環境省総合環境政策超長期ビジョン検討について

第2回超長期ビジョン検討会議事録


平成18年8月10日(木)14:00〜17:00
経済産業省別館 11階 1111号会議室

○議事次第
1.開会

2.議事
  (一)バックキャスティングのシナリオ作成の事例紹介
     本日の検討員発表に関連する平成17年度予備的調査結果紹介
  (二)資源・環境問題の世界的動向等について
     (沖、川島、湯本検討員からの発表)
  (三)その他

3.閉会

○配付資料一覧
【資料】  
資料1 バックキャストの事例、長期展望の事例
資料2−1 平成17年度予備的調査 結果概要(検討員発表関連分野)
資料2−2(参考) 平成17年度予備的調査 文献要旨(検討員発表関連分野)
検討員発表資料1 水資源問題の世界的動向(沖大幹検討員)
検討員発表資料2 世界の食料需給(1960年から2050年)(川島博之検討員)
  検討員発表資料3
【参考資料】 超長期ビジョン−生物多様性−(湯本貴和検討員)
○第1回超長期ビジョン検討会(平成18年6月29日開催)議事録
○本検討会における超長期ビジョンの検討の進め方(第1回検討会 資料4 抜粋)
○超長期ビジョン検討会の今後のスケジュール(第1回検討会 資料5)
○超長期ビジョン検討会名簿

○出席委員
安井至座長、明日香壽川委員、太田宏委員、沖大幹委員、川島博之委員、柴田康行委員、花木啓祐委員、原沢英夫委員、細田衛士委員、森口祐一委員、山本博一委員、湯本貴和委員、若林敬子委員

午後 2時00分 開会

○増田課長補佐 それでは、明日香先生がまだお見えになっていませんが、時間が参りましたのでそろそろ始めたいと思います。
 最初に、お手元の配付資料のご確認をお願いしたいと思います。
 まず検討会の座席表、それから議事次第に続きまして、バックキャストの事例としまして資料1、それから、資料2−1といたしまして、昨年度の予備的調査結果概要のうち、今回の発表に関係しそうなところの抜粋でございます。それから、資料の2−2としまして、これも昨年度予備的調査のうち、いろいろな文献の要旨をまとめたものでございます。それから、検討員発表資料1、2、3とカラー刷りのものが続いてまいります。
 その後に、第1回の検討会の議事録、それから、これも第1回の資料4からの抜粋ですが、ビジョンの語の意味などを整理したものでございます。それから、また参考としまして、第1回検討会にも出しました検討会の今後のスケジュール、それから最後に検討会の委員名簿でございます。
 もし不足等がございましたら、事務局までお申しつけくださいませ。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、7月19日に環境省の人事異動がございまして、事務局を務めております環境計画課の担当が交代しましたので、紹介いたしたいと思います。
 まず、奥主環境計画課長でございます。

○奥主環境計画課長 先月着任してまいりました奥主と申します。よろしくお願いいたします。

○増田課長補佐 また、ちょうどこの超長期ビジョンの検討は、これまで環境計画課の計画官が担当しておりましたが、今般、同じく総合環境政策局総務課の企画官に就任いたしました苦瀬企画官が引き続き担当することになりました。

○苦瀬企画官 苦瀬でございます。隣の総務課の企画官に移りましたが、この仕事に関しては引き続きさせていただくことになりましたので、よろしくお願いいたします。

○増田課長補佐 後任の環境計画課計画官は、超長期ビジョン以外の業務を担当することになりましたが、本日は同席しておりますので、あわせてご紹介いたします。

○佐山計画官 自然環境局の総務課から参りました佐山です。環境基本計画など、いろいろお世話になると思います。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

○増田課長補佐 また、第2回から第5回の検討会では、他省庁の施策とも深く係わる分野について、2050年を展望したトレンド等を先生方からご発表いただくことになっております。そこで、第5回までの各回につきましては、必要に応じまして、その日のテーマと特に関係の深い関係省庁の担当官にも可能な範囲でオブザーバー参加いただきまして、補足説明などがあれば、その場でご発言をいただきたいと考えております。本日は、座長のご了解もいただきまして、農林水産省の担当課にご出席いただいておりますので、簡単にご紹介させていただきたいと思います。農林水産省食料企画課で需給分析の担当をされております本間課長補佐でございます。

○本間課長補佐(農林水産省) 農林水産省の本間でございます。本日はよろしくお願いいたします。

○増田課長補佐 それでは、以後の進行は安井座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○安井座長 それでは、始めさせていただきたいと思います。お暑いところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、前回行いました検討会ではご欠席でございました2名の委員が本日お見えでございますので、ご紹介を申し上げたいと思います。
 まず、沖大幹検討員でございます。

○沖検討員 沖でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○安井座長 よろしくお願いいたします。沖委員には後ほどご発表もいただくことになっております。もうお1人が山本博一検討員です。

○山本検討員 山本でございます。よろしくお願いします。

○安井座長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入るところでございますが、今日からいよいよ本番という形で検討会が始まりますけれども、ちょっとその前に、検討会の進め方に関しまして、あらかじめご議論をいただくというよりは、少しご説明をしたいということがございます。
 まず、本日の配付資料の最後の方に議事録がありまして、そのさらに先、参考資料、第1回検討会資料の5というところに今後のスケジュールが出ております。これは、前回の資料でございますのでご記憶の向きもあるかと思いますが、そこで1つお願いというよりも、理屈上そうならざるを得ないのでございますが、これから2回から5回は各検討員からのご発表をいただきます。第6回、第7回、ビジョンに関する定性的な検討ということになっておりますが、ここをいつ設定するかという問題もあるのですけれども、その叩き台となりますような資料の作成は、やはりこの2回から5回の間に並行して取り組ませていただきたいということがまず1つでございます。それに関しましては、中心的には国立環境研究所の先生方が何人もおられますので、そこでお願いをしようと思っている次第ではございますが、あと2回から5回の間にご発表いただきました先生方、あるいはそうでない先生方を含めまして、いろいろとご協力を賜りたいという場面も出てくると思いますので、ひとつよろしくお願いしたいということでございます。この件はよろしゅうございましょうか。
 それから、本日の検討会の進め方でございますが、今後3回、4回は大体こんな進め方になると思われます。どこかに時間割がございますように──今の裏にございますように、そこに最初に30分程度、これも後でご説明いたしますが、検討員の方には大体20分ぐらいのご発表をいただき、それから10分ぐらい、直接的な質疑応答をさせていただくというような形にさせていただき、本日は3名の方、あとずっと3名という形になってまいります。その後、終わりましたらば、50分間程度の全体を通じた議論ということになっておりますが、これはでき得るならば、それぞれご発表いただきました項目と別の項目との関係、いろいろなものがいろいろに複雑に絡まっておりますので、その絡まり合った絡まり合いぐあいについてご議論いただけるような場になるのかなと想定をしておる次第でございます。
 それで、その一番最初の30分でございますが、毎回最初の30分間を全体的な事柄で何かを考えたいということで時間を用意してございます。今回は、バックキャスティングというのは一体何なのだということが、必ずしもまだ合意されているわけでもないと思いますので、それに関しまして、本日は森口検討員からご発表いただこうということになっております。
 そういうことが本日の進め方に関しましてのご紹介でございます。よろしくお願いしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 それでは、早速でございますけれども、第1の議題、議事の1番というところに入らせていただきたいと思います。バックキャスティングのシナリオ作成の事例の紹介ということでございまして、森口検討員からお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。

○森口検討員 森口でございます。
 それでは、資料1を使いまして、バックキャストの事例、長期展望の事例ということでご紹介させていただきたいと思います。
 前回、昨年度行いました予備的検討の結果の概要をご紹介したのですけれども、本検討会といいますか、今回の超長期ビジョンの検討の中では、バックキャストというものを重視するといいますか、バックキャストという考え方も取り入れていくということがあったわけですが、そういった中で、前回のご紹介の中で、バックキャストとはどういうものとか、具体的にどういう例があるかということの紹介がなかったのではないかという委員からのご指摘がございましたので、ごく簡単なものですけれども資料を用意してまいりました。
 これが一番良いかどうかというのは、ちょっと私は自信がございませんけれども、私自身が直接係わりました事例ということで、OECD(経済協力開発機構)におきますEST、Environmentally Sustainable Transportation、あるいはTransportということで、環境面で持続可能な交通というプロジェクトがございます。これはバックキャスト重視ということを謳っておりますので、これの事例を少し詳しめにご紹介申し上げまして、最後に類似のバックキャストを重視したような最近の日本での検討例でどのようなものがあるかということについて、ほとんどタイトルだけになるかと思いますけれども、ご紹介したいと思います。
 資料1の1ページの中ほどに、英語の図で恐縮ですが載せておりますけれども、これを横目でご覧いただきながら、最初の序文のところを読ませていただきたいと思います。このESTと言われるプロジェクトの中で中核としたのは、長期にわたるシナリオを描いて持続可能な発展を達成するための一つの側面、持続可能な発展というのは非常に幅広い概念かと思いますので、その中で特に交通というものに焦点を当てて、その中で持続可能な交通というのはどういうふうな手段、あるいはどういうふうな戦略で実現できるのかということを検討したということであります。ですから、対象は交通システムです。
 「交通システムの発展に関する伝統的なアプローチとは異なり」と書かれているのですが、交通システムでは基本的には、例えば都市ができて人々の移動があれば、それに対して交通はどういうふうに応えていくかという、当然その需要にあわせて交通システムが設計されていくということかと思います。したがって、将来の需要がどのぐらい増えるかという、そういう予測に基づいて交通システムを作っていくということだったかと思うのですけれども、スーパーキャストのアプローチとは違って、ESTはバックキャストの作業である。1つないし複数の望ましい将来がまず描かれ、これらのビジョンを達成するために何が必要とされるかの評価によって政策形成を導く、こういうことが書かれております。ですから、この図に書かれておりますように、この真ん中辺に引かれているところの線の下、環境面のサステナビリティーということを考えると、やはり環境への影響は一定以下に抑えなければいけない。そこに対して、やはりこういう望ましいEST、日本の姿があるのだろうということをまず描くということであります。
 それに対して、BAU(Business as Usual)というのが少し上の方に書かれているかと思いますけれども、このまま放っていくと、どうもこういうふうに環境への影響というのが大きくなりそうだなということが見えてくる。Policy Gapと書かれておりますけれども、このギャップを何らかの政策によって埋めなければいけないということが出てくるわけであります。ちなみに、これの横軸は時間でありまして、将来にこれだけのギャップが生まれてくるとすれは、そこに至るまでの通り道といいますか経過、Pathwayと書いてありますけれども、こういうところをここに書かれているような筋道をたどらなければいけないだろう。逆に言えば、こういう筋道を描いてやれば望ましい将来像に達するであろうと、こういう概念であります。ここまでは非常にシンプルではないかなと思います。
 具体的にはESTではどういうような創意工夫がなされたかということの概要が2ポツ以降に書いておりますが、これは1994年、1990年代の半ばぐらいからスタートいたしまして、2000年、あるいは2000年を少し超えたころに一区切りがついたプロジェクトですけれども、9カ国が6つの事例研究、主にヨーロッパ諸国でありますけれども、事例研究に参加をしております。
 まず、ESTが備えるべき要件、つまり望ましいESTの姿として、ここに書かれているような条件を設定しております。当然、環境面で良いということが条件になるわけですけれども、やはり交通でありますので、交通本来の目的が損なわれてはいけないということで、「人、場所、商品、サービスへの、安全で、経済的に存続可能で、社会的に受容可能なアクセスを提供すること」。これは英文の私の訳でありますので、適切な言葉になっていないかもしれませんが、こういうことが書かれております。当然こういうサービスを提供しつつ、例えば「健康、環境質に関して一般的に合意された目標を達成すること」、それから、生態系のintegrityという言葉が、なかなかいい訳が見つからなかったのでそのまま書かせていただいておりますけれども、ある種の臨界点を超えないようにするということで生態系を保全する、あるいは気候変動を初めとする──すみません、「全休的」の「休」が間違っておりまして、「球」でございます。申し訳ございません──全球的な現象を悪化させないことといった定義、こういう目標が設定されております。
 実は、これはごくごく当たり前のことが書かれているのですけれども、実際に環境上の目標として設定された項目も、実は非常に厳しい目標が設定されておりまして、項目としては、騒音、土地利用、CO、NOx、VOC、PMという、これはまさに環境汚染関係の項目が設定されているのですけれども、これに関して達成すべき目標の数値というのが設定されております。目標面は、この場合、2030年でありまして、作業としては、このBAUのシナリオをとるとどうなるかというシナリオと、ESTのシナリオが設定をされております。
 2ページ目にいっていただきまして、ちょっと前後いたしますけれども、先にちょっとその段落を区切ったところの後を説明させていただきますと、4つの物質、さっき申し上げました大気への排出物に関して設定されたクライテリアは非常に厳しいものでありまして、90年の排出量を基準とした排出量をCOで20から50%──これは20から50%にするという意味でありますので、削減量にしますと50から80%、NOxとかVOCについては9割削減、PMは、これは地域によるのですけれども、55から99%の削減と、非常に大胆な削減目標を掲げていたということであります。
 では、こういったものを具体的にどうやって達成するかということで、3つのシナリオを立てておりまして、ESTの1というのが技術開発の促進のみで達成する、それから、ESTの2というシナリオが、技術開発は今までどおりとか想定どおりで、交通需要の管理によって達成する。ESTの3というのは、その両方の組み合わせで達成するということであります。ただ、常識的に考えて、組み合わせというのが一番その達成がフィージブルであろうということで、このESTの3のシナリオについては、その実施のためにどういう政策手段によれば達成可能かということが検討され、一方で、その政策を実行することによって、経済社会、あるいは環境への影響がどのようになるかというようなことが示されております。ここにちょっと具体的なグラフはつけておりませんけれども、もしまた機会がございましたら、そういったものをご提供したいと思います。基本的に今回、どういう手続で行われるかということのご紹介をさせていただきたいと思います。
 ちなみに、このあたりが実際にバックキャストとして行われた検討の──これはまだやや中途半端でございます。まだ途中でありまして、この3のESTガイドラインと書かれているところ、これが2002年に出版されたものなのですけれども、これとビジョンとシナリオを検討して、最終的にそれをどう実践するのかということの段階まで視野に入れております。実際的に社会を変えていくということまでを、この10のステップで書いておりまして、個々には読み上げませんけれども、1)、2)、3)あたりが将来の目標ですね。どういうふうな望ましい像を設定するか。4)あたりが、もう少しそれを定量的にブレークダウンしていくところ、5)でその手段を明らかにして、それによってどういうサイドエフェクトといいますか、副次的な影響があるかということをアセスメントするのが6)番ということであります。そういうことを踏まえた上で具体的な政策として何をやって、どういうふうなものを行うべきかということの検討をして、さらにそれを実行するための計画を立てる。その計画の実行段階をさらに監視をするとか、あるいはそういったものに人々を参加させるための仕組みづくりというようなことが書かれていますので、これは単に将来を見通す、あるいは行き着くまでのシナリオを描くということだけではなくて、シナリオを実行するというところまで含めてガイドラインには書かれているということであります。これはあくまでこういうことを政策としてやっていきましょうということの提案でありまして、ケーススタディーは、やはりまだ5)番、6)番ぐらいまででとまっているかなと、まだまさに7)番以降についてはケーススタディーを実行した国で実践中であるというようなことになろうかと思います。
 3ページ目にいきまして、4番にオランダの事例研究ということが書いてあります。これは、ややテクニカルな中身でありますので、ご関心があればお読みいただきたいと思います。これはオランダの、ちょうど私どもの国立環境研究所に相当するような研究所があるのですけれども、そこの専門家が結果の論文をまとめておりまして、その中でシナリオ構築におけるバックキャストの適用に関して、シナリオ手法の起源、歴史等についても述べております。エネルギー分野でのバックキャストの論文を載せてありますとか、それから、よくこの分野で引用されますシェルのシナリオプランニング、こういったことの対比等も十分に考慮しながら書かれております。
 2つ目の黒ポツで、エネルギー分野のバックキャスティングの手順ということを参照していたのですけれども、そこの中に欠けているものとして、時間的な通過点、どういう通過点を経て将来に至るのかということが、このロビンソンのエネルギー分野のバックキャストの例では余り関心がなかったという点を挙げております。交通計画の場合、既にある技術手段でも、それを普及するためにはかなり時間がかかるとか、あるいは、いろいろな車両のストックを入れかえるには数十年かかる。あるいは、交通需要を変えるといっても、そのための土地利用や社会基盤を変えていかなければいけないということで、それにはさらに長い時間がかかる。こういったところでバックキャストの必要性ということを強調しているということになろうかと思います。そこはちょっと手法的なこととも関係するのですけれども、シナリオ構築はかなり専門家の判断でありますという割に試行錯誤的にやっておりまして、オランダの事例の場合には、余り最適解を求めるような数量モデルは適用していなかったというようなことであります。
 影響分析ということで、例えばそのESTを実践した場合に、経済的影響がどのぐらいになるのか、GDPのロスがどのぐらいになるかとか、トータルのロスはそのぐらいなのだけれども、例えばGDPに占める道路・貨物・輸送部門がどのぐらい例えば打撃を受けるのかとか、そのようなことの影響評価まではやっている。このような例でございます。
 ちなみに、ESTの日本の事例研究であります。正式な参加国でありますところの9カ国6地域には含まれておりませんけれども、2003年3月に名古屋でこのOECDのESTに関する会議がありまして、それに関連して日本の事例研究、試行的なものをやっております。私はそれにかかわりましたので報告もしております関係で、今日この紹介にこのESTの事例を取り上げさせていただいております。日本の事例につきましては、英文の論文ですけれども、「ジャーナル」に掲載をしております。
 ごく簡単に、最後のページ、日本におけるその他の検討事例ということで挙げさせていただいております。関係の諸省庁の事例を挙げさせていただいておりますけれども、例えば経済産業省の方ではエネルギー分野の技術戦略マップ、超長期エネルギー技術ビジョンということで、昨年10月に出されたレポートがありまして、これもやはりバックキャストということが明示されております。それから、国土交通省の方でお出しになりました2030年の日本のあり方を検討するシナリオ作成に関する調査というのが、これもホームページに出ておりましたけれども、これの中にもバックキャストということが書かれておりまして、4つぐらいのシナリオが書かれております。それから、3番目の例はJST、科学技術振興機構の検討でありまして、これは本検討会の座長でおられます安井先生が全体のコーディネーターを務められましたが、細田先生、それから、今日ご欠席ですけれども湯原先生、私の3名がエネルギー資源分野のメンバーとして参加しまして、また川島先生も食料・水の確保グループのメンバーとして参加されたものです。これはバックキャストというふうに厳密には言えないかもしれませんけれども、将来の社会を展望した上で、あるいは持続可能な社会を実現するために、科学技術がどこまで頑張らなければいけないかといいますか、どういう科学技術が開発されなければいけないかという、こういう検討を行った例がございます。
 それから、あと最後ですけれども、この検討会とも少しメンバーが重複するところがございますけれども、脱温暖化2050プロジェクトということで、2004年度から、当初3カ年、プラス2カ年やる可能性もあるようですけれども、研究プロジェクト、国立環境研究所ほか幾つかの大学の先生方、本検討会の委員の先生にも一部ご参加いただいておりますけれども、こういうプロジェクトをやっておりまして、2050年を目標年として、かなり大幅な削減目標を設定して、その達成のためのシナリオ作成、あるいは主要部門ごとの対策、シナリオ検討、こういったことが現在行われているということでございます。
 包括的といいますか、網羅的な紹介ではございませんが、少しバックキャストというものの相場観をご紹介させていただくということで、資料1の説明は以上でございます。

○安井座長 ありがとうございました。
 数分間ご質問、あるいは議論をいただく時間があるかと思いますが、何かございませんか。よろしゅうございますか、どなたか。
 では、1つだけ伺います。先ほどOECDのものなのですが、2ページ目の第2段落のところに、COで20ないし50%、要するに削減率が50ないし80%等々ございますが、この辺の決め方は、このときはどういう合意形成プロセスだということになるのでしょうか。

○森口検討員 合意形成プロセスという意味では、例えば利害関係者に諮った上でやるというようなことのプロセスは経ておりませんで、かなり科学的なドキュメントに基づいてこうであろうという決め方をしている。これは具体的には、温暖化の場合にはIPCCのレポートを足しか引いていたと思います。全球でやはり50%削減しなければいけないとすると、先進国としては持ち分といいますか、先進国は幾ら減らさなければいけないかと、よくあるタイプで決めております。
 それ以外の大気汚染物質の削減幅が、非常にこれは大きくて、このあたりの根拠がどこにあるかということを、ちょっと今、余り細かいところはご説明できないのですけれども、例えばNOxの削減率が非常に高いというのは、これは必ずしも日本ではNOxそのものが環境基準みたいなものにリンクしているわけではなくて、例えばそれから二次生成される粒子状物質や、あるいはそれが地表に降下することによる水の富栄養化のような話や、かなり複雑なことをやっておりますので、一応科学的な根拠は示されてはいるのですけれども、目標設定に関しての議論が十二分に関係者の間で尽くされたとはやや言えないところがある。何らかの根拠のドキュメントを引いてきて、とにかくこれでやってみましょうというふうに進めた感じも正直言って否めないかなとは思います。

○安井座長 ありがとうございました。
 他にどなたかご質問はございませんでしょうか。

○原沢検討員 ちょっと細かな話なのですが、先ほどのESTのガイドライン2ページ目です。これは2002年にできて、9カ国6つの事例研究が行われたということなのですが、その後どういうことになったか、教えていただきたいのですが。

○森口検討員 それは、ちょっと私自身も不十分で、6地域そのもので具体的に今どこまでいっているかというのは、すみません、今十分に情報がございません。むしろ、9カ国6地域だけではなくて、それ以外の地域でむしろこの1)番、2)番、3)番、4)番といいますか、前半部分の試行をやっておりまして、日本もそのうちの一つと言えばそうかもれしません。必ずしも余りフォーマルなものではないかもしれませんが、そういう研究はやっております。それから、セントラル・アンド・イースタン・ヨーロッパですか、中東欧の地域についてのケーススタディー、これも主に前半部ですけれども、そういうものもされております。すみません、後半部、6地域されたところで、後ろが今どこまで進んでいるかというのは、これはちょっと宿題にさせてください。

○明日香検討員 すみません。教えていただきたいのですが、シナリオを幾つか作ることになると思うのですが、そのシナリオの実現可能性は、何か判断するなり、特に温暖化の場合は今までは同じ確率で起こるというようなことに建前としてはなっていると思うのですが、実際この作業でも、シナリオの実践可能性についてはどういうふうにしていけばよろしいのでしょうか。

○森口検討員 恐らく、今、明日香先生がおっしゃった実現可能性というのは、どちらかというとフォアキャスト型のものというか、将来を想定するときにどういうものが一番起こり得るかみたいなものだと思うのですけれども、これはバックキャスト型のシナリオですので、基本的に目標を定めて、こういう方法をとる、こういう方法をとる、こういう方法をとると、かなり計画的にやるわけですね。そのときの実現可能性というのは、確率というよりは、むしろどのぐらい困難かとか、どのぐらいコストがかかるかとか、どのぐらい例えば経済的なダメージがあるかとか、そういうことになってくるのではないかなと思います。そういう意味で、これはいろいろ異論も恐らくあると思うのですけれども、少なくともこのOECDのESTのプロジェクトでは、場合によってはある種の最適化モデルを使って、それぞれのシナリオが最適ですよということの検証をしている例もドイツの事例であるようなのですけれども、ここでご紹介したオランダでは、ある種のエキスパート・ジャッジメント、専門家の判断によって、こういうシナリオがあり得るのではないかということを一旦書いて、その上でそれぞれのシナリオがどのぐらい、例えば社会的な悪影響があるかとか、経済的な悪影響があるかということの説明等をやっている。そういうことの中で、ある種の実現可能性といいますか、良し悪しというものはある種の判断は出てくるかと思います。つまり、どのぐらい起こり得るかというような、そういう観点での検討とはちょっと性格が異なるかなと思います。

○安井座長 それでは、大体時間でございますので、沖先生にはそろそろご準備をいただきつつ、次に参りたいと思います。
 それでは、議題の次でございますけれども、各検討委員から20分ずつのご発表をいただきたいと思いますが、沖先生は、あそこに席がございますので、あちらにお移りいただきまして、それで、その後……

○苦瀬企画官 すみません、資料2の方は。

○安井座長 すみません。何か抜けていましたか。これは、これからご覧いただくことで──どうしますか。

○苦瀬企画官 昨年の検討の概要ということで、一応森口先生には簡単なご説明もあり得るということでお願いしているところなのですが。

○安井座長 抜けていました。すみません。沖先生にご準備いただきながら簡単に、昨年の予備的な検討結果というのが出ておりまして、その資料の読み方ぐらい、それではご説明いただけますか。

○森口検討員 中身のご説明ということではありませんが、こういうものをご用意しておりますということで、恐らく今後あと3回ですか、各検討員の方からそれぞれのご発表いただくことがあろうかと思いますけれども、昨年度、それぞれの分野に関係するような資料を若干集めさせていただいております。もちろん各先生も十二分に資料をお持ちでございますので、屋上屋を課すといいますか、逆に言えばこちらで中途半端なものを出すのも余り役には立たないかもしれませんが、一応関係しそうな図表等を束ねております。
 それからあと、資料2−2の方では幾つか、特に国際機関のご報告といいますか、あるいはNGOも含めてになろうかと思いますけれども、そういったものの重立ったもの、特に長期にわたる予測をしているもののような資料をつけさせていただいています。中身についての説明は省略させていただきます。

○安井座長 そういうことでございますので、ご活用いただきつつ、また何かご質問等がございましたら、後ほどいただきたいと思います。
 それでは沖先生、お待たせしました。よろしくお願いいたします。

○沖検討員 それでは、沖の方から報告させていただきたいと思います。
 初回に参加できなかったものですから、ちょっとこの会議のスコープを取り違えていた点もあるかもと思いますけれども、水資源問題の世界的動向ということで発表させていただきます。今のバックキャストの話を、ちょっと最初に余計ですがつけ足しますと、私、1,000年持続学というのを少し仲間とやっていまして、それは1,000年先で、50年後ではなくてもう少し先なのですが、考え方は非常に似ているというふうに思いまして。社会のどういう要素が1,000年後まで持続してほしいか、それを見つける。それはどのようにしたら実現できるのかということを考えて、最後に、では、そのために今何をしなければいけないかを考えるというような会なのですが、一番違うなと思いましたのは、多分50年後ですと、やはりバックキャストと言いながら、フォアキャストの部分にかなり引っ張られるところがあると思うのですが、1,000年後を考えると、もう1,000年前を考えて、そういう余計なことは忘れて、やはり1,000年前もこういう幸せな人生があったから、1,000年後もこんな幸せな社会があってほしいという、非常にバックキャストの本質である最終的なターゲットを絞るところが大事になってくるような気がいたします。
 それで、水資源問題の世界的な動向です。川島先生に「大きくいつも自分の写真を出すね」と言われたのですが、これは、私はどうでもいいのですけれども、こちら側がナイルメーターというナイル川の水位表でして、これが4,000年前の水位表で、そのときからアスワンハイダムが造られるまでは、ここで水位を測っていた。そういう土木の分野は1,000年持続するものもあるということでございます。
 世界の水危機ですけれども、いただいた資料の2にもございましたが、世界人口の5分の1が安全な水へのアクセスがなくて、毎年300万人から400万人が水に関連した病気で死亡する。この300万人から400人のかなりの部分が5歳未満の幼児であるというのが大きな問題だと言われます。さらに、世界の水資源取水量というのが、1995年時点でもう年間3,800立方キロメートルに推定されていましたのが、2025年には、幅はありますけれども4,300から5,200立方キロメートルに増大するだろう。過大な取水による生態系へのダメージというのももちろん心配されるわけで、人間がこれだけの水が必要とされても、それだけ取れるかという問題もありますし、取っていいかというのは、今度は生態系へのインパクトがどうかということにかかわってきます。さらに、自然の方では地球温暖化によって水循環が変わるだろうし、また、人間活動によって都市化が進展すると、自然の水循環が変化しなくても、都市における洪水、もしくは都市に人口が集中しますので渇水被害が深刻化するだろうということが言われているわけです。人によっては、これらの問題が国際的な紛争の引き金になるのではないかということで、21世紀は水の紛争の世紀だというようなことをおっしゃる方もいたわけです。
 言わずもがなですが、水が足りないとどうなるかということに関して、もう一度まとめておきます。まずは、水というのは食料生産に使われています。したがって、渇水というのは、飲む水がなくて喉の渇きを覚えるというより、まずは飢饉につながる。実際、日本のODAでも、洪水のときには、例えば医薬品とか毛布とか、そういうものを送るわけですが、渇水のところに何を送るかというと食料を送るわけです。別に水を送るわけではありません。ですから、水が足りないということは食料の不足に関係してくるということです。それから工業生産にも制約ができますし、先ほどの世界水ビジョンでは、健康被害、疫病の蔓延といったところに効いてくるわけです。さらに、直接目に見えない被害といいますか、水が足りない、もしくは安全な水の確保がないということはどういうことかといいますと、水確保だけに労働時間をかなり割かれる人々がいる。これはアフリカの例がよく引き合いに出されますけれども、逆に言うと、そういう水へのアクセスが確保されることによって、水の確保という、言ってみれば生きるだけに使われていた時間を、他の生産活動だとか、もしくは子供がそういう役割を担っていたとしたら教育を受ける機会に回せるということで、結論を先に申しますと、貧困だから水が得られない。ところが、水が得られるようになると技術的な経済発展が見込めるということで、今、国際的な場では、水を通じた援助によって世界の貧困問題を何とかしていこうというふうになっているのだと思います。それから生態系の機能劣化が生じますし、舟運という、日本では余り盛んではありませんが、大陸、中国でもそうですしアメリカでもそうですが、舟運というのは非常に水の重要な役割となっています。それから、また多すぎても洪水被害につながるということです。
 次に、グローバルな水資源アセスメントですが、グローバルに水資源が足りているか、足りていないかという指標は、大きく分けて2つございます。1つは、水資源賦存量と水資源の取水量を出してきまして、その指標をつくるのですね。最大限使える水資源賦存量、自然の循環として使える水資源の中で、どのぐらいの水を人間は使っているのか。ちょっとSを引いてありますが、それはデサリネーションで、海水の淡水化等によって海水利用される分は引いて、自然の水循環の中から使える分を、自然の水循環で最大使える分で割ろうと。これは、お配りいただいた資料2−1の方に載っていますが、この割合が4割よりも大きいときには、この地域は水ストレスがあるというふうに判断しましょうというのが普通用いられる指標になります。もう一つが、もう少し直接的な指標ですけれども、1人当たり年間何立方メートルの水を使うことができるだろうかという指標になります。
 そういうものを空間分布として求められるように最近なっていますけれども、これは、使っている水の量を最大限使える水の量で割ったものになります。この割合が高いということは、水資源というのは変動の激しい量ですので、例年の変動、あるいは1年の中でも多い月と少ない月といった変動に対してボラーナブルであるというのが、これは高い、つまり赤い方が水ストレスが高いということになります。そういう地域がどこにあるかといいますと、中国の北部ですね。それから西部、インド、パキスタンの国境あたり、そして中東、ぱらぱらですが、あとはアメリカの中西部といったあたりが水ストレスが高いというふうになっています。そうした人口を計算してみますと、これがTRIPの算定の結果ですが、大体17億人ぐらいが水ストレスが高い人口である。ちなみに、ニューハンプシャー大学の推定、これは「サイエンス」に載った論文ですが、彼らの推定で18億ということで、大体対応がついています。
 時間もありませんので先に進みますが、もう一つの指標でありますところの1人当たりの潜在的年使用可能水量で示しましたのがこちらになります。これは、自然の水循環が人口当たり1年間どのぐらいかという数字ですので、多い方が水ストレスは少ない。少ないということは、水の使える量が少ないということになります。これをご覧いただきますと、先ほどとほぼ一緒で、中国の北部、インド、パキスタン国境付近。この指標で見ますと、実は中近東が若干水ストレスが高い地域が増えてまいります。それから、アメリカも実はここのところがケイセン沿いがミソなのですけれども、そうして見ますと、一番最初にお見せしました水ストレスの指標が、使える水の中でどのぐらい使っているかというのと、1人当たりどのぐらい使えるかという量がほぼ分布が同じということは、1人当たりの使用水量はグローバルにほぼ均一だということに簡単なパースでなるわけですけれども、実際にそれを計算してみましたのがこちらになります。これが1人当たりの水使用量ということになります。ご覧いただきますと、大体ほぼ均一で、大体年間1人当たり500トン、500立方メートルから1,000立方メートルぐらいの水を使っているわけなのですが、唯一の例外がアメリカ、カナダということになります。場所によっては2,000トン、3,000トンの水を、年間1人当たりにすると使っています。そんなに水を使えるのか。もちろん飲むことはできません。それから、食べるものもこれだけ必要はありません。何かといいますと、ほかの地域で使っている人たちが食べるものを作るのに、この地域の人たちが自分たちの水を使っているというのが答えです。
 それを、バーチャル・ウオーター・トレードという概念があります。我々は仮想水と訳してちょっと評判が悪いのですが、例えば小麦とかトウモロコシとか、そういうものを1キロつくるのにどのぐらいの資源が必要かというのを求めていきまして、輸入している食料を輸入国でつくったとしたらどのぐらいの水が必要だったかというのを全部足しまして、これは国ごとのFAOの総計から求めたものを地域ごとにまとめたものですが、そうしますと、ここでは主要穀物ですが、主要穀物の輸入によって、中近東や北アフリカの国々というのは水を大量に輸入しているようなものである。これ、単位が立方キロメートル・パー・年ですので、例えばこの辺の地域では60立方キロメートルぐらいの水を年間に輸入しているのと同じだ。その水がどこから出ているかというと、先ほどの北アメリカが主な供給源であるということになります。
 ちょっとこの辺は飛ばしますが、このように、食料生産と水というのは非常に関連しているわけなのですが、これは、この後の川島先生のお話でも出てくると思いますけれども、1961年を1としたときにどのように伸びてきたかで、細かいことは川島先生にお任せしたいと思いますが、ポイントは、人口の伸びに対して穀物の総収穫量というのは、1961年に比べて2004年ぐらいでは大体世界の人口は倍に増えているわけなのですけれども、食料生産は2.3倍から2.4倍にまで増えている。それは主に耕地面積の増大ではなくて、単位面積当たり収量の増大によって賄われている。その理由が、1つは、灌漑地面積というのがほぼ人口と同じように倍に増えている。もう一つ、ここには書いていないのですが、肥料の購入量というのが飛躍的に増えている。そういう理由によって、食料生産は悪くなるという論理ではなくて、今のところは増えて、結果として1人当たりの摂取カロリーというのが2割5分ぐらい増えているという、幸せな過去50年ぐらいだったということになります。
 今後将来、2050年を考えるときには、人口の伸びに対して灌漑面積は増えてきた。これが今後、増えられるかどうかというのが一つの焦点なわけですが、先ほどシナリオとかビジョンという話がありましたとおり、予測というのは非常に難しいので、じゃ、このとおり灌漑面積が増えていったとしたときに、水がどこでどのぐらい必要になってくるのだろうかというのを考えてみます。したがって、2050年における世界の水資源アセスメントでは、水需要側の変化としましては、人口が増える。そうすると1人当たりの水資源使用料が増加する。それは、経済発展すると、生活用水ですけれども水を贅沢に使う。もう一つは、穀物の間接消費も増大するということ。さらには水資源賦存量。自然の水循環の方では気候変動の変化を考慮して将来の展望をつくります。
 結果としましては、人口の増減に一番影響を受けますので、水資源取水量に関しまして、2050年に向かって青いところが取水量の増えるところ、赤い方が減るところということになります。中国やインドというのは、1人当たりの使用料は、まだ我々先進国の10分の1ぐらいなのですけれども、人口密度が高いものですから、実際に今、面積当たり、もしくはこのようにプロットしたときに、使っている水の量というのは先進国並みになっています。そういうところがさらに人口の伸びが見込まれるために、特に中国の北部やインドのヒマラヤのすぐ南のあたりですね、そういうところで水資源取水量の増大がある。
 年河川流量の変化の方ですが、これは気象研究所の結果ですけれども、他でもいろいろですけれども、昔と違って河川の流量ということでアセスメントができるようになっています。
 そうしますと、2050年の水資源ストレス指標、使う水というのが最大限使える中の何割かという指標が同様に作れるわけなのですが、それが例えばこの絵になりまして、ちょっと例示が1より低いところが青になっています。これは流量の変化が、もともと流量の少ないところが青になっていますが、水ストレスが高いと思っていたらいいのですが、基本的には余り変わっていないように見えます。これが現在とどう変化するかというので見てみますと、ある意味では水ストレスが深刻化する地域がどこかということですが、中国の北部は若干ありますけれども、インド、パキスタンの国境、インダス川のあたり、それから中近東がやはり人口の伸びが物すごく激しいものですから影響を受けるだろう。それから、アメリカの中西部というあたりで水ストレスが深刻化するのではないか。
 先ほどの水ストレス指標の比をとりますと、今度はこのような図ができまして、どういうので将来に対する変化を見るかというのは、差か比かということになりますけれども、ストレスはアフリカが非常に大きくなります。これは何を意味しているかといいますと、現状が余り水を使っていないということなのですね。それが将来は人口も今後伸びていくために、それに対して必要な食料生産もしくは生活用水を確保しなければいけない。その比が非常に高いということです。別の言い方をしますと、私個人として思いますのは、中国やインドは確かに使える水の中で使っている水の割合が高いので、ある意味では水ストレスがかかっているわけなのですけれども、その状態でもう何百年、2,000年と社会が続いてきていますので、ある意味では水が足りない、もしくは普段は足りていても足りないときにどう配分するかとか、そういう社会システムが大事なわけですが、それができている。ところが、今余り使っていないところで将来必要になったときにすぐできるかというと、その辺が僕はアフリカは問題なのではないかというふうに思います。
 グローバルになるとどうなるかということなのですが、この2つの指標ですね。1つが使える水の中でどのぐらい使っているかという指標が0.4より大きい人口、もしくは、1人当たり年間使える水の量が最大1,000トン以下であるという人口が、2000年から2075年ぐらいにかけてどのように変化するかというのを、IPCCの社会シナリオが4つありますが、そのうちのA1、A2、B1に関して人口の変化とか、それからGDPの変化はこちら側に従い、また、気候変化の方は、IPCCの来年出ます第4次報告書の気候変化の算定結果、世界から6つぐらい月降水量とか月流量のデータを出していますので、それを持ってきましてまとめた結果がこちらになります。そうして見ますと、A2という非常に人口の伸びも大きくて温暖化が激しいやつは、どんどんそういう水ストレスのかかっている人口が増えていく。今世紀の終わりの方には70億人ぐらいが水ストレスということになるのですが、そうではない、A1とかB1とかのシナリオですと比較的中位で推移しまして、2055年を前後する、この辺で大体頭打ちになって、むしろ終わりの方では若干緩和するというような結果になります。これは、人口は増えるのですけれども、人口の増えるのに増して温暖化によって降水量が増えて蒸発量は余り増えませんので、結果としては使える水の量は若干増える。その影響で頭打ちになるということです。それはどちらの指標でもほぼ同じような状況になっています。
 ただ、今お示ししましたような結果は、年の使える量と年で必要な量というので見ていますので、実際には最近は年間値だけではなくて日単位で、もう計算もできて、それをまた処理するようなこともできるようになってきております。それを今、山梨大のヒラバヤシさんがまとめて投稿中の結果なのですが、渇水頻度や100年に一度の洪水流量というのが将来に対して増えるかどうかというのを示した結果になります。そうしますと、日単位による流量で見てみますと、例えば上の図ですと、赤いところが渇水の頻度が増加する地域ということになります。下の方は、今度は洪水流量。100年に一度という洪水の流量が増える、減るというので、青いのが増えるところ、赤いところは減るところなのですが、見ていただきましてわかるのは、幾つかの地域で渇水の頻度が増えるわ、洪水流量は増えるわという、ある意味では相反するようなことが同時に起こる。これは物理的に別に反していませんで、渇水の方はどちらかというと年流量と大体の長期的な増減で対応しています。この洪水流量の方は雨の極値ですね。極端な値というのが増えるところが洪水流量が増えるということに対応していまして、見てみますと、やはり雨が降ったときは分布が非常に強いのだけれども、降る間隔が広がる。間欠的になるというようなことが日本でも見られますので、その結果として、こういうことが同時に起こるというのが懸念されます。したがって、先ほどの図で深刻な水ストレスの人口が横這いになるから大丈夫だというのは、若干細かいところを見ていないだけのせいということが考えられます。
 そろそろ時間ですのでまとめますが、今後の水需給の変動にどう対処すればいいかというのは、自然環境的に水資源が少ない国は、経済力があれば、バーチャル・ウォーターの輸入によって農業用水に使うべきところを他の水資源に使える。貧しい国は基本的に経済力の発展が抜本的に必要ですので、水資源整備が経済発展を助けるということで、援助が起爆剤になることが期待できます。社会資本整備不足による水不足の国々も基本的には同じだというふうに考えます。一方、先進国は、そういう人口増というのが余り大きく変わりませんので、人口増による水需要の増大よりは温暖化による水循環変化に注意すべきである。したがって、実際していると思います。あとは一般論ですが、水資源の確保と需要の抑制と配分の合意形成等をうまく組み合わせて対処しなければならないということです。
 本日は水の量の話ばかりいたしましたが、国際的にはほかに地下水資源の捕獲だとか、農業・産業による水汚染、健康被害、あるいはダムと人工貯水池建造に伴う影響、水と貧困、健康、経済発展、国際河川、大規模分流、洪水対策、統合的な水資源管理、水管理の民営化、水の独占、水の貿易、地球温暖化の影響、いろいろありますので、もし今後議論の中で何かありましたら、また話題提供させていただきたいと思います。
 これは最後、ちょっとバーチャル・ウォーターの話をしましたので、「飲水思源」という言葉が中国にあって、これは、水を飲むときには、その源に思いを馳せましょうということで、恩を受けた人の恩を忘れるなという意味だそうなのですけれども、食べられるものをつくるのにたくさん水が必要ですので、飲食をするときには水のことを考えろというのが水から見ました食料問題でございます。詳しい世界的な問題は、最近こういう本を訳しましたので、ここにも大分書いてございますので、何かの機会がありましたらご参照いただければと思います。どうもありがとうございました。

○安井座長 ありがとうございました。
 それでは、20分ぐらいのご質問をいただけたらと思うのですが、何かございますでしょうか。
 それでは、1つだけ。人口の話が出てくるのですけれども、人口のデータは何に基づいたものでしょうか。

○沖検討員 人口のトータルの量は、セリャクのシナリオでA1、B1で示されたものに合わせています。分布の方は、シーセンがグリッド化しましたデータで国ごとをプロポーショナルにシベツの方のシナリオに合わせ込むということをしています。さらに将来展望につきまして、これは実は細かいことですが、都市の水利用に関しましては田舎と違いますので、都市人口と田舎人口を2050年までは一応分けて将来予測をして、それぞれどう伸びるかということを一応しています。

○太田検討員 素朴な質問なのですけれども、よく地球がどれだけの人口を養えるかというような大きな問題が提示されて、そうしたことを予測し得るためにはあまりにいろいろな変数を扱わねばならないので、それは難しいということなのですけれども、ただ、使用可能な水の量から推し量って人口の規模をある程度測れるのではないかということを聞いたことがあるのです。どうすれば水の観点から将来の人口の許容量というのは推し量れるのでしょうか。もしそういうことをご存じであれば、教えていただきたいと思うのですが。

○沖検討員 簡単に申しますと、現在人類は年間の地球全体の利用可能な水資源の10分の1ぐらいを使っております。したがって、本当に使おうと思えば、今おっしゃったような質問で簡単に考えますと、今の10倍の人口、600億人が大丈夫ということになります。しかしながら、それは余りにも雑な計算でございまして、水というのは安くないと経済的な価値がありません。どのぐらい安いかといいますと、1立方メートルで飲み水ですら100円、1ドルというのが国際的な相場になります。農業用水ですと1,000トンで1円ぐらいというのが相場になります。そうすると、あるところで水が余っていて、あるところで足りないというときに、水を運べばいいじゃないかというのは、これは成り立ちません。したがって、水というのはマーケットが成り立たないものであるというのが、非常に大きなほかのものと違う点ではないかと思われます。
 逆に申しますと、エネルギーがふんだんにあって、例えば核融合ができて幾らでもエネルギーが取り出せるようなれば、濃い塩水の問題はあるにせよ、海水の淡水化で幾らでもフレッシュウォーターを作ることができるようになります。そういう意味では、水問題は長期的には、1万年、2万年で考えるとエネルギー問題に着地するというような言い方もできると思います。したがいまして、水だけでキャパシティーを考えるというのは、ちょっと難しいかなという気が私はいたします。

○安井座長 ありがとうございました。ほかにどなたか。

○原沢検討員 細かな点なのですけれども、3点お聞きしたいのです。
 1つは、最後の方にお話があった水質の話ですけれども、今後どんどん世界的には悪くなっていく。2050年代だと、量はあるけれども質がかなり悪くて使えないというところもかなり出てくるのではないかと思うので、ご見解を聞きたいという話が1つです。
 あと、水の場合ですと、繰り返し使えるということがありますね。全球的なアセスメントの中でどう扱われているのかというのが2点目です。
 3点目ですが、よく水のストレスで1,000トン、1人当たり年というのがあるのですが、非常に切りはよくてわかりやすいのですけれども、この1,000トンという、考え方みたいなものがあれば、教えていただきたいと思います。

○沖検討員 忘れないうちに答えるようにしますが、まず1つ目の──ちょっと忘れました。何でしたっけ。水質ですね。水質に関しましては、今アセスメントを始めているところで、グローバルな物質循環を水循環と一緒に計算するということを始めておりますが、今、2つ目のご質問の繰り返し使用ということと重ね合わせて考えますと、今ここでお示ししました結果は、いろいろなものがありますが、例えば上流から流れてくるのが1回使われても全部もとに戻って下流でも使える。ある意味では最大使えるという仮定でやっています。ただし、もうちょっとまじめにやった方では各流域ごとに計算しておりますので、そういう意味では──ただ流域でまとめていますので、やはり流域の中で必ずだれかが使ってもまた使えるということに──すみません、なっていないですね。これはミニマムですね。だれかが汚してしまったらだれかは使えないと排他的に考えた結果になります。
 一番最後の1,000トンですね。1,000トンに関しましては、まず1人当たり1日どのぐらい水が必要かということに関しましては、食べるものを除くと飲み水に5リットル、それから炊事、洗濯に20リットルですかね。あと15リットル、何かあったのですね。50リットルあればいいというのが、大体WHOの50リットルというのが目安になっていますが、50リットルを365日ですと大体2トン弱ですね。20立方メートルぐらいで済むということになりますが、食べるものを作るのに必要なのが、それに大体150倍ぐらい必要になりまして、それが大体日本ですと、国内の水資源が大体1人当たり750トン相当使っている計算になります。海外で作られたものを輸入しているのを水に換算しますと500トンぐらいですので、合わせて1,250トンぐらいですから、日本ですと1,000トンだと実は足りないという計算になります。
 しかし、先ほど先生がおっしゃったとおり繰り返し利用がありますので、実際には1,000トンで日本は足りるとは思いますけれども、逆に言うと、洪水のときの水というのは、溜める施設が十分ない限りは海にそのまま行ってしまいますし、ナビゲーション用とか生態系のための水というのを別途確保しなければいけないときにはその分の水は使いませんので、その水は、大体日本の場合ですと年間河川流量の3分の1ぐらいが実質的に有効に使える水だろうということが言われますので、1,000トンあっても、そのうちの3分の1だと300トンぐらいしか使えない。そうしますと、300トンですと、かなり菜食主義でダイエットをしても、これは本当は全部作るには足りないということになりますので、ちょっと余り歯切れのいい答えではないのですが、大体そのぐらいの目安ということとお考えいただければいいと思うのです。

○安井座長 ありがとうございました。他に何かございますか。
 1つだけ、さっきおっしゃった、例えば米国の地下水は50年はもつのですよね。だから、50年以内は考えなくていいのですか。

○沖検討員 いいと思います。それは、日本でもやはり危機を煽った方が売れるのでそういう方が多いのですけれども、インターネットでウェブを調べますと、ちゃんとUSGSの結果で、過去50年でどのぐらい減りました、あとどのぐらいありますというのがありますので、それを見ますと、過去のトレンドをそのままいっても、あと三、四十年は十分にあるというぐらい水がたまっているみたいです。ただし、地下水位が下がってきますと、今度はポンプでくみ上げるコストが商業的にペイしなくなると、そこでは農業をしなくなる。すると、仮に可能性はなくはない。

○安井座長 ありがとうございました。
 それでは先生、ありがとうございました。
 続きまして、それでは川島先生にお願いいたします。水と関連いたします食料の話でございます。

○川島検討員 東京大学の川島です。「世界の食料需給について(1960年から2050年)」と題して発表いたします。バックキャスティングというような話があるのですが、ここで今日お話しするのは何となくそういう話ではなくて、過去のトレンドから見られるというのでフォアキャスティングの方のお話をいたします。
 20世紀の後半はどんな時代だったかというのを、私なりにかなりまた考え直した結果を今日少しお話ししたいと思います。通説とはかなり違っていると私は思っております。1つ強調しておきます。それから、2050年ごろピークに達すると言われているのですが、地球を全員支えるあれがあるのかというのは論点の大きなものだと思っております。
 そこで、よくこの手の話はあるのですが、今回お話ししたいのは、もう少し違う分野の皆様と話をするというのもこれの大きな目的で、21世紀は環境の世紀だというのは、これも書くと本が売れるのでしょうが、21世紀で必ず出てくるのは食料危機だというのですね。地球環境の講演会とかいうと、食料危機というのは私も講演させられたことが何回かあります。それから、沖先生が大体次に出ていって、水の危機だと、水の危機が来るのだと。それから次に湯本先生が今回も出てきて、自然の保護をしなければいけないし、バイオダイバシティーがなくなるのだ、森林も保護しなければいけない。その次に、だれか農学の、例えば迫田先生が出てきて、バイオマスエネルギーを使いましょうというのが大体シリーズで出て、聞いていただくと何となく納得して帰っていただいて講演料が入るのか何か知りませんが、そういう会はいっぱいあるのですが、これ、生物資源という題でこの4つの題を並べたのですが、すべて矛盾しているのですね。矛盾というか、どうもくっついているのですね。もし食料危機がそんなにひどいなら、バイオマスエネルギーなんて作っているときではないのですね。だって、バイオマスって、何かディーゼルエンジンを走らせるよりも食べるものの方が私は重要だと思うのでそういうことはないし、それから、自然保護、自然保護と言いますけれども、これ、次にお見せしますが、森林を切って人間は大体食料を作ってきたわけで、保護しようと思うとやはり食料はなくなっていくのですね。逆に、みんなに食べさせようと思うとどこか切らなければいけないということが起きるので、これも非常に矛盾しているのですね。それから、沖先生のお話のところで、食料危機と水危機はほぼコンパラです。先ほどバーチャル・ウォーターとかいろいろなお話がありましたが、水需要のかなりの部分、七、八割、場合によっては9割ぐらい食料生産に使われているので、1と2はほとんど同じ話を違う方から違う人がしているだけなのですね。この辺のことをどう考えればいいかということを、20世紀の傾向について手短にお話しいたします。
 これは世界の土地利用なのですが、世界で私たちが耕地として使っているのは約1割の11%ぐらいです。それで、現在世界の表面積、130億ヘクタールぐらいあるのですが、30%強が森林。これは森林は定義が難しいのですが覆われています。それから、森林と境目が難しいのですが、草原と言われるところが約3割ある。これ、境目をどこにするかというのがいつも林学の人たちの議論になるのですが、そういうふうになる。そこまでが私たち人間が使えるところで、あとは氷河の上とか砂漠とか山の上ということですね。どこまで増やせるのかという議論は、恐らく私がこのArable Landという赤で書いたところを、全部今の森林を切ってしまうというところがマックスだと思っています。それよりこちらのPastureの部分というのは、大体降雨量が500ミリを割るところ、300とか400ですから、なかなか砂漠で何とかというのは難しいわけですね。だから、今の農地を3倍にすることは可能です。ただ、そのときバイオダイバシティーはすごく問題でしょう。熱帯雨林はなくなってしまいますよという議論になります。恐らく21世紀のいろいろなことを考えるときに、実は20世紀後半、先ほど沖先生が見せていただきましたが、ほとんど耕地は変わっていないのですね。恐らく何とかビジョンとかいうときには、この耕地は変わらないだろうと考えるのが常識的な議論だと思います。
 20世紀の後半に、じゃ、何が起こったのだということなのですが、その前に、今日議論をしている、私たちが極めて変わった人たちだということを少しお話ししておきたいと思います。日本は先進国の中で環境の結構好きな国だと思うのですが、単位耕地面積当たりの扶養人口というのがよく出てくるのですが、これが著しく高い国です。世界の代表的な地域を挙げたって、世界の平均が現在大体1ヘクタールの耕地で4人を養っています。この数字が上がるか下がるか、そうすると危機だとか何とか言っているのですが、日本は27.0人いるので、要するに世界人口が今から7倍、8倍になったときのような人口が日本には住んでいるのですね。かなり歪な国です。資源の割に何でこんなに人間が伸びてしまったかということは、ちょっと最近課題にしているんですが、この図を出しますと、日本はたくさん森林が残っているから、耕地だけやるとちょっとアンフェアじゃないのと。特にこれ、休耕田なんかを抜いた数字に最近なってきていますからアンフェアじゃないのというので、一番フェアな数字として出すと、森林を含めて緑のあるところ、それからPastureの部分は10分の1ぐらいだとして下げてやって、そうしたときに1ヘクタール当たりでどのぐらい養っているのというふうにすると、トップ4くらいに入ってきて、そう歪ではないかなというふうに出てきます。ただ、単位面積当たりでたくさん人間を養っているのは、ちょっと見にくいのですが、チャイナ、インド、日本、ベトナムという、みんなアジアの国なのですね。アジアの国は、これは米を作っていたことと密接に関係しているのですが、非常に人口密度が高い。特に日本はその中で、要するに斜面のところが非常に多いので使えない土地が多いために、耕地面積当たりにしたときには、もうすごい莫大な地球平均の数倍のものを抱えているという、かなり特殊なところに住んでいる人たちだという認識はしておく必要があると思います。
 ここは飛ばしていきますが、私たち、1日当たりにどのぐらいのエネルギーを摂取しているかということなのですが、大体2,000キロカロリー食べているのです。これはFAOからとったのですが、農水省も同じものですが、食料需給表からとると、大体カロリーベース2,700キロぐらい供給している。その差が生ごみ、いわゆるごみになって出てくるので、私、環境省で食品リサイクルの生ごみの委員の方にもさせられているのですが、このことで供給の大体4分の1ぐらい、どこかへ私たちは捨てている。そういう意味で見ると、これをもったいないといってやるのか、4分の1くらい余裕があるのが豊かな生活なのかという議論に私はなると思うのですが、こんな傾向で、過去40年ぐらい見たときに、徐々に食生活は豊かになってきますが、極めてグライバリです。私、1953年生まれで、小さいころは貧しかったなという記憶があるジェネレーションなのですが、それでも、もう60年代になると現代とさほど変わらない状況にあると思います。このぐらいのところだと、みんな飽食の時代と言われるところです。
 よく問題になるのが、これはサハラ以南の51カ国をまとめたものの平均なのですが、そうすると大体2,000キロカロリーで、食うや食わずというのはこういうことなのだろう。逆に2,000キロカロリーないと死んでしまうので、やはり豊かさというのは、この食べない700キロカロリーぐらいが上にあるところが豊かさなのかなというふうに思います。ほぼ横ばいですが、これ、よく見ていただくと、1990年以降は若干の右上がりの傾向が見えます。心眼で見ないと見えないというオーダーですが、そういう傾向は見えます。
 それから、インドについては、やはり1990年以降は上がってきていて、2,500キロカロリーぐらいに近づいていて、人間が最低食べるよりもちょっと供給されているかなというレベルになってきて、極貧は脱したような状態に来ていると思います。改善していると思っていいと思います。
 これは中国ですが、これはFAOのデータなので、必ずしも中国を反映していない。中国のデータは非常に信頼性が乏しいので議論はあるのですが、話半分というか、かなりいいかげんなところもあるにしても、中国は日本に近づいてきているのだろう。特に1980年以降の改善というのは非常に急速なものがあって、1990年以降ぐらいになると穀物の摂取量を落として、動物性蛋白質や植物油の摂取量が増えてくるという急激な成長を起こしているということです。
 それから、中国はよく喧伝されるのですが、同じ現象は、実はアジアの諸国の多くで起こっていまして、これもインドネシアです。私たちはインドネシアというとODAの対象国で貧しくてと思っているのですが、やはり1980年、90年にかなり食生活を改善してきていまして、今、GDPが1人約1,000ドルぐらいになっているのです。そうなってくると、食べ物については豊かではないけれども、まだ動物性蛋白の量が少ないのですが、まあまあ、2,000キロカロリー、3,000キロカロリーぐらいに供給ベースでは近づいてくるというので、改善される傾向がついています。
 これはEU15の平均ですが、前のUTU、中核的EUの中心ですが、ここになると3,500キロカロリーぐらいで、特に動物性蛋白質とか油脂の供給量が多いので、これはアメリカも似たような図になるのですが、今度は肥満の方が問題になる社会というのができていると思います。
 ここまで簡単に概観しますと、世界の食料消費の現状というのは、20世紀を見たときに、アフリカは横ばいと見ていいでしょう。インドは改善の傾向があり、中国やインドネシアは急速に改善して、21世紀の初頭に来たときは、内容に問題がありますが、さほど先進国と変わらない状態に来ている。要するに食べるには困らない時代が来ているということです。
 それから、今までは消費でしたが、生産の方について見ていきたいと思います。
 先ほど世界の耕地面積ということでお見せいたしましたが、その中に何を作付しているかというのを見ると、若干作付面積が増える傾向であるのですが、ほぼ過去40年ぐらいコンスタントです。若干の増加傾向ですが、増えていったのは、実は穀物を作付している面積ではなくて、実は豆類を作付している面積が見ていただくと増えているのですね。oilcropsというふうに書いてあるのは、これは大豆を中心として食物油をとるために作っているものです。実はこれがなかなか便利なもので、絞りかす、いわゆるおからを動物に食べさせるという回路ができていて、ここでの技術革新が恐らく1980年ぐらいからかなり、簡単な技術なのですがスプレッドしていくのですね。それを飼料として腐らないように持っていくというような技術。世界の作付面積の中で穀物はほぼ横ばい、それからoilcropsが増えているというのも一つ大きな特徴です。
 作物の生産量なのですが、順調に伸びていまして、過去、先ほど沖先生もお見せいただいたと思いますが2.5倍ぐらい。人口の伸びを上回って伸びております。人口は過去40年で約倍ぐらいですから、それを上回って伸びた。
 その中で穀物の生産なのですが、これがよく論議を醸し出す図です。この図を見ると、1990年以降伸びがとまっているように見えるのですね。これは有名な環境学者でレスター・ブラウンという方が、世界の食料は頭打ちに入ったということを言って、1995年あたりから実は中国も頭打ち傾向が出ているのですが、中国をだれが養うかという本を書いて随分売れて、日本でも翻訳が随分売れたということなのですが、実はこれ、かなり間違ったことをミスリーディングしている図でして、この図自身は事実です。事実だと思います。実は、世界の食料危機が来ているか、来ていないのかというのは、この図を見て世界の食料生産を見てもらうと一目瞭然で、食料生産は、食肉の生産が過去40年で5倍ぐらいになっているのですね。つまり、もう御飯だけをバンバン食べる生活は世界の人がどんどんやめ始めていて、御飯よりもパンと肉を食べる生活にどんどん変わっていった。この図を見てもらえば、どこに食料危機があるのだというのがよくわかると思います。つまり、世界は20世紀の後半に穀物で見るよりもはるかに豊かになっていったのですね。特に、ちょっと中国の状況が──また中国を大げさに言っているのじゃないかということがありますが、中国だけでなく中南米のデータも上がってきていまして、恐らく世界的に食生活は豊かになっていったというのが過去のトレンドだと思います。
 これを支えたのが、ここからが大きな問題なのですが、実はよく見ていると大豆の生産です。大豆を生産し、それを絞って油とし、残りを家畜に食べさせるという農業が急速に発達していきました。そのおかげで、逆に言うと、世界の畜産は極めて順調に動いています。中国は今、 3,000万トン近くの大豆をブラジルあたりから買いつけて、これはよくNHKドキュメントみたいなもので中国の爆食とかいうのでとらえられていますが、それは事実です。ここで20世紀後半に起きた大きなトレンドは、今まで穀物はずっと作ってきたので、人間は自分のいるところで作ってきたのですね。自分の国とか地域で作ってきたのですね。だけれども、肉を食べられるようになったというのは豊かになった結果として起きたことで、それがちょうどトランスポーテーションができる時代になっていったので、ほとんど二極集中で起きています。つまり、一番世界でコストの安いところに行って買いつければいいというので、アメリカと中南米に集中してこれが起きています。アメリカの方は、今までも作っていたから反収を上げようというところなのですが、ブラジルで起きている方は熱帯雨林の話と極めて密接に関係していまして、要するに熱帯雨林を切って大豆を作っているという構図が極めて鮮明に出てきております。これは逆に言うと、世界は豊かになっていったけれども、バイオダイバシティーとかいろいろ、熱帯雨林の保存とか違う問題が起こってきています。
 この辺は細かいので省略しますが、これが恐らく21世紀を考えるときの要約だと私は思っています。Populationは、1961年を1としたときに、現在倍ぐらいに伸びて65億ですね。これは中位推定が入れてありますが、恐らく下位推定ぐらいで動くのではないかというふうに考えられますけれども、これを若干下回る可能性はゼロではないと思います。それに対して、肉の生産というのは極めて順調に伸びてきました。Cerealはそこそこです。Soybeansの生産は、この肉の生産を支えるために非常に強く伸びていった。それから、Fertilizerは、逆に言うと、Cerealを使っていた関係でそれほど伸びなくなってきた。逆に言うと、Fertilizerを使う農業からSoybeansを使う農業へ世界が大きくシフトし出したということだと思います。このSoybeansと、その次にお話しするパームオイルは、非常に私は環境という観点からは問題だと思っています。
 ここ、簡単にまとめますと、作付面積は増加しなかった。穀物生産は増加していったが、1990年代に入って伸び悩みが見えるようになった。これを食料危機だと言う人がいるけれども、そうではない。食肉生産は急増してきました。それを支えたのは大豆の生産です。このことは、実は私の専門なのですが、窒素肥料の消費とか環境問題を極めて強く引き起こす世の中を作ってきております。
 次に、環境ということで、簡単にエネルギー作物について触れます。これも現在、環境ということと生物資源を言ったときに必ず言及されるのですが、私は、いろいろな話が出ているのですが、生ごみの回収とかいうと、全エネルギーの0.何%というところで大したことはないだろう。もしこれが産業としていくなら、C4植物に類するようなところを熱帯でつくるところだというふうに考えております。そうすると、パームヤシとサトウキビが私は個人的には一番有力だと思っています。パームヤシを作っているのは、現在マレーシアとインドネシア。これは後で傾向をお見せしますが、サトウキビは主な国がブラジル、インド、タイで作っています。
 サトウキビの世界的生産量は、実はそんなに伸びておりません。これは穀物の生産量と似たような感じで、1990年代に入ると横這いが見えてきます。これは、大体砂糖も舐めるようになって、舐められるようになれば、それほど舐めるものではないので横這いになっているということです。
 これからどう使うかなんですが、実はパームヤシの生産量というのは、これは算数のエキスポネーションのカーブのように増えています。単位面積当たりで4トンものオイルができるというので、マレーシア、インドネシアでは極めてこれの生産が盛んです。これを使ってバイオディーゼルをつくろうという研究が、結構研究費が出たりするのでいろいろなことをやっているのですが、これはまさに熱帯雨林をどう扱うかということとバッティングしていまして、これから環境に優しいバイオマス燃料を使いましょうということになれば、熱帯雨林の研究をされる先生とは全くどう調節するのだということをよく議論しないでやるのは、私はすごくおかしいと思います。詳しいことは除きますが、これは恐らくこれから3倍ぐらいに伸びると私たちは推定しています。
 要するに、土地利用としてすごく目立つことは、これは時間がないので飛ばしますが、インドにおける土地利用のように、アジアの場合はこの赤の部分が非常に多いのですね。要するに、旧大陸ですから、ずっと3,000年耕してきちゃって赤の部分を増やした。それに対して新大陸の代表としてブラジルを出しますが、まだ赤の部分が非常に少ないのですね。だから、世界的に見ると、旧大陸には余り自然が残っていないけれども、新大陸にはたくさんの資源が残っているという状況があると思います。
 これはエネルギー作物生産の可能性なのですが、私自身は、熱帯をどう使うかというのが大きな課題になってくると思います。もし生物生産ということと、つまりいろいろなことを考えると、特にサトウキビとかパームオイルなんかが非常に生産性が高いので、これをうまく使えば、簡単な試算ですけれども、現在原子力発電で使っているぐらいのエネルギーはできるだろうと推定しています。ただ、このときには熱帯雨林をどうするかということはよく考えなければいけないという問題が出てきます。
 それから、時間がないので、ここからは飛ばしますが、実は開発途上国なり、先ほどのインドとかブラジルとかインドネシアとかをお示ししましたが、大体この赤道付近というのは、作物の生産にある意味で適しているのですが、みんな今開発途上国なのです。みんなというのは語弊がありますが、そこのところの農民の人たちをどう考えなければいけないかというのは、21世紀の前半を考えるときでは大きな課題になると思います。
 これ、全部が赤いような妙な円を作ったと思われるのですが、実は赤いところは途上国です。世界には約25億人、26億人の農民がいますが、農民というのは途上国にいるわけです。彼らの生活を向上させながら、なおかついろいろなものを使っていこうというのは、かなり大変な問題だと思います。というのは、バイオマスエネルギーなんかを言う方たちは、安く作らなければいけないので、買い占めてどこかで大量のプランテーションをやろうという発想のもとでしかできないわけですね。ところが、そこにはたくさんの農民なり利害関係者がいるので、その利害を動かしていくというのは、かなり私は大変な問題だと思っています。
 それから、最後になりましたが、私たちがやっているように地質汚染は広がっていくという傾向にどんどんありますし、このごろ途上国に行って、あそこが汚れているという報告のレポートみたいなものが出てくるのですが、これは逆の言葉で言えば、途上国でも肥料を使ったり畜産をやるようになったりということの裏返しです。つまり、豊かになったということを地球環境報告で報告しているようなもので、それは鏡の裏と表のような関係にあると思います。
 まとめますと、食料を増産することは私は可能だと思います。しかし地質汚染は広がっていくということがあると思います。結論として、時間になりましたから言うと、日本は飽食なのだからと──1ヘクタール27人も養っている国なのですが飽食です。これは食料需給率の問題ですが飽食です。悲観論をまくら言葉にした方が本は売れるのかもしれませんが、これは余り現実的じゃない議論にどんどん行ってしまう。特に環境の問題というのを考えるときに、すぐ技術に走る傾向があるのですが、私はビジョンという言葉を、この委員会に出てきたのに大変賛成していまして、技術だけではだめだと思っている。人類は生産力の高い熱帯をうまく使っていないと私は強く思います。しかし、熱帯には途上国が多い。その農民の生活を考えてやることも極めて重要だと思います。過去の50年、日本で起こったことと似たようなことが次の50年に途上国で起こるのですね。つまり、日本も1955年には国民の半分は農民だったのですね。それがほとんど都市に吸収するという中で社会的な摩擦を非常に起こしていくのですが、似たようなことをどんどん起こしていく。そういう途上国の人を考えてやる必要がある。
 地球の陸地をどう使うかというのはかなり大きな課題になるので、やはりこれは国際的な検討が必要で、日本としてそれにどうするのだと。やはり外交戦略とか、そういうような中でこれを扱っていくべきだと思います。特に最後、外交という言葉を残したのですが、1ヘクタールで27人も養っていかなければならない国なので、やはりどういう視点を求められるかというのはかなり重要だと思うのですね。また、日本というキーワードで、日本にしか見えない視点というのも私は強くあると思うので、この辺がやはり1つ課題ではないかなと思っております。
 ちょっと最後が急ぎ足になりましたが。

○安井座長 どうもありがとうございました。
 それでは、何かご質問がございましたらお願いいたします。何かございませんでしょうか。

○細田検討員 非常に素人な質問ですが、連作障害ってないのですか。

○川島検討員 あると思いますが、特に小麦などは連作障害があります。ただ、技術的にかなり今除けるようになっているのです。

○細田検討員 それはどうやって克服しているのですか、連作障害は。

○川島検討員 昔は散歩式農業のようなことをやりましたが、それから水田には連作障害はありません。それから、一番強く出たのは小麦のようなところですが、それも、そういう対策の農薬を蒔いたり、それから、基本的には肥料がたくさん入っていったりすると、肥料のところで連作障害が起きるということはなくなっていますから、今、ヨーロッパでもみんな連作をしていますよね。

○安井座長 他に何かどうぞ。

○太田検討員 大変興味のあるおもしろい話をありがとうございました。1点、もう少し説明してほしいなと思ったのは、世界の農民のほとんどが途上国に住んでいるという話で、16ページ。それで、何かアグリビジネスの話が少しありましたよね、多国籍アグリビジネス。それをどのような──もちろんいろいろな問題はいろいろ言われていますけれども、この世界の農民とアグリビジネスの関係で、何か一番これは重要な点であるというところ、これから検討するという点はどういう点なのでしょうか。

○川島検討員 私が思うに、どこの国でも大体土地というのはだれかが持っているんですね。アジアの場合、大体1ヘクタール以下をだれかが持っているという形で農業が行われています。その人たちは、ある意味でどいてもらわない限り効率的な農業ってできないのですね。ですから、やはりそこら辺の雇用対策のようなことがどうスムーズにできるかだと思います。1ヘクタールを耕している農民に何か作ってもらって買いつけてくるというようなことでは、とても石油に対抗するようなエネルギーってできないのですね。山を全部切っちゃってトラクターでやるような農業、ブラジルでは熱帯雨林を切っているので、だれもいなかった。原住民がちらほらしかいないところなので可能なのですが、インドでインドネシアでやろうということになったら、すべてそういうことは抵触してくると思います。ですから、かなり周到な議論をしないと、いろいろなよく言われるような議論は起きてくることだと思っています。

○明日香検討員 すみません、2つあります。
 1つは、例えばお米とかは貿易量が少なくて、非常に需給で価格がどんどん上下するという話を聞いたのですが、価格は、種類にもよると思うのですけれども、どういうふうに変化すると考えられるのか。
 あともう一つは、私、実は前は農学部だったのですが、植物の組織培養をやっていたのですけれども、いわゆる遺伝子作物、そういうものを50年後まで考えるときにどう考えればいいのか。必要とか必要じゃないかとか、どういう分野の遺伝子をどういうふうに入れればどうだとか、そこに何かもしあれば教えていただければと思います。

○川島検討員 まず価格ですが、これは米の輸出価格について資料として配ってあるのですが、確かに変動はしているのですが、目を細めて見ると、大体1970年以降横ばいなのですね。石油危機のときになぜバーンと上がったかと、いろいろな議論があるのですが、わからないですね。それから横ばいだと。1970年、これは実質価格ですからデフレーターや何かを掛けていませんから、逆に言うと、あのときから比べるとGDPが世界でも3倍ぐらいに増えていますよね。1970年、ドルベースで見たときの。

○細田検討員 ドル表示なの、それ。

○川島検討員 これはドル表示です。だから、ドルの実売価格ですから、世界ですごく安くなっちゃったわけですね。自分たちの経済規模は大きくなったのに横ばいで推移しているということで、すごく動いてはいるけれども、そうめちゃくちゃな動きはしていないと私は思っております。よろしいでしょうか。
 それから、もう一つ、遺伝子のことなのですが、夢もあるだろうと思いますし、それから、ここで簡単に言うことはできないと思うんですが、現在やられているバイオテクノロジーというのは、あれはやればやるほどアメリカの大手が儲かるような仕組みでやっているのだと思います。別に私たちも儲からないし、文句を言う人が多いし、さほど私は、実は個人的には害はないと思っているんですが、儲かるのはあそこだという仕組みで動いているものだと思います。あれが進んでいったから人類が全部助かるのかなという議論は、かなり中間を省略した議論だと私自身は思っております。

○細田検討員 関連でもう一つ、それでちょっと思い出したのだけれども、ハイブリッドとか農業に絡んだ知的所有権でよく聞くのは、アメリカがかなり押さえていて、食料危機があってもアメリカが生き残るだろうという、そういうざくっとしたものですよね。それをコメントするとしたらどう……。それはざっくり正しいのか、いや、そんなことはないのだというふうになるのか。

○川島検討員 アメリカが助かるというのは、アメリカだけが……

○細田検討員 商業権を持っているから。つまり、バイオビジネスの第二世代を自分たちで育てませんよね。

○川島検討員 改良しているところって、実際にはコストで数%とか、そんなところなのですね。だから、フィータルなところではきかないのですね。よくメーカーが勧めているのはどういう話かというと、1,000万円規模でもうけている個人農家ってアメリカに多いわけですね。うちもこのハイブリッドを買ってもらって、肥料の量を減らしたり殺虫剤の量を減らしたりするパッケージでやると、価格のコストが、あなたは来年数万円儲かりますよとか、1,000万円やっている人が50万円ですか、5%儲かりますよというのをコンサルティングしているのですね。だから、やらないで在来農法でやれば、ちょっと面倒くさくて50万円ぐらいもうけが少ないとか、余計にペスティサイドをまかなければならないとか、そういう話で、だから、言われているほどのバラ色のものではないのですね。

○安井座長 じゃ、最後にもう一度まとめとして伺いたいのですけれども、先ほどの話で、人口は2050年ぐらいをピーク、私はそれ以前にピークが来るのではないかと思っているのですけれども、今から2割増えないかですよね。一方、最初の話で、食肉を食べる人が随分増えているから、そこ次第だけで随分増えそうですよね。それで、一方、穀物は余りふえない。穀物が増えないで豆にしていくと、恐らく実績量は余り要らない。そんなことになってくると、エネルギーの影響も、これは次の話題になるかもしれないけれども、実績量が要らないから余りエネルギーも要らない。ただ機械化は進むけれども、その絡みになるかなというぐらいな話だと、結局、一つ嫌な気がしていたのは、トウモロコシがエタノールになって、アメリカからトウモロコシが出ていかないというパターンがどうなるかぐらいなのですけれども、川島先生のお話だと、2050年は何とか乗り切れちゃうという、そういう予測ですか。

○川島検討員 私は、乗り切ろうと思うなら乗り切れると。ただ、そのかわり、バイオダイバシティーとか水の汚れですね。畜産をやると必ず水が汚れるので、こういう問題は深刻になる。そういうふうに思っております。

○森口検討員 すみません。今の話に出たので、それで答えになっているのですが、最後から2枚目に地質汚染の話をされて、余り時間がなかったのでこれは飛ばされたので、どういう媒体のどういう問題があって、どのぐらい深刻な問題か、ちょっと簡単にご説明いただけるとありがたいのですけれども。

○川島検討員 簡単に示しましたが、これは今私たちがしている研究なのですが、中国は今、都会の人はほぼ飽食なのですね。2030年にどういうシナリオが入っているかというと、農民もみんな食べ出したらどうなるか。その穀物、飼料穀物を中国でつくったらどうなるかというシナリオです。このときは、中国国内でトウモロコシをつくるというシナリオでこれは計算しているので濃くなります。ただ、中国国内でつくらなくて、どんどん今の傾向としてブラジルから持ってくるという傾向でも、畜産からは出てくるので、やはりこれほどひどくはないけれども広がっていくということが考えられる。これは恐らく2000年と2030年の中間あたりの色のところで広がっていくというふうに考えております。途上国が肉を食べる生活をすれば、必ず水は汚れていくのだという、富栄養化が増えていくのだという認識でいいと思います。

○原沢検討員 アジアの幾つかの国でも自給率がだんだん下がってきて、今日のお話で、穀物の場合と食肉の場合、トータルで考えていく必要があるということですが、日本の場合は今40%ぐらいで、2050年ではどんな感じになっているのでしょうか。

○川島検討員 私より、今日は農水省の方がいるので、私より適任だと思います。ちょっと私自身はわかりません。政策にもよるので、自給率を保とうという政策をとるか、もうあきらめてしまうかという、それだと思います。例えばシンガポールは食料自給率をゼロにしてしまっているわけですから。

○原沢検討員 一方では、ヨーロッパの国は大体100%以上で、うまく食料安全保障という立場からやっています。日本の2050年の食生活とか、いろいろなものがかかわってくるかなと思ったものですから質問したのですけれども。

○川島検討員 また何かの機会にということで。

○安井座長 よろしいですか。何かコメントはございますか。

○本間課長補佐(農林水産省) 今、日本の食料自給率をどうするかというお話、ちょうど資料2−2(参考)という資料を用意していただいているのですが、その中に、1枚めくっていただいてちょうど裏ですね。食料・農業・農村基本計画というのを出してございます。これは17年3月に決めたものですが、27年については、今現在40%というお話がありましたが、農水省としては45%、ここを目指して施策を進めていきたいというふうな形で、今それぞれの問題ですとか、さまざまな面について取り組んでいるというふうなことでございます。

○安井座長 それでは、ありがとうございました。大体これで真ん中ぐらいまで来たようでございますので、ここで10分間ほどの休憩をとって、あの時計で45分にスタートしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

午後 3時34分 休憩

午後 3時44分 再開

○安井座長 まだ正確にはあと1分ぐらいあるのでございますけれども、大体お戻りでございますので、入り口の戸を開けたままで始めさせていただきたいと思います。
 それでは、湯本先生、よろしくお願いいたします。

○湯本検討員 総合地球環境学研究所の湯本と申します。生物多様性、中身はこういう順番でしゃべります。
 まず、バイオダイバシティーですけれども、もともとこれはバイオロジカル・ダイバシティーという言葉がずっと長くあって、多分リオのサミットあたりから略語としてバイオダイバシティーと言うようになったと私は理解していますが、基本的には種の数、生き物の数だけではなくて、遺伝的多様性とか生態的な多様性とかが含まれています。ただはっきり言って、今の状況で未来をプロジェクションしたときに、なかなか種の多様性以外のことが指数化できていないというのが現状です。
 それで、今まで名前がついている、生物学者が名前をつけた生物種の半分は昆虫です。今まで150万種の記載種、いわゆる名前がついている生き物がいますけれども、そのうち大体75万種が昆虫で、その他の動物、私たちも含めたその他の動物というのは28万種、それから高等植物が25万種です。
 ただ、これは今までわかっているだけだというお話で、実は熱帯アジアというのは、木の上の方で昆虫採集をしますと7割から8割の昆虫が未記載種、つまり名前がついていないわけで、今のグラフに入っていないのです。じゃ、未記載種というのはどのぐらいなのかといういろいろな推定がありますが、例えば1980年代の最初にT.L.Erwinという人が 3,000万種という説を出しました。それをきっかけに、実際に本当は幾らいるのだろうというような推定が幾つかされていて、これは根拠を知りたい方は私が個人的にお教えしますが、いろいろな数字が出ています。だから、150万種というのはこれまでわかっている種多様性だが、それに比べてもやはり相当多い数の生き物がまだ未記載種であるという現状認識です。
 それで、生物多様性は減っているのか。つまり、もちろん減るというのは絶滅ということを考えます。これまでもいろいろな生き物が絶滅したじゃないか、だから今さら生き物が絶滅しても何もびっくりすることはないよと言う人がもちろんいるのですけれども、これまで過去に5回ぐらい大絶滅というのが知られていて、こういった形ですね。
 それで、実は絶滅の速度をみますと、多分恐竜時代では1,000年に1種ぐらいの絶滅だろうと。これも記載種ですね。だから未記載種なんかはわからない。1600年から1900年代については4年に1種ぐらいという推定があります。それから、1975年ごろから最近にかけては1年に1,000種単位で、これは未記載種も入っていますからフェアじゃないのですが、そういうふうに種が減っているという話になっていて、これまでに比べても速度がすごく速いのだということが指摘されています。要因は人間活動で、やはり大きな部分は生息環境の減少・劣化。先ほどの川島先生のお話の中でおっしゃいましたけれども、農地だとか、あるいは林業に使うような土地という、要は土地利用のトレードオフの関係で、生き物が独占的に占められる面積が減っているということですね。あとの要因としては、侵入生物とか乱獲などがあります。
 それで、これはちょっと見にくいですけれども、ざっと絶滅危惧種の表があります。これは哺乳類とか鳥とかいろいろなものがありますけれども、それの評価すべき対象の総種数があって、そのうちちゃんと情報がある種数というのがここになります。その次に、絶滅しそうである、それは後で言いますけれども、絶滅確率が計算できるような、あるいは計算しているようなものがあって、どれぐらいのものが絶滅するのか。例えば哺乳類は24%、4分の1の生き物が絶滅しそうである。それに対して鳥は12%である。爬虫類というのはモニターしている種については62%だけれども、全体的には4%ぐらいかなというのがあるのです。ただ、ここのところはやはりデータのつくり方や補足率が随分違うのですね。
 日本の場合になりますけれども、一応絶滅危惧の定義がこれです。10年間で5割以上の確率で絶滅するだろうとか、20年で2割ぐらいとかいうのがいろいろあってランクがあります。これで、例えば100年後はどれぐらいの──これがどの程度正確かというのはもちろんあるのですけれども、絶滅していく種は絶滅するだろうみたいなことが計算はできるわけですね。
 それで、先ほど言いましたが、やはり多くの絶滅危惧種の絶滅原因、これは生息地の消失とか汚染とか乱獲とか外来種とか病気とか、いろいろファクターはあるのですけれども、やはり大きなものというのは生息地の破壊です。要因としてはダブルカウントされていますけれども、生息地の消失によって絶滅に瀕しているというのは大体どこでも同じ現象です。だから、先ほど川島先生がおっしゃったように、人間が農地に使う、あるいはほかの伐採用の森林に使うということと生物多様性は非常にトレードオフの関係にあって、そこのところをどういうふうに折り合いをつけるかという問題ということです。
 つぎに種数−面積曲線というのを私たちの世界では使うのですけれども、どれぐらいの面積だとどれぐらいの生物の種数が保持できるのかというような、これは樹種の例なのですけれども、500ヘクタールで34種、5,000ヘクタールで64種とかでカーブを推定します。まずは樹種を種数−面積曲線で出して、樹木1種当たりに、それに依存している昆虫とか鳥とかというのをざっと計算してするのが普通の方法です。ですから、熱帯雨林の面積の減少というのが絶滅する数の推定のそのものになってくるわけですね、方法論的に。
 それで、一番ペシミスティックな見方というのは、2050年には5%から10%の原生的な熱帯雨林しか残らないので、恐らく半分から4分の3までの熱帯林の生物種が絶滅する、もしくは絶滅に瀕することになるだろうという論文があって、これは結構引用されています。
 それに対して、ちょっと過大評価ではなかろうかという論文がごく最近出まして、2030年でも熱帯アジアではたかだか21から24%、熱帯アフリカでも16から36%ぐらいしか絶滅しないのだろうという予測です。理由がちょっと面白いので引用していますけれども、まず人口増の中で、この著者たちが引用しているUNデータでは、いわゆるルーラル・ポピュレーションですね、地方に住んでいる人口というのはむしろ減るという予測があります。それは、本当のところは私、ちょっと自分ではわからないのですが。次に、残存する熱帯雨林の面積は、地方人口に逆相関する。それは後で次にデータを出します。さらに、人間が伐採したのだけれども、そのあと育ってくる、二次的自然といいますけれども、いわゆる二次林ですね。それが成長して熱帯雨林の生物を収容することが可能であろうというので、それでさっきと随分推計値が違うのですね。こちらがRural population density、地方の人口分布密度ですね。それと残るであろう熱帯雨林について逆相関があるだろうと。
 つまり、都市の人口はどんどん増えていくのですけれども、地方人口というのは頭打ちになって減っていくだろうとあるのですけれども、これはUNの推定です。
 そんなに本当に楽観的でいいのだろうかというと、これは詳しくは説明しませんけれども、本当は世界中どこも同じように生物が棲んでいるわけではなく、やはり非常にたくさん棲んでいるところとそうじゃないところがある。先ほどのオイルパームの話がよかったと思うのですけれども、オイルパームができるところというのは、非常に生物がたくさん棲んでいるところなので、そういうところというのがどれぐらい危機なのかというのを本当は知るべきである。それから、森林の質ですね。いろいろな再生林とか植林とか言われますけれども、森林の状況によって、森林の生物種収容力と言っておきますけれども、そういうものが異なるだろうと。それから、多くの人口学者はUNのさっきの予測というのは余り信用していないみたいですね。ついでに、都市人口はもちろん増える予想ですが、都市に住む人々もやはり一定量の森林の資源を使いますから、だから、それは影響なしとはいえないであろうと。さらに、工業化やグローバル化などのマクロ経済というのが、やはり森林に与える影響を増大させるはずなので、例えば中国のインパクト。中国は2002年と2010年と比較した場合に、木材輸入量が多分6倍ぐらいになるだろうというふうな予想がありますけれども、その影響はきっとあるだろう。などなどです。
 さきほどの地方人口密度変動というのも、国によって随分違うことが当然予想されるわけですね。これはブラジルとインドネシアと、それからアフリカのコンゴの予測の例を書いてありますけれども、随分傾向が違うし、ブラジルはむしろ、インドネシアもむしろ田舎の人口が増えるような予測です。だから、それはちょっといろいろ推定については問題がありますけれども、要するに残る森林の面積と、そこに収容される生物の種数というのは非常に関係があるだろうというのは、皆さん予想されています。要するに、先ほど川島先生のお言葉はまさしくそのとおりで、熱帯の土地をどういうふうに使うかによって、やはり生き残る生物の数が変わるだろうということです。
 ほかの影響ももちろんあるだろう。それは地球温暖化ですけれども、これも、最近「ネイチャー」に掲載されたのです。もちろんいろいろなシナリオがありますけれども、それによって、基本的には種数−面積曲線を基本として、どれぐらい適した自然が減るからこれぐらい種数が減るのだろうという計算なのですが、大体いろいろな生息域で18%から35%というのが絶滅に瀕するだろうと予測されています。特にやはり熱帯に非常に多くて、高緯度ではちょっと過小評価されていますから、あまり減らない。これらの推定は、要するに種数ですね。種数でどの生物もイーブンなわけですね。トラも1種、それから、皆さんが絶対名前を知らないような昆虫も1種ですよね。それで本当にいいのかという話がもちろんあるわけですね。
 1つは、やはりこういうふうな生物多様性というのは、多分加速度的に消失する可能性があって、例えばこういうふうに非常に生態系の中でいろいろなことに関わっている、いろいろな生物に関係している種がいなくなると、その生態系は危うくなるだろうというような考え方があります。
 私はどういう動物がどういう植物の種子を運んでいるのかという研究をしているのですけれども、体が大きい動物の方が多くの種類の植物に関係しているのですね。だから、大きな果実食者、果実を食べて種子を運ぶような動物がいなくなると非常に大きなダメージを受けるという予測を私たちはしているのです。
 それで例えばゾウとかオランウータンとかサイチョウとか、非常に大型の果実食動物の絶滅が、種子を運んでもらっている植物に大きな影響を与えて、そういう動物の絶滅が非常に多くの植物の絶滅を引き起こす可能性があると、これはカスケード効果というふうに呼ぶのですけれども、考えられる。
 このようなことを含んで考えるのが、生態系機能と生態系サービスです。生態系サービスというのは、生態系機能について人間が利益を得るというふうに定義されます。
 これはミレニアム・エコシステム・アセスメントの例ですけれども、生態系が生産する財、つぎにRegulating、すなわち生態系のプロセスの制御により得られる利益、さらにCultural、非物質的な利益、最後にそれをサポートするような生態系機能を考えます。
 それぞれの生態系機能あるいは生態系サービスで、どれぐらいの種数の生物がいれば十分なのかという研究は、もちろん多くの研究者が試みてはいるのですが、まだまだに研究がおくれていて結論が出ていません。
 例えば菌根と呼ばれる、植物の根と菌類の共生体ですが、菌根を形成する菌の種数が多くなると植物のバイオマスが増えたり、あるいは植物の種の多様性が増えたりするような研究例があります。基本的には横軸に生物の種数をとって、縦軸に何らかの機能をとると、ある程度までは増加して、そのうちに頭打ちになるというようなデータです。これは別の例で、種多様性が高い生態系には新しい種、つまり外来種が侵入しにくいという研究例です。このような研究が世界的に増えていますが、まだ決定的な結論はでていません。
 そこで、大切なのは種数なのか、それとも機能群の数なのかという議論になります。多くの生態系では複数の生物種が同じ機能を担っているということがあります。そのとき、それを機能群といいますが、多くの生物種で機能の重複がもちろんあるということですね。だから、生物多様性というのは、機能群の数なのか、それとも機能重複を含めた種数なのかというのは、まだまったく研究途上です。例えばある生態系である生物がこういうふうな役割をしている。だから、それと同じような機能をしている生物は要らないのではなかろうかという考えももちろんあるのですけれども、いろいろな理由で、そういうレダンダンシーというのが非常に大事で、それは、例えば生態系の頑強さ、レジリエンスですね、に関係しているのだろうという説が有力です。
 遺伝的な多様性は、ちょっとお話しする時間がないのですが、だれでも想像できること理由で、それはそれで特に大事だろうということになっています。
 あと、文化の話なのですが、いろいろな地域固有の文化とか人間生活というのは、地域の生物の多様性に非常に関係しています。これは東南アジアの例なのですけれども、いわゆる伝統的な知識というが、いわゆる伝統社会というものを作ってきたわけですね。そこでは生物に対する知識、あるいは生態系に関する知識というのが、その中心だったと考えられます。
 例えば日本の伝統色というのがありますが、いろいろな生物の名前がついていますね。これをわざわざ出したのは、本委員会では多様性のある文化だとか社会という議論をこれから多分されると思うので、そこは地域に根づいた文化というのが、地域に根づいた自然に関わっていて、そこに生物が大きく関与していて、生物多様性がなくなるということは、文化には非常に大きな影響を与えるだろうという話をちょっとしたかったわけですね。
 ただし生態系機能間の矛盾を考える必要があります。例えば今話題の炭素吸収量が高い森林と生物多様性の高い森林はイコールではありません。 だから、さっきのミレニアムアセスメントの例でみますと、ここの赤く示された要素は、多分生物多様性が高ければ高いほど、利益というか価値がある。ここのピンクで示された要素は、むしろ背反する。つまり、生物多様性が低い方がいい場合が多いと考えられるものです。緑の部分というのは、その中間的なものです。
 ここに生物多様性問題の難しさというのがあると思うのですけれども、まず最初に言いましたが、まだ未記載種がいっぱいいるという状態である、つまり現状把握が不十分である。次に、それぞれの生物の機能がわからない、むしろ名前がついていない生物が多いですから、何をしているのかもちろんわからないのですね。だから、それらの生物がいなくなったらどんなことが起こるかということに対して予測性が非常に低いですね。さらに、多様性の評価というのは多面的で、ある機能、ある生態系サービスをとってみると、生物の多様な森というのは必ずしもいい森ではないかもしれない。最後に膨大な多様性、つまり熱帯雨林の森の中に体長1センチに満たない昆虫というのが数百万種といるというのが本当に大事なのと言われると、私はちょっとよくわからないですね。そういうふうに考えて、特に食料生産を基盤に、あるいは木材生産もそうですけれども、土地利用をとらえたときに、どれぐらい生物多様性のプライオリティーを主張するのかというのはものすごく難しいと思いますね。とりあえずは、種の絶滅によって何が起こるか予測できないので、ここでは予防原則的な考え方というのが多分必要だろうと主張することはある程度できるでしょう。そのときに、生態系サービスとかの価値に置き換え不可能な生物種そのものの価値、つまり生物種の絶滅回避というのが何か一つのやはり目標になるべきなのだろうなということを私は漠然と思っています。ただし、そのときに食料生産などの他の基本的価値とのトレードオフにどうしても当たるというのが、やはり非常に大きな問題だと思います。
 最後に、そんなにいっぱいいる生物をどうやって守っていくのかというフィージビリティーがもちろんあるのですけれども、こういうkey-stone species、umbrella species、flag speciesという概念があって、これはどれも十分に大きく認識可能な生き物ですね。こういう大きな生き物を守っておけば、小さい生き物はおのずと守れるだろうといったロジックがあります。たとえば、key-stone speciesというのは、これは除去実験によって実証可能な、つまりラッコを取り除くと何が起こるかというのが、それは実験が可能なので、はっきりしたある機能を独占的に果たしている動物なので、それを守ることが非常に大事であるという概念です。次にumbrella species、これはトラとか猛禽とかがそうなのですけれども、非常に大きな生息域を持っていますから、それが生ていく環境を守ることで、ほかの小さい生き物は自動的に守られるだろうという考えですね。最後のflag speciesというのは、ある地域の生態系の、あるいは自然を象徴するような、例えばトキとか、何でトキにあんなお金をかけて守るのかというのは、多分ここら辺に理由があるのだと思うのですけれども、そういう生物がある。というような整理ができると思うのです。
 生物多様性問題というのは、なかなかほかの、今我が国でエネルギーだとか食料とか、あるいは水ですね。そういう優先順位の高い問題のなかで、生物多様性が本当にどれぐらい大事というのはなかなか根拠ともって主張しがたいところもあって、その理由のひとつは、まだ私たちは生物のことも生態系のこともよく知らない。生態系の働くメカニズムをよく知らないですから予測性に乏しいのですね。だから、そういう状況下で、生物多様性の価値を評価しなければならないというのが非常に大きな問題だと思います。
 以上です。

○安井座長 ありがとうございました。
 何かご質問等はございますか。どうぞ。

○若林検討員 末梢的なことで大変申しわけないのですが、教えていただきたいのです。8ページの「楽観的でいいのか?」というところで、人口動態の疑わしさ、人口学者はUNの云々といったところが、どういう流れでどういう意味でお使いになっているのかどうか、ちょっとこれを教えていただきたい。

○湯本検討員 私、何人かの人口学者の人がアメリカにも日本に友達がいて、それで、これを見て、この論文を知っているかと聞きました。それで、こんなふうに地方人口というのは下がっていくのは、それは本当かと聞きました。でも、それはやはり非常に議論があるところで、複数の人はやはり信じていないというふうなことを言っていたという、それ以上のことではないです。すみません。

○安井座長 ほかに何かございませんか。

○沖検討員 3ページの上の過去の種の絶滅なのですが、これは何か化石の中のバリエーションか何かで一応こういうものを調べられているのですか。

○湯本検討員 そうですね、そういうことです。これは科ですよね。だから種じゃなくて、もっと上のレベルで、それで科の場合は、これは特に化石が残る科で検討されています。

○沖検討員 そういうふうに、例えば5回というふうに言ってしまっていいぐらい信憑性があるのですかというのが知りたいのですけれども、教えていただきたいのですけれども。

○湯本検討員 この5回については、隕石だとか具体的にこういう原因でこういうグループの生き物が絶滅したと。だから、それにリンクしてこれぐらいのやつが絶滅するだろうというふうな、そういうふうなイベントベースだと考えてください。

○沖検討員 わかりました。そうしますと、この右端の方が現代に向かっていると思うのですが、現代は常に生物の科の数というのは増え続けているように見えます。それは本当にそうなのか、それとも化石といった資料に基づいているので、昔の情報が限られているか何かなのか、どちらなのでしょうか。

○湯本検討員 多分両方ですけれども、私はこういうレベルで考えると、科は増えていると思います。

○沖検討員 わかりました。ありがとうございます。

○山本検討員 5ページのところにある種数−面積ですか、これ、生態の人ならば当たり前かもしれませんが、面積というのは連続した森林というか環境があるという前提ですよね。

○湯本検討員 そうです、そうです。

○山本検討員 それを言ってあげないと、断片的な面積があればいいんじゃないかというようになりかねないので、それは断った方がいい。

○湯本検討員 ありがとうございます。おっしゃるとおりで、これは分断化されていない、つまり生物が閉じこめられている、そういう面積のことです。

○安井座長 他に何かありますか。

○森口検討員 配付資料では15ページの下に「遺伝的多様性がなくなると?」というのをお書きになっているのですが、すごく割り切って見ますと、つまり多様性が失われると何が困るのかというのが、ついつい我々は短絡的に聞きたくなるのです。もちろん確たるものではなくてもいいと思うのですけれども、比較的悲観的に考えたときにこういうことが起こるのではないかって、いろいろ多分これがあるのだと思うのですけれども、例えばこういったことの中で、既にこういうことでかなり確からしく起きて問題であるとかいうのが、かなり確認されているものがあるのかどうかということですね。ないとすれば、ここにもお書きになっているものの中で、どういうものがやはり一番起こり得て、一番ダメージとして大きくなる可能性があるか。そういう議論というのはどのぐらい進んでいるのでしょうか。

○湯本検討員 ご想像のとおり、野生生物の遺伝的多様性というのは、それほどよくわかっているものではないのです。でも一部は最近よく調べられた例では、病気の発生に関して遺伝的多様性の意味は、それは割と確からしい。もちろん数例ですけれども。数例、野生の植物や動物で遺伝的な多様性が少ない集団が病気によって大きく個体の数を減らすことがあるということは、それはかなりの正確さでわかっています。多分その程度ですね。

○森口検討員 もう一度お伺いしたいのですけれども、人間に具体的にはね返ってくるようなことがどのぐらい想定されたか。例えば今日、職業のお話があったのですけれども、例えば一回ある種の種がなくなることによって害虫が大発生をして、その食料生産に非常に大きな影響を与えるとか、そういうようなところがどのぐらい起こり得るというか、科学的にそういうことが書けるのか。やはり本当にそんなことが起こるかもしれないとかいうレベルなのか、そういうところというのは、何かある種の科学的なことで見通しはあるのでしょうか。

○湯本検討員 わかりました。それは一応グリーンハウスレベルで、例えばキャベツを栽培している。いや、作物は忘れましたけれども、ある作物を栽培して、それを食べる害虫がいますよね。それがどれぐらい天敵の数によってセーブされるのかというような、グリーンハウスレベルの研究というのは最近幾つかあって、それは天敵が1つではやはりだめで、複数あった方がいいというようなものがあります。しかし、それは、グリーンハウスレベルの研究なので、それが本当に野外の、例えば日本の中山間地の農村というか、圃場でどういうふうになるかというのは、確固とした研究例はないと思います。

○安井座長 ほかに何かございますでしょうか。
 なかなか、例えば森口先生みたいな工学をやっておると、これをどうやって中に入れようか難しいのですよね。

○湯本検討員 そうなのですよ。

○安井座長 だから、どういった形で、ある意味では今の状況だと境界条件から外してしまって、こういうシナリオになるとこのぐらいになるという結果側で入れるのか、そうではなくて、やはりある種のリスクファクターとしてこれを何点入れるのか、その辺が考えどころになってしまっているのですね。

○湯本検討員 私も、この発表の準備をするときに、感じました。先ほどの話でいきますと熱帯雨林というのはどれぐらい残せばいいのだろうという話ですよね、当然。そうすると、どの程度の面積を残せばどれぐらい生物を収容できるかというのは、計算できますよね。それで十分なのかと言われると、やはりそれは分からないとしか言いようがないですね。そこはものすごく難しいと思います。

○安井座長 本当にこういう研究をやっている方にしばしば伺って、その方に言わせるといじめに近いのですね。例えば本当に水田耕作みたいにかなりモノカルチャーの単一の生態系にしてしまったって、結構もつじゃないですか。あれは、やはりそのうちだめになるのですかという質問を時々しているのですけれどもね。

○湯本検討員 よくわかります。だから、それは1回目のときに、私も一応予防線を張ったのですけれども。

○安井座長 ほかに何かございますでしょうか。

○沖検討員 いじめの続きですけれども、つまり、生物多様性が大事だということをよしとするときに、では、同じ種の生き物がたくさんいたら、それは相対的に価値は少なくなるような価値観なのですかね。

○湯本検討員 難しいですね。つまり、希少な生き物は希少だから希少であるということにすぎないですから。

○沖検討員 つまり、希少ではない生き物というのは、人間というのは60億ぐらいうじゃうじゃいる。もっといる生き物、大腸菌とかたくさんありますよね。そういうのはどんなに虐げてもいいのか。

○湯本検討員 それは例えば、私、ちょっと言いましたけれども、種の絶滅、ないしは種の保全が別の価値ではなかろうかと。だから、例えば法隆寺にある仏像が大事であるとかいうような意味で、そういうふうな意味で大事であって。もちろん遺伝子工学で多分絶滅した生物種も復活させるという計画は世界で幾つも進行していて、今後どうなるかちょっとわからないところがありますけれども、法隆寺の仏像がなくなると、それは不可逆的な事件だというふうに考えると、種の絶滅というのは同じように考えられるかもしれない。生物種自体の存続に価値を置くと、もちろん少ない生き物は貴重であるのですね。それはそういう価値基準というのが要るのですね。生物種の存続ということを、生態系機能とかほかの価値基準に従属するような形にすると、やはりそれは非常に難しい話になってしまうのだなというのが私の今の見解なのですけれども。

○沖検討員 大分わかってきた気がするのは、先生が今回おっしゃったのは、役に立つから大事な生き物や生態系というのもあるし、今おっしゃったように骨董的な価値があるから大事なものもあるしという、いろいろな価値が生態系の多様性の価値として言われているので、分けて考えた方がいいですねということをおっしゃっているわけですね。わかりました。ありがとうございます。

○明日香検討員 よろしいですか。すみません、私の方から。文化的なお話もなさったと思うのですけれども、実際、途上国の方々がこういう問題をどう考えているのかなんていうのが重要だと思うのですけれども、そこら辺は、例えば途上国、政府もある程度こういう多様性なりを文化と結びつけて、あと遺伝子資源みたいなシートも見つけて非常に保護する傾向にあるのです。でも、やはり違う流れが非常に大きいとか、そこら辺の最近の動きとか、もし何かあれば教えていただきたいと思っております。

○湯本検討員 やはり、先ほど申し上げた土地利用のトレードオフというのはいろいろなところで意識されていて、いまどこの政府に行っても、インドネシアに行ってもマレーシアに行ってもコンゴに行っても、生物多様性を守るべきであるという議論は、それなりにあります。でも一方で、具体的にこの森はどうするのか。この森は森のままにしておくのか、それともこれは切って木材を売るのか、それとも農地に転用するのかというと、必ずしも生物多様性の議論が勝つわけではない、そういうものだと思いますね。生物多様性それ自体の価値としては、一応はオーソライズされているのだと思うのですけれども、相対的にどれぐらいのプライオリティーをもつ高い位なのかというと非常にいろいろな議論があって、むしろ低い方に置かれがちであるという、私はそういう認識なのですけれども。

○太田検討員 今のお話をいろいろ聞かさせていただいて、いろいろなことを考えています。頭に浮かんだことだけでまだ整理できていないのですけれども、今の話を聞いていると、例えばアメリカの保存主義者と保全主義者、コンサーベーショニストとプリザーベーショニストの間での議論を思い浮かべました。これは食料の生産の話にも関係するかもしれません。この保存主義者と保全主義者の議論は恐らく現代の持続可能な開発という概念の根底にあると思うのです。この点を押さえておきながら、12ページと19ページに生態系サービスという同じ表が掲げられていて、先ほどの川島先生のお話も、どこまで食料生産するかということが、どこまで森林を保全するのかというような話になってくると、それは保全と保存の関係になってくると思うのですけれども、この生態学者の方から生態系のサービスということを考えたときに、どれぐらいのサービスのことを考えておられるのか指標化するのは非常に難しいと思うのですけれども、あるいは、どういったところを押さえれば保全と保存主義の調和がとれるようになるか。要するに、食糧生産をどこまで許容して、生態系をどこまで、もちろんカルチャーの生態系も含めて、維持するのか。生態学者からの特にそういう具体的なメッセージというのは何かあるのですか。もしあればぜひお聞ききしたいと思うのですけれども。

○湯本検討員 それは、欧米も含めていろいろな生態学者がそれを強く主張したいと思っているのですけれども、私から見た感じでは、そんな強いメッセージはないですね。本当にそれは正直にです。例えば、熱帯雨林というのがなぜ大事かというときに、水をそこでストックするだとか、いろいろな意味がありますよね。そのときに、その生態系機能と生物多様性の関係というふうに言われると、つまり生物多様性の高い森林ほど機能が高いのかと言われると、正直やはりわからないですね。もちろん、ある程度の生物多様性があった方がいい、樹木の種多様性があった方がいいのは違いないのですけれども。例えば私が研究していたボルネオ島の熱帯雨林では、50ヘクタール、1キロX500メートルですよね。そこに1,200種の木があって、それは日本全土と同じぐらいの樹種があるのですよ。日本の、北海道から沖縄までの。本当にそれって熱帯雨林の生態系サービスを得るために全部ある必要があるのかと言われると、やはりそれはわからないですねと言うしかないですね。
 先ほど言ったように、横軸に種の数を持ってきて、何かの機能がありますよね。単位当たりの光合成の量だとかを縦軸にとると、大抵は頭打ちになりますね。当たり前ですけれども、ずっと無限に増加するわけじゃないですよね。そこのところはもちろん、増加する範囲では生物多様性の生態系サービスを果たすための意義というのを言うのは簡単なのですけれども、そういうふうな機能主義的は、そこから先の頭打ちになるところを、どういうふうに意義を主張するかというのは非常に難しいと思っています。

○安井座長 そろそろほかの分野の議論にも若干かかっているような気もいたしますので、席にそろそろお戻りいただけますか。ありがとうございました。
 時間があと35分ぐらいで、最後5分でまとめかなと思っておりますが、今まで3つのお話をいただきました。今日の話はどうもかなりお互いに関係があるような部分でございますが、これ以外にもさまざまな、例えばクローンの話であるとかエネルギーの話、いろいろな話がこれから出てまいりますが、最終的には恐らく、例のローマクラブのメドーズ──ローマクラブかどうかはあれですけれども、メドーズがやったみたいに、お互いの要素間の関係みたいな、そこをうまくシステムダイナミクスでやるかどうかは別として、そういう関係みたいなものをやはりちょっとずつ明らかにしながら徐々に平面図を埋めていくみたいな、そんな作業が必要なのかなと思うのですね。ですから、今日は、残りました時間、専門の先生方に対する質問でも結構でございますし、あるいはお互いの議論でもよろしいのでございますが、例えばほかの要因、ほかの要素、そういったものを含めて少し全体の絵をかくような作業にそろそろ入りたいと、そんな感じかなと思うのですね。
 これをどうやってリードするか、なかなか難しいのですが、まず実際の作業を恐らくおやりいただくであろう森口先生に伺いたいのです。例えば、これからやる議論の中に、メドーズのやっていたシステムダイナミクスみたいな絵はどのぐらい意識をすべきだとお考えになっているのかみたいな話は、ちょっと何かご発言いただけますか。

○森口検討員 すみません。余り心の準備ができていなかったところもあるのですが、おっしゃっている1つには、例えばいわゆるドライビングフォースといいますか、環境変化の駆動力になっているものと、何か実際の問題との関係となると思います。それから、恐らくその問題間、ある問題がほかの問題にどう関係していくのか。さらに、それ以外のものにどうフィードバックがかかるのか、あるいは場合によってはフィードバウンドがかかるのかと、そういうお話ですよね。
 ちょっとまだ国立環境研究所のメンバーの中では意思統一ができ切っていないところがあるのですけれども、そういう因果関係といいますか、関係を定量的でなくてもよいので、ある種少なくても、その向き、符号だけでも何か書いていくようなことをしっかりやっていくのか、それでなるべく多様な要因なり多様なものの関係をまとめていくというところを重視するのか、もう少し定量的な議論のしやすいところに絞って、少し定量性の高いモデルみたいなもので、ここの検討を中心にやっていった方がいいのか。そのあたり、どちらのスタイルでいくのかというところを、もう少しご議論いただいてからかなと思うのですけれども、もし余り絞り込まずに、なるべくいろいろな問題を一応整理してみて、それぞれの間でのある種のインタラクションの関係を半定量的に整理していこうという方向になるのであれば、やはり安井先生がおっしゃっているような方向でSDっぽいものを作ってみる方向に行くのが一番オーソドックスかなと思いますけれども。今、こちらの方のモデルの部隊で用意しているのは、ちょっとそのあたり、必ずしもそれとぴったり合わない部分があるかもしれません。

○安井座長 さっきここで雑談をしていたときもそうなのですけれども、例えば、人口は多分2050年ぐらいがピークになるとして、世界じゅうの車の台数って何年ピークになるのか。それがもし非常に確実に予測できると、車と食料がエネルギーを奪い合いするというか、バイオマスを通じてなのですけれども、そんなもののシナリオも若干書けるかなと。何かそういう、余り直接的ではないけれども、何か仲介するようなものというのが世の中にいっぱいあるのかもしれないなとちょっと思っていたのですけれどもね。

○森口検討員 余り具体的な話に入らない方がいいのかもしれませんが、たまたま今日、ESTで交通のお話もしたので、では、車と例えば食料がバイオマスの奪い合いになるかどうかというのは、その車のエネルギーを、例えばバイオディーゼルに行くというシナリオを書くかどうかに依存するわけです。実は車はほかにも逃げ道がいろいろあるわけでありまして、もしそこでコンクリフトを生じそうになったら、車はもうちょっと別のシナリオを早目に書いた方がいいねと。これはやはりある種のバックキャストのいいところであり、個別の問題ではなくて、いろいろな問題を同時に考えるということのメリットなんじゃないかなと思いますので、もちろん今、ヨーロッパ、あるいはアメリカもそうかもしれませんけれども、主流はバイオでいきましょうという話かもしれない。だけれども、それが日本にとって得な選択かどうかというようなことも多分あると思いますので、そういうところで少しずついろいろなものの相互関係を解きほぐしていくのかなというようなことを考えております。

○安井座長 余り個別の議論に入るのは確かに得策ではないのですが、例えばそういったようなキーワードというか、キーコンポーネンツというか、何かそういったものがスコープの中に、絵の中に、平面図の中に書き込むべきだみたいなお話がちょろちょろ出てくると多分助かるかなみたいな、まずはとりあえずそういう意識があるのですよね。
 ほかに何か議論を進めておくことは。

○川島検討員 先ほど、食料について楽観論のような言い方になっちゃったのかなと思うのですが、1つは、雑談のときにも指摘されたのですが、車との食い合いですね。もう一つ、食料の視点で入れなければならないのは、先ほど最後の方で申し上げました、日本という視点に立ったときにどう見えるかという、このあれは入れるかどうかなんですね。全世界の人類のことを考えるのか、日本のスタビリティー、安定性、安心と安全ですけれども考えるのか。食べ物のことだと、これは日本の食料自給率が低いということはよく言われるのですが、要するにアメリカから買っているのですよ。ほとんどアメリカから買っているので、過去の50年ぐらいアメリカが信用できるやつでいつも売ってくれた。だけれども、いつも何となく首根っこを押さえられていて、何かのときで機嫌を損ねて、また安井先生がご指摘になるように、今度はうまいものをやめて自動車の燃料をつくるということを言ったときに、日本としては非常に困るというような視点を主に入れるべきなのかというのは、どこかで議論しておくべきだと思うのですね。世界の人類として平和なのか、それとも日本として考えるのかというふうな視点です。これはどうするのでしょうね。かなり最初の方で議論があるといいと思うのですが。

○安井座長 まだ全く決まっていませんが、ただ、別に私が代弁するわけじゃないのですけれども、やはり日本という視点が抜けてしまっているのはまずいですよ。しかし、どこまでミクロにいくかというのは、これはまた問題で、沖先生にもあれだけれども、例えば日本の関東地方の水の状況はなんていうのにどこまで踏み込むかですよね。その辺はどこまでディテールに入るかどうかだけれども、とにかく国としての日本はいいあれじゃないかなと思うのですけれどもね。

○苦瀬企画官 そこは最初から意識はあったところですが、はっきりと決まってはなくて、議論の中で固まるところもあるのだとは思うのです。今回、参考資料でお配りしている終わりから3枚目ぐらいのところに、ビジョンという語の意味とかビジョン作成のフレームとかって、こういうのがあるのです。それの1枚紙の4ページをご覧いただきたいのですけれども、これが前回お配りした、原沢先生からご説明いただいた資料の一部です。その4と書いてあるところですね。「委員の先生方へのお願い」というタイトルになっているところの下の方、検討の範囲等のところなのですが、持続可能性の主対象は、資源・環境を中心とした、今の話題の文脈から言うと、日本社会のということが、それが中心、主対象だろうと。ただし、そうはいっても、食料も水もエネルギーもみんな世界全体とかかわっているので、その持続可能性が全然なくて日本だけ持続可能であるということはないだろうという意味で世界を入れると、大体こんな感じなのかなということで、お願いする側の意見として、前回こんな感じでお配りをしたというところでございます。

○安井座長 そういうことでございます。一応日本はかなり、やはり予算が出ているところは日本ですからね。日本を無視するわけにはいかないということでございますが。

○花木検討員 今日、3つの話で出てきたのは、やはり熱帯雨林のような場所が非常に脆弱であるということです。日本でのさまざまな活動が、もちろんそこに影響を与えるのだけれども、それをある程度書こうと思うと、どうしてもほかの国、すなわち中国なりアメリカなりのことを書かざるを得ないのですね。それを、ビジョンの中で所与のものとして入れていくのか、そういう国際的なさまざまな政策に対して日本が働きかけをするというようなところまで言うのか。その辺は、今のこの要請だとそこは言えないのかなと思うのですけれども、ちょっと議論しておく必要があるかなと思います。

○安井座長 ごもっともだと思いますが、多分、あるゴールを書いて、それに対するシナリオというもの、あるいはロードマップみたいなものを書いておくと、先ほどの話ではありませんけれども、ポリシーギャップみたいなものが出てきて、ポリシーギャップを減らすには外交努力は重要よみたいな答えになっているだけじゃないかなと思うのですけれどもね。

○湯本検討員 東南アジアの熱帯林を持っているところに、日本というのは相当ODAを出していますよね。だから、そういうところのODAで、やはり向こうのある種の政策というのは誘導されているわけじゃないですか。だから、そこのところというのは、日本の責任上、それはやはり考えるべきだと私は思っております。

○安井座長 ほかにどなたか。少し個別に入っていただいても結構かと思いますが、何かございませんでしょうか。

○沖検討員 前回の議事録を少し読ませていただきますと、なぜ2050年かというので少し議論が前回あったように思います。今日座長の安井先生が人口は2050年ぐらいで頭打ちになるのではないかとおっしゃって、それは非常に大事な点だと実は思っておりまして、今日はお話ししなかったですが、水の世界的な需要を考えたときに、途上国で今世紀の早いうちに足りなくなるのではないか。ただし、そのときに足りない分は、先ほど申し上げたバーチャル・ウォーターみたいに先進国で、アメリカの余裕があるところで作って、その分を途上国に持っていくことによって賄えるだろうというようなことを考えていたわけなのですが、同様に、2050年にピークを迎えるとすると、いろいろな環境的な問題が、その後は比較的余裕が持てるようになるとすると、極端な言い方ですけれども、2050年に向けたビジョンというのは持続的でなくてもいいのではないか。つまり、2050年、もしくは前後するとは思いますが、ピークを迎えるところまでは何とか乗り切って、その後持続的な社会になるようにすれば、そこまでの間は、非持続的な手段でもって世界の中の日本が栄えるというような考え方があっても、僕はいいのではないかとちょっと思いましたので、ご検討のときにちょっと加えていただければと思います。

○安井座長 人口は多分2050年ぐらいで減るのではないかと思っていますけれども、それ掛ける1人当たりの例えば物の消費とかエネルギーの消費とかを考えていくと、ピークは2100年ぐらいじゃないですか。だからそこまで、2050年、どうもそれが最悪のピーク、それを乗り切ればいいというものじゃないような気がするのだけれども。その辺はわかりませんけれどもね。

○若林検討員 人口の話が出てきたので。ご承知のように、日本はもう既に減少社会に入ったわけですね。中国はしばらく前までは2050年ぐらいがピークだろうと言われていたのが、大体今、2040年ちょっと手前までピークが前倒しになりました。そして、前倒しになって、大体2030年代後半ぐらいにインドと第1位を交代するということで、最新推計においては大体2040年ぐらいのピークに前倒しに変わってきております。それから、先ほど水問題でいろいろ出てまいりましたアフリカ等々は、増加率等々で言えばまだまだ膨大な増大をすると認識すべきです。それから、前回も申し上げましたように、いわゆるイスラム、宗教のイスラム圏の人口倍増は膨大なものだと認識しておかなければいけないと思います。それで、ヨーロッパなどは、今若干いろいろ、いわゆる婚姻外出生率増大等々が背後にあったりしながら、若干なりともの一たん落ちたものが何とか少し微々たる増大か云々、細かく言いますといろいろですが、旧社会主義国家の、あした実はポーランドへ行きますけれども、あの辺のところは大変な減少です。ロシア、つまり言うまでもなく極東は、今大変な減少です。これはすごい減少です。そこに今、中国人がどんと入っています。そういうような形で、かなり世界のいろいろな人口の構図が変わってきていますので、2050年、世界の国連推計、はい、92億、はい、それでというような掛け算方式ではそう簡単には人口問題は対処できないだろう。もう少し構造的なことをきちんと押さえておく必要があるというのが一言です。

○安井座長 そのほかに何かございますか。

○花木検討員 実は、さっき苦瀬さんがおっしゃられた、どこをターゲットにするかというので随分違ってきて、沖先生が言われたのは、2050年にもし一番悪いとすると、それを乗り切るのは、従来の日本で言うと高度経済成長のときにどんどん人が集まってくるのを、どう家を作ってどうさばいていくかというのとちょっと似た発想ですよね。ところが、日本のこれからの2050年までの姿として何を我々は理想像として描くかというと、将来の21世紀の後半に向けて、人類はどういうような社会をつくるべきか。そのある種の理想像を日本が先頭に立ってやるというところにあると思うのですね。そうすると、人口は増える、食料が足りなくなってくるというプレッシャーはもちろん背景にはあるのだけれども、余りそれに引きずられない方がよいと思います。日本のように人口は減ってきて、日本だけを見ると食料の需要が減り、エネルギーの需要が減ります。だけれども、だからオーケーだと思うのではなくて、さらに何か新たな姿を日本の社会、世界の社会の見本として示さなければいけないというところがあると思うのですよね。余り世界全体の動向として2050年がピークだ、2100年がピークなので、それを何とか乗り切るというところに行ってしまうと、その辺の理想像的な部分がちょっとなくなるような気もするので、その両面を見なければいけないのかなというふうに思います。コメントです。

○川島検討員 今の議論に関連いたしまして、食料の方から見ていると旧大陸と新大陸の対立って大きいのですね。現在はWTO交渉でどうしようというので、食料の輸出国になっているのはみんな新大陸の国ですね。アメリカ、カナダ、アルゼンチン、それからオーストラリア、そういう新大陸の国で、旧大陸の国は人口密度が高いので守る一方になっちゃっているのですね。ビジョンといったときに、私はこのごろ強く強く思っているのですが、みんながどこに住むのがいいのだと。現在の国の枠組みの中で、もうそれは動かないのだということがいいのかどうか。これは先ほども申し上げましたが、生物生産力が高いのは熱帯雨林のあたりなので、それが今までは適切に使われていなかったわけですね。ある意味、反収も非常に低いのですね。アフリカも含めて問題があるのですけれども、でも、基本的には太陽がいっぱい注いでいる地域なのですね。そこをどう使うかということも考えるのが、やはりビジョンなんじゃないかと。現在の国の構成は、そういうのをフィックスして、沖先生のバーチャル・ウォーターの話というのは、まさにこれを人が動かないで移している話なのですね。そういう話なのですね。だから、現在のところ、20世紀の後半に起きたことは、人間は日本にいるんだ、人は来てはだめ、国境というのは非常に強いんだ。物を動かしているということなのですよね。これはある意味
で非常に環境に負荷がかかっていることも多いので、そうしたら、やはりここは人間が住むべきところ、この辺は物を生産するべきところというようなところに組み込まれると、なかなかビジョンにならなくて、でも、そこまで言うと非常に夢物語にはなると思うのですけれども、そこの夢物語と現実のバランス。余り現実に強く行き過ぎちゃうと、夢も希望もない現状是認で、ちょっと政策過大くらいになっちゃうような気はしています。同じことを言ったのかもしれませんけれども、花木先生のお話で、やはり夢だったら、やはり人間って、余りここに住んではいけないのではないのというようなこともどこかに入ったらいいと思うのです。

○安井座長 そこまではなかなか難しい問題ですね。これはここだとどなたが一番いいのかわからないけれども、太田先生が一番いいのかもしれないけれども、これから世界の社会がどういうふうに──そういう意味で、例えば人と人との交流がどのようになっていくかなんて見ていくと、どうも何か孤立化の方向にあるような気がしてしようがない。だから、国境は場合によると紛争を除いては動かないという仮定かなと私は思っておりますけれどもね、50年間。

○森口検討員 川島先生から論点が出ましたので、もう少しスケールがやや小さ目になるかと思いますけれども、どこに住みたいのかという話は、やはり日本国内の議論をするときにも非常に重要ではないかなと思っています。また今日例としてお話をしたEST、交通の話なのですが、今、脱温暖化のプロジェクトでは、引き続きちょっと私は交通の方を担当しているのです。今後、例えば日本で2050年に1億であるとか、あるいはもっと減るというふうな話もあるわけですけれども、そういうところでどこに人が住んでいるかということによって、随分実は交通の形態とかが変わってくるわけですね。端的に言って、集まって住んでもらった方が実は交通のエネルギー消費量が非常に減ってくるわけです。モーダルシフトをやってくださいと言われても、モーダルシフトが成り立つような住まい方というのがあるわけですね。そんなところまで踏み込むのか、やはりそれはある種の外生変数というか、これはもうコントロールできないというふうに見るのか、そこがやはり政策の働きかけの対象とするのかどうかですね。その辺がやはり、もし日本国内の話についてもう少し精緻に詰めていくと、結構重要な話になってくるかなと。たびたび議論で出ていたかと思いますけれども、移民を受け入れるのかとか、あるいはさっきおっしゃった川島先生の話は、場合によっては、日本人が別に日本に住むということでなくてもいいのかもしれない。さっきの紙で言ったのは日本社会の持続可能性で、日本社会って何なのだろうかというあたりは、割にそこの像を具体的に書かないと、少しやはり議論が詰めにくいといいますか、入り込みにくいなという感じがしております。

○安井座長 さて、どうしますかね。

○川島検討員 今の森口さんの話とも多少関係すると思うのですけれども、その前に、バックキャスティングのお話をいただいたときに説明されていたように、バックキャスティングというのは規範的であるという、それが印象に残っています。それはバーチャルな水の利用にしろ、食料の生産地をどこにするかとか、あるいはどのような食生活をするとか、あるいは生態系をどこまで保存するかという、まずどういう社会にすべきかという、何かそういう規範的なモデルというか目標がやはり要る。それが望ましい日本社会と、世界各国に影響を与えている日本と世界のつながりでの、日本の社会が一つのモデルになるような形の社会なのだと。
 その具体的なところ、工学系の話もすると、よくドイツの学者がエコ近代化と言っていて、省エネで大気汚染も少ないような社会というのが先進工業国では目指すべき社会であるということで、何か日本もそういうエコモダン社会というのを一つ何か提示できれば、より具体的な世界のあり方で、これが世界の一つモデルになって環境の負荷も少ないのではないか。だから、それを自然環境とか農業とか、そちらの方向でも,先ほど、アフリカで外務省が推進しているネリカ米でしたっけ、それを水田の技法も含めてODAを使って普及させるという話もありますよね。それは先ほどのアグリビジネスに対応する雇用の問題として農業の振興に結びつけば、日本の技術というか、日本社会のそうした温かい、そういう援助をするというところ、世界とのつながりを求めるという感じがしました。そこをもう少し具体的に何か描ければいいなという気がしました。

○安井座長 ありがとうございました。割合と工学の話でございますが、続けますか。どうぞ。

○明日香検討員 すみません。私もついつい現実的になるのですけれども、ちょっと大きな話になるのかもしれないのですけれども、たしか温暖化のシナリオを考えるときには、先進国、途上国の収入の格差がどういうふうに縮まるとか、そういうようなファクターがたしか入っていたと思うのですね。やはりビジョンなり持続的な社会を考えるときに、そういう格差の問題がどう、まさに規範的な話になると思うのですけれども、そういうものを規範として考えるのか、それとも可視的なファクターとして考えるのか、その辺は考えてもしようがないのかもしれませんし、大きい話かもしれないのですけれども、どこかでまた入ってくるのかなと思いました。

○安井座長 多分それは必然的に、途上国のある部分のGDPなんかを考えざるを得ないと思っています。というのは、これは私の専門なのですが、要するに出生率というのはかなり豊かさのファンクションなのですね。だから、そうなってくると、人口をギブンで与えちゃって外へ出しちゃえば、多分やらなくていいのかもしれない。だけれども、そうじゃないとなると、やはりそこは考えなくちゃいけないかもしれない。実を言いますと、私自身は、先ほどの若林先生がおっしゃった中国2040年ピーク説じゃなくて、私は2020年ピーク説。もう大分早いのではないかと思うのです。というのは、やはりあれほど大学に行かなければいけないという人がふえ始めたら、そんなに子供はふえないのではないかという非常に単純な考えなのですけれどもね。いずれにしても、そんなこんなことがありますから、やはりある程度、それをだからギブンでやっちゃうかどうかという話かなという気がするのですけれどもね。いずれにしても、一つの大きなファクターかなという気はしていますけれども、その辺が決まると、何を食うかも決まってくるのでしょう。

○若林検討員 すみません。人口というのは、豊かになった、また何かあった、さあ、あしたから人口が減るかというとそうではないのですね。人口というのは出生率、もう20何年前から日本は2.1の置きかえ水準を下回った状態がずっと続いて、そしてようやく今回、20何年ぶりに人口の絶対点に入ったのですね。中国はひとりっ子政策はやっていますが、79年から始まって27年たちましたが、まだ去年の2005年の純増は768万人です。大昔、1970年ごろに2,200万、1年間に東京都の人口の2倍以上増えたころなんかのことから比べれば、768万人というのはわずかになったとも言えますが、まだ人口の増加は依然として継続しています。
 人口のモメンタムということが最近よく言われていまして、昔私は人口の持つ「宿命とつけ」という言葉で表現したことがあるのですが、人口というのは、一たん何かをやり出してふえ出しましても、ずっと継続する。そして、何か減少を始めても、依然として何というかモメンタムって惰性みたいなものが続くようなところがあります。確かに中国の都市の今の生活水準なんかがバーッとすごい勢いですので、経済成長が11%だということで、しかし、だからといってあした減るか、日本も、さあ、どうしたからどうなるかというようなことじゃなくて、依然として惰性と「宿命とつけ」が続くという中で、2040年前までは実際のピークが一応おさまるだろう。日本も20何年たって、現実の置きかえ水準を世代交代ができなくなって数字が20何年続いて、ようやくことし、この間の12月に人口の絶対減に入ったというようなところがありまして、何かをやる場合、今の中国のひとりっ子政策、実は中国共産党のトップは2010年まで続けると言っているんですが、本当の人口学者の中では早目にもうやめた方がいいという説もあるわけで、ちょっとその辺の人口の持つモメンタム、惰性的なところがあるということで、人口のピークはまだ中国においても続くというのが実情だろうと予測されています。

○安井座長 2020年ピーク説というのは、国連の簡易推計値なのですけれどもね。

○若林検討員 何年のですか。2年に1遍推計をやっていますけれども、去年の推計はまだ……。

○安井座長 下位がですか、中位がですか。

○若林検討員 もちろん、何かやる場合には中位で論じます。

○安井座長 大抵私は下位かなと思ったのですけれども。専門家じゃないからそんなことを言っているのですけれども、大体どうも簡易推計が過去当たっているような気がしておりますが。

○若林検討員 いいです、いいです。また推移を見まして……。

○安井座長 他にどなたかございませんか。

○川島検討員 人口の問題にも絡むのですが、先ほどちょっと申し上げたのですが、26億人ぐらい世界に農民がいるのですね。兼業の人も多いのですが、やはりこの人たちがうまく自動車を乗れるような人になるかどうかが、次の50年ですごくきいてくると思うのですね。どうも中国を見ているとかなり失敗していますね。都市部だけが豊かになっちゃって、これが次の資源エネルギーを、インドで似たようなことが起きるのか。マハラジャとその周辺だけのITテクノロジーだけが豊かになって、農民はずっと貧しいのか。それとも、ある意味で日本の過去の例のように、みんな豊かになった社会というのを実現できるのか。この辺は、やはり次の50年のシナリオの中でぜひ使っていただかないと、バックキャスティングですから、みんな日本のような社会になれという話になるのですかね。これはすごく大きいファクターだと思うのですね。

○森口検討員 川島先生がどんどんおもしろい議論のネタを提供してくれて、ついついそれをネタに討議をさせていただきますが、農民がみんな車に乗るのが望ましい姿なのかどうかというのは結構議論じゃないかなと思うのですね。つまり、車に乗るというのは、やはり豊かさの象徴なのですけれども、だれも多分それを余り疑っていないのだと思うのです。実はそういうことを書くと、結構例えば温暖化のビジョンを書くときにはしんどいのですね。車に頼らなくても住めるような住まい方というのを書かないと、実は交通の方でも温室効果削減のビジョンを書くとしんどいのですね。しかし、恐らく普通に議論をすると、農民が車に乗れるようなのがビジョンというか望ましい姿だというのは、割にスッと出てきちゃうと思うのです。ですから、そこもちょっと立ち返って議論ができないかなというのが、実は──でも、そんなことはあり得ない、やはりみんな車に乗りたいのだよというところからスタートすれば、車をどうつくらなければいけないかというところに議論が集中できるので、そこの絞り方ですね。あくまで例なのですけれども。

○安井座長 多分、これまたあれなのですけれども、ロードマップというわけではないけれども、シナリオと言った方がいいのかもしれないけれども、多分何本か書くのではないですか。それがあって、これは農民全員車型とか、最後はそういう形になっていくのではないのかな。

○苦瀬企画官 先ほども森口先生から、集中して住ませるというようなところまでいくのか、それを決めてからでないとなかなかというお話もあったのですが、森口先生はこの場以外でも話しているので、そういうことになるのかもしれませんが、ここでそういうご口調になられるのかもしれませんが、その後、安井先生からも今お話がありましたように、やはり何本かやるのかなという話は、さっきのまた同じ参考のビジョンの何とかという紙の3ページというところですね。さっき見ていただいたものの上の「ビジョンの作成のフレーム」。恐らくここで(2)の@、Aで、数が1個だか2個だか何個だかわからないように書いてあって、@のところで「各主要課題ごとに目標となる状態」、その後の文書の最後の「必要に応じ複数設定」、これをもしかしたら1つに決めるべきだという話になりそうな気がするのです。例えば温暖化が起きたら困るなとか、温暖化で被害を策定するような状況じゃない状況というのは、一応1つに設定しましょうみたいなことが各分野であるんだろうと思うのですけれども、その次の2つ目というのは、まさに今、森口先生、安井先生が言われたような、社会像そのものが複数言われるけれども、どっちかにしないと、それぞれのシナリオはつくれないという話になってくる。そこはだから、今の途上国も含めて全世界の農民が車に乗れるというような世界を背景とした、日本でもまたみんなが結構それぞれそういう物質的に豊かな生活をするという前提で、なお成り立つシナリオというような、そういうものから、それはほとんど解がないからできないということかもしれないのですが、わからないのですけれども、いろいろあって、さっきの話の例に戻すと、Aのところで目指すべき社会像というのが車たくさんかどうかという話について言えば、車たくさんでも頑張れというやつと、それは無理だからそうじゃないというのをとにかく一緒に述べて、何かそういうようなことなのかなと、今、先生方のお話を聞いて思いまして、その辺も何となく、このビジョン作成フレームという、この紙のところで何となくその辺をどうしたらいいだろうかということがありつつ、まさにこういう議論の中でその辺を定めていっていただけるとありがたいなという気がしています。

○安井座長 そういうことだそうでございます。

○沖検討員 今のを受けてというか、先ほどの湯本先生のお話で、やはり価値観のお話が大分入ってくると思うのですが、2050年に望ましいといったときに、どのようなものが望ましいかというのを、我々が考えるのと、今生まれたての子供が40年たったときにどう考えるかというのは、これは違う可能性があるのですね。極端なことを申しますと、例えば、多分今の上の世代というのは自然の中で遊ぶのが非常にいいことだと思っているかもしれない。ところが、今の若い人たちは、年をとってもテレビゲーム三昧の方が幸せで、クーラーの部屋でゆっくりしている方が幸せと思うかもしれないのです。もしくは、庭がある家に住むことよりは、コンパクトな集合住宅の方を快適と思うかもしれないといったことも含めて、意識というようなもの、意識もしくはどういうものがいいと思うだろうかということも、ちょっと考えないといけないと私は思います。そういう意味では、本当は将来のことを考えるこういう委員会は、余り上の世代だけでやるべきじゃないと。国の審議会令というのは女性3割入れなければいけないというのがあるのですけれども、20代、30代をもうちょっと入れなければいけないのではないかと私は最近思っているのですけれども。

○川島検討員 もう40代では。

○沖検討員 私も40代になりましたので全然だめですけれども、ちょっとそういう想像のつかないことを視野に入れて考えるべきじゃないかと思っております。

○安井座長 多分、ここに20代を入れるのは大変なので、幸いにして多くの委員の方々が大学の先生でいらっしゃいますから、せめてせっせと大学の学生に聞いてみてください。それ以下は難しいかもしれないですけれどもね。

○苦瀬企画官 ちょっとだけ補足で、さっきのビジョンの作成のフレームのAの目指すべき社会像を複数というのは、前回、原沢先生の方からご説明があった、サツキとメイの話とドラえもんの話をやったというのは、まさにその典型だという意味で、それで出たと思います。

○安井座長 そろそろ時間が尽きておりますが、実を言うと、今日は今、かなり大きな話になってしまったものですから、ちょっと個別な話ができなかったという面がございます。例えば、今日農業の話と水の話がございまして、先ほど、沖先生は農業用水というのはトン1円だとおっしゃったような気がするのですけれども、一体幾らまでフィージブルなのかとか、そんな話とか、それが決まると水は、例えば淡水化で農業用水みたいなことが可能なのかとか、いろいろな話が出てきて、何かその辺、テクニカルに何か詰めなければいけないような部分というのも結構いっぱいあるような気がするのですよね。その辺はどうしましょう。お考えいただいて、それでどこかでまとめてどこかでインプットしないといけないのかな。そんな感じがするのですが、何かうまいシステムがありますかね。例えば、最近の比較的古典的なやり方だとメーリングリストをつくるのですけれども、メーリングリストは邪魔なので嫌いだという人がいるかもしれない。私も余り好きじゃないのですけれども、何かうまい方法を少し考えないと、せっかくのインタラクションが消えてしまうという感じが何かしないでもない。次までに考えますか。

○苦瀬企画官 検討会の場だけの議論で消えないようにということで、個別に先生方にも連絡をしますけれども、システマティックにやるよい方法を、ちょっと後でご相談したいと思っております。

○安井座長 そういうようなことで、一応本日のスケジュールといいましても、何かやらなければいけないというものでもなかったわけですが、一応私のハンドリングする部分は終わったように思います。あと、増田さんの方からおまとめいただければと思いますが。

○増田課長補佐 事務局からの連絡事項でございますが、次回の検討会は、お手元の小さな封筒に開催案内が入れてございますが、9月19日の火曜日、14時から17時、虎ノ門パストラルの新館5階、オークにおいて開催いたします。次回は、花木検討員、山本検討員、湯原検討員、その順番でご発表いただきたいと予定しております。よろしくお願いします。
 それで、当日の資料につきましては、9月11日の月曜日までに事務局あてに送付いただければと思います。
 事務局からの連絡は以上でございます。

○安井座長 そういうことで、本日、あと1分ぐらいございますけれども、これにて終了させていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

午後 4時59分 閉会