1. 日時
平成25年1月30日(水) 15:00~17:03
2. 場所
財団法人日本環境協会 日本橋オフィス 大会議室(東京・日本橋馬喰町)
3. 参加者(敬称略)
委員(50音順)
- 臼杵 ひろみ
- (株式会社ファンケル 管理本部 総務部 CSRグループ グループマネージャー)
- 岡田 康夫
- (株式会社大丸松坂屋百貨店 本社CSR推進室スタッフ 社会活動推進担当)
- 片山 裕司
- (一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会 環境委員会 委員長)
- 辰巳 菊子
- (公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会 常任顧問)
- 中坊 恵美
- (イオン株式会社 グループ環境・社会貢献部 部長)
- 西尾 チヅル
- (筑波大学大学院 ビジネス科学研究科 教授) *座長
- 花田 眞理子
- (大阪産業大学大学院 人間環境学研究科 教授)
オブザーバー(50音順)
- 尾池 稔
- (新日本スーパーマーケット協会 専務理事付 調査役)
- 島村 真司
- (一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会 CSR推進部 課長)
- 高橋 亜子
- (日本百貨店協会 政策統括担当)
- 渡辺 正治
- (日本チェーンストア協会 政策第三部 リーダー)
環境省
- 峯村 高志
- (環境省 総合環境政策局 環境経済課 課長補佐)
- 田中 美穂
- (環境省 総合環境政策局 環境経済課 環境専門調査員)
事務局
- 麹谷 和也
- (財団法人日本環境協会 グリーン購入ネットワーク 事務局長)
- 深津 学治
- (財団法人日本環境協会 グリーン購入ネットワーク 事務局次長)
- 木村 憲
- (財団法人日本環境協会 エコロジカル・リテラシー研究所 代表)
4. 議題
(1) 開会
(2) エコなお買い物を促進する小売業者の評価手法について
(3) エコなお買い物を促進した小売業者に付与されるインセンティブについて
(4) 今後のスケジュール
5. 配付資料
- 資料1
- 消費者におけるエコなお買い物促進策 検討会委員名簿
- 資料2
- 小売事業者及び業界団体等へのヒアリング結果
- 資料3
- エコなお買い物を促進する小売業者の評価手法について
- 資料4
- エコなお買い物を促進した小売業者に付与されるインセンティブについて
- 資料5
- 今後のスケジュール
- 参考資料1
- エコ・アクション・ポイントの登録・承認基準
- 参考資料2
- 第2回検討会資料
(環境配慮型製品の販売を促進する小売事業者の評価手法(案)) - 参考資料3
- 環境保全及び小売流通業に関する表彰制度の概要と本事業におけるインセンティブ(表彰)との連携の可能性について
- 参考資料4
- 日本標準商品分類
- 参考資料5
- 第2回検討会議事録
6. 議事
(1) 開会
第3回検討会開会にあたり、事務局より検討会への出席に対し謝意が述べられた。続いて、座長の西尾チヅル氏より前回の検討会の議論経過、今回の検討会の議題及び進行に関する事項について話があり、議事に先立ち配付資料の確認が行われた。
[開会]
- 麹谷氏:それでは、第3回検討会を開会させていただきます。本日は1月末の大変お忙し中、本検討会にご出席をいただきありがとうございます。約2時間の予定でございますが、熱心なご議論をよろしくお願いしたいと思います。では、西尾座長に進行をお願いいたします。
- 西尾座長:皆様、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。本日を含めてあと2回の検討会が予定されていますが、本日は非常に重要な会議になるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
前回の会議では、環境配慮型製品普及に関する国内外の先進事例の調査結果に基づき、評価手法とインセンティブについて皆様に議論をしていただきました。その後、事務局のほうで小売事業者や消費者団体の方々にヒアリングをしていただきましたので、その結果についてご報告をいただき、評価手法とインセンティブについてさらに検討を進めていきたいと考えています。2時間という限られた時間ではございますが、よろしくお願いいたします。それでは、議題に入る前に配付資料の確認をお願いいたします。 - 深津氏:本日お配りしております資料は、まず議事次第が書かれたものがあり、この中に資料1から資料5が綴じ込まれております。別紙として、参考資料1から参考資料5をお配りしております。なお、参考資料5の第2 回検討会議事録につきましては、参加いただいた皆様にご確認をいただいております。配付資料につきましては以上でございます。過不足がございましたら事務局のほうまでお申し出ください。
(2) エコなお買い物を促進する小売業者の評価手法について
事務局より、小売事業者及び業界団体等のヒアリング結果の報告、ならびにエコなお買い物を促進する小売業者の評価手法案の説明が行われた。これを受け委員による議論が行われ、評価にあたっての新製品の扱い、対象事業者における専門店の扱い、中間層と呼ばれる消費者による購入状況の把握、評価における業態の区分などについて意見が出された。
[説明及び議論経過]
- 西尾座長:それでは、早速一つめの議題に入りたいと思います。エコなお買い物を促進する小売業者の評価手法案について、事務局のほうから、関係者のヒアリング結果とあわせて説明をお願いいたします。
- 深津氏:昨年の11月に第2回の検討会を開催いたしまして、12月に小売事業者、業界団体、消費者団体の方々に、評価手法案とインセンティブ案についてヒアリングを実施させていただきました。なお、日本通信販売協会様に関しましては、環境・社会貢献委員会のメンバーの方々に同時にヒアリングを行わせていただいており、本検討会で検討している事業の内容について初めて聞く、という方からのご意見も含まれております。
評価手法案に関しては、環境配慮型製品の普及に積極的に取り組む事業者を評価する項目の内容や基準として適当か、インセンティブ案に関しては、前回の検討会の中で委員の方々からもご指摘をいただきましたが、中間層の購買行動を変えるために小売事業者のどういう部分をどのように誉めると取り組む意欲が湧いてくるか、どういうインセンティブの形態が適当であるか、という観点からご意見を伺いました。
ヒアリングで出された意見について、かいつまんでご紹介をさせていただきます。
評価の対象製品の範囲については、水産食品、農産食品など、どこまでを対象とするのか、あるいは耐久財を含むのかどうか、といったご意見をいただきました。これらの点につきましては、日本標準商品分類の大分類7 及び大分類8 に該当するものを中心に対象範囲としたいと考えており、後ほど詳しくご説明をさせていただきます。
評価において、環境配慮型製品の仕入率や販売率を把握するという案になっていますが、その際の商品群ならびに環境配慮型製品の定義について、ご意見をいただきました。商品群の考え方については、例えばボールペンの場合、商品群の範囲を文房具と捉えるのか、筆記具と捉えるのか、ボールペンと捉えるのか、4 色ボールペンと捉えるのかによって率の計算結果が変わってくるので、明確にしてもらいたいといったご意見がありました。環境配慮型製品の定義については、どこで線引きをするのかによって該当商品になるかどうかが変わってくるため、定義や基準を明確にしてほしいといったご意見をいただきました。商品群ならびに環境配慮型製品の定義につきましては、後ほど資料3においてご説明をさせていただきます。
評価項目の内容について案を示した上でご意見を伺ったところ、販売実績に関しては、必ずしも消費者が環境配慮型製品だと認識した上で購入した実績ではないと考えられることから、調達方針の有無や仕入比率の評価ウェイトを高くしてはどうか、というご意見がありました。また、小売事業者が環境配慮型製品であるという情報をどのようにして消費者に届けたのかという点も評価すべきではないか、販売実績よりも商品群における環境配慮型製品の売上比率の評価ウェイトを大きくするべきではないか、といったご意見もいただきました。さらに実績の把握に関して、環境配慮型製品の構成比率や売上比率を算出するには相当の手間がかかる、実績をどこまで公表する必要があるのか、前年実績がない新しい製品は評価対象とするのか、小売事業者が扱っている環境配慮型製品のすべての販売実績や売上構成比率等を評価するのか、あるいは特定の商品について評価するのか、といったご意見が出されました。
前回の検討会では、評価を受ける事業者の前提条件として、消費者に気づきを与えるような訴求方法を採っている、消費者の目に触れる機会を積極的につくっている、従業員の教育を行っている、といった項目を挙げておりましたが、皆様からの意見を踏まえ、これらを調査項目という位置づけとしてヒアリングをさせていただきました。その中では、これらの項目を前提条件ではなく評価の対象とすることは良いと思う、調査項目については必須項目や任意項目という設定があっても良いのではないか、といったご意見が出されました。また、消費者への訴求方法や内容を具体的に例示する方法と自由記入とする方法が考えられ、そこに書かれた内容を調査項目ではなく点数を付与する評価項目として位置づけてはどうか、というご意見もありました。さらに、訴求方法については単純に量や回数で評価するのではなく質の部分も見ていく必要がある、調査項目はどのような基準で評価を行うのか、調査項目の一つとして消費者の声を反映させる仕組みを入れてはどうか、といったご意見が出されました。このほか、調査項目について社内で自己採点するような形で活用する仕組みも考えられるのではないか、といったご意見もありました。
その他の評価項目についてですが、調達方針は必ずおさえておくべき項目である、というご意見がありました。また、調査項目や評価項目について小売事業者が自己採点で記述するだけではなく、取組の内容を正確に把握するために項目や基準をきめ細かく設定することが必要ではないか、販売手法を標準化させることは難しいのではないか、といったご意見も出されました。
調査項目及び評価項目を使って小売事業者の方を評価していきたいと考えているわけですが、評価の仕方に関して、多くのフランチャイズ店を抱える小売事業者の場合、POP の掲示回数やチラシの発行頻度・内容等について本社や本部がどこまで詳細に把握できるかという課題がある、といご意見がありました。また、前回の検討会では、企業全体の取組を評価するという議論の方向性があったかと思いますが、企業全体を評価する仕組みと個別店舗のユニークな取組を評価する仕組みと両方が必要ではないか、というご意見もいただきました。
一定程度取組が進んでいると評価された小売事業者さんに対して、どのようなインセンティブを付与するかという点に関してですが、誰が表彰を行うのかという点については、皆さんから質問が出されました。また、審査が複雑になりすぎないようにしてほしい、様々な表彰制度がある中でこの制度の知名度を上げていく必要がある、評価基準の透明性が重要である、評価対象については主催者側が調査するのか事業者が応募するのか、などのご意見をいただきました。また、エコプロダクツや店舗のハード面の取組を評価する制度はあるが、販売面に関して評価を行う制度がないので、その部分を評価しようとすることは価値があるのではないか、というご意見もありました。さらに、表彰制度、認定制度、取組実態の公表はいずれか一つではなく一体的に行ってはどうか、環境省から表彰してもらえることは価値がある、といったご意見も出されました。このほか、販売実績等による評価だけでなく、例えば消費者が選ぶ○○賞やコミュニケーションの側面から評価を行うことなども検討してはどうか、という意見がありました。中には、社会的なインセンティブだけではなく企業の取組をバックアップするようなインセンティブ、一社ではなかなかPRしきれない部分を支援してもらえる仕組みなどを望む声もありました。評価の仕組みや企業が表彰されたことを個人消費者の方が認識し、次の購買行動につながるような好循環にしていくような取組が必要である、というご意見を複数の方からいただきました。単年度の取組ではなく少し長いスパンで継続的に取組み、社会に根付くような仕組みにしていく必要がある、というご意見もいただきました。
以上、小売事業者、業界団体、消費者団体の方々にヒアリングをさせていただき、その中で出されたご意見をかいつまんで紹介させていただきました。 - 西尾座長:ヒアリングを通じて多くの貴重なご意見をいただくことができたと思います。これを踏まえて検討された評価手法に関する事務局案についてご説明いただけますでしょうか。
- 深津氏:評価手法の案について、まず評価の目的を確認させていただきますと、環境配慮型製品を積極的に販売促進する小売事業者を適切に評価し、インセンティブを与えることで環境配慮型製品の販売を加速させ、市場のグリーン化を推し進めていくことを目的としています。評価の仕組みについては、小売事業者が調査項目及び評価項目に沿って自己採点した結果に基づき応募し、評価された事業者を認定もしくは表彰するという仕組みにしてはどうか、ということをご提案したいと思います。
評価の対象者は、百貨店、大規模小売店舗(GMS)、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、通信販売の5つの業態としたいと考えております。応募区分についてですが、ヒアリングの中で、企業だけでなく個別の店舗を評価するような仕組みが必要ではないかというご意見をいただきましたので、本日の案では、企業としての取組を評価する「企業部門」と、個別店舗としての取組を評価する「個店部門」の2 部門を設けてはどうかと考えました。すべてのフランチャイズ店を対象とした小売事業者としての取組を評価してもらいたい場合には企業部門に、個別店舗独自のユニークな取組を評価してもらいたい場合は個店部門に応募していただく、という2つの入り口を設けてはどうかと考えています。
評価の対象製品についてですが、食料品及び飲料・生活文化用品等の非耐久消費財と呼ばれるものを対象にしたいと考えています。具体的には、参考資料4の日本標準商品分類の大分類7の食料品、飲料及び製造たばこ、ならびに大分類8の生活・文化用品に該当するものが中心となりますが、大分類2の中の紙も含めてはどうかと考えております。なお、大分類8のうち、医療用品、医薬品、楽器、スポーツ用具、印刷物・フィルム・レコード、美術品、標識及び公告用品、宗教用具については、スーパーなどであまり販売していない商品であることから、対象から外してはどうかと考えております。
小売事業者を誰が評価をするのかという点については、第三者もしくは実行委員会等の組織で行うことを考えております。
評価基準・評価方法については、先ほども少しお話をさせていただきましたが、第2回の検討会で前提条件としていた事項を調査項目として位置づけ、調査項目と評価項目の2つにより評価を行うことを考えております。調査項目は、小売事業者が環境配慮型製品の販売促進に向けて行う消費者への訴求方法や訴求内容、従業員教育の内容などの項目とさせていただき、応募にあたっての条件となる必須項目を設定させていただいております。また、調査項目については点数による評価を行わず、どのような取組をされているかを伺うこととしております。一方、評価項目は環境配慮型製品の調達及び販売の実績に関する項目からなっており、点数による評価を行うための項目として位置づけております。
調査項目としましては、売場での訴求方法、売場以外での訴求方法、訴求内容、店舗従業員の教育、関係者との連携などを挙げさせていただいております。評価項目については、前回の検討会で示した内容から大きく変わっておりませんが、環境配慮型製品の販売促進に関する会社としての方針があるかどうかを追加しております。また前回、継続性・発展性としていた項目を、これからの計画や目標ということで、今後の発展計画という項目とさせていただきました。実績を把握する対象期間については、シーズンで区切ると比較が難しいと考えられるため、1年間という期間としてはどうかと考えております。
環境配慮型製品の定義については、第2回の検討会でも説明をさせていただきましたが、環境省さんが進められているエコ・アクション・ポイントのプログラムで定める基準を活用してはどうかと考えております。参考資料1に具体的な内容として、カーボン・オフセットされた商品、地産地消の食料品などが記載されておりますので、ご参照いただければと思います。
最後に、先ほどご紹介しましたヒアリングの中で課題として挙げられた事項に関する対応案をお示ししたいと思います。商品群の定義については、参考資料4に示された日本標準商品分類の小分類項目を引用することとしてはどうかと考えております。例えば、ボールペンの場合は「筆記具」の商品群に含まれることになります。
環境配慮型製品の定義については、先ほど申し上げましたとおり、エコ・アクション・ポイントのプログラムで定める基準を活用することとしたいと考えておりますが、同プログラムでカバーされていない商品分類や品目については、別途検討することとしたいと考えております。
環境配慮型製品の販売実績と中間層と呼ばれる消費者の方々による購入とのひもづけについては、現実的には困難であると考えられることから、対象商品の販売実績、売上構成比率の実績をもって評価することとしたいと思いますが、何か良い案がありましたらご提案いただきたいと思います。
新製品の扱いにつきましては、普及度合いを前年度との対比で評価することができないため、現時点では、当該年度に発売された新製品に関しては対象外とし、継続的に検討をしていきたいと考えております。
販売実績や売上構成比の公表については、基本的には公表を求めたいと考えておりますが、企業や製品によって公表が難しい場合には審査段階止まりということにしてはどうかと考えております。
調査項目に関して、事業者がその項目に取り組んでいると判断するための基準については、様々な業態や小売店舗があることから、各項目について一律の基準を設けることは難しいと考えており、頻度や媒体、内容等を具体的に記述いただくこととしてはどうかと考えております。
また、先ほどご説明しましたように、企業だけでなく個別の店舗としての取組も評価できる仕組みにしてはどうかと考えております。
以上、ヒアリングの中で出された課題に対する対応案について説明をさせていただきました。 - 西尾座長:どうもありがとうございました。今ご説明いただいた評価手法に関する事務局の提案について、ヒアリングで出された意見が反映されているか、さらに検討すべき事項がないか、といったことを含め、ご質問、ご意見をいただければと思います。
- 辰巳委員:新製品に関して、対前年比の効果を評価ができないので対象外にしてはどうか、というお話がありましたが、環境面で優れたユニークな製品が発売された場合、1年間応募を待たなければならないことになるのでしょうか。メーカーさんが開発して小売事業者も売ろうと思えるような優れた商品が対象から外れてしまうのはどうなのかな、という気がします。
- 麹谷氏:この部分に関しては、事務局としましても非常に悩んだポイントの一つです。ただ、効果を検証するというところで数値を出すことができないわけで、仮に売上規模の大きさで評価をしようとしても、評価基準を設定することが難しい面があります。一方、環境技術がどんどん進歩していく中で、新しい商品が短いサイクルで登場するという状況を考えると非常に悩ましいのですが、事務局としては良いアイディアを出すことができず、現時点では対象外にしてはどうかという案を出させていただいたというところでございます。
- 臼杵委員:評価の対象者となる小売事業者は、百貨店、大規模小売店舗(GMS)、スーパーマーケット、コンビニエンスストアとなっていますが、専門店は入らないという理解でよろしいでしょうか。
- 麹谷氏:現時点では対象外にしております。
- 臼杵委員:その次に、通信販売が対象として記載されています。実態として通信販売事業者はほとんどが専門店なのですが、こうした事業者は対象に入るのでしょうか。あるいは、総合通信販売事業者のみが対象となるのでしょうか。先般、日本通信販売協会にヒアリングに来ていただいた際に参加した事業者も、ほとんどが専門店の方たちです。この案ですと、店舗を通じて販売する事業者は総合的なイメージで、通信販売に関しては専門的な事業者が中心になるという形になります。
- 麹谷氏:通信販売をどのように定義するかというところに関わる話かと思われます。これまでの議論では、通信販売という新たな販売形態が拡大する中で、環境配慮型製品を積極的に販売していただくための知恵を落とし込んでいただきエコ商品の普及につなげていきたい、という考え方があります。通信販売事業においては専門店が中心であるという状況があるわけですが、お話したような通信販売の位置づけを考慮し、専門店も含め対象に入れてはどうかと考えております。現時点ではこの対象案でスタートし、制度の運用を進める中で課題を整理し、対象範囲を見直していくということもあると考えております。
- 臼杵委員:小売店の洋服屋さんは対象外で、インターネットを通じた洋服の販売は対象ということになるのでしょうか。
- 麹谷氏:そういうことになります。
- 花田委員:個人商店は対象から外れているので、商店街のお店などは含まれないということですよね。
- 麹谷氏:そういうことになります。制度をスタートして以降、どのように対象を拡大していくかという全体観をお示しできていないので、結論を導き出しにくい面があるかと思いますが、事務局としては、まずはこの対象範囲でスタートすることにしたいという考えでございます。
- 辰巳委員:長期的には様々な小売店を対象とすることを考えているが、スタートにあたってはこの考え方でいきたい、ということですね。
- 西尾座長:一委員の立場として発言をさせていただければと思います。辰巳委員や臼杵委員が言われたこととも関連するのですが、小売店に関しては、総合的に多様な商品を扱っている事業者を対象とするという案になっていますが、実際に売上構成比などを算出する際には、その店舗が扱っているすべての商品群を対象とするのではなく、特定の商品群に関して計算を行うことになるわけですよね。また、評価基準案を見ますと、比率が高ければ評価点が高くなるという仕組みになっているわけでもないと思われます。だとするならば、専門店についても対象となる商品を扱っているのであれば、総合店舗と同じような形で比率の計算ができるわけですから、評価の対象事業者に含めても良いのではないかという気がします。
また、評価の目的の中では、環境配慮型製品の普及に関してボリュームを重視するような考え方が示されている印象を受けるのですが、必ずしも店舗の売上全体におけるカバー率を重視しているわけではないように思えるのですが、そのへんについてはいかがでしょうか。 - 麹谷氏:現在の案で対象となっている小売事業者の方は、大手企業が中心となっています。その趣旨は、大手の事業者の方々の取組を促すことにより市場に対する影響力を高めていきたいというところにあります。通信販売事業に関しては専門店が多いということですが、この分野のビジネスが拡大しており市場に対する影響力が大きくなっているという観点から、専門店も含め対象としてはどうかと考えております。西尾先生がおっしゃられたように、全体としてのマスを重視しているのか、特定の分野の特定商品の取組を狙っているのかという点については、ファジーな面もありますが、市場や消費者に対する影響力を高めるために、スタート時点でどこに重点を置くかということから、この案を提示させていただきました。
- 西尾座長:私は大手事業者かどうかということを申し上げたのではなく、対象となる様々な商品を扱っている総合的な小売事業者を対象としている一方で、実際の評価においては、店舗で扱っている対象商品すべてに関して評価を行うわけではなく、その中の特定の商品群における売上構成比などを算出するという仕組みになっており、そうであるならば、店舗が扱っている商品分野が多いかどうかで対象事業者を決めるのではなく、専門店も対象に含めても良いのではないかと思うわけです。その部分のロジックが少しずれているように思えます。
- 花田委員:大手の事業者さんを動かすことにより市場を動かすという考え方と、特定分野における環境配慮型製品の比率を戦略的に高めていこうという考え方があるわけですが、もう一つ、表彰された店舗のことを聞いたときに、こういう取組もあるのだ、素晴らしいな、というように受け止められることによる効果というものも、この制度に期待しても良いのではないかと思うのです。だとするならば、先進的な取組を行っているところを拾ってあげたい気がいたします。先ほど新製品が評価の対象にならないというお話がありましたが、そうすると、先進的な製品を販売する市場におけるイノベーターが対象から漏れてしまうことになるのではないかと思います。こうした事業者を対象に含めても論理に破綻はきたさないような気がするのですが、いかがでしょうか。
- 西尾座長:評価指標の中にユニークネスのようなものを入れるかどうか、ということかと思います。案として示されている項目が足切りのような位置づけではないのだとしたら、そうした商品についても応募して構わないという考え方もできるかと思います。
- 片山委員:もともとの制度の目的は、環境に対する関心があまり高くない層に環境配慮型製品をもっと買ってもらう、そうした取組を行っている事業者にインセンティブを付与するというところにあったかと思います。中間層と呼ばれる消費者の購入促進につながったかを把握するのは、なかなか難しいと思われますが、環境に対する関心が薄い消費者層のイメージとして、例えば50才以上の男性の購入が増加していることを評価する、というような切り口も項目の中に入れておかないと、単に環境配慮型製品が多く売れましたということだけではかなり多くの該当事例が出てくると思いますし、制度の目的に対してどうなのかなという感じがします。
このため、購入した消費者層が想定できるような基準を入れ込む必要があるのではないかと思います。先ほど、こうした基準を設定するのは難しいというお話がありましたが、そのような評価基準がないと、類似した既存の表彰制度とあまり変わらないものになってしまう可能性があります。難しくても、購入した層がわかるような基準を設けることで、従来にない切り口による新しい制度ができるのではないかと思います。 - 麹谷氏:業態によって違いがあるかと思いますが、片山委員が言われたような購入者の方の年齢や性別などの情報を、店舗では持っているのでしょうか。
- 片山委員:持っているところと持っていないところがあるかと思いますが、販売量だけで的確な評価をするのはなかなか難しいと思います。
- 西尾座長:販売量の大きさだけでは、増加の要因が製品の特徴なのかチャネルの特徴なのかがわからないと思います。例えば、エコ意識がそれほど高くない普通の消費者がエコプロダクツを購入してくれたという証拠を、定量的なものでも定性的なものでもいいので出してください、といったやり方がいいのかもしれません。企業にそうした情報を出していただけるか、という問題はあると思いますが。
- 麹谷氏:貴重なご意見、ありがとうございます。事務局ではヒアリングの結果を踏まえて今回の案を提示させていただきましたが、考慮すべき事項が漏れている部分もありますので、これまでにいただいたご意見をもとに次回の検討会に向けて再整理をしたいと思います。ただ、実際にどういうレベルで情報を集められるかという点については、実態をしっかりと把握した上で、こうした形であれば対応が可能ではないか、という案を出させていただければと思います。そのために、委員の皆様にあらためてヒアリングをさせていただくことがあるかと思いますので、お知恵を拝借できればと思います。
- 辰巳委員:評価については、業界ごとに分けずに横断的に評価するという案になっていますが、異なる業態の企業を評価するのは難しい面もあるのではないかと思います。
- 麹谷氏:これまで2回の検討会において、中間層と呼ばれる消費者の方々に気づきを与えて行動に結びつけていくという観点から、業態別に分けて評価する必要はないのではないか、といった議論がなされたかと思います。それを踏まえて、区分せずに評価を行ってはどうかという案を作らせていただきましたが、実際にそうした形で的確な評価を行えるのかという点については、もう一度検証が必要かもしれません。
- 辰巳委員:先ほど片山委員からお話があった消費者層とのひもづけについては、できる可能性があるのではないかと思いました。ただ、そうしたデータを把握できる事業者はそのような説明を行い、把握できない事業者はひもづけされていない情報を出した場合に、両者をどのように評価するのか。いろんな業態を分けずに評価するのであれば、評価の方法も一つじゃなければならないと思います。そうすると、ひもづけのデータによる評価というのは、難しくなってくるようにも思えます。
- 麹谷氏:一つのモノサシで評価をするのではなく、複数のモノサシを設けて総合的に評価を行うという方法も考えられるのではないかと思います。いくつかのテーマを設定して、その中で優秀な事例を表彰するという方法も考えられるかと思います。結局、環境に関心がない層の行動をどれだけ変えることができ市場を動かせたか、という点が評価の基準になれば、制度としてスタートが切れるのではないかと考えています。
- 西尾座長:さらにヒアリングを行う中で、事務局のほうでもう少し課題を整理していただければと思います。
(3) エコなお買い物を促進した小売業者に付与されるインセンティブについて
事務局より、エコなお買い物を促進した小売業者に付与されるインセンティブについて、内容、付与方法、他の制度との連携の可能性等について説明が行われた。これを受け委員による議論が行われ、表彰制度における賞の重みづけ、中間層と呼ばれる消費者の行動への影響のとらえ方、地域の消費者による受賞企業のチェック、表彰制度と認定制度の特性・位置づけなどの観点から意見が出された。
[説明及び議論経過]
- 西尾座長:それでは、エコなお買い物を促進した小売業者に付与されるインセンティブについて、事務局のほうからご説明をお願いいたします。
- 深津氏:前段でご説明したヒアリングの中でも、どのようなインセンティブが望ましいかといった点についてご意見を伺いました。第2回の検討会で、経済的なインセンティブについては少しハードルが高いというお話があったかと思いますが、ヒアリングをさせていただいた中では、表彰制度という形が良いのではないかというご意見が多かったので、本日の資料においては表彰制度を想定して内容や付与方法について記載させていただきました。
インセンティブの目的は、環境配慮型製品の販売を加速させることで消費者による環境配慮型製品の購入を促進し、市場のグリーン化を図ることであり、そのためのドライビングフォースとしてインセンティブを付与する、という考え方です。
インセンティブの内容については、表彰制度という形にしてはどうかということで記載させていただきました。その理由として、先ほどお話ししましたように、ヒアリングの中で表彰が良いのではというご意見を多くいただいたことがあります。先ほどご議論いただいた評価手法に基づいて応募していただいた小売事業者のうち、環境配慮型製品を積極的に販売促進していると評価された小売事業者を表彰するということで、表彰の重みを持たせる意味からも、環境大臣による表彰という形にできればと考えております。
応募から表彰までのプロセスですが、まず、環境配慮型製品の販売促進を行っている小売事業者さんが自己採点を行い、評価組織に応募をしていただきます。評価組織については、関係者の方々により構成される実行委員会のような形態を想定しております。評価手法により審査、評価を行った結果に基づき、環境省さんのほうから小売事業者さんを表彰していただく、という流れにしたいと考えております。また、単に表彰を行うだけでなく、評価組織、環境省、受賞した小売事業者などが、結果を対外的に広く発信することにより、表彰の価値を高めていくことが重要だと考えています。
新たに独立した制度としてこうした表彰を行う意義としては、小売事業者の環境配慮型製品の普及という側面に特化した形で表彰とすることができることが挙げられます。その一方で、課題として、評価組織の設置、募集の告知・周知、表彰結果の認知度の向上、運営に必要な財政面の対応、環境大臣賞の申請などが考えられます。
既存の表彰制度に関して、環境に特化した制度、また小売・流通業に特化した制度として、参考資料3に示すような制度があります。当然のことながら、本検討会で議論を進めているような対象を表彰する制度は存在しておらず、だからこそ検討する意義があるといえるわけですが、仮に既存の表彰制度との連携をする場合、その意義としては既存表彰制度の認知度、運用方法を活用することができるという点が考えられます。一方、課題としては、募集時期、応募区分、審査基準、審査方法、環境大臣賞など賞の重みづけ等に関して調整を行う必要が出てきます。
連携をすると仮定した場合ということで、いくつか例示をさせていただきました。
まず、グリーン購入大賞との連携についてですが、グリーン購入大賞はグリーン購入ネットワークが運営する表彰制度であり、環境に配慮した製品やサービスを優先的に購入する「グリーン購入」の普及拡大に取組む団体を表彰するもので、毎年60件前後の応募があります。グリーン購入大賞において小売事業者さんが受賞した事例としては、アスクル、らでぃっしゅぼーや、パルシステム生活協同組合連合会、平和堂などがあり、本検討会で検討を進めている販売面だけでなく、小売店全体の取組を評価して表彰を行っております。連携を行う意義として、グリーン購入大賞では、環境配慮型製品・サービスを購入する取組と同時に、顧客に環境配慮型製品・サービスを販売するためのコミュニケーションに関する取組も表彰しており、連携により販売面の取組をクローズアップすることができるのではないかと思われます。課題としては、小売事業者さんへの十分な告知、小売事業者のみを対象とする応募区分の設定、企業として評価する切り口と個別店舗を評価する切り口の両方の応募区分の設定、審査委員の選考、審査方法の調整、既に設定されている環境大臣賞との調整、スケジュール面の調整などが考えられます。
次に、地球環境大賞との連携を想定した場合についてですが、地球環境大賞では地球温暖化防止や循環型社会の実現に寄与する新技術や新製品の開発という分野に重点が置かれているためか、比較的メーカーさんの受賞の割合が大きいようですが、販売という切り口を加えることにより、制度の価値が高まるのではないかと考えられます。なお、小売事業者でもイオン、マイカル、ジャスコ、ダイエーが過去に受賞をされています。連携をする場合の課題としては、グリーン購入大賞との連携の場合と同様、対象部門、評価基準、評価方法などの面で調整が必要になってくると考えられます。
また、表彰制度の露出度を高めていくという観点から、例えば、新日本スーパーマーケット協会さんが主催されている展示会、スーパーマーケット・トレードショーなどとの連携ということも仮定してみました。このトレードショーは、3日間で8万人を超える来場者があり、小売事業者、流通事業者、メーカーなどの関係者の方が多く訪れるということで、こうした場で表彰を行うことにより表彰結果を広く周知でき、小売業界への波及効果が期待できるという意義があると考えられます。
ヒアリングの中では表彰制度に関するご意見が多かったのですが、それ以外のインセンティブの方向性の一つとして、認定という仕組みも考えられます。
環境配慮型製品の販売促進に取組む小売事業者を評価し褒める方法として、表彰制度が妥当であるかどうか、どのように運用していくのか、といった点についてご意見をいただければと思います。 - 西尾座長:どうもありがとうございます。皆様のほうからご質問、ご意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
- 田中氏:先ほどの評価手法の議論にも関わる点ですが、業態ごとに分けて評価を行うかどうかを考える場合、仮に表彰制度として環境大臣賞を設けるのであれば、業態ごとに分けて表彰を行わない方法のほうが良いのではないかと、環境省としては考えます。ここで検討しているのは小売事業者に特化した表彰制度であり、その中でさらに業態の区分を設けるとなりますと、それぞれについて環境大臣賞を設けるのは難しいのではないかと考えられます。
次に、専門店を対象とするかという点についてですが、事務局から提案されている分野の商品を扱っているのであれば、専門店を対象に含めるのを妨げる理由はないのではないかと考えております。
また、先ほどの議論の中で、中間層と呼ばれる消費者とのひもづけという観点から、環境配慮型製品を購入した層を特定できるような評価項目が必要ではないか、というご意見がありました。もちろんそのようにできれば望ましいと思うのですが、そのためにかなりのデータが必要になり、そのデータを把握するために高度なシステムが必要になると考えられることから、先ほどご意見があったように個人商店のような小規模の店舗を対象に含めようとした場合、相反する面が出てくるように思います。一方の側面を重視すると、もう一方を切り落とすことになるのではないかと感じました。 - 西尾座長:どうもありがとうございます。今のお話ですと、表彰制度の対象者の区分を細かくしなければ環境大臣賞を設けることは可能である、と言いますか、環境大臣賞を設けようとするのであれば、そういった面について考慮する必要があるということですね。
- 峯村課長補佐:明らかに環境に関係のない表彰制度についてはお断りをしております。また、国として経済的な支出を伴うようなケースについては、審査が滞る可能性が強いといえます。経済的に自主運用がされている制度で、社会的に認知された団体が事務局を務めておられる場合に、環境大臣賞を設けたいという申請があった際には、拒否する理由がなく、許可される可能性が高いと考えられます。
- 田中氏:ただし、対象が特定の地域に限定されるような制度には許可できないなど、いくつかのハードルがあります。
- 西尾座長:どうもありがとうございます。先ほどの議論に対するコメントも含め、いくつかサジェスチョンをいただけたかと思いますので、これらを踏まえ評価手法について事務局のほうで整理をしていただければと思います。
一点確認をさせていただきたいのですが、今回の制度は中間層と呼ばれる消費者の方による環境配慮型製品の購入を促進していくことに重点を置いており、できればそうした側面を積極的に評価できればということで、ご意見をいただいております。たしかに、そうした側面を評価する指標を設ければ、一方で首を絞める部分も出てくるわけですが、環境省さんとしては、中間層を意識した販売促進につながっていることを確認できるような制度にする必要というのはないのでしょうか。 - 峯村課長補佐:第1回の検討会でも申し上げましたが、平成23年度に行われましたグリーンマーケット+(プラス)研究会の研究成果の中で、中間層と呼ばれる消費者の意識向上及び環境配慮型製品の購入を含めた環境行動を促していくことが重要であるという答申をいただき、その中で消費行動にスポットを当て今回の検討会がスタートしております。この研究会で行われた消費者アンケート調査の結果では、性別・年代別の区分と環境意識の関係などが示されており、アウトプットが出てきた際にそのようなモノサシを当ててみる、というのは分析の一つとして意味があるかもしれませんが、制度運用の初期段階であまり高いハードルを設けた場合、表彰の該当企業がないという結果になるのではないか、ということを恐れております。そのような結果にならないような制度ができるよう、お知恵を拝借できればと考えております。
- 西尾座長:どうもありがとうございます。それでは、先ほど事務局から説明がありましたインセンティブの内容について皆様からご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。
- 辰巳委員:インセンティブの目的についてですが、環境配慮型製品が普及することというのは結果として重要なのですが、大きな目的は、環境意識はあるけれども行動につながっていないという消費者を、もう少し環境配慮型製品を購入する人になるようにすることだと私は思っています。ですから、目的の中にその点をちゃんと謳ってほしいと思います。意義のところでも、「小売事業者の環境配慮型製品の普及」という側面に特化した表彰、と書かれていますが、その点に特化してしまうと、グリーン購入大賞でも当てはまってしまうので、そうではなく、消費者の行動を変えることを目的の中に入れておかないと意味がないのではないかと思います。
- 臼杵委員:評価にあたって、専門家の先生方による評価や審査に加えて、地域の方をモニターのような形で入れられたほうが良いのではと思います。例えば、従業員の教育をちゃんと行っていると申請していても、生ごみの処理がきちんとできていなくて臭いがひどいとか、電気を多く消費しているといった点について、地域の方によるモニタリングを行うことも、評価の手法として入れていくことが重要ではないかと思います具体的には、応募企業のすべてについてモニタリングを行うのではなく、2次審査あるいは最終審査の段階で対象企業に対して実施するという形になるのではないかと思います。
- 西尾座長:申請段階ではなく、最終的な審査を行う段階で、店舗がある地域の住民の方たちの声を反映できる仕組みにすると良いのではないか、というご意見ですね。
- 臼杵委員:受賞した企業は、おそらくそのことをPRすると思うのですが、その際にその店で買い物をする近隣の方たちの納得感が得られないと、表彰自体の価値も下がってしまうと思われます。
- 辰巳委員:省エネ大賞では、表彰対象についてはすべて、製品の試験方法などに関して現地で立会いのもとに確認をしていますが、そのようなイメージですよね。
- 西尾座長:省エネ型製品普及促進優良店の表彰でも、最終段階では審査員が店舗で確認をしています。評価プロセスのどこかの段階でそのような視点を反映できるかどうかを検討するということかと思います。
- 麹谷氏:ご意見の趣旨はわかるのですが、実際にどのような形でチェックができるかという点については、検討をさせていただきます。
- 西尾座長:環境大臣賞という賞がもらえる表彰制度であれば、事業者の方にとってはインセンティブになると考えてよろしいでしょうか。
- 辰巳委員:ヒアリングの結果を見ると、表彰制度に対して多くの意見が出されているので、企業の方の関心は高く、インセンティブになると考えて良いのではないでしょうか。表彰はある年に受賞したらそれで終わりですが、先ほど少しお話のあった認定の場合は、長期間にわたって価値が持続するものだと思います。例えば、環境大臣による認定というような仕組みはあり得るのでしょうか。
- 麹谷氏:例えば、エコファーストのような制度も、企業が環境に関して実施しておられる取組を市場に大きくアピールする認定制度の一つかと思われます。これまで、表彰というある意味わかりやすい、あるいはアピールしやすい制度に焦点を当ててきましたが、認定制度も露出度を高める方法として考えられるのではないかと思い、資料に記載をさせていただきました。ご議論をいただく中で、次回に向けての方向性を確認できればと考えています。
- 辰巳委員:表彰というのは1回だけの花火のようなイメージで、認定というのは花火のようなインパクトはないけれども、企業や店舗として継続的に取り組んでいかなければならないという自覚が生まれる仕組みなのではないか、という感じがしています。
- 西尾座長:環境省さんが認定をするというのは、なかなか難しいかとは思いますが、認定や認証というのは、私のイメージからすると、ある基準があって、企業の規模や業態に関わらずどの企業もチャレンジでき、その基準を充足していれば認定を取得することができる仕組みであるといえます。一方、表彰制度というのは、レベルや深さが出てくるものだと思います。両者は趣旨が違う制度だと思うので、一緒に考えるのは難しいかと思います。認定制度のほうが認定基準や運用、認定の更新など、はるかに複雑な面があると思われます。
- 峯村課長補佐:やや異なる分野ですが一例をご紹介いたしますと、産業廃棄物事業者に関しては優良産廃処理業者認定制度というものがあり、関連の法令を改正して平成24年度からスタートしております。日本には約10万社の産業廃棄物処理業者があると言われていますが、現在この制度で認定されているのは450社弱となっており、非常に厳しい制度だといえます。こういう制度もありますが、裏付けとして法律があるということです。
- 西尾座長:認定制度ができるような段階では、こういうものがエコプロダクツで、こういうものがエコ店舗だというものが、ある程度固まってきているのではないかと思います。
- 中坊委員:働く者の立場からすると、表彰制度で大賞といったものを受賞した場合は、取れて良かったという感じで、その時だけで終わってしまう可能性がありますが、認定の場合は、取得できてよかったということで終わるのではなく、取組を継続的に実施していかなければならないという責任感が生まれてくるように思います。今年頑張って受賞できて良かったということで終わるのではなく、取組が認められて継続して頑張っていこうという意識を持ってもらったほうが、結果として環境配慮型製品の普及につながりますし、動機づけになるのではないかと思います。
- 西尾座長:表彰制度と認定制度とは分けて考える必要があるかと思います。表彰というのは華々しく人々の目につくという側面がありますが、継続性というものをどのように考えていくかという問題もあります。また、表彰の基準は変わっていく可能性がありますが、認定の場合はあまり基準が変わるのは望ましくないと思われます。
- 中坊委員:今回の案の評価項目の中に、調達方針や販売方針の有無という項目があるのですが、こうした内容は会社としての姿勢に関わるものであり、どちらかというと表彰制度よりも認定制度の評価項目に近いのかなというふうにも思っております。
- 西尾座長:将来的にそういう方向に発展させるということを考えながら、評価項目や基準をどのように設定すべきかを検討していくことも重要かと思います。
これまでの議論では、表彰制度において環境大臣賞といった形でお墨付きがもらえるのであれば、インセンティブとして効果が出るのではないか、また、継続的な取組を評価するために認定制度といった仕組みも考えられるといったご意見が出されました。これらのご意見を踏まえ、事務局のほうで整理をしていただければと思います。
(4) 今後のスケジュール
第4回検討会の開催日程、議題、ならびに検討会に向けての作業内容等について、事務局より説明が行われ、第3回検討会を終了した。
[今後の検討会の開催日程等]
- 西尾座長:それでは、今後のスケジュールについてお願いいたします。
- 深津氏:今年度はあと1回検討会を開催することになっておりまして、2月22日に第4回の検討会を予定しており、今後の事業の方向性及び事業概要、今年度の業務の報告書案の確認という議題を設けさせていただいております。また、本日ご議論をいただいた中で、評価手法、インセンティブのあり方について多くの宿題をいただきましたので、それらを含めた形で案をご提示させていただければと考えております。
なお、先ほど説明をしませんでしたが、表彰制度を試行すると仮定した場合のスケジュール案を資料4の最後に記載させていただいております。 - 西尾座長:今年度の検討会での議論が具体的な形につながるよう、次年度以降も継続的に事業を進めていけるような形なればと考えております。
本日は皆様お忙しい中お集まりいただき、長時間にわたり活発なご議論をいただきありがとうございました。皆様には引き続きヒアリング等をさせていただくかと思いますが、ご協力をお願いいたします。以上で本日の検討会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
以上