの国際条約が締結されたということは、まさに画期的なことで、確かに冷戦が終わったということをある程度如実に示すいい変化だったと今にして思います。しかし残念ながら、1991年の湾岸戦争、世界各地でのテロの多発、9.11、アフガン戦争ならびにイラク戦争以降、また冷戦時代のような「国際的精神状態」にちょっと逆戻りしてしまったなという感じで、もう少し将来を見据えた国際的な議論がなされればいいなという気はしております。
(パワーポイント)
 地球環境問題を含め多くの国際的な環境問題に関する条約あるいは二国間の環境条約も含め、一体世界にどれほどの環境関連の条約が存在しているのか、正式に数えた人はあまりいないと思うのですけれども、約200〜300以上の国際的な環境条約があるといわれています。これは主な地球規模あるいは越境する環境問題に関する条約の一覧です。こうした国際条約があってそれなりに国際的な対処方法なり体制も部分的ではありますが、特定の問題領域に限られていますけれども、つくられてきているということです。
(パワーポイント)
 そこでもう少し包括的にこうした国際的な問題に対処する必要があるのではないか、環境問題だけではなくて人権問題あるいは小火器拡散の問題、核拡散の問題等々です。そこで、冷戦の終結した1990年代初頭、国連を中心にグローバル・ガバナンス委員会というのが設置されて、95年にOur Global Neighbourhoodという報告書を出しています。緒方さんもこの委員会の委員の一員であられました。この報告書には国連の改革も含め、いろいろ書いてありますが、同委員会の報告書の「ガバナンス」の定義を簡単に紹介しておきます。色々と書いてありますが、要するに、個人も機関も、私も公も、あるいは国家だけではなくてNGOも市民も多国籍企業もいろいろ国際的な問題に参画する必要がある、ということです。
(パワーポイント)
 ちょっとこれではわかりにくいので私なりにかいつまんでガバナンスとは何かということを、まず、ガバナンスの形態から説明しますと、先ほど申し上げた主権国家間のガバナンスの形態というのは水平的ガバナンス、条約を中心に平等な関係にある国家が国際合意をどのように履行していくかという、そういうガバナンスであると考えられます。
(パワーポイント)
 もう1つは、各国の国内のガバナンスを想像してもらえればいいのですが、垂直なガバナンスがあります。これは上から下への統治、下から上への問題提起なり等々できますけれども、国際社会には基本的にこういう垂直的なガバナンスは存在していませんが、国内では垂直なガバナンスを利用しながら国内で国際的な合意や約束を実施していくことになります。
(パワーポイント)
 あと平行したガバナンス、これは環境と企業あるいは市場メカニズムを使った一つのガバナンス形態として理解できます。このガバナンス形態が意味することは、同時並行的にいろんな取り組みがなされるということです。企業の経営努力として環境に配慮した経営を行う、それをさらに社会的に認知するために民間の国際基準を活用するという実践(ISO14001のようなもの)も普及している。さらに、環境省等々がエコ・ラベルを設定して環境にやさしいものを企業に生産するように促しつつ、消費者にもそれを買ってもらうように仕向けること、これらのことはすべて同時並行的に行われておりまして、これが平行ガバナンスの形態ということになります。
(パワーポイント)
 さらに、現在では政府、企業あるいは国際機関、環境NGO、それぞれが単に対立するだけではなくてパートナーシップを結んでいろいろ環境ガバナンスに参加していこうと、国際機関と企業でいえば国連のアナン事務総長のグローバル・コンパクトという取り組みに日本からもキッコーマンとか富士ゼロックスなどがある程度積極的に参加していて、国連の活動に寄付金を出すとかいろいろしています。最近は企業もNGOも環境関連のプロジェクトに協力するとか、政府とNGOも協力するような局面でいろいろなガバナンスに参加しているということです。
(パワーポイント)
 次に、ちょっとやや学問的な定義というか国際関係論、特に制度論者、リベラルな人たちの議論として中央政府は存在していないけれども国際問題に対処するために制度化が進んでいるという議論を紹介します。この学派は、初めに、国家間のあるいは国際的なある共通利益の認識があって、その共通利益を促進するために規則・原則を打ち立てて、その規則・原則がより実効的なものにするために制度をつくるという形で制度論の議論が展開されます。そこで、レジーム(regime)という用語が使われます。レジームの定義はこのスライドにある諸概念の定義の三番目に書いてあるのですけれども、より限定された問題群あるいは一つの問題領域に対処することを意図したガバナンスのシステムであると、定義されています。
 制度と組織の違いというのをちょっとここに書いておきました。組織というのは政府のように予算があって職員がいて、事務所があって設備があって、そして法人格を持っている法的実体のあるもの。制度は一夫一婦制とか私有財産制というように必ずしもその実体がないものです。
(パワーポイント)
 例えば、国際制度の例として、国際自由貿易制度があげられます。この制度を支える組織として、現在、国際貿易機関(WTO)というかなり大きなしっかりした国際機関が誕生しました。しかしそれだけではなくて、北米自由貿易協定とかラテンアメリカ協定といったレジームや、EU共同体といったガバナンス・システム、そして東南アジア諸国連合―これはゆるやかな連合体ですけれど―などが形成されています。今は世界各地のリージョナルな貿易協定締結国も、国際自由貿易制度を尊重しているから自由で開かれた世界の貿易秩序が保たれるのでしょうけれども、第二次世界大戦以前のようにそれぞれの地域が保護貿易主義にはしって、それが世界規模で蔓延していくと、この自由貿易制度という制度が崩壊していってしまうこともあり得ます。いずれにせよ、以上が制度、レジーム、ガバナンス・システム、そして組織の前述の定義の具体例です。
(パワーポイント)
 レジーム、例えば、オゾン層保護のレジームあるいは気候変動レジームという様にレジームという用語が使われますが、我々の国際政治ではレジームといっても世界史でよく使われるアンシャン・レジーム(旧体制)のレジーム(一国内の政治体制)とはちょっと意味が違いまして、もっと広くとらえている、国際的な制度ということを中心に考えている。ただ、国際レジームの典型的なものは条約とか議定書が中心になるという形で特定問題領域におけるガバナンス・システムを提供しているという話です。
(パワーポイント)
 このスライドでは、組織はどういうものがあるかということを簡単に図式化したものです。
(パワーポイント)
 現実主義者の立場からも、この中央政府が存在していない国際政治状況で、条約の履行というのは基本的には各国による「自己施行( self-enforcement)」に頼らざるを得ないのですけれども、それをより実効的なものにするためにはさまざまなテクニックがあるという議論がなされます。参加へのインセンティブを上げていくとかいろんな方法で条約というのをより守りやすいものにするとか、囚人のディレンマ(prisoner’s dilemma)の状況からチキンゲーム、さらには調整ゲーム、コーディネーションゲームにもっていくためのいろんな方法がありますよということを細かく議論する人もいます。そうした論者の提案をこのスライドに紹介しておきました。
(パワーポイント)
 もう一つ、主体からみたガバナンスということで、中央政府がやはり中心的にならざるを得ないというのは、やっぱり人的あるいは技術的あるいは予算、つまりお金の動員力ですね、さらに組織力がやっぱり一番高いのが中央政府であるので、中央政府が中心になる。しかしそれだけでは解決できない問題が多数ありますので、さまざまなセクターの協力や協同が必要であります。すなわち、民間の営利セクター、公共セクター(中央・地方)、そして非営利セクターという様々なセクター、そして地域、国、そして国家間レベル、いろんなレベルでの多様なアクターによる多層なガバナンスというのが、グローバル・ガバナンスというものをアクターからみた説明になるかと思います。
(パワーポイント)
さらに最近は、利害関係者としてステークホルダーという言葉がよく使われまして、一企業の活動にしても従業員、顧客、取引先、保険会社、投資家、国際機関、メディア、NGO等々がいろんな企業の活動を監視していて、それぞれステークをもっているということで、ただ単に株主(ストックホルダー)と企業、あるいは企業と従業員だけの関係ではなくて、企業活動を広くとらえるという考えが普及してきて、国際的にもそうしたガバナンスの様式ということがいろいろ議論されています。ただ、そうしたガバナンスが民主的に行なわれねばならないということで、その民主的なガバナンスの核心は何かというと、透明性、説明義務、協議、そして補完性の原則、さらに、その代表とか討議、決定、実施に関しても質が問われていまして、例えば、なんらかの意思決定に参加するあるステークホルダーの代表になる人は、特定の政策によって最も影響を受ける人がやはりいろんな意思決定に参加できる機会が多ければ多いほど民主的だし、討議の内容も実質的であればあるほど民主的であるというような形でいろいろ議論されています。
(パワーポイント)
 あと手法に関してはいろいろありまして、規制、市場メカニズムの活用、社会認証制度などがありますが、このあたりは釈迦に説法ですので、こういうものがあるということだけちょっと簡単に紹介します。
(パワーポイント)
 そして最後から2つ目の話で、この検討会の中心的なテーマであります超長期ビジョンに関して、地球環境ガバナンスというものの中でどういうビジョンを持ちうるかということに触れます。私の意見では、すでにこうしたリオ宣言などで―これはストックホルム会議の宣言とほぼ同じ内容ですけれども―既に27ぐらいの原則が提示されていて、人類社会はすでに取るべき行動の原則というのをもう既に打ち立てているという気がしています。さらに持続可能な開発ということで、その行動計画に関しても「アジェンダ21」というのがありまして、問題の詳細な認識に関して、どういう環境あるいは資源問題があるのか、どういうアクターが参加すべきか、あるいはその実施手段というものにはどういうものであるか、というものをすでにいろいろ我々の前にはレイアウトされていると思います。もちろんこれがナショナル・アジェンダ21とか、さらにローカルアジェンダ21にもつながっていて、あとはこうしたものをどのように実施していくかということで―ある程度実施されているものも多いかと思いますが―、今ある問題は実施のところかなと、インプリメンテーションのところかなと思っています。
(パワーポイント)
 これは2050脱温暖化の研究会で、シナリオの基本的な考え方ということで今後の国際政治の動向はどうなるのかということで、ちょっと私なりに考えたものです。
 これは横軸の両極に「社会」と「個人」重視の価値観をとり、右の方に行けば行くほど共同体思考の社会で、その中では平等と公平性が自由の価値よりもより重視される状況を仮定し、左の方へ行けば行くほど個人主義であり、自由の価値がより強調されると仮定しています。縦軸の方は上に行けば行くほど世界主義、コスモポリタンな世界観、下に行けば行くほど現実的なナショナリズム的世界観が強くなる世界を想定しています。我々にとって一番望ましいのは第1象限の国際協調型世界で、将来的には何年になるかわかりませんが、世界政府的なものあるいはグローバルな統治機構、つまりグローバル・ガバナンスを担うためにしっかりとした組織化がなされる世界を想定しています。左の方、第2象限、これは現在、一番支配的な考え方から出現している世界で、経済的合理主義の世界です。この最終的な理念型モデルは完全なグローバル市場ということで、国の国境もなくなったグローバル市場の世界ということで、個人の利益追求が最大限追及できるような競争社会です。
 それに対抗あるいは反抗するのが、ハンティントンの議論にある「文明の衝突」に代表されるような勢力分散型社会です。脱温暖化2050年の方では共生型の地方主義ということで、地産地消型の社会ができるという世界を想定し、この勢力分散型の社会を肯定的に捉え、中央集権的な体制の弊害を克服しようと、例えば、エネルギーの供給体制に関して分散型のエネルギー供給を志向する世界です。第4象限では、ウェストファリア体制の基本構造が継続すると仮定して、今後とも主権国家を中心とした社会が続くだろうと想定しています。
(パワーポイント)
 以上が脱温暖化2050プロジェクトにおいてバードン・シェアリングを考える上で想定した、長期の国際政治構造の変動シナリオの基本的な考え方です。では、持続可能な社会ということでは、どういうあるべき将来的な世界が予想できるかということです。このスライドは、 Nashという人の「倫理の進化」という考えを紹介したものです。人類は自己に関する倫理規定から出発して、家族、部族、宗教、国家、人種、人類、動物―特にペットだと思うのですけれども―まで権利を擁護するような倫理の発展を経験してきたと。あとはさらに植物、生命、岩石、生態系、惑星(地球)、そして宇宙にまで当然発展するのだろうなというところを彼は示唆しています。
(パワーポイント)
 実際の権利の確立の歴史を簡単に振り返ってみても、この図はアングロサクソン的な権利の発展、特に、アメリカ社会での権利の確立過程を追ったものですけれども、自然権から始まって、マグナ・カルタ、最終的に今、自然に関して絶滅危惧種保護法まで権利の概念が広がってきた、さらにこの先がビジョンとしては当然望まれるところであります。
(パワーポイント)
 こうした倫理や権利の発展に関するビジョンに基づいて、先ほどと同じように4つの次元で私なりにちょっとメモ的に提示したのがこの図です。これは単なる思いつき的な考えですので、必ずしも論理的な整合性があるかどうかわかりませんが、持続可能な世界というのがより宇宙的な世界観をもって holisticな見方をもつような世界になり、より持続可能な世界というのが達成されやすいのかなと。反対にすごく原子的な (atomicな)見方、近代主義的な考え方が続いていって、さらに技術革新が進んでいっていろんなことが仮想的な社会、今バーチャルな世界というのがかなり影響力を拡大していますけれども、そうした世界もまず可能かなと。で、分散型になってくると、資源・環境搾取型の世界で、これはもう極力避けたいと(あるいは反対に、地産地消や分散型エネルギー供給者社会の出現も可能かもしれない)。さらに、もう一つ、国家中心の考え方がまだ続くとしたら功利主義的な、資源の管理あるいは有効利用という形の保全主義的な世界が続くのかなというようなことを少し考えました。
(パワーポイント)
 そして最後に、現在の地球環境ガバナンスといわれる、そのガバナンスの担い手はだれか、あるいはその構造はどうなっているかという、それに対する課題は何かということを少しお話ししたいと思います。
(パワーポイント)
 当然、国連環境計画(UNEP)というのが地球環境問題を管轄する主要な主体になるように期待されながら、1972年のストックホルム会議のときにUNEP設立が決定されましたですけれども、残念ながらまだまだ政治的にも財政的にもUNEPは多くの制約を受けています。ただ、UNEP はそれなりに多くの成果を上げてきております。このスライドに簡単に紹介しておきました。しかし、まだ政治的あるいは財政的なサポートが非常に欠如していて、いろんな問題を克服していない。特に予算の面では、最初の20年間でたった10億ドルということですからこれは非常に少ないですね。スタッフの多い少ないはそれほど重要な問題ではないかもしれませんが、残念ながらケニアのナイロビにあるということが、やっぱり余り政治的には有利に働いていない、こんなことをいうと批判を受けるかもしれませんが、余り有効ではないのかなと。なぜかといえばほかの主要な条約の事務局は世界各地にありまして、例えば、UNEPがニューヨークにあればいろんな国際機関と政策協調を行ないやすいかもしれません。これは実際に実地調査をしていろいろ調べてみる必要がありますので、そういうことを少しやってみようかなと思っています。
(パワーポイント)
 それに対して、ではどうするかと、もっと強固な地球ガバナンスの体制づくりが将来に向けて必要ではないかということで、ここで世界環境機関(WEO)とかあるいは地球環境機関(GEO)の設立が必要じゃないかと、その是非論というのを簡単に紹介しておきます。
 まず、推進派の方はたくさんのグローバルな問題があるので、やっぱりWEOのような機関が要るのではないかと、現在のUNEPは残念ながら環境のガバナンスに余り貢献していないということで新しい機関が要るのではないか。さらに、さまざまな多くのレジームがあるのですが、その統一性に欠けるのでWEO等を設立する必要があるのではないかと、そうすれば経済性も効率性も上がるのではないかと。さらに、WTOという大きな機関ができているので、そのチェック・アンド・バランスシステムということでWEOという対抗しうるような機関が必要ではないかと、そういう議論もあります。
 この中で一番現実的だなと思ったのは、すぐにはこういう機関はできないので当面、企画とか予算というようなそういう重要な執行権を握る国際機関があれば、人とかお金をしっかり管理する機関があれば、ある程度いろんな国際的な条約間の政策の調整ができるのではないかということで、地球環境ファシリティ(GEF)に注目している人がいるということです。なぜかというと、GEFは主要なグローバルな環境問題にかかわってきていて、非常に少ないスタッフでやっていて、しかもある程度開かれた意思決定もなされていて、途上国からいろいろ要求があったので理事会にもかなり途上国の参加を認めているということです。こうした現在あるものをもう少しお金の面とかいろんな企画の面で強化していけば、何かよりいいガバナンスができるのではないかという議論があります。
(パワーポイント)
 それに対するWEO設立反対論というのは、それは急に無理だと、徐々に今ある状態から改善するのが望ましいと、しかもWEO/GEOを設立しても、環境問題というのは余りにも多岐にわたっていてしかも数も多いので、一つの国際機関では管理しきれない、統合しきれないということです。さらに、こうした国際機関の設立は野心的過ぎる、できたとしても中央集権的になり過ぎる、北の意向が反映されて南の問題である水の問題、大気の問題、森林伐採の問題等々があまり取り扱われないのではないかという、そういう懸念があります。したがって、このスライドの最後に書いてありますように、大気なら大気問題に関連するレジームを統合したり、あるいは生物なら生物の関係するレジームを統合したりしてクラスターをつくっていって、徐々にそれらを統合していくのが望ましいのではないかということです。
(パワーポイント)
 そうした話の背後にある考え方としては現実的な考え方、制度論者的な考え方、あるいはある程度理想主義的にものをみる考えが反映されているのかなと思われます。
(パワーポイント)
 最後にまとめですけれども、環境問題には急性疾患的なものと慢性疾患的なものがあり、グローバルな環境問題は慢性疾患的な問題である。現在のグローバル・ガバナンスの大前提としてはやっぱり中央政府が存在しないというところから、どのようにガバナンスを提供していくかというところが問題になっている。それが大きな問題であって、レジームの効率化を図る一つの明示的な取り組みであるし、あるいはグローバル・ガバナンスという概念で提示されているように多層なレベルの、あるいは多様なアクターの参加をどのように促して民主的なガバナンスを形成していくかと、それを地球環境問題にどのようにいろいろ応用していくか。あるいはステークホルダーといういろんなアクターの利害関係があることを認識して、そうした利害調整にふさわしい制度づくりをどのようにしていくのか、ということが問われているのではないでしょうか。
(パワーポイント)
 そして持続可能な開発に関しては、私は、もうすでに「リオ宣言」や「アジェンダ21」というようなビジョンはあるのかなと思っていて、それをいかに実現していくのかということが依然として世界的課題として残っていると考えます。また、実施の段階でいかに有効な方法をみつけるかというところがガバナンスの課題かなと思います。
 あとは、倫理的には徐々に動植物の価値まで広がるような、発展するような考え方がビジョンとして折り込まれる必要があるのかなと考えます。
 さらに、現実的な問題として、今の地球環境ガバナンスの構造をどのように改善していくか、どういう方法が一番望ましいのかということが今後とも議論される必要がありましょう。
 どうもちょっと雑駁な議論になりましたが、これで終わります。

○安井座長 ありがとうございました。グローバル・ガバナンスにつきまして多様なご発表をいただいたと思いますが、何かご質問はございますでしょうか。
 どうぞ、沖先生。

○沖検討員 すみません、基本的なことを教えていただきたいのですが、中央政府がないことによる強制力のなさに関しまして、多分言及を避けられたのかと思ったのですが、例えば警察だとか軍隊だとか裁判所と刑務所といった、非常に国家的な強制力がないというのは大変だと思うのですが、そういうことはガバナンスという言葉の範疇からははずれるのでしょうか。

○太田検討員 ええ、残念ながらその強制力を持った国際的な権威が存在していないところから始まるので、初めからそういうのはないというところから始まるのですね。だから国際条約の遵守というのは非常に大きな問題なのです。だから遵守問題をどう解決するかということで、一つ現実的な話としては、とにかく条約に参加させることが第一歩で、国際条約に参加するということはそれだけで国際的な公約を守るということ、それを国際的に表明することなので、それを守らないということは非常に国として恥じるべきであるという、そういう道徳的な側面からの反強制的なプレッシャーがかかるということになります。

○沖検討員 それは条約不履行といった不名誉なことは過去に余りした例はないのですか、例えばこの20年で。

○太田検討員 だからもちろん問題になるのは京都議定書をアメリカが批准しないというときに、それをだめじゃないかと国際機関も国際社会もアメリカ政府に対していろいろ批判をするのですけれども、アメリカに対して強制的に京都議定書を批准させることができないということはあります。ただ、国際条約を批准して守らないというのは、意図的に守らないというよりも能力的に守れなかったということはあるのですね、それは途上国に多い例だと思いますが、約束したのに技術的に守れなかった、という事例はありますけれども、意図的に守らないというのはあまりないようです。ただ、条約にもよるのですけれども、捕鯨条約でしたらアイスランドが脱退するとか、そういう形での不履行はありますけれども。

○沖検討員 ありがとうございました。

○西岡主査 一番最後のところで「官僚や科学者のネットワークが支配的なガバナンス」という話があったのですが、環境に関しましてはかなり知識であるとか科学であるとかそういったものがどれだけ強く一つのパワーとして、ソフトパワーとしてその役割を占めうるのだろうかといったことについて、どのようにお考えでしょうか。ということはUNUも教育をやっておられまして、ICSUの話もあったりで、そういったものがこのところ新しいパワーになってきているのかなということを考えておるわけですが、いかがでしょうか。

○太田検討員 80年後半ぐらいから epistemic community論というのがありまして、知識共同体あるいは認識共同体と訳されますが、この知識共同体仮説では、科学者とか専門家あるいは問題の共通の因果関係の知識をもつとか、特定の規範を共有する人たち、そういう人たちが国際政策ネットワークを形成して、そうした知識共同体のメンバーが各々の国で高いレベルの政策決定者に影響力を行使できるような地位にいる、あるいはそうした政策決定のサークルに入っていれば入っているほど国際協調が高まるという議論です。
 それは事実、地球温暖化の問題に限らずオゾン層もそうですけれども80年代後半からサッチャーとかミッテランとか、日本では竹下総理が急に環境と言い出したのですね、彼らは環境問題に造詣が深かったというわけではなくて、その取り巻きの科学者がそうした問題の重要性を彼らにわかりやすく説明して、政治政策課題に乗せたと、そういう意味ではイギリスのグレンイーグルでのG8 サミットのときにもかなり地球環境問題あるいは開発の問題を政策レベルに上げるようにということを話し合われていたのですが、残念ながらサミット開催中にテロが発生しちゃって、ロンドンの地下鉄とかバスにテロに襲われて、地球環境問題や持続可能な開発問題の議論が余り大きく前進しなかったように見受けられますけれども、水面下ではそうした専門家の影響力は非常に高まっていると思います。あとはだからそれをどのように大衆にうまく伝えるかといいますか、温暖化の問題でもそのリスクをどのようにうまく大衆に伝えるかというところが、科学者と政策決定者の大きな役割かなと思っています。

○安井座長 ありがとうございました。他に……いっぱいいますね。
 それでは、原沢先生どうぞ。

○原沢検討員 関連の質問ですけれども、オゾン層の問題は各国が一致団結してオゾン層の条約あるいは議定書になったわけですけれども、温暖化の場合は最初の10年は非常に各国が緊急性を感じてすぐ動いたわけですけれども、そのあとアメリカの離脱とかあったわけですね、自国の利益、国益とグローバルな地球益の考え方が国によって違うのかなと。ヨーロッパは最初、その地球益をかなり前面に出していると思ったら、その裏にはやはりかなり国益というようなものが見え隠れしている。アメリカはどちらかというと国益優先で地球益を今ないがしろにしている。日本の立場としては国益を優先しているようでもあり、地球益を優先しているようでもあり、どっちつかずという感じがするのですけれども、日本としてはどうあるべきかというようなところで、国際ガバナンスあるいは地球環境ガバナンスの面からどういうふうに考えたらいいのか、教えていただければと思います。

○太田検討員 大変難しい質問で今すぐ答えを提示するわけにはいかないですけれども、非常に複雑だと思うのは、アメリカは、たしかに現政権はそっぽを向いていますけれども、実はすべての地球環境問題についてアメリカの科学者が果たした役割は非常に重要だと思うのです。彼らの働きがなければいろんな問題が国際課題にならなかったので、だから政府とアメリカ社会を分ける必要があると思うのです。
 現在、ご承知のように地方レベルで、シュワルツネッガー・カリフォルニア州知事も含めて、温室効果ガス削減の目標を設定していますよね、で、ニューイングラド州でもそういうことをやっていますし、オレゴン州でもさらに市レベルでもやっていますし、そういう意味では州や市レベルではかなり国際社会と協調しているというか、同じような問題意識を共有しています。そして、ビジネスはビジネスで新しい技術に乗り遅れたくないと、CDMはかなり発展しているそうで新しい技術や市場にアクセスしたいということがあるので、必ずしも現政権、特に、現政権は「ゴアの子どもである気候変動問題」を毛嫌いしていますので、そういう現政権とアメリカ社会を分けて見ていく必要があるかと思います。そういう意味でちょっとアメリカもヨーロッパも基本的には国家の利益を追求するのですけれども、しかしPD(囚人のディレンマ)ゲームだとそれでお互いが協力しなくてサブ・オプティマル(suboptimal)な結果しか得られませんけれども、ただその状況は相手がある程度犠牲をはらって何かするとなれば自分もやるということで、だからアメリカが変わるとヨーロッパも変わるだろうし、ヨーロッパが変わればアメリカも変わるということだと思います。
 日本の立場ですけれども、日本は基本的に両方見ていると思うのですけれども、ただ、日本は着実に技術革新とかやっていると思うのですね、だからそういう意味で日本は技術の裏づけがあって、着実に実行できるものは実行するということで国際社会に約束するという、そういう几帳面な国際交渉をやってきていると思います。したがって、日本はどこまで達成可能かということをある程度吟味して大変慎重な態度をとって、じゃあ、やれるところはやろうということで、国際的に決まったらそれを実行しましょうというところはあると思うので、そういう意味では技術的なリーダーシップをとりながら着実に現実的なところと理想的なところ、国家的利益と地球利益のところを見ながら一番妥当なところ、しかしそれがちょっと余りにも慎重し過ぎると目標達成にいかなくて大きな被害をもたらす可能性もあるので、そこはもう少しビジョンがいるのかなという気がしますけれども。
 したがって、現憲法の原則に従う限り、非常にこういう技術的な問題、環境問題では日本がリーダーシップを一番とれるところなので、しかも各国も期待していると思いますので、どんどんそういうビジョンを出して積極的に現在の、俗にいう平和憲法の理念に則していくという意味でも、日本は非軍事的な国際貢献の分野で指導的な立場に立てるのかなと思いますけれども。そこら辺のところはそういうビジョンをもった政治家を我々が選ばなければいけないということだと思うのですけれども、なかなか難しい話です。

○原沢検討員 ありがとうございます。

○安井座長 大分遅れておりますので、ついでだから遅れついでにあと質問を受けまして休憩に入りたいと思いますが、どなたか……森口先生どうぞ。

○森口検討員 アジェンダ21にふれておられたと思うのですが、まとめのところにも書いておられまして、これがその目指すべき望ましい社会像のある程度書かれている、それはそのとおりだと思うのですけれども、一方で余りにもそのブロードをにらんでもある種の理想的な方向が書かれていて、少しメリハリがないのではないかとか、あるいはその書かれていることが同時に成立するのかどうかということのチェックが必ずしもなされていないのではないかなという気がするものですから、そういう意味でやはりビジョンというのはもう少し具体的にどこかに絞り込むメリハリをつけなければいけないのではないかなというふうに考えるのですけれども、その辺ちょっとご意見をうかがいたいのと。
 それからもう一点は、やはり日本でもこのアジェンダ21を具体化していくという動きがなかなか見えにくかったように気がしますし、ひょっとするとこの超長期ビジョンのここでの検討というのもそれのうちの一つではないかなと思うのです。やっぱりそれのうちの一つであって、多分アジェンダ21に書かれているようなこと全部をこの場でやるということも現実には難しいのかなと、もしそうだとすれば一体その日本版のアジェンダ21に相当するものを日本が将来に向けてやっていくとすれば、どういう仕組みがありうるというふうにお考えか、そのあたりをお聞かせいただければなと思うのですが。

○太田検討員 そこまで深く考えたことがないので即答でき兼ねますけれども、ここの検討会で、いろいろこれまでの先生方のご発表で、例えばここにありますように人口問題とか森林問題、農業の方は出てきていませんけれども、エネルギー問題とかそういうグローバルな規模で問題になっている、俗にいうグローバルな課題というのがありますから、それと環境問題との一番関連性のあるところを整理して、それに対して技術的にどのような解決方法が得られるのかとか、あるいは社会・経済制度的にどのような仕組みが望ましいのかとか、それに加えて、望ましい社会像はどういうものかということを加味して、もう少し問題を絞っていけば少しは網羅的にここに書いてあるようなアジェンダよりはコンサイスになるのかなという気がします。
 あとの点はちょっと今すぐ答えられませんので、また皆さんとお話ししていただければと思います。すみません。

○山本検討員 資料の13ページにありますけれども、「環境ガバナンスの手法」というので幾つかご紹介されている中で、最後に「第三者による認証制度」というのを紹介されております。森林でも50認証制度が生きておりますけれども、こういった民のレベルでの認証制度の有効性あるいは逆に限界というものについてご意見があったらお聞かせ願いたいと思うのですが。

○太田検討員 FSCとか何かそういう森林関係の認証制度ができているそうですけれども、問題は限界というところですけれども、人から聞いたのか本から得られた情報だったかちょっと忘れましたですけれども、針葉樹林の方はFSCという制度に参加している会社なり国がかなりあるそうですけれども、熱帯雨林のFSCには参加者が少なくて、熱帯雨林FSCに関しては、わずか1%ぐらいに当たる木材会社とか国レベルでの参加だということで、やはり途上国の企業なり政府というのが反対しているというか、認証制度を余り受けたがらないというところがあるので、それが大きな問題かなと思います。
 ISO14001などの取り組みが、本当に持続可能な開発あるいは社会形成に役立つかどうかというのはわかり兼ねるというところは確かに問題だと思いますが、これがすべてを決定するということではなくて、これはたくさんある政策手段のうちの一つということですので、こうした手法もとりながらあるいは規制も敷きながら、また、市場メカニズムもとり入れながらということなので、相乗効果でこのISO14001等々の民間の基準もある程度問題解決に寄与するのではないかと思いますが、今言いましたように限界はたくさんあるかなという気はしています。

○安井座長 ありがとうございました。休憩の前にちょっと一つだけ伺いたいと思うのですけれども、私も国連なんていうところに身をおいてみてあれなのですけれども、今日いろいろ歴史をご説明いただいて92年のリオのサミットとアジェンダ21あたりの比較的理想主義的なその時代というのがあって、しかしながら国連レベルでもそれからたった8年後の2000年にはミレニアムサミットなんていうのが行われて、環境問題よりも要するに貧困の撲滅の方が重大だという時代になっちゃったわけですよね。ですから、この8年間というのは一体何だったのだろうか。で、この8年間というものをやはり大分総括しないと、我々は本当に環境問題にどうやって取り組むべきかという答えが出てこないのではないか。それから9.11があって、それで今の状況がある、2002年のWSSDもありますけれどもね、ですけれどもWSSDははっきりいって環境問題に──したようなもので、環境問題はそこである意味で国際的な問題から半分ぐらい消えうえせた。それの過程で京都議定書の批准、その他いろんな事態があって9.11があって現在に至っていると。
 そうなると、やはり我々としては超長期ビジョンを描くときに、たしかに温暖化をいくのもいいのですが、私の感じとしてはやはり世界における、例えばMDGs( Millennium Development Goals)みたいなのをいかに解決するかという視点を書かないで2005年を書いてもしようがないのではないかという気がしているのですね、実は。そんなことなのですけれども、私の理解はいかがでございましょうか。

○太田検討員 私の今回の報告ではそのMDGsの八つの大きな目標に触れることができませんでしたが、そのうち7番目が持続可能な開発ということで環境問題がちょっと出てきているということですよね。で、今まさにおっしゃったとおりですが、今スライド上でお見せしている環境関連の国際会議ですが、このタイトルだけ見ても始めは国連人間環境会議といっていたのですけれども、UNCEDでは国連環境開発会議となり、最終的に2002年では持続可能な開発に関する世界首脳会議ということで、開発により重点が置かれてきているというところです。これも無理もないかなと思うのは、やっぱり途上国の貧困なり開発問題をどうするかということが環境問題でも一番重要な課題の一つだと思うからです。
 72年のころからインドの代表なんかは、貧困こそが環境破壊の元凶であるというような議論をしてきていますので、やはりそういった貧困を目の前にして、例えば、世界的に依然として約8億人がまだ栄養不良状態で、そういう問題を座視ていいのかと、そういう問題に取り組まないことには環境っていえないのではないかということで、環境というものが単に先進工業国のリッチな人々の問題というふうに捉えられてはいけないということで、いかに地球規模の環境問題とローカルな水とか大気とか森林伐採あるいは砂漠化という問題の両方を同時にうまく取り扱えるようなガバナンスで提示する必要がありましょう。したがって、まさに持続可能な開発なのですけれどもね、その中身をもう少し本当にビジュアルに提示できれば、あるいは具体的な数値目標なり具体的なモデルが提示できれば環境と開発問題を本当に融合できると思うのです。そこのところに人類社会の未来がかかっているのかなという気がしていますので、ぜひこの検討会では持続可能な開発がメインテーマになっていますので、日本が提示するあるいは提示できるような本当に望ましい環境と開発が融合されているような社会像というのを、ぜひ提示していただきたいと思います。

○安井座長 ありがとうございました。ということで、1時間35分たちましたので、これで10分間程度の休憩に入りたいと思います。では、しばらく休憩とさせていただきます。

午後 3時36分 休憩

午後 3時45分 再開

○安井座長 それでは、続けさせていただきたいと思います。
それでは、明日香先生お願いいたします。

発表3.中国・温暖化・国際協力
     −超長期ビジョン策定/合意形成/実現のための課題−

○明日香検討員 東北大学の明日香です。よろしくお願いします。
(パワーポイント)
 私は、特にこれをというのは余りなかったのですが、自分で考えまして「中国・温暖化・国際協力」という3大話みたいな話をさせていただければと思います。中国に関しては過去に中国はどういう国でどうなるかという、先は余り見えないのですが、お話させていただければと思います。2番目はこれも私がこの1年かかわっております温暖化問題でのポスト京都をどうするかという話の中での長期目標設定、具体的に2℃安定化という言葉をどのように位置づけるかという話をさせていただければと思うのです。3番目は酸性雨なり特にアジア地域での環境ガバナンスについてお話させていただければと思います。
 そしてビジョン策定/合意形成/実現というところをちょっと強調させていただきたかったのですが、多分ビジョン策定のところまではうまくいくとは思うのですが、やはりそのあとの省庁間での合意もありますし、国民に対してある程度説得力を持つものでなければなりませんし、アジア地域または世界的なビジョンということでしたら、日本はそれを打破するビジョンということでしたらそれなりの説得力なり納得してもらうものでなければいけない、そのための課題をどちらかというと中心に経験も含めて話をさせていただければと思いますので、その3つ、中国・温暖化・国際協力の中でも特に2番目の長期目標設定のところを長めにお話させてメッセージとさせていただければと思います。
(パワーポイント)
 まず、中国なのですけれども、最近はエコフットプリントという言葉もあるようですが、こういう言葉は皆さんよくいうのですが、最初にだれがこの言葉を言ったかご存じの方いらっしゃいますか。多分いないと僕は思ってはいるのですが、最初に言ったのはガンジーなのですね、独立戦争が終わってイギリスのジャーナリストに、インドはイギリスみたいに独立したらなるのかと聞かれたとき、ガンジーがこういうふうに言ったそうです。やはりすごいなと思う、そのときにそういう状況で言えるガンジーというのはすごいと思うのですが、実はこれと同じようなのが中国だということを2年前に私は聞きました。元中国の気候変動の交渉を実質的なトップで、今UNCEFに入っているコーヘンという人がいるのですが、外交官なのですが、彼が中国でのNGOでのミーティングにこういう中国の人の質問に対して、こういうふうに答えています。つまり、中国でもいろんな人がいて、いろいろ考えている人はいて、もちろんその解決策があるとかいうわけではないのですけれども、ブラウンの話から始まっていろいろ考えているということはお伝えしてもいいかなと思っております。
(パワーポイント)
 これも多分多くの人には知られていない話だと思うのですが、50年先のときは50年前という話になると思うのですけれども、ちょうど47年前、私が生まれた年に大躍進という政策によって2,000万人が餓死していると、だからこれをベース内として考えれば中国にとっては気候変動なんかどうでもいいというようなことも考えられなくもありませんし、少なくともこういう民族社会意識みたいのを中国は持っているのかなと考えます。
(パワーポイント)
 では、そういう中国は今どういう方向に向いているのか。これは本当に勝手に私が何となくというレベルで考えているものなのですが、最後に「非合理的」ということはどういうふうなことかというと、多分皆さんご存じのように一人っ子政策があって、ここにいらっしゃる方は大体ご存じだと思うのですけれども、戸籍政策というのがあって農民は一生農民でなければいけないというのが中国だったのですね、ある意味では大躍進という2,000万人が餓死したという経験があって、このような合理的な閉じた社会で合理的な政策を当時の共産党の人たちはとったのだと思います。で、まさに閉じた社会ではなくなって地球全体でもしかしたらこの当時の中国の合理的な、括弧付きの合理的ですけれども、政策をとらなければいけないのかもしれないと、ちょっと皮肉もありますが、という状況かと思います。いずれにしろ、一人っ子政策も戸籍政策もある程度変わらざるを得ないので、これがどういうふうに、もちろん共産党がどうなるのかにもよるのですが、非常にインパクトは大きいところだとは思います。
(パワーポイント)
 中国は変わりつつあるところもあるし、変わらないところもあると。これはたしか5年前に私が植林ツアーに参加して泊まった農家なのですが、多分まだ数億人がこういうレベルの生活をしていて、こういうふうに石炭、化石燃料を使っている状況だと思います。
(パワーポイント)
 一番新しい数字だと1,000万とか2,000万の人がやはりまだ電気を使っていないという状況ですので、50年後はわからないのですけれども、20年、30年をみたときにやはり都市と農村の二重構造は変わらないでしょうし、石炭依存構造も5割はぎりぎりで切れるかどうかという話ぐらいだと思うのですが、それほど変わらないのではないかと。
 脱硫率なども向上しつつも絶対量がふえると。実は脱硫装置は今かなりこの1年で非常に普及しつつあって、それは政府の政策もありますし、かなり値段が安くなったというのもあります。ですが、やはりなかなか絶対量、全体量としては難しいなと。
 よくシナリオで議論されるのが、共産党体制がどうなるかですね、これは多分環境エネルギーという意味では両側面、プラスマイナスの両方の側面があると思います。ここら辺のトレードオフをどうみるかで多分シナリオも変わってくるのかなと思います。
 原子力発電もやはり共産党体制に伴う原子力発電のリスクというのはなかなか看過できないところがあるのかなとは思います。
(パワーポイント)
 最後によく議論になる中国の省エネ目標、11、5カ年計画 2010年までにGDP当たりのエネルギー消費量20%を下げるということですが、それができるかできないかという話があるのですが、私も中国の人にいろいろ聞きました。政府の人にも聞きましたし、研究者の方にも聞きました。公には、表向きにはやはり皆さん、「何とかやればできる」というふうに答えるのですが、1対1で話をすると、「できっこない」というようなことをいう方も多いです。 
(パワーポイント)
 面白かったのは、よく中国の統計数値は信用できないという話があるのですが、実際今の2010年、20%というのを達成するためにはいわゆる弾性値が1.8とか9ぐらいのを二、三年で0.5とか6に変えなければいけないのです。そんなのは無理でしょうというふうにいうと、いや、95年から2000年までの数字というのはあれは間違いだと、その間違いを直すために2000年から2005年というのはもっと間違いだと、だから昔の数字は大丈夫で結局20%は大丈夫なのだというようなことをまじめにおっしゃった方がかなり偉い方もいらっしゃいます。なのでなかなか数字だけで中国の将来をみるのは難しいということだと思います。
(パワーポイント)
 その中国も関係する温暖化問題での長期目標設定について、お話をさせていただきます。ご存じのように日本国内でも国際的にも2℃目標をどう考えるかというのは、多くの議論になっています、これからも今も続いています。日本の中で幾つかの省庁が似たような検討をしていて、それぞれ違う結論になっている状況だとは思います。先ほど科学者の役割の話が出てきたと思うのですが、IPCCで出しているのはこれだけなのですね、これを皆さん考えてくださいというメッセージです。もちろん、これをもうちょっとブレイクダウンするという動きもあるのですが、私が申し上げたいのはやはり科学にはある程度限界があると、どうしてもやはり価値判断などが出てこなければいけないということを申し上げられればなと思います。
(パワーポイント)
 その2℃の議論のときに設定賛成派というのでしょうか、その議論というのはここに書いていますように、より詳細な具体化は目標実現のためにプラスだと、人生をどう生きるかというような話に……本にはこんなことが書いてあると思います。そして社会にとっての指標は Guiding postだと。3番目は、これは私がつくった表みたいなもので気に入っているのですが、予防原則に基づいた政策的判断によりリスク管理だという、そういう意味で2℃というのは必要なのではないかと。環境省の検討会の報告書には2℃を基本的な出発点とするという言葉が議論を経て入ったのは去年ぐらいです。当然2℃というのは入れない方が良いのじゃないかというような議論もありまして、これは私知る限り、結構日本は特徴的なのかなという気はするのですが、このような議論がありました。
(パワーポイント)
 事象を2つに分けると、1つは破局的/非可逆的/非連続的な TypeIIの事象だと、グリーンランド/南極の氷床融解して5メートル、7メートル海面が上昇してしまうと。で、熱塩循環がとまって「ディ・アフター・トゥモロー」みたいな世界になると。それをTypeIIと考えて、TypeIIは無条件に対応が必要だと。けれども2℃で起こるような、珊瑚礁がなくなるとかマリアリがふえるとか、そういうような費用便益は価値判断の問題ではないかというような議論だったと思います。
 続けてTypeII事象の「科学」は未発達/不確実であって、少なくとも現時点の「科学」は熱塩循環維持に2℃安定化不要を示唆と、ここもなかなか難しいところでどの科学が、どの人が言っているかにもよるのですが、確かこのような議論を展開していますというか、いたというか今でもしていると思います。
(パワーポイント)
 ご参考までに紹介しますとこんな感じでかなり融けているのは確かです。これはハンセンがキーリングの追悼週間のときに使ったプレゼンをそのまま借用しておりますが、かなり融けている、こんな感じで融けていると。で、融けているのは確かなのですが、実は氷床融解に関する「科学」は不確実性というのはなかなか難しいものがあります。
(パワーポイント)
 局所的気温と氷床融解との関係をうまく示せるモデルはまだないですし、局所的記憶と全球的気温との関係もわかりませんし、融解のスピードも数百年という人もいるし、数千年という人もいると。そういうのを考えると……ここで言いたいのは、少なくとも「科学」は過去に期待し過ぎるのはよくないと、「科学」はジグザグに発展するため、時間がたてば不確実性が縮まるとは限らない、結局両方とも価値判断が必要だと。
(パワーポイント)
 では、その価値判断をどう判断するかということなのですが、それに続けて設定反対の議論というのは多分、これはちょっと私の書き過ぎで筆がすべっているところもあると思うのですが、「科学」に対する過大な期待なり、建前というのでしょうか、責任押しつけがあるのかなと、もうちょっといえば都合がよいように科学や価値判断を利用して、結局は価値判断はしないのですね。まだ待っていればいいし、だれかが価値判断をするべきだと、そのときに官僚も価値判断をしないですし、国民も価値判断をしない、政治家も価値判断をしないと、なので結局は「先送り/先延ばし」になると。多分このプロジェクトでもそのビジョンを考えたときに、やはりそのビジョンを伝えるためには、何らかの価値判断がはっきりしないとなかなか難しいのではないのかなという気は個人的にしています。
(パワーポイント)
 もう一つ、難しい問題、ビジョンの話もそうなのですけれども、西岡先生はさらっと2℃という数字を出したのですが、その2℃という数字を決めちゃうと結局全体が決まってしまうので、パイの分配問題になってしまうと。かつ、4番目は特に官僚の方にとって現実的な問題だと思うのですけれども、交渉の柔軟性が著しく損なわれると、結局スタンドをふしてしまって何も得られないと。こういうことは確かにそうなのですが、でもそれでもやはりある程度現実を直視して、もっと価値判断に踏み込んだ議論をしないと多分、結局表面的な議論で終わる。中国が参加する、参加しないとか、日本は頑張っているとか、頑張っていないとか、そのようなレベルでのお話ししかいかないのではないのかなと思ってはいます。
(パワーポイント)
 パイの分配について、これはちょっと現状を紹介させていただきますと、まさに今1年間で7Gtぐらい出していまして、国で分けるか人で分けるかという話になります。2℃なり2℃のための排出量というふうに考えますと、この分配になると。
(パワーポイント)
 これもご参考までに現時点、一人当たりではなくて一人当たりの排出量のみがどれだけになるかというと、このようなことになっています。なので、こういう状況で例えば途上国に参加しなさい、途上国はやっていないとかいうような議論を社会はしなければならないという状況だと思います。
(パワーポイント)
 もう一つ、先ほど国際公約遵守云々という話があったのですが、あえて悲観的に申し上げますと、京都議定書なりというのは日本が最初に遵守できない国際公約になる可能性は今のままだとあると思います。これは Point carbonというCO2関係の情報を出している会社が、彼らが勝手に試算したものなのですが、どれだけ京都議定書の目標から遠いかと、これはかなり政府のこれから入れる政策もかんがみて、考慮してこういう数字を出しています。日本はどこかというと、スペイン、イタリー、カナダ、カナダはもうかなりやる気をなくしているようですので、日本はなかなか難しいと。これはもう既にテーブルに出ているものを入れて、考慮してやはりこれだけ少ないということですね。今のままだと京都メカニズムを使わないで何とか達成できるのはイギリスとスウェーデンぐらいでして、今の予算で京都メカニズムを使って達成できる国もかなり少ないと。だから日本も今の予算だとかなり難しいと個人的には思います。
(パワーポイント)
 もう一つ、これも個人的な感想というか思いなのですが、やはりどうしても2050年で、温暖化でもそうなのですけれども、これからという先がどうなるという話が多いのかなと。もし、社会なりを動かしたときにもうちょっと戦略なりメッセージを変えていかなければいけないのかなと思っています。
 これは世界における自然災害の発生件数の変化です。自然災害というのは10人以上死ぬか、100人以上被害を受けるか、国際援助が要請されるか、緊急非常事態が宣言されるか、その4つのどれかにあてはまるものを集めたものなのですが、この30年ぐらいかなり増えているのは確かです。なのでこれから増えるというわけではなくて、もう既に増えているということですね。
(パワーポイント)
 では、実際にどのくらい人が死んでいるかというと、これは10年間の数字なのですけれども、よく見ていただければわかりますように気候関係の死亡者が8割以上です。だから既にこの30年で災害が増えていて、その中で気候災害が増えていて8割ぐらいの人が気候災害で死んでいるということです。
(パワーポイント)
 実際に具体的な死亡者数ですが、アジアが圧倒的に多いです。これは2003年までの数字ですので2004年のスマトラなり2005年の地震の数字は入っていないです。大体毎年5万人から6万人ぐらい死んでいるという状況です。そしてアジアが圧倒的に多いと。これも一つ、また文句なのですが、カトリーナで亡くなった方は大体1,500人なのですが、中国で今年洪水で亡くなった方も大体1,500人ぐらいなのですね、中国の洪水はほとんど新聞報道は1行か2行ぐらいが朝日にあったぐらいでして、そんな状況なのでそこら辺からもっと変えないとなかなか温暖化の被害、現実としての被害を伝えることは難しいのかなと思っています。
(パワーポイント)
 ちょっと中まとめなのですが、目標設定/合意形成/実現の必要条件として、やはりいかに価値判断をしないという、先送り/先延ばしを阻止するための議論、ロジックを構築するかというのが重要だと思いまして、そのときやはり使わざるを得ないのは予防原則だと思います。予防原則はもちろん、いろいろもっと緻密に議論しなければいけないと思うのですが、やはりそこからアプローチするしかないのかなと思っています。そして、その予防原則を使うのはやはり政治なり、そういうリスク管理なりの名目での政治でしかないのかなと個人的には思っています。長期的目標と2050年というのは何となく先ですので、多分一番このプロジェクトの最悪シナリオをあえて考えると、先だからどうでもいいと、環境省が適当にやっているというそれだけ終わってしまう可能性があると思うのです。なので、やはり短期と中期をより具体的にするのが重要なのかなと思っています。で、社会を動かすためにはもうちょっとこういろいろと、先ほど貧困の話も出ましたけれども、そういうところから温暖の議論も進めて、社会に対してメッセージを送るべきなのかなと思います。
(パワーポイント)
 5番目は、結局「科学」に関してはいいように使えるでしかないと、そこは科学者もなかなか難しいと思うのですね、IPCも我々は価値判断をしないというのをモットーにしていますので、それを変えるのは難しい。逆に、そこはうまく「科学」との共同が必要だと思うのですけれども、では、どこまで限界というのをはっきりさせて、どこからは政治というのをはっきりさせないと難しいなと思っています。
 繰り返しになりますけれども、価値判断は不可避という認識は必要ですし、不可避という認識はみんな知っているのです、じゃあ、だれがするのだと、どういう席順でするのだと、実際しないと多分状況は変わらないのかなと思います。で、温暖化に関していえば分配問題という、結局give-and-takeではなくてgive-and-takeでも困るのですけれども、パイを分けるという問題になりますし、そういう中では倫理問題という認識も必要かと思います。私がここで倫理といっているのはライフスタイルとか価値観というよりも、もうちょっと具体的に例えば一人当たりの資源なり排出量の平等な分配になるでしょうし、そういう開発の権利、弱者の権利を優先するという話になりますし、もうちょっとベーシックに人にやってほしくないことは自分も人にしないとか、そういうような──的な話かなと思います。ですから、実はまさにそこでの議論が温暖化に関しては例えば先ほどマルチステージなりccとかそういう議論を経ないと、実はああいうものは出てこないというところもあると思います。
 最後は理想的には交渉モードから脱却ですね。毎年会をやって何かそこで得られないと、アメリカが入らないと、中国が何か言わないと、交渉は失敗したというようなことを官僚は思ってほしくないし、官僚に思わせるような社会を我々は作らないということかなと思います。
(パワーポイント)
 3番目は、先ほどの中国とも係わりますし、省エネとも係わるのでお話させていただきますと、これもちょっと私のエリアの判断なのですが、幾つかアジア地域ではレジームがあります。ですが、実際政治的な例えば条約なり協定なりそっちまでもっていこうとしている動きというのは、酸性雨ではEANET。水に関してはNOWPAPというものぐらいかなと、あとはいろいろ活動はしているのですけれども、なかなか実効性、中身という意味では難しいかなと思っています。3番目は、対中省エネ協力、これはこれからで、今盛んに議論されているところだと思います。
(パワーポイント)
 酸性雨に関しましては、これはIIASAというオーストラリアの研究機関が日本の臨界負荷量を幾つまで、これ以上超えると生態系がおかしくなるというその臨界負荷量に対する割合、日本の沈着量の割合を示したものです。95年でちょっと古いのですが、見ていただきますとわかりますように中国なりほかの国の一部ではかなりしんどい状況になっていると、これが2020年にどうなるかということなのですが……。
(パワーポイント)
 中国はなかなかひどいのですが、多分ひどくないところもあると、当然日本とのかかわりでは日本がどうなるかというのは議論があるところなのですが、私の知る限り環境省の酸性雨調査もそうなのですけれども、例えば欧州での30年、40年前の状況に比べると、酸性雨の被害というのは顕在化していませんし、将来的に顕在化するとも断言出来づらいところだと思います。そういう意味では欧州とアジアはかなり違います。こういう違いを乗り越えて条約なり協定を結ぼうとしていて、なかなか結べないというのが酸性雨の問題だと思います。
(パワーポイント)
 水に関しても例えば事故に対する対応という意味では比較的うまく連携はとれているのですが、では、定常的なモニタリングなりそういうところは特に日本海では進んでいませんし、これを見ると、日本海はそれほどまだひどくないというようなところもいえると思います。
(パワーポイント)
 3番目に対中・省エネ協力なんですが、やはり過去を見るとというか現在もやろうとしていますし、過去もいろいろやっていたと。多くは時間もあれなので話はしませんが、成功だけではない、かなり失敗しているところもあると。実際に先進技術の多くは中国では国産化可能になっていると。例えばグリーンエイドなりほかのODAで技術移転をして、結局コピーされてかなり困っている日本企業も少なくはないと。問題は中国に関していえば大企業ではなく地方なり中小企業と民間であって、そこは日本が云々できるようなレベルの話ではないと。結局、技術移転は日本の国益にはならないという議論を日本でもまだしていますし、企業でもそれぞれまだはっきりはしないという状況だと思います。
 昨今の日中関係もありますので、お金は多分出ないでしょうし、じゃあ、何を出すかというと頭を出せということなのでしょうけれども、どこまで頭が出るかわかりませんし、例えば省エネに関しての制度という意味ではアメリカの方が数年前からかなりアカデミックな──等も含めて技術協力なり頭の協力はしているのが現状です。
(パワーポイント)
 今の3つを地域ガバナンス/環境ガバナンスでまとめますと、これが現状だと思うのですね。まず、まだ被害が顕在化していないと。だからこそでもあるのですけれども国ごとに優先順位が異なって組織づくりが難しい。資金不足、不足といっても資金分担不足ですね、資金分担問題だと思います。やはり酸性雨でも日本と韓国がリーダーシップを争っているようなところもありますし、最近の日中関係はなかなか省庁レベルなり省エネ関係なりそういうものでの交流もかなりネガティブに働いているというふうに聞いています。
(パワーポイント)
 まとめですが、最初に中国の話を申し上げたので、中国に関して簡単にまとめますと、脅威は増大していくでしょうと、一言でいいますと。で、多分判断が難しいのは共産党なり中国の体制がどうなるかでなかなか見極めが難しいなと。そこでシナリオもかなり変わってくるし、プラスマイナスで同じぐらいになるというようなことも可能かと思います。
 2番目は、私が言いたかったことなのですが、多分ビジョンという理想的な規範的なものをつくったら絶対国内でもいろいろ議論があるでしょうし、国民は理解できないかもしれませんし、それをアジアなり世界に発信するのはなかなか難しい、簡単ではないと思います。そのときに「科学」には頼らざるを得ないのですけれども、それには限界があるということは認識した方がいいと思いますし、「科学」だけではなく、倫理なり価値判断が不可避であって、価値判断が不可避だということをいうだけではなくて価値判断をしないと無理な状況だと思います。
(パワーポイント)
 そのときに予防原則なり政治主導が重要ですし、先ほどの自然災害のお話でもないのですが、社会とのコミュニケーション、社会に対して温暖化というのは将来の話ではなくて、これは2050年だけれども、既にこの30年でこういう被害が起きている、貧困の現状はこうだというようなメッセージをもっともっと強く出さなければいけませんし、その上の政治主導なり予防原則という意味では、例えばドイツのように憲法に予防原則なり環境という言葉が入らないと、実はある意味では動けない、官僚も動けないのかなと思っています。
 省エネに関していえば、実質的なお金は出ないでしょうと。では、どこからどういうふうに出すかと、別にお金が出るBAUで企業にそのまま任せればいいかもしれないのですけれども、途上国が考えているような技術移転、資金移転が必要ということでしたら、どっかから出さなければいけないと。多分その一つの形としてはいわゆる京都メカニズムみたいなものを使って、トランスファーを置くなり、資金技術がトランスファーということになると思います。
 先ほど実は質問しようと思ったのですけれども、西岡先生のプレゼンでいろいろマルチステージとかあったと思うのですけれども、あれは実は大きな京都メカニズムのようなトレーディングが入っているシナリオなのですね、実はもし経済効率に考えるのでしたら、ああいうレジームでは数十兆円の資金移転が北から南にあることになっています。今、ODAが5兆円ですのでODAの10倍ぐらいのお金がもしかしたら気候レジームで貧困にも影響するトランスファーがあるような議論を今しているということです。
 最後はやはりジグザグだとしても「科学」の成熟は必要でしょうし、それとともに政治・外交の両方の成熟が必要なのではないかなということです。
 かなりちょっとすべったところがあるかもしれませんが、以上です。どうもありがとうございました。

○安井座長 ありがとうございました。中国と温暖化、国際協力等についていろいろお話をいただきましたが、ご質問はございますか。

○川島検討員 一つ、飢餓で死んでいる人の割合が48%というふうに出ていたところがありましたよね、自然災害で云々という、私の意見なのですが、おそらく干ばつが襲って現在の世界で大量に人が死んでいるということが、それだけで起こっていることは私はないと思うのですね。食糧は不足していないというのが私の持論で、これは起きるときは必ず内戦とか国際紛争のようなもの、例えば現在もスーダンの東の方で起こっている。そこのところを言わないと、何か食べ物がないとか人間が非常にフラジャイルな環境でいるのだというミスリーディングをしちゃうと思うのですね。私は飢餓は圧倒的に内戦の影響の方が大きいと思っています。これは私の意見です。

○明日香検討員 すみません、私はそこは実は弱いところでして、災害に関してはベルギーのルーベン大学ですか、そこがかなり唯一に近いデータベースで、そこでそういう定義というか数字を出していたので、おっしゃるとおりだとは思います。

○安井座長 ちょっと関連してよろしいですか、たまたま12図のお話だと思うのですけれども、確かに災害がふえているのは間違いないのですけれども、ただ、統計上ふえているのは間違いないのだけれども、それが本当かというのがまた1つですね。大体──ロジカルなんてものがふえるということ自身おかしいですよね、ですから、それがバックグラウンドになっているのであれば、それを補正しなければいけないだろう。
 それからあと、もしもこれが増えているとするのであっても、それが本当に気候変動にどのぐらい影響されているのかということが余り説明されない。たしかに人口の集中のし具合とかそういうようなことがすごく影響していて、都市化の影響とかですね、そういうものがすごく影響していて、だから本当に気候変動なのか、それとも人間側の要素なのかというのを区別しないと本当はいけないのだと思うのですよ、その辺はいかがですか。

○明日香検討員 それもおっしゃるとおりだと思います。やはりみんな海の近くに住むようになったということは大きいとは思います。で、これもベルギーの大学のところからとったので余り……すみません、責任を押しつけてしまうのかもしれませんが。でも、私のメッセージとしてはやはりかなり洪水というのが日常茶飯事的に今も起きていて数百人、多ければ数千人の人が死んでいるという、あと回数、例えばそれこそ台風の回数がふえるかどうかというのは今非常にホットな話でありうると思うのですが、たしかこのベルギー大学のそれに関する論文を見た限りでは、回数はなかなか難しいのですが、intensityは過去30年で例えばハリケーンに関しては強くなっているのではないかというような結論をしていました。ですから、おっしゃるようにいろんな社会的な原因もあるとは思います。

○西岡主査 今の件なのですけれどもね、例えば非常に氾濫が多いところまで人が住みはじめているとか、それから山の斜面にどうしても都市の住民が張りついていくとか、そういう話こそまさに環境に対する、環境と人間に対する脆弱性がふえざるを得ないという状況が起こっているということが問題で、それを2つに分けてしまうというのはちょっと違うのではないかなという気がしました。水の不足しているところでも人が住んでいかなければいけないように人口はふえてきていて、そういう意味ではなのですが、それを人口問題とするのか、人の活動と比較して環境が十分供給されていないと見るのかという問題が、私はあるのではないかなと思っているのですけれども、そこはやっぱりそういう形で切り離すのはどうかなあと私は思います。

○安井座長 いろいろ意見のあるところだと思いますけれどもね。たしかに人口問題とか都市化とか、都市化の話もありましたけれども、そのあたりとこのあたりは影響が非常に大きくて、私はこれを見せて、だから温暖化だよというと、そういうふうに別の意見が起きたときに、かえって信用されないのではないかということがあるので、そこはやっぱりある程度解析をした上で示すべきではないかというだけなのですけれどもね。

○西岡主査 今の件ですけれども、例えばよく出てくる保険の被害があるけれども、あれは十分解析されていて、よくIPCCでも全部載せるのは問題だということをいっているのは、やっぱりそういうところに人が住みはじめているということの要因があって、それにかかっている、それが1つ。それから原沢さんがよくお示しになるその災害のデータがどんどん増えているという……ありますね、原沢さん、あれなんかは例えば客観的にそうなのですか、それとも要するに早い話が、地滑りが多いので人が住んでいようと住んでいまいと、そういうのが多くなったこともある。

○原沢検討員 今のお話は非常に難しいのですね、自然の原因なのか、人的な温暖化の原因なのか、これ分けること、シグナルを取り出すということ自体が非常に難しいわけです。今問題になっているのはハリケーンと温暖化の関係で、これはアメリカで非常に科学者と政治家も含めて、今議論になっているということです。そういう議論は政策対応も進めるし、科学者の研究意欲も進めるということで、健全なことかなと思うのですけれども。
 ただ、その結論を求めるのはちょっと今の段階では難しい、やっぱり温暖化のシグナルが自然の中でかなり突出して観測できるような時点では、もう温暖化が進んだ状態になっている。自然のシグナルと人為(温暖化)のシグナルがまだよくわからない段階で科学はどう対処したらいいか、あるいは政治はどう対処したらいいか、多分そこに予防原則というのがあるだろうと思います。今日はそういうお話かなと思ってお聞きしていました。わからない、わからないで5年、10年たったときにどういう世界になっているかというのはやっぱり科学者がある程度示さないと、価値判断もある程度入ってこざるを得ないのかなと思ったりはするのですけれども、非常に難しい問題で日本でも余り研究者とか科学者がタッチしてこなかったところだなと思っております。だからお答えはないということになるのかもしれません。

○明日香検討員 私も多分、皆さんのそういう反応をある程度期待してわざとこういうのを出したところはあると思います。おっしゃるように私もこれがすべて温暖化だとか、そこまでは実は意識的には考えていなくて、こういう現状というかこういう数字というのは余り日本国内では議論されないので、あと先ほどの途上国の現状なり貧困ということと絡めて温暖化も本当は議論をしていかなければいけないということの材料にうまくいけば、もうちょっと理論武装しながら使えるかなと思って出したという状況です。

○西岡主査 誠に申しわけない、同じことを繰り返しているのですけれども、これでもって温暖化の問題を余り論議しない方が私はいいと思うのですよ。そうではなくて環境に依存して人は生きているのですけれども、その依存の仕方が非常にマージナリーに危険なところまで増えていると。だから脆弱性が増えているのだというところが第一ですね、それに対して自然の基盤であるところの気候も変動しつつあるものだから問題が起きている。ひょっとしてそれが人口の問題だったら何とかしなければいけない。なんでも温暖化というと、そこでまた不信感が出てくるなというのがちょっと心配している。

○湯原検討員 よろしいでしょうか。

○安井座長 はい、どうぞ。湯原先生。

○湯原検討員 中国の問題で一つだけコメントをしたい。中国の環境、都市の環境とか川の汚染問題だとかいうのは、私たちが考えている以上にものすごく深刻な状態にあって、中国の政府でも非常に強い抑制という段階に、抑制というのは石炭でありますとか自動車でありますとかそういうものの抑制の段階に入っていくと私は認識すべきだと思うのです。だから中国経済の成長が環境面から頓挫するという危機感は、中国の政策の担当者が最も強く持っていると、私は認識しています。
 ですから、問題はこのままどんどん中国が続けて行ける段階ではなくて、中国自身が政策的に強い手を打っていく段階である。加えて、環境や省エネに関する、日本に対する期待が中国側に非常に強いというのも事実だと思います。先ほど「省エネ・環境フォーラム」が進まないという話もありましたけれども、経団連の会長が中国を訪問し温家宝首相に会見したときに、歴史認識問題ということできつい発言があったすぐ後で、「環境・省エネ問題ではよろしく」と言わざるを得ないぐらいだから、今の現状認識として本当に危機的な状況にあって、いかに破綻しないようの抑制していくか、環境と成長の調和をいかに取るかというのが中国政府当局の基本的姿勢なのだという認識を私は持っています。
 そういうところで、そういう認識を共有してどういう日中協業のあり方があるかというのが、やはり一番トッププライオリティの問題なのだと思います。地球温暖化の問題はさらにその結果として存在するのです。さっき2020年とありましたけれども、エネルギー研究所の周大地所長が世界エネルギー会議で、2020年には31億トンの石炭を使う展望を述べました。専門家として31億トン燃やし続けたらどうなるかということをよくご存じだと私は思っております。専門家同士として、同じ危機感と認識で中国の環境問題に取り組んでいかなければいけないのではないかと私は思います。

○安井座長 いろいろご議論いただきたいのですが、最後の細田先生にもやはり30分という時間をぜひ確保したいと思いますので……。

○細田検討員 いえいえ、排出権差し上げますから。(笑)

○安井座長 排出権のトレード、ホットエアのトレードは禁止した方が良いのじゃないかと思っておりますので、(笑)ここで明日香先生、ちょっと不十分でございましたけれども、時間が足りなくて申し訳ございません。ありがとうございました。
 それでは、細田先生よろしくお願いします。

発表4.超長期ビジョン検討会
 

○細田検討員 西岡先生から始まってもう既に3つ、すごく何というか重いというか、非常に考えさせる、胸いっぱいになっちゃいましてですね、これで私が重いことをいったらきっと皆さんとてもヘビーで夜眠れなくなっちゃうと困るので、(笑)予期したとおり私は軽くいきたいなと、こう思っております。
(パワーポイント)
 今日のお話はBack castingに余り関係ないというか、むしろちょっと批判的な面がある一方で好意的な面もあります。それをちょっと最後の方に申し上げたいと思います。これ私はなぜ軽いかといいますと、私の手持ちのいろんなものをかき集めてパワーポイントを作ったのですけれども、自分で見て何か再発見して、あっ、経済って面白いなと思ったりしちゃいましてですね、これ大学の1年生に見せたら、皆さんを前にしてこんなことを申し上げますと失礼なのですけれども、経済学を好きになるのではないかとさえ思っております。初めのプロローグが環境はまったく関係ないのですけれども、これだけつくっていったら全部プロローグになっちゃった、環境関係もないし、長期ビジョンも関係なくなっちゃうのでちょっと削って少しそれらしくまとめたという、その類のものですので、気楽に聞いてください。
(パワーポイント)
 これはまず、日本の今の人口の変化ですが、日本の経済は特にしなやかにいろいろな外生的なショックに対応してきたなということが、私の今日申し上げたいことです。よく経済的手法とか経済的ドライビングフォースで何か環境問題やっつけようとかあるかもしれません。それも一つの手なのですけれども、私はそれよりもむしろ外生的にガーンと何かがあったときに、これはみんな大変だ、どうにかなっちゃうということをわりと、その場は大変だけれども、さっくり乗り越えてきているというのが市場にたいする印象です。
 これは人口の変化で人口も経済の一決定要因なのですけれども、このようにふえてきて一時期は人口増加で大変だ、「産めよ増やせよ」の時代もございましたけれども、今は定常状態でこれから減っていくという状態、これはいわば経済的要因に決まってくるというよりも、これは外生的要因と考えた方がいいのではないかと思います。これが平均世帯数及び合計特殊出生率なのですけれども、私これ見て、あっ、合計特殊出生率って下がりっぱなしなのだ、今に始まった話ではないじゃないですか、何で今になってみんなあわてているのでしょう。人間というのはやっぱり、ごみ問題もそうなのですけれども、何かワッとあるどこか臨界点があって、そこでグーッと何といいますかね、みんなが一挙に気がついて騒ぎだす。だけど問題は前から1個あったのですよね。
 これは当然、戦争中、「産めよ増やせよ」の時代があって、その戦争が終わったあとベビーブーマーの時代に入ってきて、そのあとドーンと下がったまま、ずっと下がり続けている。今もこの辺1.2ぐらいあるのでしょうか、このまま計算していく日本人は将来いなくなっちゃうわけです。それはないと思いますけれども、これが与えられた与件であるということです。
(パワーポイント)
 これがすごいなと、これGNPの変化なのですね、この実質です。総支出で図ってありますけれども、GNPですこれ。これだけ数十年の時間に豊かになった。明治の初めから昭和の初めまでは、もうこれ下の方にへばりついてしまってわからないくらいなのですね。それは急速な成長を遂げたのが我が国なわけです。
(パワーポイント)
 これもまたとっても面白い図で、これは経済成長率の動きなのですが、ちなみにこの図はどこからとってきたかというと、経済要覧という昔の企画庁、内閣府なのですね。これは750円ぐらいのデータの本なのですね。もうぺらぺらめくっているだけですごく面白い本なので、私はいつもこれを1年生の授業にあたると買わしているのです。しかし何を考えたか国は、毎年出ていたのに発行しなくなってしまったのです。これほど簡単に手にとれるものがなくなったというのはとても残念な話で、環境省の方から申し入れてもらいたいと思います。(笑)
 これは青がいいと思います、赤は名目でインフレーション率が入っておりますので、青い変化を見ていただきたいのですけれども、景気循環を実にきれいなサイクルで描いているのですね、特に明治から昭和の初期あたりを見ていただきたい。明治の30年代の不況、それからこれは大正ですね、それから昭和の初期のちょうど世界大恐慌につながっていくころのこの辺では農村で娘が売られていた。先ほど安井先生が話していましたけれども、義務教育がまだありましたから優秀な人は例えば陸士、海兵に行ったわけですよね。で、同じ農村で貧しい娘を見ていて、とんでもないということで二・二六事件とか起きてくる、そのときなのですけれども、こういう時期がありました。
 それからもう一つ、これはもちろん昭和20年の戦争に負けたとき、ここはもう計り知れないショック、大体このときに日本の資本ストックは4分の1から3分の1になくなっちゃったわけです。しかも戦争も経験していますからものすごく資本ストックが古くなっちゃったわけですね、だから大変な外生的ショックが与えられていた。人口も300万亡くなっていますし、それでもう一つ大きいのはこの第一次オイルショック、これはいかに大きかったか、マイナス成長です。ということで、外生的なショックがぼこぼこときているのを乗り越えてですね、特に明治時代はものすごく単純な資本主義社会の好況と恐慌の繰り返しを見事にきれいに描いています。大体……そうですね、おそらく2年ぐらいの周期で繰り返してきたわけですね。
 ところが戦後は何かといいますと、繰り返していますけれども、大体この辺から高度経済成長がすごいですよね、ここのところ、17年にわたって実質経済成長率9.5%なのですよね、これは世界のどの地域にもどの時点にもないような経済成長です。もちろんこの影に公害ということがあったわけで、手放しでは喜べない。この辺に格差が出てきて、列島改造ブームで石油ショックへ落ち込むと、こういうふうになっています。そのあとも大変だ、大変だといっているのですけれども、実は結構経済成長しているのですよね、たしかにバブルがはじけるのがこの辺になってくるのですけれども、ちょっとこの辺にまずい時期がありましたが、こういう経済の繰り返しをして外生的ショックにも結構それなりに耐えている。
(パワーポイント)
 物価がどのくらいか……ちょっとこれはとばします。卸売物価、比較的最近は安定していますね、この辺がいわゆるスタグフレーションでして、石油ショックでドドーンと物価が上がりながら一方で失業もふえたという時期です。そのあとは比較的卸売物価は安定しているということですね。
(パワーポイント)
 これがおもしろいのですけれども、昔と今の価格ということで、絶対的な額も出ていますけれども、明治25年、これ括弧の中を1とするとどれぐらい増えているかと、米は5,903倍になっている、鶏卵は1,471倍で、まあ、なかなか少ない。牛肉は6,510倍、ビールは2,407倍、少ないですね。電話は682倍ですから大したことないですね。やっぱりすごいのはサービス、床屋さんは3万6,120倍で、大工さんは7万148倍になっているということで、これいかに総体的に日本の賃金が高くなってきたか、ということは労働分配率も高くなってくるわけですけれども、この総体的な価格の変化を非常によくあらわしている。
(パワーポイント)
 これは地価のお話で、もう日本は地価神話というものがありまして一直線に伸びていくと。ところがこれがバブル中心にだんだん落ちていって、今日本人が経験したことのない局面を迎えているということです。
(パワーポイント)
 ここからまたおもしろいのですが、これも私ちょっと見て気がつかなかったのですけれども、日本人の平均消費性向はこの昭和30年以来、ずっと下がりっぱなしなのですよね。これは逆にいうと貯蓄性向が上がっている、今また貯蓄性向は下がっておりまして、いろいろ問題なのですけれども、平均消費性向(勤労者)はずっと下がりっぱなしなのです。つまり人々はどちらかというと、ざっくりいうと財布のひもが硬くなり続けている、この辺は経済成長があるにもかかわらず、有効需要の面からいうとこれは非常に不利に働くはずなのですね。実はそれが出ていないで成長したというおもしろい……投資需要が大きかったということですね。
(パワーポイント)
 一方で失業率ですが、これも典型的に経済成長しているのに失業率はずっと低かったわけですね、2%以下というときもあったのですが、最近では伸びているということです。
(パワーポイント)
 これもおもしろいのは生産指数のサイクリックな変化で、この辺は経済が非常に発達した、これがいざなぎ景気ですよね、40年不況がありまして下がったけれどもいざなぎ景気があって、そのあと若干不況になりましたけれども、これは石油ショックですね、そのあと伸びて、また少しずつ伸びていますが、バブルで下がって、そのあと若干苦労しているということが、今ちょっと伸びていると思います。
(パワーポイント)
 これまでが経済の動きで、言いたいことは何かというと、意外と健全に……健全といいますけれども公害とかそういうことを除いては、うまくしなやかに動いてきた。特に環境を考えるとそれができている。例えば二酸化硫黄の変化というのは、二酸化窒素はご存じのようにだめなのですけれども、二酸化硫黄はかなり下がっています。
(パワーポイント)
 これも公害国会をやり、大気汚染防止法をつくり、外生的要因を決め、公害防止協定などというのは日本は世界一ですよね、数千でしたか、ものすごい数の公害防止協定があって、上乗せ基準を作ってこれだけの成功している。二酸化窒素がだめだというのはこれはご存じのとおりです。その中で公害防止投資があるときは1兆円ぐらいにきたわけですね、1兆円といっても大したことないですね、わかりませんけれども1973年のGNPが例えば300兆円とすると、20%が投資とすると60兆で、その60兆円のうちの1兆円だから大したことはない。大したことないのですけれども、あれだけの公害があって法規制があって、公害防止投資をしてそこにマーケットができて、環境のためのマーケットができて、それで進んでいって環境マーケティングができてくるというところに資本主義の恐ろしいところというか、うまく乗り切るところがある。
(パワーポイント)
 これは製鉄のエネルギー原単位ですけれども、日本は各国と比べてもかなりいい原単位をもっているところまできたわけです。
(パワーポイント)
 もう1つは、ごみ問題なのですが、これが非常におもしろくて、あとでまたおもしろい図を出しますが、東京都区部、東京都というのは大体一般廃棄物で約1割を出しております。これがどう対処してきたかというのですけれども、昭和46年は有名な美濃部さんのごみ戦争ですね、高井戸のごみを江東区に運ぼうとしたら住民に反対されて入れなかったということであります。どうしようかということですが、これはしばらく忘れさられてしまうのですね。この辺から昭和50〜6年ぐらいからびん、かん、回収モデルとか出てきて、中央防波堤の処分場が出てきて、今はもう中央防波堤処分場は目いっぱい埋まってしまっていますけれども、ほとんどね、今新海面に移っております。だんだんまたこれでごみ問題が再燃してくる。東京都では受ごみ増量対策問題が出てきて、平成元年に東京スリムというのが出てくるわけですね。そのころ、平成元年には東京都23区でも全体あわせても東京都で一番大きい、500万トンのごみの出ている、大体一杯が大体5,000万トンですからその1割を東京都が出しているというのはその辺から出てくるわけです。
(パワーポイント)
 大体この辺から東京都はごみ排出量が減ってくるわけです。いろんな政策を打っています。資源ごみとかそれから東京ルール1、2、3とかいろいろやってきたわけですね。
(パワーポイント)
  これはごみとディカプリングということで、1986年からさっきいった平成景気です。平成景気で伸びてごみも一緒に伸びます。ご存じのとおり、環境クズネツ曲線というのがありまして、はじめにGDPをのみますと環境負荷物質は上がるのですが、やがてある転換で下がる。SOxなんて典型的な例ですね。NOxは余りうまくいかない。環境負荷物質ごとく違うのですけれども、ごみは余りうまくいかないのですね、普通。やっぱり経済の所得が伸びるとごみもふえてしまうのです。東京都区部の場合は実に、これは平成元年ですが、そのあとは減っているのですね。この辺ちょっと支出も減っていますけれども、長いスパンで見ると伸びている。支出は伸びてごみは減っているというディカプリングが成功したという、非常に面白い例を示しています。
(パワーポイント)
 これが面白いのは、こういう都市もあるのです。ごみは一廃ですから市町村なのですけれども、ディカプリングをした市町村もあるけれども、全然できていない市町村もある、日本全国というのはまだできていないわけです。これはやっぱり各都市間の政策によって違ってくる。
(パワーポイント)
 これはGDPの推移と一人当たりごみ量なのです。大体経済が成長しますと一人当たりのごみもふえるのです。ところが第一次オイルショック当たりから一廃の一人当たり大体一定なのです。で、経済成長している。だから一人当たりでいうとこの辺から少しカットできたかなという一つの、これは全国レベルでもこうなっているということです。
(パワーポイント)
  ちょっとまた話題が違いまして、私はなぜか森林保全のNPOをやっておりまして、森林にも若干興味をもっているのです。今日本というのは国土保全上の意味から、さっき災害の話がありましたけれども、森林はずたずたです。予算もほとんどつかず、徐伐、間伐、もうほとんどされない、枝打ちもされないままの森林がいっぱいありますから、そんなところのふもとに住んでいると土石流があったらひとたまりもない。一応森林ストックは増えているのですね。人工林のストックがふえて天然林も増えているのですけれども、しかし日本は世界の森林に依存しているわけです。つまり、今までは依存といっても丸太輸入だったのですが、最近は製材品で輸入しているのですね、こうなるとどうなるかというと、日本の森をほとんど使わない、で、森を使わないというとビジネスと環境が平行していかないわけですよね。なぜかというと、人工林の場合というのは人間が手を入れることによって、初めてまともな森になるわけです。そこら辺がうまくいっていないということで、国土保全上大変なまずいことを抱えているのは我が国です。
(パワーポイント)
 これは国土交通省、これも温暖化かどうか私は知りませんし、とにかくまずいなと思って、これはもう少しだと統計解析してみないとわからないですけれども、あきらかに変動が大きくなって時系列的に、時系列的な分散というとスタティックな分散と違うのでちょっと安直にはいえないのですけれども、分散は大きくなっているのではないかなと、平均下がっていて変動が大きい。これは実は明治33年ごろからのデータで実によくデータをとっているのですね、ちゃんと。そうするとこれだけ年構成、我々は年間1,700ミリとか1,800ミリとか学校で教えられていたのです。が、実はもう平均降雨量は1,600ミリ以下になっているらしい。先ほどの森林の劣化もそうですけれども、こうやって降雨量が変わってきていて、変動が激しくなっているという状態があって、しかも森がズタズタだということを考えると、大変まずいことが起きそうだなという予感がしました。
(パワーポイント)
  ざっくりとした総括ですけれども、明治維新や太平洋戦争(大東亜戦争)などの非常に大きな撹乱要因があった、また2つの石油ショックがありましたけれども、比較的日本経済はしなやかに動いて対応してきた。ただし、日本の貧富の格差は今広がっているといわれています。すごいのはあれだけの高度経済成長を遂げてきて、日本はOECDで最も所得分布が平等だった国なのですよね、ところが見事に今それが、所得分布が不平等の上位から5番目に日本がいる。1番目はポルトガルらしい。2番目にイタリアかアメリカか何かがあって日本は5番目ぐらい、そこまで不平等になってきたということなのです。これは義務教育にお金が回らないということと日本はこれから大変な問題になってくると、私は思うのですね。
 景気循環をものすごく繰り返してきたのです。これはもうしようがない、資本主義社会ですから、でも日本は順調な成長と発展、しかも所得分配が平等の中でやってきたというすごい社会が今壊れつつあるということなのです。外生的要因の変化に対して、制度と市場の組み合わせ、これは市場経済だけでこんなうまく対応できるわけがない、SOxがなぜ対応できたか、制度を入れたから、大気汚染防止法を入れたからなのです。で、公害防止協定をやって数千から数万の協定ができたから。その制度的なものに対して市場がうまく反応してきたと私は思っています。
(パワーポイント)
 これまで何とか深刻な環境問題も克服してきました。そしてまた幾つかの環境負荷指標については、経済成長とのディカプリングを成功してきた。しかし、やっぱり積み残した問題もたくさんあって、注目されない森林資源や水循環にかかわる国土保全の軽視というのは今後極めて深刻な問題をもたらすのではないかと思っております。
(パワーポイント)
  次は、先ほど明日香先生が中国の問題を出されましたが、ちょっと違った観点から。これからやっぱり大変な問題は、我々の外生要因は中国だな、沿岸地方に例えば数億人の経済圏ができてくる、さらに東アジアマーケットへいくとマレーシア、タイ、ベトナムあの辺全部あわせると4億人ぐらいいるわけですね、だから東アジア圏域の8億人の人口を考えると、我々にとってはものすごいこれは与件になってくる。そこで何かショックがあってくると、この間のタイのIMFの金融ショックなどという問題ではないような外生的ショックになりかねない。それに対応できるかどうかということが大きな問題であります。
 85年のプラザ合意以降、円高を受けて日本企業は海外拠点を求めてアジアに行った。特に中国ではケ小平の「南巡講和」というものですね、中国南方の市場開放ということで上海は特にそうですけれども経済発展がすごい。日本の現地法人が増える、そして日本企業の生産拠点の海外移転の結果、海外生産比は93年が7.4%だったのが2002年には17.1%、そこまで移していると。ものづくりの世界は相当東アジアにやってしまった。
(パワーポイント)
 特にアジアがすごい。90年代、一般機械や電機機械のアジア件域内の貿易量が増えている。そしてアジア域内における一般機械の総輸出額は、90年の359億ドルから2000年の1,204億ドルへ、3倍以上増えている。電気機械の場合は同時期に436億ドルから1,929億ドルと4倍以上に増えているということで、アジアのつながりがものすごく急速になっているということなのですね、つまり影響も与えるし、受けやすい。日本の場合、マーケットの大きさを比べる、人口の大きさ比べても影響を受けやすいということです。
(パワーポイント)
 中国は明らかにもう大国です。経済成長、経済発展の達成はすごいですし、消費の伸び率もすごい、世界の有効需要の牽引役。今資源をどんどん吸収しております、オーストラリアの日系の鉱山なんか住友金属は30年ずっと大事にしていた契約は、中国があっという間に高値をつけてかっさらってしまっている。どんどん中国は持っていってしまう。一方で高い生産力、工業生産力の増加、素材需要がどんどん増えていく、驚くほどの資源を吸収していく、北京オリンピック、上海万博までもつのかということが問題ですが。
(パワーポイント)
 これがすごいですよね、GDPの成長率ですが、中国のデータが当てになるかということが、それをお含みおきの上、これを見ていただきたいと思います。これだけ経済成長を遂げています。日本の高度経済成長に匹敵する、しかもすごいのは大体経済というのは経済成長が起きるときはインフレです。だから物価は上昇します。CPI、Consumer plus indexです。ところが中国は高い成長率にかかわらず物価上昇率は非常に低い、だから元は強くなるわけです。これだけのパフォーマンスを続けていくと。
(パワーポイント)
 しかもマーケットの大きさはもう、例えばDVDなのですけれども、もう既に日本はとっくにDVDは抜かれている。1999年、2000年になる前にもう中国に抜かれているわけですね、こうやってマーケットの大きさ一つ、DVDをとってみてももう明らかです。
(パワーポイント)
 それからあと、静脈系でいうと、これは鉄屑の輸入なのですが、まだ韓国が結構強いのですけれども、中国のこの需要はすごい。大体発生度に占める輸出の割合というのは日本は大体22.5%ですね、もう日本は鉄スクラップの輸出国です。かつては輸入国でしたよね、経済成長のときは鉄スクラップが必要ですから、今輸出国です。
(パワーポイント)
 銅屑なんかはすごい、ほとんど中国です。日本で発生する銅はほとんど中国にいってしまうという、すごいですよね。
(パワーポイント)
 非鉄はものすごく喜んで買います。アルミもそうです。銅・非鉄はもう驚くような勢いで中国に吸収。
(パワーポイント)
 プラスチック屑、これ香港とありますけれども、香港経由で中国とお考えください。一時日本の悪い業者さんがちょっと違法的にハイプラスチック、つまり一般用を入れて輸出してしまって、中国は激怒して中国本土へのプラスチックの輸出が禁止されてしまったのです。今は禁止が解かれましたけれども、禁止はしてもさすが中国でプラスチックは欲しいのですね、で、どうしたかというと香港をゲートで輸入したわけです。香港をチェッキングポイントとして輸入した。今でもものすごい勢いで、だからプラスチックを輸入するわけですけれども、容器包装リサイクル法が何でことしは14万5,000トンか、去年は16万5,000トンなのに。2万トンよけいに中国へ逃げていくわけですよね。中国で大体キログラム20円から、今40円から50円ぐらいまでのレンジで買ってくれる。これは我々から考えると信じられないほどの高値です。キロ50円なんていったら信じられない高値、それほど中国は持っていっちゃうということなのですね。
(パワーポイント)
 しかも非鉄の場合、銅は今90〜95万円、1年前の2倍以上、亜鉛も今1トン40〜45万円で1年前の倍程度すね、アルミも今35〜40万円で1年前の1.5倍程度です。これすべて中国要因だとはいいませんけれども、先ほどの図を見てもわかりますように、あれは静脈資源の場合ですが、天然資源でも中国の吸収力はものすごいということなのですね。白金は1グラム4,000円超、4,200〜300円、金は2,000円超、パラジウムは1,000円です。
 白金はグラム4,000円ですから、これでは燃料電池は白金を使っている限り経済学者の目から見て無理だと、こんな額でできっこないですし、使いようがない。そしてタングステン、アンチモン、インジウム軒並み高騰です。中国というのは不思議な国で資源供給国であるとともに輸入国なのですよね。これは資源は遍在していますからどうなるかというと、いつか5年前のパラジウムショックのようなことが起こりかねない。パラジウムの生産は限られていまして、主にロシアですけれども、ロシアが供給を絞った途端に600円から急に1,200円に上がった。パラジウムはご存じのとおりいろんな機械に、こういうIT関係のものに使っています。また、自動車の触媒装置に使っています。その触媒がとても大変になっちゃうわけですね、そういう状況で環境をよくするためにもそういうものが必要なわけです。
(パワーポイント)
 中国を中心とするアジアの成長というのはものすごい。天然資源の吸収源で静脈資源も驚くほどの勢いで吸収している。この状態が続けば早晩資源はなくなっちゃう。一方、中国を中心とするアジア諸国が不況になると、静脈資源の行き場がなくなり、日本は未利用資源があふれることになるという大変な悩ましい問題があります。好況にいると自分はもう好況が永遠に続くようにみんな思うのです。景気循環って何百年繰り返したか、昔はオランダで景気がよかったころ、チューリップ1個に全財産をかけたわけですね、それが一挙に0円になっちゃうわけです。そういうことを何回も繰り返すのですけれども、人間というのは忘れます。好況だと好況が続く、不況だと永遠に不況が続くと思っている。そんなことはないわけです。今、好況にあわせてドーンと未利用資源が中国に流れているわけです。しかし、中国が悪くなったら一挙に日本に滞留します。これを市場に急に吸収しろといっても無理ですから、特に静脈の場合は制度政策が重要になってくる。
(パワーポイント)
 かつてのローマクラブの「成長の限界」というのは、大きく予想をはずしました。なぜか、簡単です。あのシステムダイナミクスは市場のしなやかさをまったく無視している。だからといってあれがだめだなんてちっともいわずに、とっても重要な考え方を示している。だから市場のしなやかさを入れなければいけないのですが、何か外生的なショックがあった場合の制度と政策の対応がない限り、市場はしなやかに対応できない。繰り返し申し上げてそれを示してきましたけれども。
 一方で、これから起こる資源エネルギーの急騰、バーレル70ドルとか銅が1トン90円の急騰に今後楽天的にかまえられるかということを、やっぱり考えていかなければいけない。中国という外生要因は日本にとって非常に大きい。それがどのように変化するかによって日本の市場均衡解の経路は、いわば数学的にいうとパータベーションが起きる、外生的なショックが起きますと市場は対応してきますけれども、ある予見が変わりますと均衡解というのはずっと時系列で動いて、ある均衡解に耐えますけれども、ちょっと動いただけで悪い均衡にいっちゃう可能性があります。どっちに誘導できるかというのは、これは制度と政策の境界条件をつくってくれなければ市場は解は決められません。それがとても今後重要になってくるということです。
(パワーポイント)
  結論ですけれども、外生的要因の変化に対して、経済はしなやかに動くことができる。しかし、経済がしなやかに動き、ソフトランディングできるようにするためには、制度的あるいは政策的な支えが必要、それがないと非常に経済厚生のよくない均衡に到達する。もしくは均衡に到達せず、不安定な状態が続くかもしれない。これは中南米で起こったことです。ミルトン・フリードマンが市場主義で中南米にも市場を持っていけばうまくいくと言ったけれども、外生的撹乱が起こると均衡解は崩壊です。東欧もそうですよね、アメリカ人が行ってアメリカ人のいうとおりやればうまくいくといったけれどもうまくいかない。日本はなぜうまくいったかというと、非常に制度的なことをうまく誘導してきたからです。そして市場をうまく使った。で、市場のしなやかさを有効活用するような制度構築と戦略がこれからは必要になってくるということです。
 これが結論なのですが、一つBack castingが難しいと私が申し上げたのは、どういうエンドポイントを置くかというのがこれから8億人のアジア、沿岸地域とベトナム、マレーシア、タイのことを考えると、どういうエンドポイントを置くかでBack castingをやってもまったく意味のないBack castingをやる可能性が出てきてしまう。可能性がもう非常に大きいと思います。
そこで私は非常に難しい面があると。
 一方で、うまくBack castingのそのエンドポイントを、あるいは境界条件を置いてやると、私は市場というのはかなりうまくやってくれる。銅が3倍になったってうまくやっているのですよ、これ経済産業省が例えば5%上前はねるといったら、みんな怒りますよね、だけど不思議なことに市場が荒れたってみんな怒らない。バーレル70ドルになって市場に対して文句をいう圧力団体はない、これはおもしろい。この市場の力を使わない手はないけれども、そこに境界条件をどう設定するかという、その手の難しさがあると思います。以上で終わります。ありがとうございました。

○安井座長 ありがとうございました。またまた中身が非常に濃かったものですから時間もかなり濃くてですね、大体予定の時間まできてしまっておりますが、一応どうしましょうかね、二、三質問を受けてから、事務局側から今日どうしてもやらなければいけないことをそのあとやりますか、どっちがいいですかね、きょうせっかくですからもう少し議論を続けた方がいいかなと思うのですけれども、どうしましょう。

○苦瀬総務課企画官 先生方いていただける限りはもう少しやっていただければと。

○増田課長補佐 会場は5時半までです。

○安井座長 5時半まで会場はあるそうですから……そうですか。あとで事務局側からの議題は何分用意すればいいですか。

○苦瀬総務課企画官 2分ぐらい。(笑)

○安井座長 2分ですか、(笑)しかしまあ、4分ぐらい用意しましょう。
 それでは、そういうことで何かご質問ございますか。

○花木検討員 今の制度と政策は大事だと、そのとおりだと思うのですね。で、そういう意味だとこれまでは制度も政策もうまく、例えばバブル、ポストバブルとかうまくやってきたのかということと、それから環境、これから脱温暖化を例えば考えたときに、これまでとは違う制度なり政策が必要なのか、その辺はどうですか、先生の一番のご専門と思うのですが。

○細田検討員 始めのところですけれども、バブルのときは私は失敗したと思います。なぜ、失敗したかというと、あと知恵はいろんなこと言えるのですね、マネーサプライを日銀が供給し過ぎたこと、だけどそのとき瞬間では供給しなければしようがないじゃないかという……。

○花木検討員 それはだから制度よりは政策?

○細田検討員 政策です、それは政策です。それからもう一つは、バブルのあとの問題で、これよくいわれるのはゴーストップをやり過ぎた、これも政策の問題ですね。橋本政権のときにゴーストップをやり過ぎたために上がりかけていた市況をわざと潰しちゃった、これは政策の問題です。
 それで、私は公害対策の問題も基本的には非常によくやったと思っています。その制度が実は過去にやってきた水俣とか非常に悲惨なこともありますけれども、この先同じことが同じような手法で、制度でいくとはとても思われない。それはなぜかというと、ドメスティックで起こってきた公害とかその問題等はこれから中国がちょっと変わるだけで物流がものすごく変わってしまう世界、今度はそれがベトナム、それからタイまでいってしまったら、もう今までと同じようなドメスティックな考え方では対応できない。じゃあ、どうするかというと、すみません、私はまだないので森口さんあたりに一生懸命まだマテリアルフローを計算しているところで、そういうことの事実、ファクトファインディングができた上でないと、どういうふうに対処していいかというのはなかなかわからない面があると思います。

○花木検討員 制度自身を変えるというのは政策で対応する?

○細田検討員 その制度、政策の意味なのですけれども、先生のいう制度というのはどの程度のフレームワークのことをおっしゃっているのですか。

○花木検討員 いや、じゃあ、先生の定義の制度ってどういうのですか。私は専門ではないので教えていただいた方が……。(笑)

○細田検討員 制度というのは主に私のような堅い、さっきのレジームではコアの部分ではないかと思います。つまり、法律によってしかも体系化されていて、例えば環境ですと基本法がありますよね、基本法のもとに環境があって、循環だって循環法があって、それは私は制度的な枠組みだと思います。そのもとにしたがって裁量でできるのが政策あるいはその部分ですよね。

○安井座長 ほかに何か……西岡先生どうぞ。

○西岡主査 今の政策と関連するのですけれども、長い間柔軟に対応してきたということの一つの例として、例えば成長期における倍増計画というのが何かの形、目標としてあっただろうと。それは日本の成長の時期にちょうど合った話なので、また途上国ではそれをいつの時点にどうやるかというのが例えばあると、そうした場合にやはり発展の段階がいろいろあってそういうものになっていくということだと思うのですが、そういう観点から見たとき、今どういう時点に例えばあるのだろうかということを、おうかがいしたいということなのですが。
 そんなに先のことはわからないかもしれませんけれども、一つは今大きな話でglobalizationの中でしかできないのだから、ビジョンを考えるときに、私の方も一体その外生変数、その枠をどうやるかというのは非常に2050まで悩んでいるところではあるのですね、そういうところまで入れないと多分だめだろう。 一方、もっと先の方にいきますと、我々環境をやっている者が常にいうのは定常化経済みたいなものが要るのではないか。遠い先にですね。そういうような見通しがある中で、一体今の時点で、我々が新しい、柔軟であるけれども考えなければいけないことは何だろうかという質問ですが。

○細田検討員 例でいきますと、この高度経済成長の時期というのは非常に、例えば金利なんか固定してスプレッドで決めて、都市銀は全部公定歩合で決まっていて、もう裁量なんかほとんどなかったわけですよね、それでいて財投をうまく使ってやって、うまくいって経済成長をさせた。なぜかというと、ケインジアン的な有効需要政策が効いた。つまり公共投資をやればその何倍もの有効需要が当時は出てきたわけですけれども、今は残念ながらほとんど有効需要の創出効果がないといわれているのですね。
 なぜかというと、例えばそのころのGDPの構成率を考えてみますと、今は大体第一次産業5%以下、第二次産業がもう30%以下、残りはほとんどが、70%がもう第三次産業です。アメリカの場合は80%ぐらいいっている。つまり、さっきの床屋さんの例ではありませんけれども賃金が上昇しちゃうだけであって、生産性の上昇はなかなか伸びない。その部分というのが全然高度経済成長時代と違ってきてしまっている。つまり、ものにつけて付加価値が回る時代が、いわば今までの前の時期であって、今はものに付加価値はのってこない。だから実は私は脱マテリアルとかそういう考え方というのは基本的に経済の動きと非常に一致していると思います。しかしながら、経済政策がそれについていかなくていまだに道路を造ったり、GATT、ウルグアイラウンド、農業調整金が6兆円とかそういう世界になっているわけですよね。つまり政策、その場合は制度もついているかもしれませんけれども、つまり経済のしなやかな変化に実は今度は制度・政策がついていかないという不調和を起していると思います。

○太田検討員 日本の経済にとって中国は大変重要だということは本当にそのとおりだと思うのですけれども、質問させていただきたいのはアメリカのファクターですね、市場としての。外生的要因として日本の経済とアメリカの市場というのはかなり運命共同体的というか、アメリカの消費によって日本の製造業者も販路が得られるというように。
 あともう一つ、マクロに見て将来的に元の価値なりユーロ対アメリカのドルというか、国際通貨制度の安定を考えたときに、今のアメリカの財政的にも国際貿易面でも大赤字でということで、戦後の国際通貨体制というのは今後とも続いていくのでしょうか。やっぱり日本というのはドルの通貨安定ということである程度経済もうまく回ってきたと思うのですけれども、将来的国際通貨体制というのはどのようになるのでしょうか。これもちょっと大きい話ですけれども。

○細田検討員 いや、すごい難しいですね。まず、前者の話は、なぜ中国といったかというと、私は政治はよく知らないのですけれども、アメリカと日本の関係は少なくとも経済の関係でいろいろ問題はあったのですけれども、わりと今は安定期にある。ということは、ある程度読める、大体アメリカの要するに出している国債を日本は買っていますから、日本が全部売り払っちゃうようなことをしない限りお互いの通貨関係はある程度うまくいくと、私は思うのですよね。
 ところが中国との関係というのは余りにも展開が早すぎていて、極端な話、去年、上海に行ってことし上海に行くともう全然違っているということで、その世界との変化、変化率をとると違い過ぎるというので中国は大変だろうと。アメリカとの関係が、これは政治と経済両方ありますけれどもそれがうまくいく限り、温暖化の問題で離脱とかそういうことはありますけれども、私はある程度動きが読めて比較的安定したレジームで、経済レジームの中でいくのではないかなと。ドルが潰れれば日本はかなり混乱しちゃいますから、多分支えるだろう。その関係でしばらく続くのではないかなということで。
 あと、通貨制度ですが、私は専門家ではありませんからわからないですけれども、通貨ってわからないですね、何で今ユーロが強いかとか金利差だっていえばそれなのですけれども、ファイナンシャルの動きとものの動きというのが必ずしも並行的にいかないもので、ちょっと短期的には動かないのですけれども、比較的長期に見ると今ユーロ、それからドル、円はそこまでいかないですけれども、アジア圏域を加えて3極構造というのは比較的バランスはとれているのではないかなと、私は思っています。だから中国にものすごい不況、恐慌が起きるとか、それがやっぱり非常に不安定要因だと思いますね。
 それから一つ、西岡先生に私も大賛成なのは、ある意味での定常状態、それは悲惨じゃない、何といいますか明るい定常状態、恒常状態ですね、教育は行きとどいててみんなが余暇を楽しめるとか、そういうmature worldな社会の経済のバラ色の定常状態というのをやっぱり提示すべきときが、私はきていると個人的には思っています。

○原沢検討員 それに関連してこの状態が続けば資源は早晩枯渇するというお話で、例えば中国の市場等がクラッシュする可能性もあるかと思うのですけれども、早晩というのはいつごろでしょうか。もし、そういうことが起こるとすると、中国政府がそういったものを回避できるのか、あるいは国際市場がうまく回避できるのか、その辺ご意見をいただきたいのですけれども。

○細田検討員 これ実は経済産業省ともいろいろ私的で研究やっているのですけれども、とても難しいところがあって、例えば今そもそも……資源の供給先というのはわかっているのですけれども、例えば循環資源、我々がストックとして持っている、この中にもパラジウムは入っていますし、どこに一体どれぐらいの資源があるかということが多分みんなわかっていないのではないかと思うのです。今いろんな人が計算していますけれども、それがわからないと、あるショックが起こったとき、どう動けるかというのがわからない。
 ただし、中国というのはさっき言ったように資源の吸収国であるとともに、アンチモンなんて多分中国が握っていますから、あるときまでは絶対離さないということが起こってきて、その場合には急激なやっぱりショックには市場メカニズムは対応できないと、私は思います。そういうことが起きたらば。パラジウムショックはあのとき600円から1,200円の2倍になったわけですけれども、触媒は皆さん研究しているので、ロジウムをちょっとふやすとか白金をふやすとか一生懸命やって何とかするのでしょうけれども、例えばロジウムというのは、今市場がないわけですよね、あれは多分、相対取引に決まっているのですけれども、ロジウム、パラジウムがなくなってしまったらどうするのでしょうね、私はわからないです。触媒の研究をやっている材料研の人なんかは、何か新しい触媒を発見していくのかもしれませんけれども、やはり市場は一時期対応できなくなると思います。さっきのショックというのはわりと長期で乗り越えてきたのですが、短期を見ると非常に難しいものがあると思います。

○安井座長 ちょっとすみません、実をいうと花木先生に帰られちゃったのですけれども、ほかの先生方もそろそろお帰りになられる方おられますか。もしおられなければこのままちょっと続けたいですし、もしお帰りになるようであれば最後のまとめを先にやってしまってから、細田先生にはこちらにお戻りいただいて議論を続けたいと思うのですけれども、いかがいたしましょうか。
 先生方、お帰りは大丈夫ですか。一応25分、あと15分間でやめようと思っているのですが、では、このまま続けたいと思います。
 それでは、山本先生どうぞ。

○山本検討員 森林資源のことについておたずねしたいのですが、13ページで将来深刻な問題が起こりうるというご指摘なのですけれども、日本に限定して森林資源の将来のあるべき姿といいますか、望ましい姿というのはどのようにお考えなのでしょうか。

○細田検討員 僕はちょっと専門家ではないので、NPOの理事長をやっているだけなので。一つ言えることは、姿というよりも方法として、私今ある程度ビジネスと環境が成り立つことができる雰囲気になってきたなと、完全にではないのですけれども、やっぱり森林資源を外国のを使うことというのはさっきの認証制度もそうですし、少しずつそんな簡単ではなくなってきますし、日本の流通制度も今ものすごく森林関係で修復しているんですよね。そうすると、ビジネスと環境が成り立ってくると人工林に関してはその部分でうまくいくから、ストックはこれだけ残っている、問題は徐伐とか間伐とか枝打ちができるような、それは何をするかというとそれがお金になれば皆さん使えるわけで、そのモデルをつくることが今重要だと。だから先の姿がどのようなのが望ましいかではなくて、望ましい方法を今模索している、それがビジネスと環境を両立させる。そのためには木材の流通制度を少し変えて日本の森林を使えるようにする。
 今すごく追い風なのはシックハウスとかいろいろありますよね、実は日本の風土気候ということを考えるとフローリングなんかもやはり日本の木がすぐれている。スギを余り植え過ぎるとかいけないとかね、また逆のエフェクトもありますけれども、今、専門家にいわせると実に変な外国の木材の使い方をしているそうです。だからそういう室内の環境問題も含めて少し追い風になってきているので、そのビジネスモデルを作り上げたいというのが、私の今の希望で、2つのNPOにかかってやっているわけです。

○安井座長 他によろしければ細田先生に席に……どうされます、戻ってからでいいですね。では、お戻りいただけますか。どうもありがとうございました。
 それでは、あと一般的なお話を10分強になってしまいましたが、ちょっとしていただいて、ご質問できなかったところ、関連すること、何でも結構でございます。せっかくですから森口先生からどうぞ。

○森口検討員 ちょっと迷っていたのですが、細田先生の話のメインの部分ではなかったのですが、ちょっとSOxとかNOxのことにも触れられましたので、逆にいうとここで触れていただかないとだれも触れずにこういう議論もする機会がないのかなと思ったものですから。
 すぐ忘れるということを細田先生おっしゃったのですが、考えてみれば15年前とか10年前とかは、私は環境省にくればもうNOxの検討会ばっかりに出ていたような気がしていまして、当時環境省のトッププライオリティは多分NO2の環境基準の達成だったと思うのですよね、そのくらいある意味ではやっぱり世の中というのは動いてしまうものだと思います。NO2に関していえばこれは多分いろんな問題があって、排出量を下げても濃度が下がらないとかいろんな問題があったりということもありましたので。
 何を申し上げたいかというと、細田先生おっしゃったその制度と市場の組み合わせみたいなのが、わりに定量的な指標がうまく働くところはうまくいくのですが、そうじゃない世界が何かあるのではないかなと。そういう意味では国土保全みたいな話ですとか、さっきおっしゃった教育がどうとかいう、こういう話というのは非常に何か数字に載りにくい世界かなと。で、持続可能性のその経済・環境・社会というよく3段面でいいますけれども、社会のところというのはなかなかこう、みんな大事だ、大事だといいながらどうやって測って良いかわからなくて、そういう部分がどうもなかなかうまくいっていないのかなという気がしていまして。
 そういう意味では、わりに環境と経済がコンフリクトを起しているような議論がずっとあるのですけれども、わりにそこのところは私も最近楽観的でいいのかなという気がしてきて、いわゆる社会といっている部分をどう扱うのかという点でなかなかうまく将来が見通せない。だからこそ何かその将来に対するある種の不安感のようなものがあって、だからこそビジョンがというような、そういう議論にきているのかなという気がしていまして、そういう意味でやっぱり余りこれまでそういうスキームで環境行政というのは動いてこなかった。特に公害対策基本法のときよりもやっぱりはっきり数値目標があって、それに対してどうしていくというスキームできている。温暖化もややそれに近いスキームで今いきそうな感じがしているのですけれども、そういう面からみて将来的にしなやかに対応していけるのか、やっぱりちょっと異種の問題があるのか、そのあたりをちょっとお伺いしたいなと思っていたのです。

○細田検討員 すごく難しい問題ですね、どう答えたらいいのだろう……いや、今何考えているかというと、例えば一般廃棄物でリサイクルをしましょうという問題ありますよね。これは定量的にみると、リサイクルをやって、これは時系列だからそんな簡単には相関と言えないのですけれども、ざっくりいうとリサイクルが増えると最終処分は明らかに減っているのですよ。で、排出量は余り減っていませんから、発生抑制よりもリサイクルの排出抑制が効いて最終処分が減っていると言えるのですけれども、そこに実は大きなファクターがあって、例えば私は3Rの何とか表彰委員会の委員をやっていますけれども、どっかの学校でこういうことをやりました、ああいうことやりましたとか社会運動が起こっているわけですよね、そこが実はブラックボックスになっちゃっている。出てきたデータをみるとこういうマクロの相関がありますよということしか言えていないのです。少なくともそこでみると結構うまいこといってきたけれども、おっしゃるように、じゃあ、これから同じことが言えますかというと、そこはブラックボックスで解析できていないから何も言えないのですよ、だから何も言えないということしか言えないのですが。
 だから例えば経済の弾力性をはかれるとか、そこまでできれば言えるでしょう、ところが全部それはブラックボックスに入れてアグリゲートした集計的なところで全部説明している、ということは説明していないことになっているのですけれどもね、その辺はすごく難しいと思いますね。だから僕は温暖化の専門家ではないけれども、民生的なものがなかなかうまくいかないというのはそういうところにあるのかもしれない。

○安井座長 細田先生向けでなくても何でも結構でございますが、何かございますか。

○明日香検討員 中国についてちょっと一言なんですけれども、私かかわって思うにやはり中国は一つの国ではないというのでしょうかね、よくアフリカとヨーロッパはくっついているような国だと、なのでやはり単純にいえば二重経済で農民の賃金が低く抑えられていて、物価は上がらなくてということで説明できるかもしれませんし、環境問題を考えるときに、やっぱり都市の人たちの考える環境問題の基準というのと農村の人のは全然違うという、そこは我々は理解できませんでしょうし、例えば中国政府がこうだと言っているからというので、それを額面どおりにとるのはやはり難しい社会なのかなというふうには思います。で、格差社会というのは日本はあると思うのですけれども、多分100倍とか200倍ぐらいある格差社会でそういう環境なりをどう考えるかというのは難しいなと。
 あと、もう一つ、じゃあ、日本は何ができるかというよくある議論なのですけれども、僕はあえてちょっと言えば、そんなにできるところはもしかして余りないのかなと、全然違う性質の、さっきちらっと申し上げたのですけれども、今どんどん非効率な企業を閉鎖するというのでしょうか、そういうまさに社会的な対策をするしかないような状況もありまして、そこは多分技術力とかそういうレベルの話ではないでしょうし、一方、大企業はかなりもう技術力を持っていて、別に日本の技術ではなくても、ドイツの技術もいろいろ入り──していると、だから何となくイメージとして日本は技術力がたくさんあって、中国にそれを移転すれば何かいいというようなイメージはもうちょっと違うのかなという気はしています。

○安井座長 どなたかコメントございますか。今の中国に関して。

○明日香検討員 まあ、わからないというだけですけれども。(笑)

○安井座長 いや、関連すれば本当に今あれですよね、CDMなんかだってどうも中国に足元みられているというか、ですからCDMで何か若干なんてできると思っていると、まるで甘いような気がするし、そのあたりを含めて何かご意見があれば……。
 それでは、次の話題で。沖先生どうぞ。

○沖検討員 細田先生の資料の最後の方を見ると、「中国を中心とするアジア諸国の成長発展には恐るべきものがある」とか「恐ろしい勢い」だとか、ちょっと何かこう脅威論みたいになっちゃっているのですが、明日香先生のパイの分配の問題というところを見てもやっぱり低いというときに、50年後を考えたときに、これを変化平等でいくのか、一人当たりの capitaの環境負荷でいくのかということがちょっとどちらの方向になりそうかということについて、倫理的な側面もあると思いますし、ちょっとやっぱりその辺──しておかないと、例えば中国が伸びるから資源の枯渇がより近くなるというのはあると思いますけれども、もちろん日本を含める先進諸国は大量に消費しているというのは間違いないことだと思いますので、そうやって新しく伸びようと、生活レベルが上がろうとしている国々は目立ちますが、そこを余り取り立てていうことが今後の国際社会の中で得策かどうかといったことですね、もうちょっとやっぱり僕は考えた方がいいような気がするのですけれども。

○細田検討員 私がここに書いたのはそれがいけないとかそういうことではなくて、それを知っておかなければならない、予期しておかなければいけない。逆にいつまでも中国がそうなのかと、さっき中国も大分違う、私も違うと思うのですね、いろいろね、そうすると、その細かい分析をしなければならない。なぜ、こんなことを書いたかといいますと、かつては日本の企業はさっきの「南巡講和」ではありませんけれども、みんな中国、中国といって中国に行って失敗して帰って来る。みんなではありませんけれどもね、わりと私たちは経済問題もそうなのですけれども分析をしないでエモーショナルものでいってしまう、先の大戦をやったときも大した分析をしないで戦争をやって負けちゃった。インパール作戦が負けちゃったというのは、すみません、霞が関とは言わないですけれども、今もそういうことが日本の企業にあって、やっぱり今何が起こって将来先に何が起こるか、はずれてもいいですからまさにBack castingをやるとかそれが必要であるという意味であって、別にそれは中国がこれから成長するでしょうし、それをいけないとは言えないでしょうし、そこはやっぱり冷静な目で見ておく必要がありますねと。

○沖検討員 いや、私はどちらかというとパイの問題の明日香先生の図でやはり/capitaの排出量が少ない、しかし人数が多い国というのに対してものすごくやっぱり風当たりが強く、日本のマスコミの論調もそうなっていますけれども、それが例えば、もし皆さん中国人だったときに本当に公正だと思うかというところをやはり考えていかないと、なかなか今後うまくいかないのではないかなと私は思うものですから、ちょっと申し上げました。

○安井座長 今の話、しかし言い出すと……中国は人数が多いからそうなのだけれども、もっと人数の少ない小国あたりはまったく無視されているという現実もあってね、だからなかなか難しいところがありますよね。
 さて、他に何かございますか、山本先生どうぞ。

○山本検討員 明日香先生のお話の中で中国の原子力発電のリスクが拡大するというご指摘があったのですが、それは具体的にどういうことを指していらっしゃるのか。そして先ほど西岡先生のシナリオの中にも世界全体の中の原子力発電のシェアがこれから大きくなると、そういうことにも関係あることなのでしょうか。

○明日香検討員 これはたしかこの前、安井先生が基数が十倍ふえるとリスクは100倍ぐらいになるかもしれないとおっしゃっていたのを、多分ちょっと使っちゃったところもあるのですが、やはり中国特有の単純にいえば先ほどの川にいろいろ流れたときでも発表は1週間とか10日ぐらい遅れたとかですね、ああいうのを考えるとなかなか難しいなというところはあります。
 私も原子力発電所へ行ったことがありまして、驚いたのはみんなすごく若いのですね、それはいいか悪いかは別にして、かつ安全セーフティに関して非常にプレゼンも立派でして、みんな感動して帰って来るのですけれども、逆にそれができ過ぎているというのでしょうかね、もうマニュアル化されていて、海外からのミッションはみんなこう語ればいいと、全部Q&Aができているような感じなのですね。多分原子力ってそれ以上のものがありますし、あと……このこともわからないですけれども、テロみたいな少数民族の話もありますし、中国の体制がそれがまさに幾つか分かれたときにどうなるかとか、いろいろリスクは結構大きくなるのかなと思います。すみません、余り正確ではないかもしれませんけれども。

○安井座長 私が申し上げたのもそのテロあたりを考えての話なのですけれどもね。
 さて、そろそろいくらなんでもやめないと怒られそうなのですが、きょう大変力の入ったご発表を4本もいただいたものですから大分時間が足りなくなってしまいました、まことに申しわけございませんでしたが、またこれ合宿あたりに宿題をしっかりと抱え込んで、またそこで解決をしていきたいと思っております。
 では、ちょっと事務局にお返しします。

【配付資料等HP掲載に関する確認連絡】

○苦瀬総務課企画官 前回申し上げたことと重なりますが、次回10月27日は引き続きの発表をいただきまして、それらをまとめたりなどして、第6回12月12日、そして1月の……まだ確定ではないですけれども、19、20で調整をしている合宿で次回までのご発表などを踏まえたストーリーラインの叩き台をもとに、おそらくはグループ別に合宿で検討するということをしていただくというような運びになってまいります。それで1月の合宿のあとに2月、また3月に第7回の検討会と、こういった流れでお願いをしたいと思っております。
 ちょっとあと、具体的にさらに増田から補足させていただきます。

○増田課長補佐 今の話とやや重なりますが、次回は10月27日、金曜日、2時から5時で場所は同じく三田共用会議所の3階になります。柴田先生、広井先生、若林先生からご発表をいただく予定になっていますので、よろしくお願いいたします。
 それから12月12日は午前中10時から12時半で虎ノ門パストラルというふうになっております。それから机の上に1月19日、20日の合宿につきまして皆様のご予定をおうかがいする紙を置かしていただいておりますので、机の上に残していただくかあるいは後日、事務局まで送付いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○安井座長 ありがとうございました。以上でよろしいですか。
 それでは、もう本当に時間過ぎてしまいまして申しわけございません。事務局にも10分時間が必要でございました。ということで、本日は長々と誠にありがとうございました。次回もよろしくお願いします。
午後 5時35分 閉会