第4節 廃棄物関連情報


1. 最終処分場の残余容量と残余年数の推移

産業廃棄物
 平成14年度末の産業廃棄物の最終処分場の残余容量は1億8,178万m3で前年より237万m3増加しました。また、残余年数は全国平均で4.5年分であり、依然として非常に厳しい状況にあります(1-4-1図)。

1-4-1図 最終処分場の残余容量及び残余年数の推移(産業廃棄物)


 産業廃棄物の最終処分場は、民間事業者による整備を基本としつつ、これらの整備状況を踏まえ、必要と認められる容量を公共関与による施設整備で確保することも進めていく必要があります。

2. ごみ焼却施設における熱回収の取組

(1) ごみの焼却余熱利用
 ごみ焼却施設からの余熱を有効に利用する方法としては、後述するごみ発電をはじめ、施設内の暖房・給湯、温水プール、老人福祉施設等社会福祉施設への温水・熱供給、地域暖房への供給等がありますが、施設内の暖房・給湯が最も普及しています(1-4-2図)。

1-4-2図 ごみ焼却施設における余熱利用の状況(平成14年度)


 余熱利用の動機、目的を見ると、清掃工場で使用する資源エネルギーの節約、地域還元が大きな割合を占めています。
 このような施設内での余熱利用の推進に加えて、施設外部への熱供給等を更に推進する体制づくりを進めていく必要があります。そのためには、廃棄物の量・質の変動への対処などの技術上の問題、ガスや石油による熱供給とのコスト比較、電気事業法等関係法令との調整などについて十分な検討が必要となります。
 平成4年には、ごみ焼却余熱の有効利用を推進し、ごみ焼却施設に対する社会的評価の向上を図ることを目的とした「ごみ焼却余熱有効利用促進市町村等連絡協議会」が結成され、ごみ焼却余熱の有効利用に関する諸課題について、参加している市町村等を中心に研修や連携交流などの活動が行われています。

(2) ごみ発電
 ごみ発電とは、ごみを焼却する時に発生する高温の排出ガスの持つ熱エネルギーをボイラーで回収し、蒸気を発生させてタービンを回して発電を行うもので、ごみ焼却施設の余熱利用の有効な方法の一つです。
 我が国で最初の実施例は、昭和40年の大阪市西淀工場であるとされます。その後、国では、ごみ焼却施設の新設、更新時における余熱利用設備や既存の施設に余熱利用設備を設置する場合に補助を行うなど、ごみ発電の推進に努めてきました。
 平成14年度末において、稼働中又は建設中のごみ焼却施設のうち、発電を行っている施設は263に上ります(1-4-1表)。また、大規模な施設ほどごみ発電を行っている割合が高いため、ごみ発電を行っている割合は施設数ベースでは17.7%ですが、ごみ処理能力ベースでは約53%となっています。その総発電量は、約64億kWhであり、1世帯当たりの年間電力消費量を4,300kWhとして計算すると、この発電は約149万世帯の消費電力に匹敵します。また、ごみ発電を行った電力を場外でも利用している施設数は164施設(約62%)となっています。

1-4-1表 ごみ発電施設数と発電能力(平成14年度)


 ごみ焼却施設については、ごみ発電の実施を促進するため、平成7年度から、従来の施設内での消費分に加え近隣の公共施設への電力供給に係るものや電力会社への安定的な売電を行うための発電についても補助対象とするとともに、平成8年度以降に整備するごみ焼却施設のうち全連続式の施設については、極力全ての施設について発電設備、施設外熱供給設備等を整備することとしています。今後、更にごみ発電を推進する上で、発電技術の確立、発電の規模と経済的側面、人材の確保と管理運営体制、電気事業法等関係法令との調整などについて十分な検討が必要です。
 ごみ発電による発電効率は約10%ですが、数%から20%程度と施設により差があります。最近では、効率の高い発電施設の導入が進んできていますが、現状では、発電とその他の余熱利用を合わせても、燃焼によって発生する熱量の4分の3程度が無駄に失われています。発電後の低温の温水を蓄熱式ヒートポンプを用いて地域冷暖房システムに有効利用する事例も出てきています。こうした試みを更に拡大していくためには、熱供給・熱利用双方の連携による施設整備が有効です。

(3) RDF(ごみ固形燃料)
 RDF(Refuse Derived Fuel:ごみ固形燃料)は、通常のごみと比較して、腐敗性が少なく、比較的長期の保管が可能であること、減容化、減量化されるため、運搬が容易であること、形状、発熱量がほぼ一定となるため安定した燃焼が可能であること等の特徴を有しています。
 ごみをいったん固形燃料化した上で発電等に利用するシステムは、小規模な焼却施設では実現できない熱回収を可能にするものであり、環境保全とエネルギー資源確保を同時に実現する技術として考えられてきています。
 しかしながら、平成15年8月に三重県において、ごみ固形燃料発電所の貯蔵槽が爆発する事故が発生しました。このため、環境省では、「ごみ固形燃料適正管理検討会」を開催し、RDFの製造、保管、性状管理方法等について検討を進め、同年12月に、RDFの安全な製造・利用を行うためのガイドラインを取りまとめました。平成16年度にはこのガイドラインを元に、RDFの安全な製造や利用に係る基準について、規制の強化を行いました。
 また、総務省消防庁では平成15年9月に「ごみ固形化燃料等関係施設の安全対策調査検討会」を開催し、RDF関係施設の実態把握、検証実験等を行い、同年12月に安全対策をとりまとめました。この結果を踏まえ、平成16年6月に消防法の改正、同年7月にはRDFを始めとする再生資源燃料を指定可燃物に追加する政令改正を行いました。これを受けて各市町村において火災予防条例を改正し、再生資源燃料を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備の技術上の基準と貯蔵及び取扱いの技術上の基準を追加し、安全の確保を図りました。
 さらに、2002年度にRDFの試験方法に関するJIS化について制定しました。
 今後、事故の再発防止に万全を期しつつ、循環型社会における廃棄物処理の優先順位を踏まえながら、RDFを利用していくことが求められています。

3. 不法投棄の現状

(1) 不法投棄の件数及び投棄量
 平成15年度に新たに確認された産業廃棄物の不法投棄の件数を見ると、894件で前年度(934件)に引き続き減少しましたが、投棄量で見ると、74万5,000tとなり、平成5年度の調査開始以来最大となりました。このうち、約76%に当たる56万7,000tは、平成16年3月に摘発された岐阜市における事案によるものであり、同事案を除くと17万8,000tとなります。(1-4-3図)。

1-4-3図 産業廃棄物の不法投棄件数及び投棄量の推移


 また、平成15年度において新たに確認された5,000t以上の大規模な不法投棄事案は4件であり、平成14年度(9件)に比べ減少しました。なお、以下の括弧内の1)は投棄量、2)は投棄された産業廃棄物の種類、3)は投棄場所、4)は投棄実行者を表しています。
・岐阜県岐阜市(1)約56万7,000t2)建設系木くず、がれき類、建設系廃プラスチック類等3)処理業者敷地内4)許可処理業者)
・宮城県仙台市(1)約3万9,000t2)建設系混合廃棄物3)解体業者敷地内4)無許可業者(解体業者))
・宮城県仙台市(1)約1万2,000t2)がれき類等3)解体業者敷地内4)無許可業者(解体業者))
・石川県柳田村(1)約5,900t2)建設系木くず3)山林4)許可処理業者)

(2) 不法投棄された産業廃棄物の種類
 平成15年度に新たに確認された不法投棄を産業廃棄物の種類別に見ると、がれき類、木くずなど建設廃棄物が投棄件数の約50%(445件)、投棄量の約92%(約68万t。岐阜市事案を除くと約66%)を占めており、建設廃棄物の占める割合は引き続き高いものとなっています(岐阜市事案(全量が建設廃棄物)を除くと、建設廃棄物の投棄量の割合は約66%)。次いで、廃プラスチック類が投棄件数で約9%(78件)、投棄量で約1%(約9,300t)を占めています。また、汚泥は投棄量で約16%(約5万2,000t)を占めています。このほか、金属くず、ゴムくず、燃え殻、動物の糞尿、動植物性残さ、廃油、ガラス・陶磁器くず、鉱さい等が不法投棄されていました(1-4-4図)。

1-4-4図 不法投棄された産業廃棄物の種類(平成15年度)


(3) 不法投棄の実行者
 平成15年度に新たに確認された不法投棄事案の実行者の内訳は、投棄件数で見ると、排出事業者によるものが全体の約41%(368件)と最も多く、次いで無許可業者によるものが約10%(93件)、許可業者によるものが約6%(55件)を占めているほか、投棄者不明のものが約39%(350件)に及んでいました。投棄量で見ると、許可業者によるものが約80%(約59万t。岐阜市事案を除くと約14%)と最も多く、次いで排出事業者によるものが約15%(約7万3,000t)、無許可業者によるものが約7%(約5万t)を占めていました。また、投棄者不明のものが約3%(約2万5,000t)ありました(1-4-5図)。

1-4-5図 産業廃棄物の不法投棄実行者(平成15年度)


(4) 支障除去等の措置の状況
 平成15年度に新たに確認された不法投棄(894件、約74万5,000t)のうち、15年度中に生活環境保全上の支障除去等の措置に着手された事案は、投棄件数で約60%(538件)、投棄量で約18%(約13万t。岐阜市事案を除くと約72%)でした(1-4-6図)。

1-4-6図 不法投棄された産業廃棄物に係る支障除去等の措置の状況(平成15年度)


(注)(2)〜(4)の調査は、環境省が、都道府県、保健所設置市の協力を得て毎年とりまとめているものです。同調査では、都道府県等が毎年度新たに確認した新規の不法投棄事案のうち、硫酸ピッチ事案を除いた1件当たりの投棄量が10t以上の事案(ただし、特別管理産業廃棄物を含む事案についてはすべて)を対象としています。

(5) 不法投棄の残存量
 環境省の調査によると、全国の都道府県、保健所設置市が把握している平成16年3月31日時点における産業廃棄物不法投棄等の不適正処分事案の残存件数は2,320件、残存量の合計は約1,267万tでした(1-4-7図)。

1-4-7図 不法投棄等産業廃棄物の都道府県別残存量(平成15年4月1日現在)


(6) 検挙数
 近年、廃棄物処理法違反によって検挙される産業廃棄物の不法投棄事犯が増加しています。平成16年に廃棄物処理法違反で警察が検挙した産業廃棄物不法投棄事犯は575件、765名でした(1-4-8図)。

1-4-8図 産業廃棄物不法投棄事犯検挙数の推移


4. 特別管理廃棄物

(1) 概要
 廃棄物のうち爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものを特別管理廃棄物(特別管理一般廃棄物又は特別管理産業廃棄物)として指定しています。処理に当たっては、特別管理廃棄物の種類に応じた特別な処理基準を設けることなどにより、適正な処理を確保しています。また、その処理を委託する場合は、特別な業の許可を有する業者に委託することとなります。

(2) 特別管理廃棄物の対象物
 これまでに、1-4-2表に示すものを特別管理廃棄物として指定しています。

1-4-2表 特別管理廃棄物


5. ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の処理体制の構築

(1) PCB問題の経緯
 昭和43年に発生したカネミ油症事件によりPCBの人体に対する毒性が明らかとなり、さらにPCBによる環境汚染が確認され社会問題となったことから、昭和47年に処理体制の確立を待たずに緊急避難的に製造・輸入・使用を原則として禁止する行政指導が行われました。さらに、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」が昭和48年10月に公布、昭和49年6月からは、PCBの製造・輸入・使用が、事実上禁止となりました。ただし、この段階で使用されていた電気機器等については、現に施設されている場所から外すまでの間は使用が認められ、現在も一部使用されている物があります。
 昭和48年、通商産業省の指導の下、(財)電機ピーシービー処理協会(その後(財)電気絶縁物処理協会に改称、平成13年11月解散)が設立され、この団体が中心となってPCB廃棄物の処理体制を構築すべく努力がなされてきました。しかし、処理施設建設候補地の地方公共団体、周辺住民の理解が得られないなどの理由で処理体制の構築はできず、これまで約30年間の長期にわたり、PCB廃棄物の保管が続いています。

(2) PCB廃棄物の処理技術・基準
 日本では、昭和51年の廃棄物処理法の一部改正等により、廃PCB、PCB汚染物等の処理基準として1,100℃以上の高温焼却が規定されました。これを踏まえ、昭和62年から平成元年に鐘淵化学工業高砂事業所で5,500tの液状PCB廃棄物の焼却処理が行われた実績があります。しかし、高温焼却処理に対する住民の不安を払拭することができなかったこともあり、それ以外にほとんどPCB廃棄物の処理は実現できませんでした。
 このような状況の下、1990年代半ば以降、環境庁、厚生省及び通商産業省の連携の下でPCBを化学的に分解処理する技術の開発促進、評価が実施されたことにより、平成10年から廃棄物処理法の処理基準に脱塩素化分解法等の化学分解法が追加されています。
 国内では、これらの化学分解による技術を用いた、PCB廃棄物保管企業による自社処理が十数件実現しています。

(3) PCB特別措置法の制定
 PCBは、人の健康及び生活環境に係る被害を生じるおそれがある物質であり、難分解性、高蓄積性、大気や移動性の生物種を介して長距離を移動する性質を有することから、将来にわたる環境汚染及び地球規模の環境汚染をもたらします。
 このため、国際的な枠組みでの取組が求められ、平成13年5月にストックホルムで開催された外交会議において、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)が採択され、我が国は平成14年8月に同条約に加入しました。同条約では、PCBの平成37年までの使用の全廃、平成40年までの廃棄物の適正な管理が定められています。
 このような状況の中、PCBによる環境汚染を防止し、将来にわたって国民の健康を保護し、生活環境の保全を図るためには、このまま長期にわたって保管を継続することなく、その処理体制を速やかに整備し、確実かつ適正な処理を推進することが必要不可欠となっています。
 このため、平成13年6月に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB特措法)の制定及び「環境事業団法」の一部改正を行い、国は費用負担能力の小さい中小企業による処理を円滑に進めるための助成等を行う基金(PCB廃棄物処理基金)の創設や、環境事業団を活用した拠点的な処理施設整備の推進など、PCB廃棄物の処理体制の構築に向けた施策を実施し、今後、平成28年までにPCB廃棄物の処理を終えることとしています。

(4) 全国的なPCB廃棄物処理体制の構築
 PCB特措法等により、国は、日本環境安全事業株式会社(平成16年4月に環境事業団から移管)を活用し、高圧トランス・コンデンサ等について、全国5カ所(北九州市、豊田市、東京都、大阪市、室蘭市)の拠点的広域処理施設において処理する体制を整備しており、平成16年12月からは、北九州事業において、北九州市内のPCB廃棄物の処理を開始しています。また、平成16年5月には豊田事業、平成16年7月には東京事業が工事着手しています(1-4-9図)。

1-4-3表 PCB廃棄物の保管状況(平成15年3月31日現在)

1-4-4表 PCB廃棄物を保管する事業所におけるPCB使用製品の使用状況(平成15年3月31日現在)

1-4-9図 PCB廃棄物の拠点的な広域処理施設設備の進捗状況


 さらに、国は都道府県と連携し、処理費用負担能力の小さい中小企業者が保管しているPCBを使用した高圧トランス・高圧コンデンサの処理に係る負担を軽減するためPCB廃棄物処理基金の造成に取り組んでいます。

6. ダイオキシン類の排出抑制

(1) ダイオキシン類とは
 ダイオキシン類は、ものの焼却の過程等で自然に生成してしまう物質(副生成物)です。
 一般に、ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)をまとめてダイオキシン類と呼び、コプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)のようなダイオキシン類と同様の毒性を示す物質をダイオキシン類似化合物と呼んでいます。
 平成11年7月16日に公布された「ダイオキシン類対策特別措置法」(後述)において、PCDD及びPCDFにコプラナーPCBを含めて「ダイオキシン類」と定義されました。
 ダイオキシン類は、PCDDには75種類、PCDFには135種類、コプラナーPCBには十数種類の仲間があります。これらのうち毒性があるとみなされているのは29種類です。

(2) ダイオキシン問題における廃棄物焼却施設の位置付け
 ダイオキシン類の現在の主な発生源はごみ焼却による燃焼ですが、その他に製鋼用電気炉、たばこの煙、自動車排出ガスなどの様々な発生源があります。森林火災や火山活動など自然界でも発生することがあると言われています。また、かつて使用されていたPCBや一部の農薬に不純物として含まれていたものが川や海の底の泥などの環境中に蓄積している可能性があるとの研究報告もあります。
 環境中に出た後の動きの詳細はよく分かっていませんが、例えば、大気中の粒子などに付着したダイオキシン類は、地上に落ちてきて土壌や水を汚染し、また、様々な経路から長い年月の間に、底泥など環境中に既に蓄積されているものも含めてプランクトンや魚介類に食物連鎖を通して取り込まれていくことで、生物にも蓄積されていくと考えられています。

(3)ダイオキシン問題の経緯
 昭和58年11月に都市ごみ焼却炉の灰からダイオキシン類を検出したと新聞紙上で報じられたことが契機となって、ダイオキシン問題に大きな関心が向けられるようになりました。
 廃棄物処理におけるダイオキシン問題については、早期から検討が行われており、平成9年1月に厚生省が取りまとめた「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」(新ガイドライン)に沿って対策がとられています。
 新ガイドラインでは、緊急対策の必要性を判断するための基準として、排出濃度80ng-TEQ/m3を設定しました。新ガイドラインの内容は平成9年8月の廃棄物処理法施行令及び同法施行規則の改正によって、新たな構造基準・維持管理基準などに位置付けられ、同年12月に施行されました。環境庁でも、ダイオキシン類を大気汚染防止法の指定物質として法的規制をかけることとし、平成9年12月から焼却炉及び製鋼用の電気炉からの排ガス基準が定められ、ダイオキシン類の排出は法律で規制されることとなりました。これにより、排出ガス中のダイオキシン濃度の測定義務が平成9年12月から、守るべき濃度基準が平成10年12月から適用され、平成14年12月からは更に厳しい濃度基準が適用されることが定められました。
 さらに、政府は平成11年2月24日に、第1回のダイオキシン対策関係閣僚会議を開催しました。平成11年3月30日に開催されたダイオキシン対策関係閣僚会議において「ダイオキシン対策推進基本指針」が策定され、政府一体となってダイオキシン類の排出量を大幅に下げるなどの各種対策を鋭意推進することとされました。特に、この基本指針に基づき、平成15年3月末までにダイオキシン類の排出総量を平成9年に比べて「約9割削減」することとされました。
 平成11年7月12日には、「ダイオキシン類対策特別措置法」が成立しました。これは、ダイオキシン類による環境の汚染の防止及びその除去等のため、ダイオキシン類に関する施策の基本とするべき環境基準を定め、排ガスや排水などの必要な規制、汚染土壌に係る措置等を内容とするものです。平成12年9月22日には、同法に基づく「我が国における事業活動に伴い排出されるダイオキシン類の量を削減するための計画」において削減目標量が設定され、毎年ダイオキシン類の排出量の目録(排出インベントリー)を整備することとされています(1-4-5表)。同インベントリーによると、ダイオキシン類の排出量は年々減少し、このうち、廃棄物焼却施設からのダイオキシン類排出量は平成15年は平成9年から約98%減少しました(1-4-10図)。これは、規制強化や基準適合施設の整備に係る支援措置等によって、排出基準やその他の構造・維持管理基準に対応できない焼却施設の中には休・廃止する施設が多数あること、基準に適合した施設の新設整備が進められていることが背景にあるものと考えられます。なお、同法に基づいて定められた環境基準の平成15年度の達成率は、大気では99.9%、公共用水域水質では97.6%、公共用水域底質では99.5%と、ほとんどの地点で環境基準を達成しています。

1-4-5表 我が国におけるダイオキシン類の事業分野別の推計排出量に関する削減目標量

1-4-10図 廃棄物焼却施設からのダイオキシン類排出量の推計


7. 有害廃棄物の越境移動

 1970年代から80年代にかけて、PCB廃棄物などの有害廃棄物が欧米の先進諸国からアフリカや南米の諸国に輸出され、不適正処分や不法投棄により当地で環境汚染を引き起こすなどの事件が多発しました。これらの事件を契機として、有害廃棄物の越境移動問題は、先進国間だけでなく途上国をも含んだ地球的規模での対応が必要な問題であると認識されるようになりました。
 これらの問題に対処するために国連環境計画(UNEP)を中心として策定された「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」(バーゼル条約)が平成元年3月に採択され、平成4年5月に発効しました。同条約は有害廃棄物について国内処理を原則とし、有害廃棄物の輸出に際しての許可制や事前通告制、不適正な輸出や処分行為が行われた場合の再輸入の義務等を規定しています。なお同条約においては、我が国において従来から廃棄物として規制が行われてきた不要物だけではなく、原材料等としてリサイクルされる物でも有害性のあるものは規制対象となっています。バーゼル条約の締約国は164か国及び1機関(EC:欧州委員会)であり(平成17年4月8日現在)、おおむね2年ごとに開催される締約国会議において条約の効果的実施についての検討などが行われています。
 我が国ではバーゼル法が、バーゼル条約の国内対応法として平成4年12月に制定、公布されると同時に、廃棄物処理法が国内処理の原則を盛り込んで改正され、平成5年9月にバーゼル条約に加入しました。同条約は同年12月から我が国について発効し、同月、バーゼル法も施行されました。平成16年1月から12月までのバーゼル法の施行状況は、1-4-6表に示すとおりです。

1-4-6表 特定有害廃棄物等の輸出入に係る承認状況(平成16年1〜12月)


 現在、アジア地域を中心とする資源需要の増大により、廃棄物等の輸出入が急増しています。それに伴い懸念される廃棄物等の不適正な輸出入を防止するため、国内の諸機関と連携して対策を講じています(各国政府機関との連携については第2章第3節2を参照)。
 国内においては、輸出入事業者や地方公共団体職員等に向けて、バーゼル条約制定の趣旨やバーゼル法及び廃棄物処理法による規制内容等の周知を図り、有害廃棄物等の不法輸出入を防止するため、バーゼル法等説明会を全国各地で税関等の協力を得て開催しています。このほか環境省及び経済産業省において、輸出入しようとする貨物が、バーゼル法若しくは廃棄物処理法の規制対象に該当するか否かについて助言を行う等の輸出入に関する事前相談を行っています。
 なお平成17年3月、1年間に2回以上同じ内容の廃棄物の輸出入を行う場合には一度の申請で包括して輸出確認又は輸入許可を受けることができるようにし、その際には当該廃棄物の処理後に環境大臣に報告義務を課す廃棄物処理法施行規則の一部改正を行いました。



コラム 11 災害廃棄物

 平成16年は、例年になく災害が多発した年でした。
 7月の新潟・福島豪雨などの集中豪雨や史上最多の10個の台風の上陸による記録的な降水や、10月に発生した新潟中越地震など、どの災害も我々の生活に対し甚大な被害をもたらしました。

 廃棄物に関する被害としては、家財道具の浸水や家屋の倒壊等による廃棄物や、避難所からのし尿等の災害廃棄物(生活環境の保全上、特に処理が必要とされるもの)の大量の発生が挙げられます。
 例えば、台風23号の被害を受けた兵庫県豊岡市では、平常時の1年4か月分にあたる3万2,000tの災害廃棄物が発生し、新潟中越地震の被害を受けた新潟県小千谷市では、平常時の約8年4か月分にあたる14万tの災害廃棄物が発生する見込みです。
 また、平成12年6月に発生した雄山噴火の被害を受けた東京都三宅村では、平成17年2月に始まった本格帰島に伴い、住民らによる災害廃棄物の搬出が本格化し、平常時の約4年分に相当する7,800tの災害廃棄物の発生が見込まれております。

 環境省では、このような災害時の市町村の負担を軽減するため、市町村が行った災害廃棄物の収集、運搬及び処分にかかる事業等に対して2分の1の国庫補助を行っております。
 平成16年に起こった災害により国庫補助を受けて処理を行った市町村は183(23都道府県)にも上り、その災害廃棄物処理に係る費用は全国合計で約290億円に達し、環境省では約145億円の国庫補助を行うことで対応しております。



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