環境省総合環境政策超長期ビジョン検討について

第3回超長期ビジョン検討会議事録


平成18年9月19日(火)14:00〜17:00
虎ノ門パストラルホテル新館5階「オーク」

○議事次第
1.開会

2.議事
  (一)中間とりまとめに向けた作業の進め方等について
  (二)資源・環境問題の世界的動向等について2
     (花木、山本、湯原検討員からの発表)
  (三)その他

3.閉会

○配付資料一覧
【資料】  
資料1 中間とりまとめに向けた作業の進め方について
資料2 有識者インタビュー実施済・候補者一覧
検討員発表資料1 都市と環境 世界の状況と脱温暖化日本社会(花木啓祐検討員)
検討員発表資料2 森林資源(山本博一検討員)
検討員発表資料3 2050年のエネルギー構成(湯原哲夫検討員)
【参考資料】  
○第2回超長期ビジョン検討会(平成18年8月10日開催)議事録
○本検討会における超長期ビジョンの検討の進め方(第1回検討会 資料4 抜粋)
○超長期ビジョン検討会名簿
○(平成17年度)長期ビジョン検討に関する予備的調査報告書

○出席委員
安井至座長、西岡秀三主査、明日香壽川委員、太田宏委員、川島博之委員、花木啓祐委員、原沢英夫委員、広井良典委員、山本博一委員、湯原哲夫委員、湯本貴和委員

午後 2時01分 開会

○増田課長補佐 それでは、まだお二方委員の先生がお見えになっておりませんが、定刻になりましたので検討会に入りたいと思います。その前に9月5日付の人事異動で総合環境政策局長と、それから大臣官房審議官が交代しておりますのでご紹介をいたします。
 まず、最初に、西尾総合環境政策局長でございます。

○西尾総合環境政策局長 9月5日で総合環境政策局長を拝命いたしました西尾です。よろしくお願いいたします。
 2年余り官房長として、毎日国会をどうやって乗りきろうかということをしておりました。超長期ビジョンといった話題にようやっと参画できることを大変うれしく思っております。
 これからは環境と経済社会の全般にわたりましての担当ということでございますので、よろしくご指導願いたいということでよろしくお願い申し上げます。

○増田課長補佐 続きまして、石野大臣官房審議官でございます。

○石野大臣官房審議官 石野でございます。
 環境基本法と基本計画をつくるときに同じような仕事をしておりました関係で、今回こういった重要な仕事、貴重な体験をさせていただけることになりました。秘書課長の後に1年間、名古屋の税関におりました。外におりまして浦島太郎状態だと思いますので、ぜひこちらでまた勉強させていただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いします。

○増田課長補佐 それから第2回から第5回までの各回では、必要に応じてその日のテーマと、特に関係の深い関係省庁の担当官にも可能な範囲でオブザーバーとしてご出席いただくようお願いいたしております。直接質問などがある場合などにはご発言をお願いすることとしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 本日は、農林水産省、経済産業省、国土交通省からご出席を賜っております。
 まず、農林水産省林野庁森林整備部計画課、森谷課長補佐でございます。

○森谷課長補佐(農林水産省) 計画課の森谷でございます。よろしくお願いします。

○増田課長補佐 経済産業省から資源エネルギー庁の総合政策課からご出席いただく予定ですが、少々遅れて来るというご連絡をいただいております。
 続きまして、国土交通省都市・地域整備局まちづくり推進課の波多野課長補佐でございます。

○波多野課長補佐(国土交通省) 国土交通省の波多野です。よろしくお願いします。

○増田課長補佐 それでは、これから後は安井座長の方にお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。

○安井座長 本日は、何か台風一過でお暑うございますが、お集まりいただきましてありがとうございました。
 超長期ビジョン検討会も第3回となりまして、実は前回及び前々回ご欠席の西岡先生が本日お見えでございますので、ご紹介申し上げたいと思います。

○西岡主査 西岡でございます。
 主査ということで中二階でございまして、シナリオAだと何にもしないで済むのですけれども、シナリオBだと上と下から突き上げられてしまいます。よろしくお願いします。

○安井座長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思いますが、お手元の資料、議事次第をごらんいただきますと、まず最初に、事務局から、これは毎回のことでございますけれども、連絡事項と申しますか、進め方についてちょっとしたご報告及び審議をさせていただくということになっております。
 本日は、その1といたしまして、中間とりまとめに向けた作業の進め方等についてということで、苦瀬さんからお願いいたします。

○苦瀬企画官 それでは資料1をごらんいただきたいと思います。
 資料1、2枚綴じてあるかと思いますが、2枚目で3ページのところが、第1回の検討会で全般的に大体こんな流れでやりますということをご説明したところなのですけれども、より具体的に中間とりまとめに向けて、年明けでもとりまとめに向けてどうするかという話をもう少し具体的に今日、こんなことでよろしいでしょうかということをお話しする必要があるかと思いまして、1ページ目の方をお願いいたします。
 この検討会を6月29日に始めまして8月10日の第2回から、それからきょうが第3回で、第5回の10月27日までは各検討員の先生方からご発表いただくわけですけれども、その後、日程の調整をさせていただきましたところ、次は12月12日であれば開けるということで、そこでこれまで先生方にご発表いただいたところの整理ですとか、大体こういう状況なのでという、その前段の整理をさせていただきたいと思っております。
 その裏では、当然、全体をまとめるために個々の先生方に場合によってはご相談に伺ったりもするかと思いますし、ご関係の先生方のご協力も得て、その後の定量的な検討もするということを念頭に置きつつ、定性的なシナリオの作成の準備作業をしていくということを並行してやっていこうということでございます。
  それで、年が明けまして合宿を行いますが、その年明けの合宿のための準備といった意味も含めてこれまでの発表の整理等を第6回に行います。その第6回のところですと、まだもし必要があれば、ゲストスピーカーなどによる追加発表というのがあるかもしれないということで、当初から申し上げておりましたところで、まだ決めておりませんでしたので、ぜひこの分野はさらに聞く必要があるというようなところがありましたら、後ほどでもご意見をこの場ででも、あるいは後日、事務局へでもお知らせをいただければというふうに思っておりますが、場合によってはそれも含めて第6回をやるということでございます。
 それから、その後19年1月ごろということなのですが、これは当初予定では第6回、7回、8回ということで、中間とりまとめまでというふうに申し上げていたところなのですが、その7回にかえて、やはり集中的に議論をする日があると、そこでまとめやすいのではないかというお話もございまして、そうすると先生方に、今まで検討会の日程としてご紹介していたところではあるのですが、日程の空きぐあいを拝見させていただきますと、1月19、20、これは金曜から土曜ということになるのですけれども、そこですと比較的多くの先生にご参加いただけそうかなということで、もしよろしければ、そこは合宿という形で、その日にやらせていただければありがたいというふうに思っております。
 そこでは、事務局でこれまでのご発表を踏まえてある程度準備もいたしますけれども、課題ごとに小グループに分かれて、どういう問題があり、どういうふうに回避するなり、どういうところを目指したらいいかというような、そういう議論も関係の深い先生方ごとに詰めていただいて、その後全体をとりまとめるというようなことをできればと思っておりまして、都内で1泊2日ということを考えております。2日目は、そんなに遅くまでやるということではないと思いますが、初日金曜日はかなりフルにやって、2日目軽くやって解散というぐらいの大まかな日程を念頭に置いております。
 大体、個別にお伺いするなり、事務局の準備とこの合宿とで、あととりまとめの議論に向けて終わらせられればいいですけれども、もしかすると、そういうごとに若干の対応も必要ということもあるかもしれません。これは必要なければしないということでお願いします。
 あと、2月ごろに第7回の検討会ということで、そこで定性的なストーリーをまとめるということで、これが最終的なビジョンのたたき台にもなるというようなことを2月ごろに開催したいと考えております。これはまだちょっと日程は、これから確認、調整させていただくということになります。
 それから下に補足と書いてございますが、先ほどもちらっと申しましたように、定性的なシナリオの作成作業と並行して、その後の定量的な検討に必要な準備作業を進めるということで、いろんな事象を相互の関係を整理したり、そのつながりをどういうふうに見て定量的な検討に位置づけていくかというようなことの検討とか、いろいろ並行してやっていきたいと思っております。これは国立環境研究所の先生方の指導、ご協力をいただきたいと、コンサルタントももうすぐつくと思いますので、そういうところにも手伝ってもらってやることになると思います。
 それから、いろんな検討にはそれぞれ個別に先生方にもご相談に行く場合もございます。
 それともう一つ、17年度に引き続き有識者に対するインタビューを実施しますというのが、補足の最後に書いてございます。これは資料2の方になりますけれども、昨年度から有識者インタビューというのを実施しておりまして、これは大きな話で幅広い話なので、ここにお集まりいただく先生以外にもいろいろお話を聞いた方がよかろうということで、去年もやっているところなのですが、資料2の左側の方が昨年度実施済みということで、右側が昨年度お話を伺った先生方から、さらに名前が出た方というような方も含めて、これまで候補者として名前の挙がっている先生方でございます。
 若干は追加できるかと思いますので、こういう分野、こういう先生は必要ではないかというご意見がもしございましたら、いただければということでございます。
 それからもう一つ、スケジュールの方に戻りまして、2ページ目です。
 本日は、花木先生、山本先生、湯原先生にご発表いただくということで、次回は明日香先生、太田先生、細田先生、そしてその次は報告のシリーズとしては最後になる回としては、若林先生、広井先生、柴田先生にお願いするということでございます。
 どういう趣旨でのお願いかということは、簡単には第1回目のときにお願いをしておりまして、そこはきょうの終わりの方の参考資料、参考ということで1枚紙が前回と同じようにつけておりますところに、「委員の先生方へのお願い」というのがありますけれども、「ビジョン作成のフレーム」の下です。
 2050年を展望したトレンドと、展望したときの課題、トレンドの変動要因、そして2050年のビジョン、それに向けて必要な対応ということでございますが、各環境問題の分野だけというよりは、いろいろ幅広くやっていただいておりますので、きょうはご欠席ですけれども、特に、経済学の細田先生とか、そういう経済学ということで言うと幅広くであったり、あるいは政治学とかのお話で言うと幅広くなると思うのですが、お願いしてあるとおりでございますけれども、先ほどの安井座長とお話をしていたところなのですが、日ごろ我々環境省の中で環境問題としてだけ見ているというよりは、より広いところでのお話をいただければということで、この辺、また安井座長から何かございましたら補足をいただければと思います。
 ということで、ちょっと長くなりましたが、大体こういった進め方でよろしいでしょうかということと、それからあと合宿などを含めまして、これからの進め方ということと、インタビューの対象者などということが今回のご説明の内容ということです。
 とりあえず以上でございます。

○安井座長 ありがとうございました。
 ということで、これからのとりまとめといいますか、作業の進め方につきましてご説明をいただきまして、こんなことかなと思いますが、何か特段ご意見ございますか。

○山本検討員 合宿のことですけれども、1月20日、21日がセンター入試なので、ひょっとしたらこれに重なってしまうかもしれませんので、その辺をお含みおきいただきたいと思います。

○安井座長 そうすると、18日からやるのかな。

○山本検討員 20日の朝に解放していただければ。

○安井座長 20日が土曜日で、センター試験は土日でしたっけ。
 すみませんどうも、土日ですね、そうすると。
 なるほど、そうすると、その朝そこから試験場へ行っていただくことになってしまいますね。

○山本検討員 全員が前日に当たるとは限りませんので。

○安井座長 わかりました。では、その辺ちょっと配慮していただくとして。どうぞ。

○苦瀬企画官 18、19はちょっと難しいということだと思いますので、19、20でしたら、その辺はなるべく初日の方重点で2日目には先生にはそちらの方に行っていただけるようにしたいと思います。

○安井座長 これまでの似たような経験から言いますと、何か夜時間か幾らでもあるという状況が重要なのでありまして、朝は別に解散してしまってもそれほど問題はないみたいなのですね。そんな状況かと思っております。
 ありがとうございました。
 それから、ほかに進め方につきまして何かございますでしょうか。
 今日は後でヒアリングのこと、候補者がここにございますが、先ほどこちらでも少し議論していたのですが、産業界あたりの人がいないのではないかというような話も出ております。どなたか適当な方がもしおられれば、それも今、西岡先生とお話ししていたのですけれども、経団連のお偉方ではなくて、本当は経団連のそのお偉方がしゃべる基を作っている人が良いのではとか、いろいろ本当あるのかもしれません。そういうようなことで、何か適当な方がおられれば。
 それからあともう一つ、とりあえず先ほど細田先生のお名前が出ておりましたが、実は細田先生からメールを受け取って、次回、話をしなければいかんのだけど、何をしゃべるのだ、私はという話が来ておりまして、何とお答えしたらいいのかという。
 太田先生、何と答えたらよろしいでしょうか。

○太田検討員 今日ご相談申し上げようと思っていたのですけれども。

○安井座長 広井先生もそうなのですけれども、細田先生に何とお答えすればいいのでしょうかね。一応、考えておりますのは、もともと細田先生はどちらかというと廃棄物系がご専門なのですが、例えば廃棄物系がどうなっている、こうなっているというのはむしろ理系あるいは森口センター長あたりにしゃべらせた方が、本当は細かいデータがわかっているかもしれない。
 ですから、そういうものの持つ経済学的な意味とか、それから地球の限界であるとか資源の限界とかというのは、経済学は一応、余り取り込まれない形で、環境についても環境経済学というのは必ずしも全面的に入っているようには思えないのですが、そういうようなものが今後どういった形で経済学の中に組み込まれていくだろうかとか、何か少し大所高所からの話をしていただいた方が良いかななどという答えを細田先生にはしようかと思っているのですが、何かご注文でもあれば、個人的にこれからメールを書くことになるのでありますが。
 ちなみに太田先生はどのような。

○太田検討員 そうですね、恐らく環境会計とか、いかに環境の価値や自然の価値を市場経済に乗っけるかという話ですね、それはできたら細田先生にしていただければなと思っています。
 私の専門外のことですが、持続可能な開発に対する指標化の試みに関してほんの少し調べたことはありますが、そのような指標化の作業については、やっぱり経済学者の方が専門にされていると思いますので、そちらの方をむしろ細田先生にやっていただければ、私はそのあたりのコンセプトの関係で解説していけるかと思いますので、そこで重複が避けられるかなという感じで、きょう実は、細田先生にその辺のところに関してご相談申し上げようと思っていたところなのです。

○安井座長 わかりました。
 それでは、もしよろしければ太田先生ともご相談をいただけるようにということでメールを書かせていただきたいと思います。

○西岡主査 何か経済のシステムが将来どう変わる可能性があるのだということも、かなり知りたいところではあるのですね。この作業の中で、ビジョンに相当すると、今おっしゃったのは、どちらかというと経路に相当するところになるかと思うのですけれども、ぜひそんな話も聞きたいなと私は思っております。

○安井座長 よろしゅうございましょうか。
 そんなことかと思います。
 あと、もう余り時間もありませんが、有識者インタビューの何か具体的な名前でも、これはいつ実施ですか。これだけの人をそう簡単にはできませんね。

○苦瀬企画官 これは、コンサルの方からそれぞれアポとって行ってもらうという形になって、契約ができれば、それから順次いきます。
 実は、まだ契約に至っていないのですけれども、ご意見いただければ近々、今月中ぐらいにいただければ。

○安井座長 それでは、事務局から一応メールを出していただいて、何か各員に候補者の選定をしていただけるような展開でよろしいですかね。
 それでは、そういったことで進めさせていただきたいと思います。
 それでは、一応以上で議題の1を終わらせていただきまして、その2に移らせていただきますが、これからは毎回と同様でございます。
 本日は、3名の検討員の方からご発表いただくということになっております。
 確認をいたしますと、各検討員から約20分程度のご発表をいただきまして、10分間程度の発表内容に直接かかわることの質疑、討論をやらせていただく。それからその後で、1時間程度の全体的な討論をしていただくということになるかと思います。
 途中で休憩をどこかで挟ませていただくということになります。
 それでは早速でございますが、花木先生からご発表いただけますでしょうか。
 よろしくお願いいたします。

○花木検討員 花木でございます。
 今日、私は、都市をキーワードにしてお話をと思っておりまして。また、世界の状況というご注文でありますけれども、日本のことについても話をしたいなというふうに考えております。
(パワーポイント2)
 人口の話はこれまでに何回か出てきているわけですけれども、国全体の人口もさることながら、都市の人口をとると非常に都市への集中が今後予測される。世界全体で、これは都市人口の比率ですけれども、2030年が6割ぐらいになるということですけれども、とりわけ発展途上国の今後の増加というのが激しい。中国36から60、タイ31から45、インド、こんなふうになっていますね。中国全体の人口はふえないだろうと、あるいは減ってくるだろうという予測はされていますけれども、都市の人口ということで見ると、こんなに増えてしまう。ですから、これは中国のさまざまなインフラであるとか環境問題、社会問題を引き起こすということが現状にも起きているわけですし、今後も非常に重要なテーマになるであろうということです。中国だと、よく都市に住民登録していないフローティング・ポピュレーションが100万人、200万人いるというような話がありますけれども、そういうのもこれのあらわれであります。
(パワーポイント3)
 これは世界のメガシティというので、国連のよく出てくる数字ですけれども、ここにトップテンがあります。2015年というとすぐですけれども、この中にアジアの都市が非常にたくさん入っている。東京圏が2,720万、ダッカ、ムンバイ、デリー、ジャカルタ、カルカッタ、カラチと、これだけアジアの国々の都市が非常に大きい割合を占める。
 これはメガシティの環境をどう保つかということが世界的にも問題になっていますけれども、こういうのを見ると、これは非常にアジアの問題が大きい。そのアジアの都市をどうするかというときに、日本で果たさなければいけない役割、あるいは日本の長期の環境政策の中に組み込んでいかなきゃいけない部分というのが非常に大きいだろうということが、こういうところからもわかるわけです。
 さて、都市として考えたときに、都市の持続性の鍵となるものは何であろうか。もちろん、いろんな事柄があるのですけれども、あえて、すぱっと簡単に書くと、発展途上国は何が問題かというと、人口と都市の活動が急速に発展している。モビリティーがふえる、あるいは産業活動がふえる、商業活動がふえる。そういった中で、基本的な道路であるとか下水道、そのようなインフラと、そして社会のシステム、環境に関するシステム、あるいは雇用に関するシステム、そういった整備がおくれている、いわばここの時間差が非常に大きいギャップとして問題を起こしている。
(パワーポイント4)
 これが発展途上国の典型的な姿であります。
 一方、日本で代表される先進国の場合には何が問題かというと、これは我々がまさに日ごろから感じているとおりでありまして、どうやって環境負荷を下げるか。しかも生活の質を下げずにということですね。ここのジレンマをどうやって、ウインウインにしていくかということが、これからの長期ビジョンに求められるところであるわけです。
(パワーポイント5)
 さて、ここでまず発展途上国の問題をお話ししたいと思うのですけれども、今、発展途上国の都市に人口が集まってきているという話をしましたが、どういった問題が起きるだろうか。ここでは、大きく物理的な環境問題と社会の問題を考えています。
 物理的な環境問題の中には、従来型の環境問題、水質汚濁、大気汚染、こういったものがあります。1個1個はローカルな問題なのですけれども、世界全体として共通のある仕組みの中で起きるので地球環境問題であるわけです。これは先ほど申し上げた成長のスピードと、それからさまざまなインフラと社会の整備のギャップがある。そのおかげでこういう問題が出てくる。
 それから土地利用の変化に伴う問題。これは特に都市にどんどん人が集まってくる。集まってくるけれども、そこできっちりとした制度がない、あるいは職がないというおかげで、森林を破壊してそこに人が住みつく、あるいは土壌の流失が起きてもとに戻らなくなる。そういった問題が現実に起きているわけであります。
 それからもう少し最近の問題というと、ヒートアイランドの形成の問題ということを書いていますが、このヒートアイランドの問題というのは、世界的に見ると、ヨーロッパなどは比較的寒冷なので、正直なところそんなに問題にならない。やはりアジアの都市でヒートアイランドの問題が顕著になるだろう。それは物理的な発展途上国の環境問題の1つであろうと考えられるわけであります。
 一方、社会的にどういう問題が起きるか。その1つは都市の外縁部、アーバンフリンジと言われる周辺部分が無秩序に開発される。あるいは人は来るのだけれども、ちゃんと住まない。不法に住むスクォッター、それから廃棄物に関連するとウエストピッカー、これはかつてスカベンジャーと言っていましたが、今はウエストピッカーという言い方をするようです。こういった人たちが社会にとって循環型社会には貢献する部分もあるのだけれども、社会の不安定性、あるいは健康問題というものを起こしている。このような社会的な側面が強い問題と、物理的な環境の問題、この2つが起きるだろうということが考えられるわけであります。
(パワーポイント6)
 ここにあるのは、1人当たりのGDPと1人当たりの年間CO、これはある種の環境クズネッツ曲線的な表現をしているわけですけれども、これはCOについて書いてみると、こうやって右上がりになっている。
(パワーポイント8)
 1つ飛ばしますが、廃棄物についてもこういう形になっている。
 これは典型的な環境クズネッツ曲線は硫黄酸化物のような場合には成り立つということが言われているわけですけれども、それはなぜかというと硫黄酸化物の場合には対策技術がある、存在をしている、お金をかければできる。そしてさまざまな被害が生じて、お金をかけてもいい、かけるべきだと社会がそういうふうに認めるようになった。そうすると対策が入るわけですね。
 この環境クズネッツ曲線的な下がっていくようなカーブに、廃棄物あるいはCOをできるかというのが、実は非常に大きいチャレンジであるわけです。
 COの場合には、問題が2つあると思いますけれども、1つはCOを大きく下げるような技術の存在、それが今のところ有望なものがない。もう一つは、社会全体としてそこにお金を投資していいですよ、お金を投資すべきだという部分がSOxの場合ほどは強くない。これをどうやって下げていくのかというのが、これは日本に限らず、先進国の非常に大きいチャレンジになっているというふうに思われるわけです。
(パワーポイント7)
 ここはちょっと飛ばします。
 意外と北京、上海などは、1人当たりのCOが東京よりも大きいという数字です。
(パワーポイント9)
 さて、ここからは日本の、まさに西岡先生の脱温暖化プロジェクトの話を少ししたいのですけれども、この脱温暖化2050のプロジェクトでは、2つのシナリオを描いている。これは初回にもちょっとお話をいたしました。
 いわゆるドラえもん型の社会、これは技術の進歩を前提としている社会。それからゆとりを重視した社会のシナリオB。この中で、それぞれ都市のあり方、住み方も違ってくる。集中して住む。地産地消、より便利で快適、新しい価値規範、あるいは社会・文化的価値をとうとぶ。
 これだけ見ると、直感的には、右側の方がいいように思えるわけですけれども、実は必ずしもそうではない。例えば温暖化の対策ということでいうと、温暖化の対策技術はこのAの方がより進みます。競争が厳しい中で技術が進んでいくというわけですから、必ずしもBがいいというわけではない。
(パワーポイント10)
 さて、ここでの今日のお話は、都市はどうなるだろうかということなのですけれども、都市の場合には、そもそもさまざまな対策を考えるときにジレンマがある。どういうジレンマがあるかというと、大幅にCOを削減したい、すなわち、2050年に7割減らす、8割減らすときに、問題がある。それはどういうことかというと、そもそも対策を考えるときに、都市でエネルギーを使う側の需要側の対策と、エネルギーを供給する側の炭素強度をいかに下げるかという対策の両方をとる。これは両方とらないと、片側だけでは目標を達成できない。
 ところが、ここに難しさがあって、エネルギー供給側の対策導入が進み、電力の炭素原単位が非常に下がる、もしくはゼロになると、すべてリニューアルなエネルギーで電力をつくるようになるとする。もし、それができるとすると、都市側で節電効果を入れても、COの削減効果は極端にいえばゼロになるわけですね。そうすると、せっかく都市側でお金をかけて節電をしても、実はその効果がなくなってしまうのではないか、そういうジレンマがあるわけです。
 これはCOをたかだか1割減らすとか、15%減らすというときには、そんなことまで考えなくてもいいのですが、7割、8割減らすということになると、電力自身の部分までどうしても考えざるを得ない、電力の炭素原単位まで考えなきゃいけない。そのときに都市側の対策は有効なのだろうかという問題、これはこれから検討するときに出てくる問題であります。
 だけど一方では、電力をクリーンなものにするためには、電力の需要自身をある程度下げないと、リニューアブルなエネルギーに全部かえられない。というような、お互いにそういうややこしい関係があります。そして都市固有の問題としては、長期対策として都市の構造をどう考えていくかという問題が当然出てくるわけであります。
(パワーポイント11)
 ここに1つの例を示していますが、これは住宅部門のCOの削減の見通しを、このプロジェクトで行った例ですけれども、実はこのシナリオ、2050年までの予想の中には電力原単位、炭素原単位が大幅に下がるという前提を入れているわけですが、ここでお話ししたいのはそういう話ではなくて、むしろこちらの世帯数がどう変わっていくか。これは世帯数、そして世帯の内訳。夫婦と子というような世帯が減って単身の世帯が増えていく。そういう社会の変化の中でどうやって対策を導入していくのかということが、実際の2050年あたりまで考えると非常に重要になってくる。その中で、さまざまな省エネを入れるとCOをこれだけ減らせそうですよというのが、このプロジェクトの試算の結果であります。
(パワーポイント12)
 今、都市を想定したときに、都市での再生可能エネルギーの利用、何を使うのだろうと考えたときに、ここに3つ挙げていますが、これは大体常に出てくる3つが、都市部では考えられる。廃棄物系のバイオマス。一方、農業系、林業系のバイオマスを使う。さらには光を使う。太陽電池もしくは光を熱で使う。
 このときに、ここでよく出てくる技術の開発と普及ということで、技術プッシュと需要プールという言葉がよく出てくるわけですが、それを都市の再生可能エネルギーという場に当てはめるとどういうことがあるかというと、都市は技術プッシュというよりは、需要で引っ張る側、需要プールです。
(パワーポイント13)
 例えばというのは、ここで出てきますが、東京の場合には再生可能エネルギーのプラン2020というのを立てている。その東京のプランはこういう目標を立てているわけですけれども、2020年には省エネももちろんやって、全体のエネルギー消費を減らす。減らした上で再生可能エネルギーの割合を2割生み出す。東京の中で2割の再生可能エネルギーはつくれないだろうということがわかっているわけですね。東京の中にそんなにバイオマスがあるわけではない。廃棄物はある程度はありますけれども。
 ここでの2割というのは、何を前提としているかというと、他地域から買ってくる、あるいは導入するということを考えている。これは日本全体の国土を考えると、東京のように非常に大きい需要地が再生可能エネルギーの大きい需要となってそれを買う。そうすると、どこか遠い離れたところの中山間地域で再生可能エネルギーをつくるという供給を引き起こす、そういうプルとして働かせないかということで、こういうような20%という数字を挙げているわけです。
 これなど、1つの例で、こういう形で需要側が引っ張らないとなかなか実現しないのではないかということが考えられる。
(パワーポイント14)
 ちなみに東京の現状は、再生可能エネルギーの半分ぐらいが廃棄物発電、あとはこんな割合になっています。
(パワーポイント15)
 さて、日本の将来の都市像についてです。
 この辺は国土形成計画との関係で少しお話をしたいのですけれども、今、国土形成計画がちょうど検討されている。その中での非常に大きい課題は、人口が長期的に減っていくであろう。これはそういう前提で考えた。しかし、そこから先が非常に難しいわけですが、人口が減るのだけれども、都市部と非都市部、中山間地域あるいは農村地域の人口の割合はどうなのだろうか、あるいはどういうふうにすべきだろうか。ここがかなり環境の計画にも関係してくる。
 端的に言うと、今までどおり集中していく。特に、東京圏への集中というのが継続していくのか、そうではなくて分散して居住するようになるのか。それによって、交通の対策も違う、あるいは社会インフラの整備も、長期ポリシーも違う。そしてそのように、人口が減っていく中で、密度が高くて小さいコンパクトシティというのが実現できるのだろうかどうか。これはいつも理想的にはコンパクトシティは環境負荷が低くていいですというわけですが、それは実現できるかどうかという問題。
 ここに二地域居住という言葉がありますが、これは国土計画などで言われている言葉ですけれども、ある1人の人が都市部と地方に住む、特に農村に住む。
(パワーポイント16)
 これは理想の居住地域というのを調べた結果ですけれども、地方圏、その他の市町村に住みたいという人の割合はかなり高い、潜在的には。だけど、みんな現実はかなり大都市に住んでいるわけですね。特に年齢が高くなってくるほど、こういう地方に住みたいという比率が高くなってくる。こういう人をどうするか、どういう受け皿をつくるか。それによって、相変わらず都市に集中した形に日本は進んでいくのか、あるいはこの希望を、あるいはこの力を生かして、地方、中山間地域を充実していくのかということが非常に大きい課題になっていくと思われます。
(パワーポイント17)
 ここで、さっきのAとBのシナリオに戻ります。
 これは脱温暖化2050プロジェクトでこんなことが考えられているというのを紹介するわけですが、技術を中心とした忙しい社会がA。ゆとりを重視した社会がB。
 そのときに、出生率がAの方が少ないのですね。みんな忙しくて結婚しない。それからAの方がこの移民が多い。これはビジネスに国際的に競争するために労働力が必要ですよといって、10%ぐらい入れる社会です。こちらのBの方は5%ですよと。
(パワーポイント18)
 それから、ここからがもっと具体的な都市の問題ですけれども、Aのシナリオだと東京圏だけへの集中は是正されるかもしれないけれども、中核都市圏はある程度大きい都市に人が集まる。そして、それ以外の、それより小さい都市は人が減ってしまうだろうというのが1つの予測。
 もう一つのBの方は、第一次産業の復権、地方居住志向の高まりということで、もっと分散して住んでいくだろう。
 このAとBの住み方の違いというのは、さまざまな面に影響が出てくる非常に大きい要素であります。1つの県の中でもコンパクトシティができるか、あるいは中山間地域にみんなばらばらに住むかというのもまた違ってくるだろう。
 そんなような予測を立てて、実は将来の予測をこのプロジェクトではやろうとしています。
(パワーポイント19)
 これは具体的な人口の予測──これはシナリオですけれども──で言うと、忙しいAのシナリオというのは、その他地域、中山間地域というのは2000年を100とすると2050年には半分ぐらいに人口になるという予測です。だけど、分散型で住むというシナリオですと90%ぐらいで、余り変わらない。これから2050年を考えたときに、このAの道なのか、Bの道かによって、この中山間地域の対策、あるいは中規模程度の都市の対策、どこまでお金をかけるかとか、どう誘導するかというのは相当違ってくる。実際の姿との間であるにしても、相当に今後50年間で、この人口の分布が大きく変わるだろうということは予測されるわけであります。
(パワーポイント20)
 これは過去の人口の集中を示したものですけれども、1950年代の後半から高度経済成長期、三大都市圏に毎年60万人ずつぐらい人が集まってきた、これはすごい勢いで集まってきたわけですけれども、さて、これからの時代、この集まってきたのがただ戻っていくのか。あるいは戻らずにここに挙がっていない、もっと規模の小さい都市の人口は減っていくのか。どうもこれまでのトレンドで言うと、今この辺にいますが、東京圏だけはずっとバブル崩壊のところを除いてふえ続けているのですよね。これは東京のひとり勝ちと言われるような状況ですけれども、これが続いていくのか、あるいはそもそも社会が変わっていくのかということが非常に大きいポイントであると思われるわけであります。
(パワーポイント21)
 あとコンパクトシティについては、コンパクトシティは環境負荷が低いと言われるわけですけれども、ミクロな意味での──ここで言うミクロというのは、家庭部門、業務部門のエネルギー消費を減らすという意味でのコンパクトと、それから鉄道を可能にするコンパクトシティと両方考えられます。コンパクトシティができるとすると、どういう状況のもとにできるのだろうか。
(パワーポイント22)
 とりわけ人口が減少してきたときに、コンパクト化の引き金としては、生活の質を維持し切れない、集まらないと維持し切れないという問題。あるいはもっと直接的には、財政負担、下水道、水道の負担が分散して住んでいるとお金がかかるのでコンパクトにしようというようなこと。などなどこういうものが考えられるということであります。
(パワーポイント23)
 国土形成計画とうまく連携をとらないといけないということをお話しして、おしまいにします。
 以上で終わります。

○安井座長 ありがとうございました。
 それでは、この段階で何かご質問等いただければ。
 全体的な討議はまた後で時間をとりますが、この段階で何かございますでしょうか。

○原沢検討員 どうもありがとうございます。
2点ばかりお聞きしたいのですが、1つは50年という非常に長いようだけれども、都市の構造を変えるという意味では、時間的に難しいところがあるのではないかと思います。コンパクトシティをつくるとすると、新規の住宅団地などはそういう形でできていくでしょうけれども、人口は今後減ってくるということを考えると、既存の市街地例えば東京をどうするか。50年というタイムスケールと都市の構造を変えるというところで、ご意見いただきたいたと思います。
 もう1点は、高齢化は都市にどう影響してくるかなということです。エネルギーから考えると、車から自転車にかえるとより省エネの都市ができるけれども、高齢者は自転車に乗れなくなってくるような形になった場合に、どうしたらいいのか。高齢化と都市というのについてご意見があったらお願いします。

○花木検討員 最初のコンパクトシティをどうやってつくるかというのは、まさにさっきちょっと説明しなかった時間スケールの問題ですね。建物更新のスケジュールというのが、やはり40年、50年。今、長寿命の建築100年というのを考えていますから、まさに今おっしゃったように、再開発の規模ではこのミクロな意味でのコンパクトシティはできる可能性はある。だけど、この下にあるそもそも交通の仕組みを変えるようなコンパクトシティが、これから新しい都市ができないような状況の中でどうつくれるかというのは、それは非常に大きな問題で、そのためには50年というのは短過ぎるかもしれません。
 今、ここにきっかけということを書いていますけれども、人口が減っていく、すなわち新しい都市ができない中でコンパクト化しようとすると、これはどうしても従来ばらばらに住んでいるものをまた集めるというようなことをしなきゃいけないわけで、そういう意味で、ここの時間スケール、2050年にはその兆しが見えるぐらいなのかなというふうに思っています。
 それから、2つ目の高齢化とエネルギー消費の問題は、これはまさに生活の質をどういうふうに保つかというところとのトレードオフが今ありますよね。高齢化で自転車の話がありましたが、一方でエレベーターであるとか、バリアフリーのデザインは必要になっている。けれども、一方ではそれはエネルギー消費の増加、あるいはさまざまな資源の消費の増加につながっている面がありますね。
 だけど、そこの部分はこれは社会の合意の上でということですけれども、やはり高齢化社会の中ではどうしても必要な投資であろう。その分、運用面でのCOをどうやって減らしていくかというところとの、技術でそれをどうやって補うかということを我々考えなきゃいけないのだなと思っております。

○安井座長 ありがとうございました。

○明日香検討員 すみません、教えていただきたいのですけれども、1人当たりのCOの排出量は中国と日本の都市で、東京が日本の平均に比べると半分ぐらいで上海よりも小さい、上海は東京よりも大きいと。ここら辺の何かどうしてかというのをちょっと教えていただきたいのですけれども。

○花木検討員 これはたしかIGESのデータだったと記憶しているのですが、日本と東京で東京が低いのは、これは製造業がないからです。製造業は非常に少ない。例えば、この川崎市をとると、ずっとこっちの方にいきます。
 そういう意味では、ここに北京、上海入っていますが、北京の統計のとり方にもよりますけれども、製造業も相当に入っている。もちろん、明日香さんの方がはるかに詳しいのですが、北京の市域の中に製造業も相当に入っていて、それのおかげでこれは高い。けれども、日本平均よりは低いということですね。これは1人当たりのGDPというのを国の中で考えると、北京、上海というのは相当に高くて、製造業があるということと、それからそういう民生部門のエネルギー消費、あるいは交通のエネルギー消費も大きい。そのために、中国平均よりも相当高い、そんなような姿じゃないかなと思っています。
 東京の場合には、いわゆるこれは誘発のCOが入っていないので、本当はほかの地域でつくった鉄だとかセメントをどんどん、どんどん使っているので見かけ上低いという数字になっています。そうご理解いただければ。

○安井座長 ありがとうございました。

○西岡主査 この最初の都市人口データに、ヨーロッパのデータがありませんか。なぜそういうことをお伺いするかというと、都市は世界を歴史的に見ていろんな形で形成されてきて、次の形というのはどういうモデルコースで動くかと考えるときに、ヨーロッパみたいに昔からの小都市でやっていたところもある。そういったアジア型とまた違う道理で動く可能性があるとしたらというのを考えたのですけれども。

○花木検討員 都市人口というものの定義をどうするかによって、その辺は相当変わってくると。ヨーロッパみたいに割と小さい都市でそんなに人口密度が高くなくて住んでいる。アジアの場合には、相当にどこが都市だというのがはっきりしているので、こういう数字が出てきます。データは後でご紹介したいと思います。

○安井座長 ありがとうございました。
 それでは、一応花木先生は終わらせていただきます。ありがとうございました。
 それでは続きまして、山本先生からお話お伺いしたいと思います。
 よろしくお願いします。

○山本検討員 山本でございます。私、森林計画という分野を専門にしております。そして現在、大学の演習林にかかわっているという立場でございまして、これから森林を管理する立場からご報告させていただきたいと思います。
(パワーポイント2)
 まず、森林の資源について、定性的なところから話を始めたいと思います。
 森林といえば太陽エネルギーをもとにした繰り返し利用することのできる循環型資源である、これが一番大きな特徴かと思います。
 次に、取り扱いを間違えてしまいますと、数十年といったオーダーで回復に時間がかかってしまう。従いまして、かなり計画的に取り扱いを進めなければまずいことになる、そういう特徴があります。
 それからどこまでが森林かという定義、これがかなり流動的でありまして、森林を全部悉皆的に調べるということが非常に大変でありまして、今、リモートセンシングを使った調査もなされておりますけれども、やはり熱帯地域になりますと雲の状況とかありまして、かなり精度が落ちてしまう。
 もう一つは、南北問題等ありまして、森林の定義に対してかなり政治的な力が働いてしまっているという面がございます。実は40年前に出ている本を調べてみても、そのときの世界の森林の面積というのと、今これから紹介する森林の面積は余り変わっていないですね。ということは、定義が変えられてしまっているということがあります。
 従いまして、これから私がお話しするのは、その辺のかなり幅がある情報であるということを十分ご承知おきいただきたい。特に将来予測につきましては、ある幅を持った数字で物を言わざるを得ないというところがございます。
 農作物と比べて森林資源はどこが違うかといいますと、農作物は基本的には生育期間が非常に短いので、植えつけ面積とか、作物の範囲の収穫しかあり得ないのですけれども、森林の場合生育期間が非常に長い。従いまして、生産装置と果実の境目がはっきりしていない。どこまで取っていいのかわからなくなってしまうという、オーバーユースというものが起こりがちなわけですね。燃料とかで自分の生活の区域の中で使っている分にはその範囲内で消費がおさまるわけですが、これが国を超えた貿易商品になってしまいますと、その収奪に際限がない、そういう特徴を持った資源であるということです。
(パワーポイント3)
 それから、今のお話はいわゆる林産物、木材としての資源ですが、それ以外に国民の多くが、木材以外の要素の森林の役割に対して大きな期待を持っているということですね。具体的にどんなことかといいますと、こういった防災面での機能ですね。
 それから水の資源ですね。これを安定的に供給したり、あるいは水質を保全するというか、そういった役割がございます。
 それから多くの生物の生育空間を確保するといった、そういう要素もございます。
 COの固定の問題、これも今多くの課題を寄せられております。
 あるいは人々の心の癒しといいますか、安らぎを与えるといった空間としての役割も求められております。
 日本というのは、世界最古の木造建造物を持った木の文化というものが一つのアイデンティティーだと思っておりますけれども、こういった木の文化を支えているという部分も森林の一つの意味合いになってくるのではないかと、そのように思います。
 ここで紹介した機能の多くは、森林がそこに存在していることによって初めて意味があって、価値が出てくるという基本ですね。片方で、木材としての価値が出てくる場合もありますが、その場合は森林を伐採してしまわなければいけない、木を切らなきゃいけない。そのバランスをどのようにとっていくかというのが大きな課題になるかと思います。
(パワーポイント4)
 それでは、世界の森林資源ということでざっと見ていきたいと思いますが、どのように森林が多いかということをご紹介しますと、この円柱の断面積が森林の面積で高さが単位面積当たりの蓄積だと考えていただければよろしいわけですが、非常に多くの森林資源があるのはロシアのこのあたりですね。それから南米のブラジル周辺、そして北米のカナダあたり、こういったあたりに大きな森林資源があるわけです。
 ヨーロッパというのは、単位面積当たりの森林は非常に豊かなわけですが、面積はそれほどでもありませんので、アフリカと比べますと量的にはアフリカの方が多い。単位面積当たりですとヨーロッパの半分ぐらいしかないと。あるいはアジアとオセアニア、このあたりは森林としては余り豊かであるとは言えないと思います。全体的に見てみますと、世界の森林の半分近くが熱帯林にあるわけですね。それからロシアを中心とした亜寒帯に3分の1ぐらいと。我々が暮らしております温帯林というのは1割程度が森林資源ということになります。
(パワーポイント5)
 これを整理してみますと、大体世界の陸地の3割、これが森林面積だとされる約40億ヘクタールになります。そしてそのうち人工林というのは、植えられた植栽林というのはわずか4%ぐらいしかないということです。
 地域別にどういうところにあるかというのをここに示したわけですけれども、量的にはヨーロッパが一番多くなりますが、これは先ほどのロシアが含まれております。それからこちらに南米、北米と、この辺に多くの森林資源がございます。そしてアフリカ、アジアと、こんなバランスで世界の森林資源が分布しているということになろうかと思います。
 これは1990年からのトレンドですけれども、世界の森林がだんだん減ってきているという傾向があるわけですけれども、この森林減少につきましても、なかなか実態が正確に把握できておりませんで、各国でも政府の発表というものが基本になりますけれども、そういう数字ですと、1990年代で年平均で900万ヘクタールずつ減ってきているという、そういう数字になっております。大体約40年間で世界の森林が10%以上減っていると推定されております。
 そして、どこで減っているかというグラフですけれども、こちらのアフリカと、それから南米、このあたりに非常に大きな森林の減少が起こっている。こちらでアジアというのは、2000年以降ずっと増えているのですが、これは実は中国の政策で退耕還林政策というのが今動いておりまして、かなり積極的に造林をしていると、それがプラスに働いているわけでして、それと相殺される形でインドネシアのあたりでも熱帯林は、実は結構減少が今でも進んでいるという状況があります。
 世界の森林の蓄積なのですが、これも幅のある数字ですけれども、大体平均1ヘクタール当たり100立方程度、全体で4,000億立方程度は現在の森林の現存量と推定されております。
(パワーポイント6)
 今度は消費の方です、大体消費量というのは蓄積の1%程度だろうと推定されておりまして、ほぼ森林の成長量とはバランスがとれているのではないかと考えられますけれども、先ほど紹介しました森林の消失あるいは劣化、こういったものが、これも推定ですが大体年率0.3%ずつぐらい減ってきていると考えられます。これがボディーブローのように結構効いてくるのじゃないか。生産装置そのものが失われているわけですから、これが将来の森林資源については厳しい要因になるのではないかと思います。
 現在の世界の森林資源の消費の傾向を見ていると、半分以上が燃料材に使われているわけですね。途上国における燃料材ですね。この増加が最近の木材消費量の増加にかかわっているのですね。地域別に見てみますと、やはりアジアの燃料材、さらにアフリカの燃料材、こういったところはどんどん伸びてきている。つまり、人口問題と世界の木材消費というのはある程度パラレルな関係になっておりますので、これが将来の森林資源の動向とかかわってくるかと思います。いずれにしろ、これからはやはり逼迫した状況になっていると考えざるを得ないわけですが、どの時点で我々の暮らしにかかわってくるかという、その辺の想像がなかなかつかないといったところです。
(パワーポイント7)
 次に、我が国の森林資源のことについて紹介していきたいと思います。
 大きな特徴として国土面積の66%が森林である。先ほど世界の森林率が3割と言っているのに比べますと倍以上になって、しかもそのうちの4割が人工林というのが日本の大きな特徴になっております。非常に高い数値になっておるわけです。下が過去40年間ほどの森林面積の推移ですけれども、ほとんど変わっておりません。ただ、下が人工林で上が天然林ですが、人工林の割合がこの最初の40年前から30年前あたり、このあたりに25%ぐらい天然林から人工林にシフトしてきていると。その後はほとんど変わっていない。
 片方、こちらはボリュームの方ですけれども、これは40年間で森林のボリューム、蓄積は2倍以上に膨れ上がっているということです。何が膨れたかというと、人工林の蓄積がこの間で約4倍になってきている、そういう傾向がございます。
(パワーポイント8)
 人工林の内訳です、こちらは面積ですけれども、スギ、ヒノキ、マツと、こういったところでもう75%以上きております。ボリュームになりますと、さらにその傾向が強くなりまして85%を超えております。ごらんのように、日本の森林資源の多くの部分、蓄積に対しますと、3割程度がスギの資源によって支えられているというのが今の日本の森林資源の状況です。
 もう一つ注意しておかなければいけないのは、マツです。今、日本の森林の中で、松枯れ病がかなり深刻になってきております。将来の傾向としては、このマツの資源というのはだんだん厳しくなってくるのじゃないかと、そのように考えております。
(パワーポイント9)
 これは日本の人工林の齢級構成、年齢別の構成を見たものですけれども、ごらんのように、ここに団塊の世代ができ上がっております。約40年から50年前に集中的に造林されたものがあるのですが、その後、こちらの若い造林地が少なくなってきている。つまり、植栽活動が近年は極端に落ち込んでいて、この時期から比べますと10分の1程度に落ち込んでいる。本来は、この分布がほぼ平準化されているのが望ましい森林資源のあり方ですけれども、こういういびつな形をいかに補正していくかというのが、日本の森林資源を管理する上で大きな課題になるかと思います。
(パワーポイント10)
 これは単位面積当たりの森林の蓄積を年齢ごとにあらわしたものですけれども、人工林は単純な一斉林ですので、このように森林の成長というのは、かなりの精度で予測することが可能です。大体、60年生ぐらいまでは順調に蓄積が増えていって、この辺で頭打ちになって、光合成の量と森林そのものが消費する量が大体バランスがとれて、ほぼ安定してくるという、こんな成長パターンが一般的な人工林の成長です。
(パワーポイント11)
 年成長量を時間軸で表現してみますと、大体年齢でいくと30年生前後、このあたりで成長のピークがあって、そこからだんだん成長が落ちてくると、こういうパターンを示しております。
 これが育成単層林のパターンですけれども、もう一つ比較したのが、複層林にした場合にどういう形になってくるかということですが、この場合、若いところのこの辺の成長が遅いのですけれども、そのかわりピークが後ろに倒されまして成長が長続きすると、こんな成長パターンの違いが出てまいります。
(パワーポイント12)
 もう一つ天然林の場合の成長量を並べてみますと、やはり育成林の人工林と比べますと、天然林にした場合、単位面積当たりの成長量はこのように落ちてしまうと、そういう傾向が見てとれると思います。
(パワーポイント13)
 今、3つの森林の取り扱いを紹介したわけですけれども、これはごく一般的な従来の育成単層林という人工林の扱いですね。これは前生樹を全部伐採してもう一度リニューアルして同じ森林を育てるというやり方です。
 ここに2番目に出てくるのは複層林という考え方でして、この前生樹を全部切らないで部分的に伐採して、そこに植栽なり、あるいは種をまいたりして次の世代を育てるというやり方が考えられます。この方が土壌の保全とか、そういったところでメリットがあるのだと思います。
 3番目のやり方は、主として天然の力を活用して、そのまま自然の成り行きに任せた森林の管理、そういうパターンが考えられます。
(パワーポイント14)
 一応、大きく分けてこの3つの森林の取り扱いの方法があるわけです。現在の政府の森林・林業基本計画というものが立てられております政策の一つの基本になるわけです。そこでの計画面積でいいますと、現在この普通の人工林と天然林でほぼ占められているわけですが、将来の志向する森林の状態としては、この複層林を全体の森林の4分の1程度までふやそうという、そういう計画が今立てられているというわけです。
(パワーポイント15)
 それによりますと、森林の蓄積ですけれども、これは現在40億立方ぐらいありますけれども、徐々に増えていくだろうということが計画されております。
 片方、この森林の成長量ですね。成長はするわけですけれども、現在の数字からすると、だんだん、だんだん成長量は落ちてくる。これはCOの固定の問題になってきますと、今は3.9%というのは日本の森林による固定量としてカウントされておるわけですけれども、その数字が徐々に下がってくるということになるわけでございます。
(パワーポイント16)
 これは日本の木材の消費であります。
 これが自給率ですけれども、今から50年ぐらい前まではほぼ100%に近いという状況であったわけですね。その後、社会の経済発展に伴って需要がどんどん伸びていったと。その需要の足りない部分を外材、輸入材で補ってきたわけですけれども、そういう傾向でずっと来たわけですが、大体30年ぐらい前から国内の生産量がだんだん、だんだん落ち込み始めてきていると。このピークのころと比べますと、現在3分の1ぐらいまで落ち込んできていまして、その結果、現在の我が国の木材の自給率というのは18.5%しかない。
 この落ち込んでいるというところですけれども、これは必ずしも森林の生産力が落ち込んだというわけではありません。1つの要因として木材の価格が下がってきている。それから片方、木材を生産するためのコスト、これは人件費とかそういうものが高くなってしまった。そういうバランスの中で、経済的に成り立ち得る森林の面積がどんどん狭くなってしまった。そういう結果として、今、こういう状況が出ているわけであります。
 先ほどの、政府の見通しでいきますと、今現在、国全体の消費量、年間9,000万立方程度があるわけですが、この消費量というのは、将来においてもそれほど大きな変動はないであろうと、こう見込まれています。我が国の住宅事情ですね、木材住宅着工とすれば、将来また減少するということが考えられますけれども、片方でパルプとか合板とか、そういったものの需要の増加が見込まれるであろうと。それで消費はほぼ横ばいでいくだろうと見込まれています。
 片方、国内の生産量ですが、これは今いろいろ日本の政策がうまくいけばということになりますけれども、現在の1.7倍程度、自給率でいうと30%ぐらいまでは国の政策目標として掲げられているという状況です。
(パワーポイント17)
 今のは政府の一つの見通しですが、そこで将来2050年あたりを見渡したときに不確実な要素がいろいろ出てくるわけですけれども、やはり一番大きな不確実要素として温暖化の影響を挙げておかなければいけないと思うのです。樹木というのは世代交代に相当時間がかかりますので、気候が急に変動した場合にそれに対応できない。そこで、資源量が大きく変わってしまうということは可能性としてはあると思います。
 それから消費の傾向ですね。つまり、国民が一体どういうものを使いたがるのか。これから木材に対するニーズが高まるかどうか、これもなかなか予測が難しい問題でありまして、いろいろなアンケート調査をとりますと、国民の多くは木造住宅とか木の机とかいす、家具とか、そういうものをほとんどは言うわけですけれども、実際、購買行動になっていくと必ずしもそうはなっていないというものがありまして、将来の消費の動向というのはなかなか予測できないところがあります。
 それから、バイオマスエネルギーとして木材がどのように使われるか。これも消費傾向を大きく左右する要因になるのではないかと思います。片方、今、日本の木材の消費の多くが、8割が海外に依存しているわけですが、海外の資源事情ですね。これが資源を生産する側の状況もありますし、消費する側の状況もなかなか変動要素が大きいものですから、こういうものによって日本の森林資源は大きく影響を受けるのじゃないかと、そのように考えられます。
 それから木材資源にかわる代替資源ですね。例えば金属製品であるとか、石油化学製品ですね、こういったものが今後どのような傾向をたどるのか。それによっても森林資源の消費の動向が変わってくるのだと思います。
 それから日本の資源の側としてもう一つ大きな変動要素として、先ほど紹介しました育成複層林、森林の4分の1程度複層林でやろうという目標を持っているわけですが、必ずしも複層林の造成技術が確立しているわけではない。うまくゆくかどうかやってみないとわからないものがある程度ありますので、この辺の不確実な要素として見ておかなきゃいけないと思います。
 それから森林所有者の行動ですね。実際、経済行為としてなかなか成り立っていかない。こういう森林所有者が今の生産活動にどの程度参画してくれるのか。先ほどの計画では森林を伐採したら、その後は必ず植栽して育てるというのが前提になっているわけですが、今現在は、伐採したそのまま放置している現象が出ております。こういったものを確実にフォローしていかなければ、今の見通しは変わってくるかと思います。
 それから、林業活動をやっていく上で、山村の地域コミュニティですね。地域社会そのものが非常に際どいところになっておりますので、こういったものがきちんと維持されなければ、林業の生産活動というのは続いていかない。つまり、森林の造成そのものもうまくいかないではないかと危惧しておりますので、こういう部分についても見ておかなければいけないと思います。
(パワーポイント18)
 それから野生生物の管理という問題が1つございます。具体的に言いますと鹿ですとか猪とかウサギ、こういったものですけれども、近年こういった野生生物による森林の被害というのは顕著になってきております。被害量の統計というのはある程度数字として押さえられておるわけですが、なかなかそれぞれの種ごとの個体数がどんな動きをしているのか、増えているのは間違いないのですが、どんな勢いで増えているのか。こういったものをきちんとした統計数字がなかなか得られていないという要素があります。私どももこれから日本の森林を造成していく上で、こういった野生生物の管理というのは、かなり注目しておかなければいけない要素でないかと思っております。
(パワーポイント19)
 以上、幾つかの問題点を整理してみますと、やはり日本の森林資源というものを取り上げた場合、森林の成長量と生産力、伐採量ですね、これがバランスがとれていない。今、大体日本で8,000万立方ほど年間成長しておるわけですけれども、伐採しているのはその4分の1程度しかないと、そういう状況があります。
 そして、先ほど紹介したように、消費量の8割を外国から輸入しているわけですが、片方で森林資源はどんどん増えている。こういったことが国際的に許されるのかどうかという問題があるかと思います。
 そして片方で補助金を出して間伐材は切り捨てて山に残していると、使っていないという、こういう状況もあるわけです。
 先ほどご紹介した森林の公益的機能、こういったものと人工林の資源を活用するというものは、ある程度トレードオフの関係になってくるのじゃないかと思います。ですから、どちらの部分を優先するのか、ここのところの意思決定をある程度はっきりさせなければいけないと思います。COの固定能力ということを評価してみましても、あるいは森林資源の生産性というものを評価してみましても、やはり単位面積当たりの生産性ということだけを取り上げれば、針葉樹、スギやヒノキの林の方が高いということを言わざるを得ない。片方で森林の公益的な機能もありますし、このような生産の問題もある。この辺のところをちゃんと情報を国民に提供して、選択肢を提示して議論を起こすという、そういうことが我々は必要なのではないかと考えております。
(パワーポイント20)
 最後ですけれども、これは私ども林学の世界ではSustainable Forest Managementという概念が確立しておるわけですが、その中でどういうことが議論されているかといいますと、基本的には森林を維持させるために生産性を維持すると。それが第1になってくるわけですけれども、同時に先ほどの公益性といったものも、さまざまな多面的な機能を維持しようと思ったわけですね。生産量だけではなくて、個体数だとか生物多様性、種の数ですね、あるいは経済性とか、あるいは社会の仕組み、そういったものをここに書かれたような項目を全般的に見渡しながら、森林の資源管理というものを考えていかなければ、安定的な資源管理に向けていろいろ難しい問題が出てくるのじゃないかと、そのように考えております。
 以上で私の報告を終わらせていただきます。

○安井座長 ありがとうございました。
 ご質問等ございましたらどうぞ。

○広井検討員 1つ質問は、スライドの最後の部分に土地所有権などというのがあるのですが、社会科学系の人間としてこういうところに非常に関心があるところです。土地所有権については、大きく公有、共有、それから私有というのがあるかというふうなイメージなのですが、日本はヨーロッパなどに比べると、特に私有林が多いというようなことを聞いたりするのですが、そこら辺の公有、共有、私有みたいな割合が、日本の場合にどういう特徴があるかみたいな点はいかがでしょうか。
 それから物の本を読んでいたら、私有林が多いので、所有関係自体がそもそも明確でないようなところが実は多いのだというものも聞いたりしたことがあるのですけれども。そういった、日本の場合の森林の所有関係の障害、そういう課題みたいなことを伺いたいと思うのですが。

○山本検討員 日本の森林所有、大まかにいきまして、約3割余りが国有林、林野庁です。1割が公的な自治体が管理している森林。残りの6割程度が私有林、個人有林ですが、私有の中で大きな企業が持っている割合は比較的少なくて、零細な森林形態になっているわけです。
 どうしてもこれは相続の段階で、だんだん細切れになっていくというのが所有の実態でありまして、今、日本の森林所有の問題で大きな問題はそういう相続の結果です。所有しているはずの人が、自分の山がどこからどこまでなのかがわからない状況がどんどん広がっているという、そういう状況が非常に大きな問題になりつつあるわけです。そういうことで今のお答えになりますでしょうか。

○広井検討員 非常に公的なものを増やすとか、その管理を強くするみたいな方向なり可能性みたいなことはございますか。

○山本検討員 今、実際の動きとして、それほど公がふえるトレンドではないように思います。というのは、公の側もそれぞれ財政事情が厳しくて、必要でない森を買えということにはならないと思うのですが。
 ただ、公(こう)という言葉の意味なのですが、私、公(おおやけ)という言葉でとらえたいと思うのですけれども、今のままでは非常にまずいといいますか、だんだん管理ができなくなってきていると思うのですね。したがって社会全体で森林の管理をやっていかなきゃいけないという大きなくくりのその合意は成り立ちつつあると思うのです。ただ、個別の所有権とか、その辺に立ち入ってくると微妙な問題が出てきますけれども。これから50年というトレンドで日本の社会を見ていったときには、森林の管理というのは、私は公だと言いたいのです、必ずしも国とか地方自治体が100%という意味ではなくて、社会全体で森林を管理する仕掛けが必要だと、そのように思うのです。

○原沢検討員 2点ほど教えていただきたいのですが、1つは先ほどのご説明で5枚目と6枚目、ちょっと私聞き漏らしたかもしれないのですけれども、図の縦軸の年生長量の単位を教えていただきたいのが1点です。

○山本検討員 5枚目と6枚目というと、タイトルでいくと。

○原沢検討員 成長比較ですとか人工林の成長パターンの……

○山本検討員 ああ、すみません。これは5枚目のヘクタール蓄積は立方メートルです。人工林の蓄積ですね。その上は1,000ヘクタールというようになると思いますが。

○原沢検討員 すみません、その次の、紙でいうと……

○山本検討員 これも失礼しました。立方メートルです。

○原沢検討員 わかりました。年成長量が9立方メートルという感じですか。

○山本検討員 単位ヘクタール当たりになります。

○原沢検討員 もう1点は、外材の輸入についてなんですけれども、例えば森林の場合は森林原則が90年ぐらいに作られていますが、なかなか条約にならないわけですね。例えば2050年までの間に森林条約ができて、各国で森林保全の動きになってくると、なかなか外材として今後入ってこなくなるような可能性はあるのかなと思ったりするのですが。世界の森林保全の流れと、その中で日本の外材輸入を通じた関連性は、今後どうなるかご見解があればお聞きしたいのですけれども。

○山本検討員 地球サミット以来の大きなトレンドとして、それぞれの国の特に熱帯林の保全の流れはあるわけです。ただ、先ほどお話になったように、なかなか条約にならないというような背景も、またそのそれぞれの国の中の経済の問題が出てくるわけですね。
 総論としては、熱帯林を守らにゃいかんという合意はできていると思うのですが、個々の国々の経済をいかに支えるかという問題になったときに、必ずしも個別の問題ではきちっとできてこない。ただ、例えば日本で東南アジア、インドネシアとかマレーシアといったところから多くの木材が入っているわけですけれども、かつては原木のまま、丸太のまま多くの木材が入ってきたわけですけれども、最近は、やはり加工された形で、現地でなるべく付加価値を高めた形での日本への輸入というものがなされつつあると、そういう傾向はあります。
 ただ、全く現地からの輸出をなくしてしまうと、そこの国の経済に与える影響もあるので、そう一度になくすというわけにはなかなかいかないのじゃないかと、そのように思います。

○花木検討員 ちょうど、そのスライド(パワーポイント20)を見ながらご質問したいのですけれども、木質バイオマスを活用していこうとしたときに、この要件のどれが問題になるかということです。一番上についていえば、収穫量が今非常に少ないので、まだ収穫といますか、活用する余地があるということかなと思うのですね。
 2番目、生物多様性の維持も、今、間伐材がそのまま放置されていたりするわけだから、それを活用してもそんなに問題はなく、3番目の個体数の維持、後継樹の確保もこれもうまくやればいけるかなと思うのですね。だから、経済的便益がやはり一番問題になるのですか。

○山本検討員 そうですね。
 なかなかバイオマスが入ってこないというか、今もバイオマスエネルギーで使われているのは、せいぜい工場の廃材程度であって、森林から切り捨てた間伐材を取り出すところまで至っていないのは、やはりそこの運搬コストが一番大きなネックになっているのじゃないかと思いますけれども。

○花木検討員 さっきおっしゃった公で管理するというお話がありましたけれども、日本として公でバイオマスを活用していこうという仕組みをつくり、またそういう林業形態を導入するというようなことがあり得れば、この経済的便益の持続とか乗り切れるような可能性というのはあるものでしょうか。

○山本検討員 そこで、今のところ一番コストがかかっているのは人間の部分じゃないかと。それは人件費ですね。これが例えばその途上国だと1人の1日当たりの1ドルと100ドルとか、そんなバランスで木材のコストの違いになってくるわけですから、そこをいかに折り合いのつく値段にするかということになってくるのじゃないですか。ある意味、ボランティアとか、そういう人の使い方を組み込まないと、今のルールではなかなか厳しいなと思います。

○安井座長 ほかに何かございますか。

○湯原検討員 人工林の再生が本当に可能なのかということを専門家にお聞きしたかった。コンサベーション・インターナショナルは、日本の人工林ゆえに日本列島をレッドスポットに指定したのじゃないかと思いますし、それから山に行ってみますと、人工林は本来ヘクタールに3,000本植えて、50年経った今の段階だと1,000本ぐらいに、2,000本ぐらいは間伐をかけなきゃいけないのに3,000本そのままになっていて、荒廃している。とてもこれは再生不可能ではないか。生産材としても、あと何年たってもだめなんじゃないかと、素人見ではそんなように思うのですけれども。
 要するに質問は、人工林は再生可能なのかということであります。

○山本検討員 非常に厳しい質問だと。
 つまり、先ほど紹介した日本の森林の人工林が1,000万ヘクタールという、これだけの面積を今つくってしまった。つくってしまった以上、最後まで収穫に努力しなきゃいけないというあるべき論としてはそう思うのですが。確かに今の日本の社会の労働力の問題、片方で森林の資源のマーケットでの評価からするとバランスがとれなくなって、実際、今、補助金を出してようやく間伐して山に捨てて何とか管理ができているという、そういう状況であるわけなのですけれども、私の立場ではやらねばならんとしか言いようがないのですけれども、そこに至る社会で、社会的にどの程度フォローアップしていくか、国民の理解をどうやって得ていくかということに考えざるを得ない。
 つまり、逆にそのまま放置していていいのですかと。このままほうっておく方がもっと悲惨な結果になるのではないかというふうには思います。

○湯原検討員 ありがとうございました。

○安井座長 湯本先生どうぞ。

○湯本検討員 今のお話と非常に近いのですが、この7ページ目の「森林資源の見通し(政府計画)」というものがあって、指向する状態というのがございますよね。そこっていうのはどういう根拠で、これが何でこの状況がいいのかと言われたのでしょうか。これは今のお話に非常に近いと思っているのですけれども。

○山本検討員 育成複層林をもっとふやそうというところですね。この上の絵にありますように、森林へのインパクトが比較的少なくて済むという。一番上の育成単層林と比べれば、生産性と社会の効率性ですね、そこのバランスのとれた非常に望ましい森林の姿だろうと、そのように考えております。それをできるだけふやそうという絵になっています。

○湯本検討員 天然生林も入れていますよね。そこのところはどうですか。

○山本検討員 天然生林はどうかといいますと。

○湯原検討員 もっと減らそうというのがありますよね。

○山本検討員 そうですね。森林をそれだけ生産性をある程度上げたいということになりますね。どうかと言われますと。

○湯本検討員 その辺はやっぱり、この場合の天然生林というのに、それこそ森林の定義の問題でいろいろあると思いますし、いわゆる荒れた広葉樹というか、ダツボク林というのも入っていると思うのですけれども、そこで例えば生物多様性との関係というものを考えると、今、湯原先生の話はそういう話だと私は聞いたのですけれども、そこで日本のいわゆるスギの人工林、あるいはここでいうところの複層林、あるいは天然林とのバランスというのは、何をパラメータとして考えてそのバランスを考えるのかという、そういう質問なのですが。

○山本検討員 これはまさに社会の合意の上にということになってくるのじゃないかと思うのですが、天然林は確かに多いにこしたことはない。生物多様性とかそういった面からいえばですね。ただ、片方で我々の社会の中で必要としている資源というものを供給していくためには、生産性の高い森をふやさざるを得ないと。そこのバランスをどうとっていくかという議論になってくるのじゃないかと思います。

○安井座長 西岡先生どうぞ。

○西岡主査 ほとんど今と同じ質問になってしまうのですけれども、3ページのところを見てみますと、50年間で森林蓄積としては倍ぐらいになっている。そのほとんどが人工林であって、一体この状態がどういう意味で、ある意味正しかったのか。これはもちろん戦後のもっと増やせよという話の結果でこうなってしまったと理解していますが。将来の最終的な形として1966年の形、すなわち天然林主体に戻す形が、望ましい形として考えられないのだろうか。

○山本検討員 そうすると、この資料の8ページの消費の動向を見ていただきたいのですけれども、日本の社会全体はこれだけの木材を要求しているわけですよね。当時も日本の国の生産力の倍以上の木材を日本の社会が要求していて、今もしているわけですね。この差をどのように埋めたらいいかということになってくるのですね。それを海外の森林に頼っていていいのでしょうかという話なのですか。

○西岡主査 そのいいか、悪いかは何の基準かということですね。もちろん、これは議論のあるところだとおっしゃったのは、全くそうだと思いますけれども。

○安井座長 では最後に太田先生。

○太田検討員 二点お聞きしますが、同じことをいうことになるかも知れません。社会的合意、合意と盛んに言われていますけれども、実際のところ、現在の日本の人工林の荒廃問題と森林維持のコスト高について、世間で広く論議されていないと思うのですけれども、日本の森林の保全や日本の林業の再生に関して、どのような具体的な試みがなされていますか。
 もう一つ、日本国民はスギ花粉で困っていますので、この問題と融合させれば、今日のお話の森林の保全の経済的な面だけではなくて、社会的な問題という面からもこの人工林を何とかしなきゃいけないという話になり、ある程度国民の関心が高まるのかなとも思いました。
 つまり、どのようにして日本の人工林の管理と保全に関して、どのような具体的な政策がとられ、それに関してどのように社会的に合意形成をなされているか、ということをお聞きしたいと思います。

○山本検討員 今、1つは国のレベルでどのような森林の資源計画を出しているという提案がなされていますし、今、それぞれ自治体レベルでも森林の計画というのは、自治体ごとに作るということになっていて、まさに形の上なのですが、それで地域社会ごとに積み上げていくという仕掛けにはなっています。
 ただ、実際にそれぞれ1人1人の国民がこのことについてどの程度深い関心を持って議論に参加してくれているかというと、なかなか否定的なことしか答えられないわけなのですけれども。私の立場としては、このことをこういう場を通じて、あるいはいろんな場で議論を巻き起こしていきたいというお答えをせざるを得ないですね。

○安井座長 さまざまなことに絡み出しましたので、後で総合的に討論させていただきたいと思います。ここで12分ぐらいおくれておりますが、一応10分ぐらいの休憩に入らせていただきたいと思います。

午後 3時33分 休憩

午後 3時43分 再開

○安井座長 それでは、そろそろ再開をさせていただきたいと思います。
 続きまして、本日3番目のご発表でございますが、湯原先生からお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○湯原検討員 東京大学の湯原です。よろしくお願いします。
(パワーポイント1)
 きょうは、2050年のエネルギー構成ということでありまして、この検討会が2050年ということを1つのめどにして、そこからバックキャスティングということで長期ビジョンを検討しようではないかというのが基調というふうに第1回でお聞きしています。それで、私はどんなエネルギー構成からバックキャスティングすればいいのか。特に経済成長と環境。環境問題はエネルギー問題が占めるところが非常に大きいかと思いますので、環境ということを意識して、環境と経済成長の両立ということを考えてみたいと思います。
 一番初めに出した絵が、きょうの私のプレゼンテーションのすべてでありまして、これが結論であります。だれでもこの図を見たら、二千百何年に化石燃料が枯渇する、いつかなくなるということはだれも反対しないし、一番左2002年は現実でありますから、これもだれも異議はないわけでありますけれども、では2030年、2050年、2100年と、どんなふうにして一番右に行くのかというのが、非常に超長期のエネルギー問題といいますか、エネルギー課題かと思います。
(パワーポイント2)
 特に最近、炭酸ガスの問題、二酸化炭素の問題があって、そういうことを考えますと、そんなに多数の選択肢がないように思います。
 その次のページを見ていただきたいのですが、いろんな検討があるかと思うのですが、大体こんなところではないかと思います。2002年、2030年、2050年、2100年に、人口が2050年に100億というのはちょっと多いかもしれません。普通は80億というふうにいうようですが、一応100にしまして、大体のGDPの規模がわかると。これも大体平均的な値になります。
 ここから原単位改善率、GDPに対して毎年毎年どのぐらい総エネルギー消費が改善されるかという数字でありますが、毎年1%改善ということでありますが、そういうことから総エネルギー需要を出しますと2030年で1.9倍、2050年2.2倍ぐらい、2100年で2.8倍ぐらいであります。ですから、こういう総エネルギーに対してエネルギー構成をどうするかという問題であります。
 二酸化炭素の問題は化石燃料総量がどれだけかということです。[4]を見ていただきますと、2000年は83億石油換算トン、toeというのをきょうはたくさん使うと思いますが、石油換算トンのことです。燃料構成のパターンはOタイプ、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプとあります。Oタイプというのは現状のパターンで、80%化石燃料で、残りを10%ずつ原子力と再生可能エネルギーがシェアし合う。これが50年、100年続くとはだれも思っていないわけであります。Aタイプは2/3が化石燃料、Bタイプは1/2、Cタイプは1/3が化石燃料で,残りを半分ずつ,原子力と再生可能エネルギーが取り合う。
 そうしますと、これは自動的に炭酸ガスがどれだけ出てくるかというのは、このタイトルごとで総量がわかれば、石油と天然ガスと石炭の割合を決めれば、排出される二酸化炭素の量はカーボン換算で、64億トンから89億トン(2030年)、77億トン(2050年)、68億トン(2100年)ということで、このレベルであれば何とか大気中の二酸化炭素レベルが500ppmレベルで可能だ、安定化できるということであります。 
 それとGDP当たりの二酸化炭素の排出量トン、現在世界では188カーボントン/ミリオンダラーと言われますけれども、日本は58カーボントン/ミリオンダラー、100万ドルの国民総生産を上げるのに58トン使っていることになります。2050年には世界じゅうがこのレベルになってほしいということで、65億トンくらいと、そんなふうに見るわけであります。
 いろいろな意見もありますし、いろいろな計算もありますけれども、非常に簡単に言うとやはり世界的な規模での、地球環境問題というのは地球全球の問題でありますから、世界的な規模での環境と経済の両立は、このようなエネルギー構成、こういうバランスの中でやっていく以外ないのではないかというのが私のメッセージといいますか、きょうの提言になります。
 継続的な省エネルギーと二酸化炭素削減により大気中のCO濃度安定化をはかる。これ以外のエネルギー構成の変遷以外に、環境と成長を両立させるエネルギー構成があるか、いろいろ検討をしてまいりましたけれども、なかなかこれ以外はないのではないかと思います。
 もうこれで終わりですが、それでは時間が余りますので、少し詳しく説明します。
(パワーポイント3)
 これがさっきのOタイプというものでありますが、経済産業省の方がおられますけれども、経済産業省が去年出しました2030年のエネルギー需給展望という、総合資源エネルギー調査会の需給部会からの試算になりますけれども、それはOタイプ、基本的に2030年のレファレンスタイプというか、BAUはこのタイプだという予測、展望をしております。
  同じように、2004年版のIEAのエネルギーアウトルック、国際エネルギー機関も同じように、2030年このOタイプだと展望しています。
 本案はそうじゃなくて、2030年には世界でAタイプにしなければいけないのではないか。さらに2050年にはBタイプに持っていかなければいけないのではないかということを言っているわけです。
 そういうことを言った人がいないかというとそんなことはなくて、経済同友会が2003年に「エネルギー自給率50%イニシアチブ」、実は私もそのメンバーでありましたけれども、Bタイプというものを強くイニシアチブとしてとるべきであると提言しています。
 それから東京大学と産業界、重電メーカーとが検討しましたTriple-50(トリプルフィフティ)という提言があります。東大のエネルギー関係のほとんどの工学系の先生方が入られて、副学長の西尾先生と機械学科の笠木先生がリーダーシップをとられまして、トリプルフィフティ、私もそのメンバーでありましたけれども、やりました。これはやはりBタイプ、2030年にBタイプをとるべきであると提言しております。
 そんなふうに、いろいろ問題はあるかもしれないけれども、簡単にいえば、OかAかBかというような選択をいつまでにという問題が国内でのエネルギー政策もありますし、国際的、世界全体のエネルギー政策の基本的なあり方を示していると考えられます。
(パワーポイント4)
 じゃ、どうかというと、もうこれもくどいのでやめます。2030年Oタイプに行ったらどのくらいか、じゃ2050年もAタイプで行ったらどうなるかということを、石油の総化石燃料のどのくらいかということをいいますと、これは当然でありますが、年間2030年でも149億toe(石油換算トン)になりますから、例えば2030年でOタイプですと、149億石油換算トンとなります。ご承知のように下の注に書いてありますように、石油の埋蔵量は1,900億toe。これもまた後ほどお話をしますけれども、そういう単位になりますから、年間これだけ使えばどうなるかということで、2030年には実態的にOタイプはあり得ないと洞察できます。結局、埋蔵資源量の方からいっても2030年A、2050年Bというのは自然のあり方に近いのではないかと考えます。
(パワーポイント5)
 その次であります。それで結局、先ほど申し上げたような一覧表がもう一度出てくるわけであります。これなら何とかいけるのではないかという結論です。
 ただ、これはもう一つ問題になっています原子力発電の問題があるわけです。それじゃ、原子力にAタイプで4分の1も、あるいは6分の1も担えるのかということで、今の本提案から計算してみますと、原子力がそこに構成比7%、16.7%、25%、33%というふうに書いてありますけれども、ではその程度の発電量がどのぐらいで、発電設備はどのぐらい要るのかということについて述べます。現在、世界中で原子力発電所が441基、364ギガワット。ギガワットは100万キロワットでありますから、100万キロワットクラスの発電所が364基あるということです。
 そうすると2030年に16.7%を担うとしたら1,700基、2050年に2,900基、2100年5,000基、になります。そんなべらぼうなと思うのですが、少なくとも電化率の上昇に伴って、発電量はどんどん伸びていきますから、何らかの形の発電設備で,原子力じゃなくても全部でこの倍以上の発電容量の設備がいるのです。
(パワーポイント6)
 ウランの使用量、これも皆さんご承知のとおりであります。こういうふうに原子力発電所を増やして行くと、年間必要なウランが6万7,000トン、30万トン、52万トン、89万トンと、こんなふうになっています。これは年間でありますから、それの累積をやると2030年には552万トン、2050年には1,372万トンでありますけれども、実はウランはそんなにないわけであります。ウランの資源量は一番下に書いてあるとおりでありまして、確認埋蔵量454万トン、究極の埋蔵量が1,440万トンですから、これはもう2050年になったら枯渇ということです。したがって、先ごろいろいろ議論されておりますが、燃料サイクルと高速増殖炉というのがもっと早い段階に要るというような結論になってくるわけです。
(パワーポイント7)
 それで、じゃどうやってやるのかというと、これは第2京都議定書というのがもう議論されて、ヨーロッパ等では、450ppm安定化させるべきと言っておりますけれども、やはり先進国と発展途上国を含む世界とは時間差が当然あるわけでありまして、2030年に先進国は先に化石燃料50%を達成しないといけない。なぜかというと、2050年に全世界が50%を達成するには、20年ぐらいのタイムラグはどうしても要るのだということかと思います。ですから、結局2050年に世界がこの50%化石燃料を達成するためには、先進国が2030年までに化石燃料50%を達成しておかなければいけないというわけです。
 したがいまして、世界の2050年のエネルギー構成の課題、問題といいますか、バックキャスティングすべき目標は、実は日本を含む先進国が2030年にこういう構成,化石燃料50%の構成をとらなければ、500ppmレベルでの安定化は実現不可能になってくるだろうということが2つ目の提案であります。
(パワーポイント8)
 その次であります。先ごろ新・国家エネルギー戦略というものが二階大臣によって、経済財政諮問会議で突然といいますか、公表されました。その後、5月だったかに最終的に「新・国家エネルギー戦略」というのが出まして、これは総エネルギー供給量が決まっておりませんけれども、要はエネルギー構成で2030年には石油を40%以下にする。これは見ていただくのに、一番上に2000年の実績値、石油が50%でありますけれども、2030年には石油を40%以下にする。以下といいますから、30かもしれないし25かもしれません。いずれにしろ40%以下にする。ここは40%とします。
 それから原子力発電の電力量におけるシェアは40%以上にする、30ないし40あるいはそれ以上という、何言っているのだろうかという数値目標でありますが、これが40%にしております。
 そうしまして総エネルギー量が日本は2030年にどのぐらいになるのだろうかということで、経済産業省が示しておりますように、原油換算607原油換算百万kl、6億700万kl、ここに書いてあります。2030年に需給展望で6億700万原油換算kl、これは石油換算で、564Mtoe、5億6,400万石油換算トンですけれども。これは当然でありますけれども、経済産業省は当然成長率を1のように設定し、2のような実質のGDPをカウントし、原単位を1%、毎年毎年1%は省エネルギーがあるという想定で607という数字を出していると思います。やはり2030年、省エネルギーケースでは、約5億トン、496という数字が出ておりますし、省エネ進展ケースでは5億トンというのを出しておりますし、さらに50%、努力した省エネルギー政策だと4億トンぐらいが見えてくるというわけです。
 実この4億トンというのは、東京大学のトリプルフィフティで、いろいろ知恵を絞り、鉛筆をなめ、計算機を回し、出してきたのがやはり4億トン、2030年4億トンという数字であります。ですから、いずれにしても2030年に4億トンから5億トン(石油換算)の間が日本の総エネルギー需給になって、現在よりは省エネがさらに進んでいくだろう、人口は多少頭打ち、GNPもそう高度成長ではないというような現実を反映したものであります。
(パワーポイント9)
 さらに2050年はどのぐらいになるのかということで、低成長で省エネを1%としてやっていきますと、GDP排出原単位の方もあれもありますから、結局、化石燃料総量が57から50%になるわけですね。ですから、これは何を言いたいかというと、普通の省エネルギー、年率1%を見ますということでずっとやっていって、たとえ低成長でやっていって4億とか5億は見えてきても、化石燃料は減らないということです。ですから、フォアキャストで幾ら頑張ってもなかなか難しいではないかということと、やはりもう少しですから、キャスティングである目標を決めてやっていくのが良いのではないかということであります。
(パワーポイント10)
 同じようなことがくどくど書いてありますので飛ばします。
(パワーポイント11)
 これは先ほど言いました、少し古い、経済同友会が2003年に、ここで間違いがありまして、原子力13%と書いてありますが、先ほど湯本先生から指摘ありましたが、25%の間違いであります。
 2001年のエネルギー構成に対して2003年経済同友会はエネルギー自給率50%イニシアチブ、そこに福井と書いてあるのは、現在の日銀総裁の福井さんです。やはり思い切った提言をしようということで、この当時、経済同友会の環境委員長をやっておられて、こういうデッサンをしてみたわけであります。
 そのときに、散々無理のない再生可能エネルギーのいろんなことを頑張れ頑張れでやったのですが、なかなかパーセンテージが上がっていかない。結局、バイオマスにかなりのウエートをかけておりますけれども、現状は多少違っております。
 その後、東京大学でこの検討をさらに行い、エネルギー利用効率というのを上げない限りだめなのだという話になったわけであります。現在の日本のエネルギー利用効率は33%。平田先生が前に計算したもので、33%とか35%とか、そんなものであります。やはりエネルギー利用効率を触る、そこに踏み込まない限りだめだということで、現在35%のエネルギー効率を50%にする。これで3つそろった、エネルギー自給率が50、化石燃料が50、エネルギー利用効率50という、それでトリプルフィフティ、3つの50と名づけられました。
(パワーポイント12)
 そういうふうにしていきますと、需要サイドのエネルギー効率、省エネルギー効果が出てきまして、4億をちょっと超えたぐらいのところにいって、化石燃料が50、原子力半分、再生可能エネルギーが半分、これもなかなか苦しくて、この下に書いてありますので、どうぞ厚い報告書がインターネットで出てまいりますので、ご覧になっていただきたいと思います。
 再生可能エネルギーがなかなか25%を切ることができない。海外から5%ぐらいバイオマスエネルギーを輸入しないとなかなか無理だということ結論になりました。
(パワーポイント13)
 これは私が書いたものになりますけれども、先ほどの世界2050年にしろ、2030年先進国にしろ、大事な問題はそこに書いてある4ないし5点でございます。もう化石燃料をいかにクリーンに使うかということであります それからCO隔離技術、これが本当に実用化できるかどうか、これも非常に大きな問題であります。
 それからトリプルサイクル、これは世界じゅうでガス化というキーワードで競争しておりますけれども、本当に燃料電池をかませて60%、70%の発電効率が達成できるのか。出来れば現在40%以下である化石燃料の効率からかなり化石燃料を削減し、受け取る側、需要サイドは同じ電力量を受け取れるということになるわけであります。 2番目の燃料サイクル、これは先ほど申し上げたとおりであります。世界じゅうが原子力発電を使う。特に中国とインドは積極的の導入することを明確にしておりますから、燃料サイクルと高速増殖炉の実用化というものが不可欠になってくる。
 3番目でありますが、再生可能エネルギーをそのまま使おうとすると、どうしても先ほど申し上げたように頭打ちになる。それで急激に出てきたのが二次電池の進展。なかでもリチウムイオン電池の大型化という問題が見えてきておりまして、この新・国家エネルギー戦略では2020年に大容量リチウム電池が日常化普及するというようなことを書いておりますが、再生可能エネルギーシステムと、要するに太陽光と風力と電池を連携させて安定電源にする、これが再生可能エネルギーの大規模導入につながって行く. ブッシュ大統領が1月31日に一般教書演説をしたときも、6点新しいエネルギー政策を言いましたけれども、5番目にプラグ・イン・ハイブリッドという言葉を言っていて、電気自動車への道を明確にしている、燃料電池自動車を後退させて、ハイブリッドから電気自動車、そのための次世代バッテリー開発をアメリカは全力でやるのだということを言ったわけでありますが、これは当然のことながら電池業、8割もシェアを見込んでいる日本に対する対抗と考える以外ありません。それからマイクログリッド・システムもご承知のとおりであります。再生可能エネルギーで連係させる。
 それから4番目は、安定が世界どこの国にもその地に即した再生可能エネルギーがあるのですが、日本で私の調査では、やっぱり地熱と潮流が重要でかつ利用が進んでいない。この地熱と潮流という日本で本当に安定して豊かなエネル源で、ほとんど何も使っていない現状であります。このことを指摘しておきたいと思います。
 5番目が循環型産業システム。これはもうたくさん言われておりますので、2030年とか2050年になりますと、開発が終了しました超鉄鋼、スクラップ鉄から高級鋼ができるプロセスでありますけれども、そういうものでありますとか、日本が一番強いリサイクル・プロセスやコプロダクションシステム、さらには産業間の連携というようなことが具体的になり、産業における省エネルギーがシステムぐるみで進んでいくということになります。
 こういう5点がやはり先進国が2030年までに達成し得る技術あるいは産業社会構造であると考えています。
(パワーポイント14)
 トリプルフィフティのときはもう少し総動員で同じような議論を延々とやったわけでありまして、ここにまとめておりますが、そのときもやはり太陽光と風力を大規模に導入するには、やはり蓄電池とグリッド・システムだということであります。当たり前のことでありますけれども。エネルギーの世界というのはバッテリー、大型二次電池や蓄熱が重要です。まさにそういう時期にソニーがリチウム電池で問題を起こし、象徴的であると思います。あるいはヒートポンプでありますとか、そういう技術がいかに太陽光、風力そのもの以上に重要で,太陽光や風力の普及に寄与するのです。
(パワーポイント15)
 コプロダクションシステムや産業間連係する,エネルギーコンビナートが重要な技術システムです。
(パワーポイント16)
 時間がそんなにありませんのでどんどんいきます。
 石炭。中国の話を後で少しできればいいかと思いますけれども、中国は石炭、とにかく石炭の国です。日本の石炭ガス化が,中国の低質の石炭をもガス化できるので,のどから手が出るほどこの技術に注目している。
 天然ガス、ガスタービン、ゼロエミッション、石炭ガス化、水素発電所のコンセプトも重要です。 
 ここでもう終わりになりますが、先生あと何分ですか。

○安井座長 もう時間はかなり過ぎております。

○湯原検討員 それでは、このぐらいで。あと議論があれば、参考資料におつけしたので、また説明をしたいと思います。
 私の話はこのぐらいにします。ありがとうございました。

○安井座長 ありがとうございました。
 それではご質問いただきたいと思いますが、何かございますか。
 ちょっとよろしいでしょうか。
 まず前提となる人口シナリオなのですが、これは世界のやつもそうですし、日本のトリプル50もそうなのですけれども、その辺どんな。これは……

○湯原検討員 ABCとかいろいろなところがやっていて、今、私の想定は、このBの下の線ぐらいです。だから、Aケース、Bケース、Cケースといろいろあると思いますけれども、Bの下線ぐらいじゃないでしょうか。Bというのはその左の方ですね。2050年に100億ですから、ちょうど点線ぐらいのところです。

○安井座長 多分、かなり高いですよね。

○湯原検討員 はい、高いです。

○安井座長 2050年、90億は中位ですから、多分そう言っちゃうと、本当にきついでしょうね。

○湯原検討員 はい。

○安井座長 日本の人口はどんなふうに……

○湯原検討員 1億、これは1億、経済産業省がずっと使っている2030年の使っている……、二千二十何年かでピークになっているのですね。だから……

○森田課長補佐(経済産業省) そうです。エネルギー消費は2020年ごろにピークを迎えます。人口は厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の中位推計を使っています。

○湯原検討員 そうですね。これを計算するときのもとのがそうですね。ですから、2020年前後だと思います。

○安井座長 ほかに何か、いかがでしょうか。
 後で、多分恐らく総合的な議論のところでいろいろと出てくると思うのですけれども、どうぞ。

○森田課長補佐(経済産業省) 非常に重要なお話ありがとうございます。経済産業省の資源エネルギー庁でございます。
 プレゼンテーションの中で、何カ所か経済産業省の見通しについて触れていただきましたので、誤解のないように付言的にコメントさせていただければと思います。
 今回の超長期ビジョン検討会の趣旨というのは、将来のあり得べき姿というものを考えて、それからバックキャスティングで考えていこうという趣旨と承っておりますので、まさに湯原先生のプレゼンテーションは非常に勉強になりました。
 我々の方の資源エネルギー庁の需給部会の方で出しております見通し、これは「2030年のエネルギー需給構造の展望」というのを出しておりますけれども、こちらの方はフォアキャスティングで出しております。すなわち過去30年以上のデータというのをもとに、重回帰分析で足元から将来へ向かって、数値のラインを延ばすというやり方をやっておりまして、必ずしも将来のあり得べき姿ではなくて、過去に実際にあったことからフォアキャスティングして見通しておりますので、そういったアプローチの仕方が違っているというふうに認識しております。したがって、必ずしもバックキャスティングという考え方を否定してこういった見通しをつくっているものではありませんので、あらかじめ誤解のないようにと思いまして、つけ加えさせていただきました。ありがとうございます。

○安井座長 ありがとうございました。
 湯原先生につきまして、何か個別のご質問等がございましたら、この機会に。

○原沢検討員 ちょっと細かい質問で申しわけないのですけれども、例えば4ページにある上の図で、OECDの先進国と発展途上国でエネルギー需要が20年ぐらいのラグできいてくるということですが、この辺の根拠というのが、ある程度途上国の発展形態もかなり低い方から高い方まであるかと思うのです。具体的には中国とかインドみたいなものを想定すればいいのかどうかというのを1点お聞きしたい。
 あと、全くとんちんかんな質問ですけれども、いろいろと技術開発があったときに、例えばレアメタルみたいなものの物質制約も起きるかなと思ったりするのですが、例えばリチウムイオン電池ですとか、そういった新しいものをつくったときに、レアメタルみたいなものというのは制約条件があるというようなことはないのでしょうか。

○湯原検討員 まず、なぜ発展途上国が2050年かというのはそのとおりでありまして、特に根拠はありません。20年ぐらいはあるし、一緒に先進国と発展途上国が同じようなエネルギー構成を努力するということはあり得ないということですね。去年G8プラスインド、中国、ブラジルがロンドンで集まったときも、50年のレンジで地球温暖化の問題を議論しましょうということだったと思うのです。そのときも、やはり先進国が先行して省エネルギーや、こういうエネルギー構成のひな形をつくっていくということだったと思うのですね。そのために、いろいろ省エネの計算をしましたけれども、20年というのは、技術移転を急激にし過ぎない範囲で適切な期間ではないかというふうに考えたということです。
 レアメタルというと、銅とかコバルト?とか、そういう問題でしょうか。

○原沢検討員 エレクトロニクスに必要なアースメタル、レアアースみたいなものです。

○湯原検討員 よくレアアースはもう中国に独占されているからしようがないですねという感じの話。リチウムも結局チリにしかなかったので、日本は海水から取ることを随分研究開発したのですけれども、中国のチベットに大量にリチウム塩湖が見つかってしまって、資源的にはリチウムは問題なくなりましたが,地政学的にというか、政治的にかなり問題を抱えることになるように思います。リチウムイオンだけじゃなくて、青森県で国有林野に風車を大規模に入れる計画があって、そこはたしかナトリウム硫黄電池を付帯すると聞いています。これからは再生可能エネルギーの中で特に太陽光、風車というのは、蓄電池を通してきれいにしていくことが増えると思います。だから、そこなのですけれども、例えばここに出ているのは(パワーポイント29)中にありますけれども、これが世界の流れが大きく変えたのではないかと私は思っています。いすゞエルフが去年の4月にトラックにリチウムイオン電池を積んだものですけれども、これはレアメタルのコバルト電極ではなく,マンガン系だったと思います。ですから、いろいろな判断の中で、そういう大量に将来必要で、本当に心臓部になるようなところは、代替金属で将来の安定を見込んでいると思います。

○安井座長 ありがとうございました。
 山本先生。

○山本検討員 資料の6ページの上の方に自給率の50%イニシアチブというのがありまして、ここの中にバイオマスエネルギーが10%という、そういう数字が出てまいりますが、この数字でいくと要求されるバイオマス量としては、どのぐらいの量がここで期待されることになるでしょうか。

○湯原検討員 すみません、きょうは数字を持ってきておりませんけれども、もうべらぼうな数字でした。けれども、あり得ない数字ではなかったと思います。6,700万か7,000万とか、いや、ちょっと石油換算トンですが、バイオマスの発電数だけで700万キロワットというのがここに出ておりますから、間伐材もいろいろ畜産も全部入れて、廃棄物発電、一般ごみ、産業廃棄物も含めて全部入れて10%がやっとというような感じです。すみません、これは次回か、あるいは別の機会にこの内訳はお知らせしたいと思います。全体5億石油換算トンですと、かなり苦しい数字です。
 全体が4億になって10%ですと、そんなに無理ではないと思います。

○川島検討員 参考資料の最初のページでちょっと気になるのですが、人口の推移だとなめらかになってサキュレーションするような予測になりますよね。ところがエネルギーの予測の方だと、A、B、Cのスケールは違いますが、どれも逆に言うとしり上がりのカーブになっていますよね。何となく常識的には1人当たりのエネルギーはだんだん効率がよくなるのじゃないか。逆に言うと1%の改善のあれでやるからこう出てくるのであって、もう少し、例えば2050年あたりからは横ばいになるのじゃないですかね、私はかなりそういうふうに強く思っているんですが、この辺いかがでしょうか。

○湯原検討員 その辺はちゃんと理論武装したものではありません。いいかげんなことでやっておりますので、おっしゃるとおりだと思います。

○安井座長 私もちょっと1つ伺いたいのですけれども、この手の予測をするときに、個々の化石燃料、要するに石油、石炭、天然ガスなのですが、価格の上昇のシナリオが最終結果にどのぐらい影響するものなのでしょうか。

○湯原検討員 プライスとコストがあると思うのですけれども、コストということでエネルギー総合工学研究所の研究会の検討では、コストでいくとそんなに影響ない。じゃ、プライスがどのぐらいそういうのに影響してくるかと、制約にはなると思うのですけれども、プライス制約でそういう計算をしておりませんので、よくわかりません。
 プライスのことをいうと、日本の場合ですと全然変わらないのは、別に、今度文科系の先生方にお伺いしたいぐらいで、石油価格高騰でどんどん所得の移転が起こっていって、98年、2003年、2005年、2006年と、どんどん燃料費が10兆円も余計に払うような所得の移転が起こっているわけですね。しかし総量は全然変わらないというのは、日本経済はどうなっているのですかと思うのですけれども。経済産業省の人に聞くと、GDPに占める比率、この燃料費が問題なのだとよく前から言われるのですね。ところが財務省や日銀の方に言わせると、いやそうじゃないと。貿易収支に占める割合が最大問題だというわけで、競争力という面かもしれませんけれども、なかなかその辺がわからないのですけれども。私はこういうのを見ますと、もう石油が3倍になったって、全然需要が変わらないというのは一体何だというふうに思うのですが。
 やはりこれは非常に大きく経済のためにきいてくるのじゃないのか。世界でG8のこの間でも、結局はエネルギー価格の高騰をどうするかという問題でG8で話し合っているわけですから、本当は日本はのんきですごく効いているのじゃないかと思うのですね。

○安井座長 日本の構造というのは、多分割合と世界的にはききにくいところかなとは思うのですけれども、今、先ほど途上国のおくれが20年という話があったのですけれども、そのおくれが大きくなる方向にきくのかななんて勝手には思っているのですけれども、その辺も特に根拠はないんですけれども。
 要するに20年おくれですべての途上国がついてくるのではなくて、多分、ついてこられるところと、全くついてこられなくて、とうとう乗りおくれちゃうというところが出てくると、そんなような気がしますね。

○湯原検討員 ただ、もう1点はこういう問題があると思うのですね。
 私は産業界で研究・開発をずっとやってまいりまして、新エネルギーが、いつも安い石油がネックになっていたのですね。しかし、今はもう全然違う状況になってしまいまして、キロワットアワー当たりが再生可能エネルギーの方が安くなってきているのじゃないか。
 また高いといわれてきた、原子力が圧倒的に競争力を持って来たのではないかと思うのですね。こういうコスト絡みで、発展途上国、これからインフラ整備をするところは、当然、やはり影響はあると思います。先ほどクズネッツの話がありましたけれども、かなりこういうところでクズネッツというものが現れるのではないかなと私は思うのですね。

○安井座長 ありがとうございました。
 いろいろやっておりますうちに、とうとう残り時間35分になってしまいまして、最後に5分間まとめをするとしますけれども、きょうの一般的な議論が30分ぐらいしかできません。
 湯原先生、ありがとうございました。
 さて、以上、本日3人の先生方にご講演いただきました。まだ十分ご質問いただけておりませんし、場合によりますとそれぞれに絡むようなご質問もあるかと思いますが、そのあたり、どこからでも結構でございますが、先ほど山本先生には、その絡みのような話を既にいただいておりますが、ほかの先生方何かございますでしょうか。

○川島検討員 森林とエネルギーに絡む話なのですが、現在、世界で使われている木材需要の約半分は途上国のエネルギー需要ですよね。それで、湯原先生のストーリーが進んでいくと、途上国でも化石燃料を使うということになると、石油を使えばまきは使わないという世の中に移っていくので、そのことを考えると、そんなにこれから世界の木材需要は増えていかないのじゃないか。逆にそのことが化石燃料を増やしてしまうという、このかなりトレードオフのバランスがあると思うのですが、この辺はいかがでしょうか。

○山本検討員 それぞれの途上国のまさに石油を買えるかどうか、この力の問題になってくるのじゃないかと思うのですが。例えば中国という国を考えても、あの国の中で石油エネルギー、化石燃料を使える部分というのは、ごくごく限定的であって、それ以外の部分は、やはり従来のまきに頼る社会が続くのではないかという私の想像なのですけれども。
 ですから、そういう部分の需要というのは、そんなに急激に減るわけではなく、片方でそっち側の部分の人間の価値がどの程度変わってくるかによって、今の木材需要、燃料の部分の予測が起こるのではないかと思うのですけれども。私はそんな急激に減らないような気がしております。

○川島検討員 これは花木先生とも絡むのですが、要するに都市に住むとなかなかまきを拾ってくるわけにはいかないわけですね。結局、都市の人口がふえるということは、石油を使う人口で、都市人口とバイオマスをどうするかというのと、化石燃料をどうするかと、これ3つはかなりというか、全くつながっている問題を違う方面から言っている話なのですね。
 花木先生の話だと、都市人口はふえるという話ですから。そうすると、やはり中国でも奥地で暮らしている人は減っていくと。それからGDPの伸びを幾らに設定するかは別ですが、増えていくということは、私はやっぱりそのどこかにバランスがあるのだと思うのですが、そこはやっぱりこの長期ビジョンで1つのシナリオにならないと、3つ違う危機をあおるのは私は賢明でないと思うので、その辺私は考えていますが、かなり三面等価になっている話だと思っています。

○安井座長 花木先生、何かコメントございますか。

○花木検討員 先ほどの都市に集中するという国連の推計ですけれども、将来の就業機会が都市にだけ存在するという状況が続くのかというところまで、どれぐらい考えているのか、ちょっとその辺は私も定かではありません。日本の場合、都市人口率がさらに上がるという予測になっていますが、一方では、今、日本は人口が減っていく中で、分散居住していくかもしれないというのがありますよね。という意味では、それぞれの国である程度都市化の人口比率は頭打ちになるのじゃないかなという気がするのですよね。
 さっきの西岡先生からの質問があって、ヨーロッパはどうなのだと言われて、イギリスのその国連の推計を見ると、92%とかになっていますね。

○西岡主査 フランスが83。

○花木検討員 フランスって結構農業国なのに高いですね。あんまりこの数字に振り回されるのはよくないのかなというのが率直なところです。余りプラスのコメントになっていないですが。

○川島検討員 フランスでも農業人口は数%以下に下がっていますから、87だとつじつまが合うのです。

○西岡主査 今の話の続きなのですけれども、大量のバイオマスを使っているその量自身が、いわゆる近代的バイオマスエネルギーにまっすぐ行くということはほとんどないのでしょうか。やっぱり化石燃料のオーバーシートがあってそっちへ行くというのがストーリーなのでしょうか。これは湯原先生にお教えいただきたい。

○湯原検討員 私は、特に森林バイオマスの場合には、エネルギー源としてだけではなくて、やはり森林の問題と、それから林産業、材木とか木工とか、出入り口含めて、全部がワンセットで,その中で森林バイオマスエネルギーが意味を持ってくる。エネルギー源だけでは成り立たないと思います。それからガス化という問題とガスエンジンという問題が、既にバイオマスのエネルギー効率はもう天井まで来ていると。ですから、これ以上はどうにもならない。あと、熱をどうバイオマスエネルギーとして享受できるかというのは、技術的にはなくて、あとは産業政策とそれから林業、材木業、それから木造建築業がいかに国産材で競争力を持つような産業政策、あるいは仕組みをつくるかというのが基本ではないかと思います。
 遠野市をやっておりますけれども、ああいう試みが非常に大事なのではないかと私は思っております。

○安井座長 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。

○太田検討員 花木先生と湯原先生の話、そして間接的に森林の話ともつながるかもしれませんが、この長期エネルギー需給の話で、これはビジネス・アズ・ユージョアルな話ですよね。やっぱりコンパクト型の都市とか、先ほど話されたゆとりある生活、ライフスタイルを選ぶとか、何らかの形でこれまでのライフスタイルを変えていけば、このエネルギーの長期的な需給というのは変わるかと思うのですけれども、そのどのような影響力があるかというのはわかりませんが、その辺のところを加味すると、先ほどの省エネルギー率1%というのはちょっと少ないかなという気がしたので、そこを少し話し合っていくべきではないかと思います。
 それから全く素人で申しわけないのですけれども、よく新聞紙上とか、テレビ、ラジオ等のニュースで、高速増殖炉の技術的な不安というのですか、これはいろいろマスコミにあおられてそういう不安を覚えているかもしれませんが、技術的には楽観視できるほど現時点で高速増殖炉の技術は確立されるのでしょうか。

○湯原検討員 工学部でこういう見通しをやって行くときの特徴は、技術開発を理解し,技術見通しを持って将来予測をする所にあります。高速増殖炉についていえば,私の技術的な見通しでいえば、ほとんどこれは完成されている。ナトリウム取り扱い技術という、本来は原子炉技術とは関係ないところで起こったのが、例のナトリウム漏れでありまして、ナトリウム漏れというものとプルトニウムの話ということは、ダイレクトに関係ないと思っております。
 それから、大洗工学センターでナトリウム技術をもう30年もやっていて、そういうのを見ましても、私はナトリウム取り扱い技術は基本的に増殖炉の欠陥にはならないというふうに考えておりますので、高速増殖炉はもう実用化の段階だというふうに技術的見通しとしては、私はそういうふうに考えております。

○安井座長 ほかに、花木先生、工学系ですね。

○花木検討員 いえ、私は高速増殖炉はわかりません。

○安井座長 ただ、私も工学系なのですけれども、ほぼ同移転で、BSEが危険か危険でないかということと同じような話じゃないですかね。全くそれはリスクはないわけではないですから。高速増殖炉は多分もうできていると思いますけれども。
 その先の核融合が、まあ……

○川島検討員 高速増殖炉ができると、先ほどウランの制約の話がありましたよね、2050年くらいに。高速増殖炉ができると、その制約はどのぐらい外れるのですか。

○湯原検討員 ウラン235だと後50年とかですが,プルトニウムですとその100倍以上になる。

○川島検討員 要するに、数字は上に伸びてしまうと。

○湯原検討員 そうです、数十倍とか100倍ぐらいに。

○川島検討員 要するに無限段になると。

○湯原検討員 無限大ではないですけれども、少なくともサステナブルになる。

○川島検討員 なるほど。

○安井座長 ただ、その100倍と言っちゃうと、湯原先生、結構あれじゃないですか。海水ウランなんていうのも、そろそろ視野に入りかねない。

○湯原検討員 そうですね、ウランが今値上がりしていますから、そう思います。10年ほど前に原研の高崎でいろいろやっておりましたときで、ちょうど1けたでしたから、今ウランはもう3倍になりましたから。それはもう、やっぱりそういうことは考えていくべきだと思うし。ただ、高速増殖炉をそれでやめていいということにはならないわけですよね。

○安井座長 結構、やっぱりエネルギーがいっぱい出るようになると、その燃料に払える金額が大分違ってきますからね。ですから、かなり品位の悪いところからでも取れる可能性が出てくるということだと思います。

○湯原検討員 ちょっと今の補足です。技術というのは、やはりすごくよく見るべきだと思うのは、17ページをあけていただきたいのですけれども、地熱ということが余りにもおろそかにされていると思いましたけれども、やはり再生可能エネルギーで、例えば従来ですと、日本の場合、地熱というと大体200度以上で、何万キロのタービンをどんと持ち込むやつだったのですけれども、最近はバイナリー発電が実用化してきて、150度とか130度ぐらいでも十分熱電効率がとれるような発電装置が小型で出てきているわけです。
 こうなりますと、日本の地熱マップというのはやはり基本的に見直すべきだということになると思うのですね。それはだから、こういうふうに非常に技術と経済性にのってくるエネルギーとのバランスが大事だと思うのですね。
 同じように、きょうは説明できませんでしたけれども、11ページをあけていただきたいのですけれども、化石燃料だって石油だって、カナダが今2番目の埋蔵量になったのは、結局、石油が高騰してオイルサンドから合成原油をつくるコストが追いついてきてしまった。それでオイル・アンド・ガス・ジャーナルがカナダを産油国に位置づけて、現実にアメリカの輸入原油は、今、カナダがナンバーワンになっていると。
 もう、すごくこういうふうに動いてきていて、ですからこれは合成原油をつくる技術でありますけれども、あるいは地熱の技術であるだとか、ここに来てこのバレル高になりまして、採算性が出てき得る新しい技術はたくさんあるので、そこはしっかり入れて、量産化によるコトスダウンまで見込んだ上で、2030年あるいは2050年を見ていくべきだ。特に、再生可能エネルギーの利用に対してはそう見ていくべきだと考えます。

○安井座長 ほかの点で、何かございますでしょうか。
 原沢先生どうですか。

○原沢検討員 関連の質問ですけれども、将来2020年、2030年ぐらいに石油が枯渇すると予測されるので、今、お話あったオイルサンドの方にシフトするとかいろいろあると思うのですけれども、過去の石油ショックを見てみると、むしろ技術的あるいは資源の問題よりも、むしろ中東情勢ですとか、最近では例えばハリケーン・カトリーナで石油備蓄施設がやられたとか、そういう技術的な要因、資源的な要因以外の、むしろ国際関係論的な影響も強くあったと思うのです。今後2030年ぐらいをめどにオイルピークというのが来るというふうにわかっていれば準備ができると思うのですけれども、その間にそういう国際情勢の変化によってガツンとくるような外的ショックみたいなものが結構あるのではないかと思うのです。2050年までの道のりを考えるときに、エネルギーの国際的な位置づけみたいなものというのは、どう考えたらいいのか、何かご示唆があれば教えていただきたいと思います。

○湯原検討員 文科系の先生にお願いします。

○安井座長 太田先生、何かありますか。

○太田検討員 将来のことでちょっとわかりませんけれども、1973〜4年に起きた第1次石油危機は、第四次中東戦争以前にすでに需給関係がすごく逼迫していたということがあり、同戦争をきっかけにアラブ産油諸国(OAPEC)は原油の生産制限などを実施した。さらに石油輸出国機構(OPEC)は、原油価格の大幅な引き上げを行い、石油価格が一気にそれまでの4倍になったということですね。もちろんその場合には、オキシデンタルという民間の石油会社の所有する油田を国有化したリビアのカダフィ大佐の動きに他の石油産油国も追随し、やがて、当時セブン・シスターズといわれた石油メジャーが生産に対する支配力を失っていって、原油価格高騰を阻止できなかったということです。
 1979年から80年の第2次石油危機も、石油の需給の逼迫状況に加えて、イラン革命によって国際石油市場からイランの石油が一気に消えてなくなった、ということが危機の発端だったという記憶です。
 それじゃ、この次はどうなるかということですけれども、ちょっと予想がつかない状況です。細田先生ならもっといろいろなことを説明してくれると思うのですけれども、原油の需給関係をまずとらえて、原油の生産量が限界に近い水準で供給が増えればまた石油ショックが起こるかもしれません。しかし、現在はそういう状況ではないということは、世界的に省エネが進み、原油の備蓄もかなりあるということで、つまり、石油の需要がある程度軽減されたということと、備蓄が進んだということで、石油価格の高騰にはある程度適応できるような体制はとられているのかもしれません。ちょっと大ざっぱな話で大変恐縮です。

○安井座長 関連する話かもしれませんけれども、原発が5,040基か何かですよね、このシナリオで。それが本当に果たして何のリスクも生じないのかというのは、何か私にとっては、毎回、最大の課題のような気がしているのですけれども。
 そのあたりも、今の話みたいな話で、結局テロみたいなものが原発施設を対象にして起きるということは常に考えておかなければいけないと。今の多分443基ですけれども、それに比べると、やっぱり10倍というのは、恐らくリスクは100倍ぐらいになっていると考えるべきだろうと思うのですね。
 どうぞ。

○広井検討員 主に湯原先生に対するご質問で、ちょっとこれも非常に極めて素人的なといいますか、直感的なもので恐縮なのですが、4ページに関して。先ほども先進国と途上国というお話が出ていましたが、さらに見ていきますと、非常に素人的なあれなのですが、先進国という場合に、アメリカとヨーロッパでかなり違った方向を志向しているような感じがあります。非常に大ざっぱな話をすると、非常にエネルギー多消費型のアメリカのような方向と、ヨーロッパはかなり抑えて、また自然エネルギーを非常に高めているということなのですね。そういうモデルの違いみたいなことがこのシミュレーションに影響を及ぼしてくるのではないか。
 それは先進国だけの話のみならず、途上国がどのような発展モデルをとるのかということともかかわって、1人当たりのエネルギー消費なんか等々とも影響してくると思うのですが、そこらあたりの話はどのように考えられるか。余り影響がないのかどうか、いかがでしょうか。

○湯原検討員 答えられる範囲でしか答えられないのですけれども、ヨーロッパ型はやはり炭酸ガスの総量規制していく。ですから、アメリカの例のアジア太平洋パートナーシップでは、GDP原単位で抑えていくという考えだと思うのですね。
 結局のところ、じゃ、受け入れられて、それで世界各国が努力できるかという問題を見ると、やはり総量規制じゃなくて、原単位規制といいますか、GDPに対して幾らエネルギー使用量を削減していくかという方が、特に発展途上国は受け入れる余地は多いと思うのですね。総量規制で幾ら言っても、勝手にヨーロッパがやったらということで、もう破綻していると。とにかく現状部分は破綻しているのではないかと思うのですね。やはりこういうふうに原単位規制で、それとやはりシステムズイノベーションといいますか、エネルギー構成の変革、そういうものも含めた先進国側の努力が非常に大切なのですね。
 しかも、きょうは説明できませんでしたけれども、一番後のページを見ていただきたいのですけれども、運輸エネルギーの中で日本とかアジアは海運と鉄道が連結していないのですね。米国とヨーロッパは連結しておりますけれども。これはもうエネルギー的に見れば、そこの右上に出ているようにけたが違うわけなのですね。花木先生のお話にもそういうのがあったのじゃないかと思いますけれども、そうすると、やはりこういう海運、港湾、鉄道を含めたシステムズイノベーションというのが、省エネルギーに桁違いに効いてくる例だと思うのですね。この例だけじゃなくて、いろいろなところでそういうところがあって、やはりそういうところに踏み込んでやっていくのが先進国の任務である。そういうシステムを発展途上国に移管していくというようなことが一番良いのではないかと思います。
 発展途上国もそのように、例えば今日ご説明できませんでしたけれども、14ページを見ていただきたいのですけれども、これは火力発電所の開発競争を物語っているものですが、現在、横軸が2000年と書いてありますけれども、最新鋭でも大体40%ぐらいの熱電効率です。世界じゅうで競争しているのは、天然ガスにしろ、コールにしろ、60%あるいはそれ以上のところを目指した開発競争をやっていて、発展途上国、例えば中国で私たちはいろいろ話をしますけれども、中国が一番注目しているのは日本の石炭ガス化炉なのですね。
 ヨーロッパの石炭ガス化炉というのは、中国みたいな良い炭はガス化できない。日本の石炭ガス化技術だけが中国の石炭をガス化できるというところがあって、もう機会あるごとに中国政府高官から日本の石炭ガス化技術ということが話になる。これもまた、発電システムそのもののイノベーションにつながっていき、またブッシュ大統領が言っているようなCOゼロエミッションを石炭ガス化を使う水素発電所でやっていくということも、最も近い問題です。そのままシステムごとかえていく、システムごとイノベーションしていくというのが、結局は大規模に省エネルギーできると思うのですね。今やっているような改善、改良ではとてもだめなところに来ているのではないかと考えております。

○安井座長 ありがとうございました。
 ほかには何かございますか。

○明日香検討員 今のお話に関連するところでもありますし、技術をどういうふうに普及させるかという点にも関係するのですが、今、温暖化のところで議論になっているのは、例えば2℃なり、450ppmという目標を設定した方がいいか、それともしない方がいいか。した方が流通の促進に、開発にプラスになるのかならないのかというところがあると思うのですが、その辺に関しまして、特に理系なり、湯原先生のそういう数字があった方がいい。それともあると、かえって今おっしゃったようなシステムが大きな変革というのはやりにくくなるということをおっしゃったように思うのですけれども、そういうところもあるのかなと。
 途上国も考えてという話になると、じゃ、別に日本はそういう目標なしに技術開発だけに専念すればいいという議論もあると思うのですが、でも目標と手段が逆になっているのじゃないのかなと、実際も手段を促進するためにインセンティブがないとやっぱりだめなんじゃないかなと、文系的には考えるのですが、そこに関してどうコメントいただけるかと。

○湯原検討員 私は、目標、二酸化炭素の大気中の濃度の動きは遅れていたと思います。

○明日香検討員 日本がですか。

○湯原検討員 日本も遅れていたし、世界も遅れていたと思います。先進国は先んじて遅れていたと思います。
 それでだれが考えても、当然、どの計算で考えてもみんな同じでありますけれども、今排出量は63億トンカーボンございますけれども、100年間これを使い続けて大気中の二酸化炭素濃度が550ppmになります.現状370ppmが550ppmになる。だから、今、全然これ以上減らさなくて維持しても100年後に安定して、550ppmになると。
 これを地形の吸収能力が31億トンとか31億トンカーボンと言いますけれども、だから、それ以上増えると大気中の濃度が増える。現在63億トン毎年排出していますから,32億トン分が大気中に蓄積されているわけですけれども、2100年に31億トンにして地球に負担を与えないレベルまで下げたとすれば、というのですね。それでやっと450ppmになります。だから、 450ppmで安定させるとEUが言っていることは、100年後に地球の吸収能力のぎりぎりのところに収束させるのだという、一つの文明史観的な方向性を示していると思うのですね。私はやはりそういう目標を置くべきだと思いますね。
 550ppmで安定させ、成長も許しながらやっていくには、もうこの構成しかないのだと私は思っているわけです。それでも2050年に化石燃料を半分にするというのは、システムイノベーションをエネルギー分野でやらないとなかなか難しいし、運輸であるにせよ、今日言った都市の問題もそうですけれども民生分野にしろ、やはりシステムズイノベーション、仕組みから変えていくような新しい技術を割り込んでいけばできるはずだ。先ほど申し上げたように、私たちは工学ですから、技術的な見通しを持ってできるはずだと考えております。

○川島検討員 目標を置くかどうかということで、都市あるいは日本の社会から言うと、やはり置いた方がいいと私は思っているのですね。それはなぜかというと、今、日本の状況を考えると、これまでのいろいろな経済成長があり、それから今度人口が減っていく。その中でどういう社会にして、あるいはどういう技術を導入していくかということについて、現在合意が得られていない。ただ、現状ではよくないだろうということはわかっていて、だけど新たな姿を求めている、そういう段階だと思うのですね。
 そういうときに、かなり高い目標を置くことによって、実際、何年に達成するかというのはその次の問題としても、少なくともそちらの方に足を踏み出す下地はできているので、ぜひ目標を置いた方がいいと思うのです。そうじゃないと、フォアキャスティングでやっていると、やはりどうしても従来の社会システムなり、技術の延長線でしかできなくて、思い切った手がとれない。そういう意味で、目標を置いた方がいいだろうと私も思っています。

○安井座長 よろしいですよ、何か。

○明日香検討員 というのは、最初、ちょっと京都議定書のことに湯原さんがお触れになりまして、総量規制は現時点のは破綻しているとちょっとおっしゃったので、私はおっしゃるように、多分、今の京都議定書も途上国に対してはそういう規制なり、コストも京都議定書においても途上国に関してすぐに総量規制というのは、多分、今余り多くの人は考えていないのかなと思いまして、そういう面で今申し上げたような。
 ですが、一方で現実的には政治的には非常に難しい状況で、日本でもそれぞれ意見があって、なかなか厳しい議論も実は余り最近はないなというのが実情かなと思います。

○湯原検討員 だから、京都議定書を否定するのじゃなくて、やはりさっきお話ししたように、G7プラスBRICsが去年ロンドンで集まって、やはり50年程度の長期レンジで考えていこうというのは、やはり正解だと思うのです。あれは50年というふうに言ったと思うのですけれども。あとのテロ騒ぎでうやむやになってしまったのですけれども、やはりそのレンジで考えていければ,変革が可能と思います。
 それから、やっぱり抑制ということですかね、必要あると思うのです。けれども総量規制で抑制しても、しようがなくて、例えば私はこれは花木先生への質問なのですけれども、都市化というものはやはり抑制すべきじゃないかと思うのです。自動車の問題もありまして、自動車もやはり都市への自動車の集中はやっぱり抑制する必要がある。ただ抑制しても、仕様がなくて、さっきの森林バイオマスと同じですけれども、農林水産業の再構成、再生ということはやはり都市化を抑制することになるわけだから、そんなふうな日本全体の総合的な再生策の中に都市化の抑制と農村の再生、森林の再生ということが産業政策としてあるべきだと私は思うのですが、いかがでしょうか。

○花木検討員 恐らく都市の定義の部分にもよると思うのですが、日本の場合には都市化を抑制しても交通のエネルギーは減らない。農村に行かれるとわかりますけれども、みんな車なしでは暮らせない。集まって住むと車に乗るとしても距離が短くて住むという、そういう皮肉な状況があるのですけれどもね。
 さっきのA、BシナリオのBの方の分散型の居住というのが先生がおっしゃるような姿だと思うのです。だけど一方では、発展途上国の都市化というのは、日本の今申し上げたのとはちょっと状況が違って、都市化することによってどうしてもモータリゼーションが進んでしまうというところがあると思うのですね。
 ただ、そこになるとどうでしょうか、生活の質とかモビリティーとの関係がありますから、そういった自動車交通に依存せずにモビリティーを維持する、あるいは生活の質を維持できるような社会が農村だけでできれば、それが一番理想ではないかと思います。

○安井座長 では、川島先生、そろそろ最後で。

○川島検討員 最後に皮肉な質問して怒られるのかもしれませんが、私、このごろこう考えているのですね。京都議定書の話から始まって抑制の話が出てきますね。それで炭素税のようなこと──ちょっとこれは話が違うのですが、結局同じことが湾岸危機以来、今、起こってしまっているわけですね。バレル30ドルくらいだったのが、70ドル、ちょっと今下がっても65ドルぐらいですか。そうすると、要するに倍ですよね。考えられないような炭素税をかけたような形になっているのですね。ただ、集まる場所が中東諸国で、彼らのところに金が入るから余りという話はあるのですけれども。これが、どうも私、興味深く見ているのですが、余り消費の抑制にはつながっていないような気がするのですね。中国はそれでも買い集めているということで、それから東南アジア諸国は緊急の対策なのですが、見ているのですが、やっぱり余りきかないのですね。逆に言うと、炭素税を倍にする、税率100%ぐらいかけたところで、エネルギーのコストというのは経済成長の中で、先ほどちょっと議論がありましたが、どんどん下がってくる傾向があると思うですね。
 この辺は、例えば経済の先生とか、エネルギーの先生はどう見られているのだと、この二、三年。余り炭素税という形で石油の上昇は見ていないのですね、これは国難だというふうに見ているのですが、マクロに見れば、これは地球環境対策なのですよね。恐らくエネルギーコストを極めて上げてしまって、ほうぼうの国で省エネをしなきゃいけないというメッセージを発したわけで、これは地球環境的にはときどき危機を起こしてやって、バレル100ドルぐらいまで上げていく方が地球環境のためにはいいという妙な、ちょっと最後に不謹慎な質問かもしれませんが、そういう認識もあるのですね。余り新聞のネタにはちょっと不謹慎なのでならないのかと思っていますが、いかがでしょうか、この辺、国際ステージとかエネルギーから見たときに。

○湯原検討員 地方の問題があると思います。ある県のありかたを見ているのですけれども、もう昼間は工場を閉じている。C重油の自家発でやっていて、夜は原子力の夜間料金でやっているというところが、もうC重油が3万円とか4万円になっていますから、とてもじゃないけれども、昼間の自家発はあきらめて夜操業しているのです。原子力発電所のキロワットアワー4円とか5円を使って何とか操業している。それが地方のエネルギーを使う、特に自家発電をするぐらいエネルギーを使っている工場はみんな同じで、事態は予想以上に深刻なのだと思うのですね、地方に行ってみると、私はそう思いますね。
 ですから、全然楽観はできなくて、やっぱりひどいことになっていて、地方の産業は、特に工場はますます力を失っていっている。何とかしないと、本当にひどいことになるというふうに私は考えています。

○川島検討員 そうするとエネルギーコストを上げていくというのは弱者に対する負担になる、そういうような解釈でいいのですかね。

○湯原検討員 少なくとも中小の工場にとっては物すごい負担になっていて、昼間操業をやめなきゃいけないぐらいになっているのは事実です。

○川島検討員 じゃ、これ最後にちょっと不謹慎かもしれないのですけれども、環境の対策をとるということは、ひょっとしたら今先生がおっしゃるように、私もちょっと感じたのですね、最貧国に対する非常にダメージになると。そこそこ金がある国は40ドルが100ドルになっても買えちゃうと。
 今、全く同じですよね。日本でも豊かなところはエネルギーのコストぐらいどこかで吸収できると。かつかつで言った人たちに迷惑をかけながら、環境対策をとるということをひょっとしたら考えているのかもしれないという、この辺の論点なのですかね。

○安井座長 それがさっきの20年おくれの議論あたりにつながってくるのですよね。結局、最終的に、私も多分乗りおくれる国が出てくると思うのは……。どうぞ。

○太田検討員 全く影響なかったわけじゃなくて、石油価格が4倍に上がってしまった第1次石油危機のときには日本ではトイレットペーパーなくなるというようなパニックが起きたばかりでなく、日本経済全体はかなり打撃を受けました。それから社会全体で省エネの努力、省エネ技術の開発に励むとともに、経済構造の変革を断行して、何とか第一次石油危機を乗り切りました。したがって、第二次危機のときはそれまでに省エネが進んでいたので日本経済への影響はさほどでもなかったのですけれども、アメリカは第一次危機以降ほとんど対策をとっていなかったので、カーター政権のとき起こった第二次石油危機では、アメリカひどい経済不況に見舞われたわけです。
 だから、原油価格などのエネルギーの価格が大幅に上がると、先進国の経済社会にも大きな影響を与えます。今回の場合でもアメリカで石油製品の値段がかなり上がったので、影響が出ています。例えば、日本のハイブリッド車なんか売れていますし、フォード社などもハイブリッド車の開発に力を入れだしました。ということで、エネルギー価格の高騰の影響は大きいと思います。
 ただ、すでに指摘されたように、途上国とか経済的・技術的に余力のないところの方がエネルギー価格の高騰の打撃は大きいということです。今回の原油価格の高騰では石油会社と産油国がかなり儲けたということなので、是非、その利益を社会に還元してほしい、といったところですか。

○安井座長 すみません。ちょっと議論の尽きないところでございますが、一生懸命メモしておいていただいて、最後の合宿あたりにぶつけていただく形でも結構でございます。
 大体時間でございまして、今後の予定の確認をして終わりでいいのですかね。
 それでは事務局からお願いします。

○増田課長補佐 本日も3時間の長時間どうもありがとうございました。
 次回は、机の上に封筒が置いてございますが、10月6日金曜日、同じく2時から5時、三田共用会議所で第4回の検討会を開催いたします。それからその次は、10月27日、同じく2時−5時で三田共用というふうになっております。それから本日ご説明しましたとおり、第6回の検討会につきましては、12月12日の10時から12時半、場所は未定でございますが、午前中を予定しております。それから大変お忙しいところ申しわけありませんが、1月19日から20日にかけて合宿という形で調整を進めさせていただきたいと考えております。
 次回は明日香検討員、太田検討員、細田検討員の3名からご発表いただく予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 連絡は以上でございます。

○安井座長 ありがとうございました。毎回のことでございますが、大変ご熱心なご議論いただきましてまことにありがとうございました。
 では、また次回よろしくお願いいたしたいと思います。以上で終了いたします。

午後 5時01分 閉会