環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成24年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第6章>第7節 環境教育・環境学習の推進及び環境保全活動の促進

第7節 環境教育・環境学習の推進及び環境保全活動の促進

1 環境教育・環境学習の推進

 環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(平成15年法律第130号)及び同法に基づく基本方針に基づき、人材認定等事業の登録を行い、登録した事業についてインターネットによる情報提供を行うとともに「21世紀環境教育プラン~いつでも(Anytime)、どこでも(Anywhere)、誰でも(Anyone)環境教育AAAプラン~」として、関係府省が連携して、家庭、学校、地域、企業等における生涯にわたる質の高い環境教育の機会を提供することが重要であり、表6-7-1をはじめとした環境教育・環境学習に関する各種施策を実施しました。


表6-7-1 環境教育・環境学習に関する施策の例

 また、韓国(慶州)において開催した第12回日中韓環境教育シンポジウム及びワークショップにおいては、「環境教育の将来-"実践"に向けて」を全体テーマに意見交換を行いました。

 なお、環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律は、平成23年6月に改正され、改正法は平成24年10月1日に完全施行されます。


環境省が促進している「こどもエコクラブ」の表彰式の様子

2 環境保全活動の促進

(1)民間団体等による環境保全活動の促進

ア 市民、事業者、民間団体による環境保全活動の支援

 事業者や市民が行う環境保全活動に対して助言・指導を行う環境カウンセラーを平成23年度までに4,292名登録し、インターネット上で公開しました。また、ECO学習ライブラリー事業について、利用者ニーズに応じて構成を見直し、情報の整理を行いました。また、地域環境保全基金等による地方公共団体の環境保全活動促進施策を支援するため、関連する情報の収集、提供等を行いました。

 地球環境基金では、国内外の民間団体が行う環境保全活動に対する助成やセミナー開催など民間団体による活動を振興するための事業を行いました。このうち、23年度の助成については、484件の助成要望に対し、179件、総額約5.6億円の助成決定が行われました(表6-7-2)。


表6-7-2 

 さらに、森林ボランティアをはじめとした企業、NPO等多様な主体が行う森林づくり活動等を促進するための事業及び緑の募金を活用した活動を推進しました。

イ 各主体のパートナーシップによる取組の促進

 環境省は、事業者、市民、民間団体等あらゆる主体のパートナーシップの取組支援や交流の機会を提供する拠点として、国連大学との共同事業により開設している「地球環境パートナーシッププラザ」において、パートナーシップへの理解と認識を深めるためのセミナー、市民や民間団体等の声を政策に反映することを目的とした意見交換会などを開催しました。さらに、地方での環境パートナーシップ形成促進拠点として「地方環境パートナーシップオフィス」を全国各ブロック(7か所)に設置しています。今年度は、環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(平成15年法律第130号)の改正に伴う基本方針の改正にあたり、情報を積極的に公表し、かつ、各主体の意見を求めるため、国内各地域で意見交換会を実施しました。

 また、NGO/NPOや企業からのすぐれた政策提言を環境政策に反映することを目的に環境政策提言を募集し、選考を行うとともに、実現可能性のある提案を対象として調査を実施しました。さらに、国際的に環境協力を行っているNGO間の連携を促進し、環境国際協力の強化を目的にNGO連携会合を行いました。

(2)ライフスタイルの変革に向けた取組

 レジ袋削減の次の取組として、平成22年度より「マイボトル・マイカップキャンペーン」を新たに展開しています。これは、オフィス・大学・外出先等で自分の水筒、タンブラー、カップなどの飲料容器(マイボトル・マイカップ)を使う取組を促進することで、使い捨ての飲料容器を削減し、ごみ、環境負荷を減らす取組です。本キャンペーンは、インフラ整備と水筒の配布によるモニター調査を通じて、取組の定着の程度と環境負荷削減効果を検証するため、平成23年度は、横浜市内及び京都市内において地方公共団体等と協働で実証事業を行いました。また、新宿区主催で平成23年10月に行われたイベントでブース出展を行い、マイボトル持参者へのお茶の提供やボトルの展示を実施しました。これらの取組や、マイボトルを使える身近な店及びオフィスでの先進的な取組等はウェブサイトを通じて、全国に情報発信を行っています。

3 「国連持続可能な開発のための教育の10年」の取組

 「国連持続可能な開発のための教育の10年」(平成17年~26年)の推進のため、平成18年3月に決定したわが国における実施計画(平成23年6月改訂)に基づき、パンフレット等を通じた普及啓発、地域における取組支援及びその成果の全国への普及を行いました。さらに、国内におけるESD活動や支援事業の情報を発信し、活動の実践者と支援者との連携を促すことを目的に、国内で実践されている様々なESD活動をデータベース化し、ESD活動の「見える化」「つながる化」を図る登録制度(+ESDプロジェクト)の普及拡大を行いました。また、ウェブ上での情報交換のみならず、活動の実践者や支援者等が集い、取組事例や課題等を互いに学びあい、連携のきっかけを作るための場として、「ESD学びあいフォーラム」を全国及び地方ブロックレベルで開催しました。さらに、東日本大震災で被災した世界有数のESDの地域拠点である仙台周辺地域(RCE仙台広域圏)における今後のESDの取組を支援していくため、RCE仙台広域圏各地の被災後の現状や今後の展望等をヒアリング調査しました。

 また、産学官民が連携して環境人材育成を行うことを目的とした「環境人材育成コンソーシアム」や、国連大学が実施している「アジア環境大学院ネットワーク」(ProSPER.Net)との連携により、環境人材の育成を推進しました。

 文部科学省及び日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコスクール(ユネスコ憲章に示されたユネスコの理念を実現するため、国際的な連携を実践する学校)を推進拠点と位置づけ、ESDを推進しました。

4 環境研修の推進

 環境調査研修所においては、国及び地方公共団体等の職員等を対象に、行政研修、国際研修、分析研修及び職員研修の各種研修を実施しています。

 平成23年度においては、行政研修15コース(16回)、国際研修4コース(4回)(日中韓三カ国合同環境研修の協同実施を含む。)、分析研修14コース(18回)及び職員研修7コース(7回)の合計40コース(45回)を実施しました。また、国際環境協力の一環として、JICA集団研修「水環境モニタリング」をはじめ、各種研修員の受入れを行いました。23年度の研修修了者は、1,743名(前年度1,500名。平成23年度は、東日本大震災に伴う節電対策等のため、一部研修コースの中止等を実施。)となりました。修了者の研修区分別数は、行政研修(職員研修含む)が1,347名、国際研修が134名、分析研修が262名でした。その他、JICA集団研修「水環境モニタリング」の修了者が9名でした。所属機関別の修了者の割合は、国が14.2%、地方公共団体が83.1%、特殊法人等が2.7%となっています。