1.スウェーデンにおけるグリーン調達について
(1) 持続可能な公共調達のための委員会
政府により、持続可能な公共調達のための委員会(The Committee for Ecologically Sustainable Procurement)が1998~2000年の期限で任命されている。
委員会は、持続可能な発展を実現する手段として、中央政府、地方政府及び州議会の公共調達を促進することを目的として発足しており、その役割は、調達ガイドラインの策定、EUその他の諸外国の情報収集や交流、普及啓発、成果のモニタリングなどを主に行うこととされている。
(2) 調達ガイドライン
委員会では、現在ガイドラインの草案を起草中で、2001年春に完成・公開の予定となっている。ガイドラインはすべての公的部門に適用される。また、ガイドラインには、持続可能な調達のモデルが含まれる。ガイドラインは、同国及びその他における既存の持続可能な調達のモデルや資料、WGでの検討結果に基づき策定される。
ガイドラインの主な内容は、購入者がすぐに利用できるような多数の環境情報に関する説明(environmental declarations)で、情報に関する説明(declarations)は質問表の部分と、各製品、サービス及び活動(work)ごとに重要となる環境配慮、根拠説明(factual description)、参考文献やリンク先からなる背景説明の部分から構成される。さらに、ガイドラインの2部においては、モデルがどのようにして構築されたか、サプライヤと製品、サービス及び活動が満たすべき環境上の基準、モデルの更新、モデルの組織への導入、モデルに含まれない製品、サービス及び活動への応用などについて示すこととされている。
(3) 戦略的に重要な品目及びサービス
特に戦略的に重要な品目及びサービスを絞り込んで対象とし、高い効果をあげようとしており、その対象は、次のとおりである。
- 建築物及びプラント(Buildings and plants)
- エレクトロニクス(コンピュータ)、電気製品(Electronics(computers)/electronic products)
- 紙及び森林からの原材料(Paper and raw materials from the forest)
- エネルギー(Energy)
- 化学製品(Chemicals)
- 調達に関する輸送手段(Transport.Both procurement of transports and indirect transports)
(4) WGの設置
委員会の下に、以下のWG(working group)が設置されている(現在、各WGの検討の具体的な進捗状況については、詳細に示されていない)。
- 新ガイドライン(The new Guideline)
- A.エコラベル、環境保全型製品の情報に関する説明及びEMS(Eco-labelling, environmental product declarations, environmental management systems)
- B.製造工程(Manufacturing processes)
- C.戦略的に重要な品目及びサービス(Strategically important goods and service)
- D.エネルギー(Energy)
- E.トレーニングの率先とセミナー(Training initiatives and seminars)
- F.マニュアルとガイドライン(Manuals and guidelines)
- G.ネットワーク(Networks)
- H.マーケティング(Marketing)
- I.建築物(Buildings)
- J.食料品(Foodstuffs)
- K.行政における事務及び事業(Works and services in building and administration)
(5) 教育
調達担当者とサプライヤを対象としたコースを2001年春に設定する予定である。2000年2~3月には、公的部門の意思決定者を対象とし、今後、ガイドラインをどのように利用していくかに関する連続セミナーが委員会主催で行われた。
2.アメリカ合衆国ニューヨーク州におけるグリーン調達について
(1) 州法S08226(2000年6月28日)
法律全体は、州の公的調達に関して、さまざまな観点から複数の法律の改正を行うもので、その一部(Section13)が、再生された物品(remanufactured commodities)を優先的に購入するために、財政法を改正したものである。
(2) 州財政法Section165のSubdivision3の改正(概要)
Section13 b.コミッショナー及び州の行政機関は、リサイクルされた(recycled)、再生された(remanufactured)、またはリサイクル可能な(recyclable)物品が、形態、機能、実用を満たす場合は、これを購入しなければならない。また、その物品のライフサイクル全体のコストを考慮しなければならない。公衆の健康や安全のために、リサイクルされた、再生された、またはリサイクル可能な物品の購入が困難である場合には、その旨決定する権限も有するが、この場合には、調達記録に文書として残されなければならない。
(I)次のような条件の場合、行政機関はリサイクルされた物品を購入しなければならない。
- リサイクルされた部分を含む物品の価格が、リサイクルされた部分を含まない物品の価格より10%以上高くない場合
- ニューヨーク州において発生する廃棄物(waste stream)を再生原料(secondary materials)として少なくとも50%使用している物品の価格が、同種の製品の価格より15%以上高くない場合
(II)リサイクル可能または再生された物品については、これらの物品が同時にリサイクルされた物品である場合を除いては、価格が高ければ調達を強制されない。
Section13 c.コミッショナーは、調達全般の明細書を定期的に見直し、回収・再生された原料(recovered, remanufactured)を使用して製造された物品の調達を妨げないようにしなくてはならない。また、紙製の物品の調達における再生紙の割合を増加させるよう、毎年、紙に関する調達明細をレビューしなければならない。
3.台湾におけるグリーン調達について
(1) グリーン調達に係る法律及び施行令の概要
台湾政府機関におけるグリーン調達の概要は、以下のとおりである。
- 政府機関は、「政府機関取引法」第96条により定められた環境保護標章対象製品及びそれと同一あるいは類似の機能を有する環境保護製品を優先的に調達する
- グリーン調達対象製品の優先選択に当たっては、価格面において10%までの価格優遇比率を設定可能である
- グリーン調達対象製品の分野及び範囲、及びその運用方法を定めた施行令が「台湾政府部門環境保護製品の取引に関する方法」である
- グリーン調達対象製品は、「第一類製品」「第二類製品」及び「第三類製品」に区分される
- 第一類製品とは、台湾の環境ラベルであるグリーンマーク対象製品または台湾の承認・協議のある外国の環境ラベル対象製品である
- 第二類製品とは、生産段階から廃棄段階にわたり、再生原料使用、リサイクル可能、低環境汚染、省エネルギーの要件を満たす製品であり、グリーンマーク対象製品に準ずる製品である
- 第三類製品とは、社会的便益を増大させるかまたは社会的費用を減少させる製品である
- グリーン調達対象製品は、第一類製品及び第二類製品を優先調達しなければならない
- 「政府機関取引法」及び「台湾政府部門環境保護製品の取引に関する方法」は1999年5月27日より施行されている
(2) 「政府機関取引法」及び「台湾政府部門環境保護製品の取引に関する方法」
「政府機関取引法」は、日本における「会計法」に相当する法律と考えられ、「台湾政府部門環境保護製品の取引に関する方法」は、同法の施行令である。
「政府機関取引法」におけるグリーン調達に係る規定は、第96条に定められており、その内容(仮訳)は、以下のとおりである。
(政府機関取引法第96条)
政府機関は、政府の承認した環境保護標章の使用を許可された製品及びそれと同一あるいは類似の機能をもった製品が優先されることを入札書類において規定する。この優先には、10%を超えない範囲での価格面の優先を含む。製品またはその原料が生産、使用及び廃棄の過程で再生原料使用、リサイクル可能、低汚染、省エネルギーの要件を満たす場合にも、このような優先の対象となる。
前項の内容は、社会的便益を増大させるかまたは社会的費用を減少させ、かつ必要とされる同一または類似の機能をもつ他の製品にも準用される。
上記2項に述べられた製品の分野及び範囲、及び施行令は、所管の政府機関である行政院環境保護署及びその他の該当する機関によって定められるものである。