第3節 大都市圏等への負荷の集積による問題への対策

1 固定発生源対策

 大防法に基づき、窒素酸化物、硫黄酸化物、ばいじん等のばい煙を発生する施設について排出基準による規制等を行っています。加えて、施設単位の排出基準では良好な大気環境の確保が困難な東京都特別区等、横浜市等及び大阪市等の地域においては、総量規制を実施しています。また、窒素酸化物対策として、大防法対象外の群小発生源からの排出量状況の把握及び優良品推奨水準としての窒素酸化物排出ガイドラインを改訂し、これに適合する小規模燃焼機器の普及を実施しています。

2 移動発生源対策

(1)自動車排出ガス対策

 ア 自動車単体対策と燃料対策

 自動車の排出ガス及び燃料については、大防法に基づき逐次規制を強化してきています(図2−3−1、図2−3−2、図2−3−3)。


図2−3−1 ガソリン・LPG乗用車規制強化の推移


図2−3−2 ディーゼル重量車(車両総重量3.5t超)規制強化の推移


図2−3−3 軽油中の硫黄分規制強化の推移

 中央環境審議会では、「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」が継続的に審議されており、平成20年1月29日に第九次の答申がなされました。その内容は、ディーゼル特殊自動車について、窒素酸化物(NOx)及び粒子状物質(PM)ともに、現行の規制値より約9割削減するというものです。

 一方、トラック・バスを中心としたディーゼル車等の排出ガス規制の強化(09年規制)については、第八次答申を受け、関係法令の整備を行いました。この規制強化により、ディーゼル車から排出されるNOx及びPMを大幅に削減し、基本的にガソリン車と同レベルの排出ガス規制となり、ガソリン車については、PMの排出が懸念される一部車種に対し、ディーゼル車と同じレベルのPM規制が実施されることとなります。(表2−3−1)。


表2−3−1 中央環境審議会での審議状況

 これまで未規制であった公道を走行しない特殊自動車に対する排出ガス規制を行う特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(平成17年法律第51号。以下「オフロード法」という。)に基づき、平成18年10月から原動機の燃料の種類と出力帯ごとに順次使用規制を開始する等排出ガス対策に取り組んでいます。

 イ 大都市地域における自動車排出ガス対策

 自動車交通量が多く交通渋滞が著しい大都市地域を中心とした、厳しい大気汚染状況に対応するため、関係機関が連携して総合的な取組を行っています。なかでも自動車NOx・PM法(図2−3−4)により関係8都府県が平成15年度に策定した「総量削減計画」に基づき、自動車からのNOx及びPMの排出量の削減に向けた施策を計画的に進めています。また、14年10月から開始された、同法による車種規制の円滑な施行を図るため、排出基準不適合車を廃車して排出基準適合車を取得する際の自動車取得税の軽減措置を講じるとともに、担保要件の緩和を含む政府系金融機関による低利融資等の普及支援策を講じています。平成19年5月には、同年2月の中央環境審議会意見具申「今後の自動車排出ガス総合対策のあり方について」を踏まえ、局地汚染対策及び流入車対策を柱とする自動車NOx・PM法の一部を改正する法律案が成立し、平成20年1月から施行されています。


図2−3−4 自動車NOx・PM法の概要


(2)低公害車の普及促進

 平成13年に策定された「低公害車開発普及アクションプラン」に基づき、実用段階にある低公害車の普及を目指すこととしています。19年9月末現在、全国の低公害車(軽自動車等を除く。)の普及台数は約1,537万台、燃料電池自動車の普及台数は50台です。

 低公害車の普及を促す施策として、自動車税のグリーン化、低公害車の取得に関する自動車取得税の軽減措置等の税制上の特例措置を講じました。また、地方公共団体や民間事業者等による低公害車導入に対し、各種補助を行いました。

 また、低公害車普及のためのインフラ整備については、国による設置費用の一部補助と燃料等供給設備に係る固定資産税等の軽減措置を実施しており、平成18年度末までに369か所の燃料等供給施設(エコ・ステーション)が設置されています。


(3)交通流対策

 ア 交通流の分散・円滑化施策

 環状道路等幹線道路網の整備、交差点及び踏切道の改良を推進しました。ETCの普及を促進するとともに、道路交通情報通信システムVICS)の情報提供エリアの更なる拡大及び道路交通情報提供の内容・精度の改善・充実に努めたほか、信号機の高度化、公共車両優先システムPTPS)の整備、総合的な駐車対策等により、環境改善を図りました。環境ロードプライシング施策を試行し、住宅地域の沿道環境の改善を図りました。

 イ 交通量の抑制・低減施策

 交通に関わる多様な主体で構成される協議会による都市・地域総合交通戦略の策定及びそれに基づく公共交通機関の利用促進等への取組を支援しました。また、交通需要マネジメント施策の推進により、地域における自動車交通需要の調整を図りました。


(4)船舶・航空機・建設機械の排出ガス対策

 海洋汚染等防止法に基づき、船舶からのNOx、SOx等大気汚染物質の排出抑制に向けた取組を着実に進めました。また、国際海事機関IMO)における船舶からの排出ガスに関する規制の見直しへの対応についての検討と革新的な環境負荷低減技術の開発を併せて行う総合的対策を実施しました。

 航空機からの排出ガスについては、国際民間航空機関ICAO)の排出基準を踏まえ、航空法(昭和27年法律第231号)により、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物等について規制されています。

 建設機械のうち公道を走行しない特殊自動車については、オフロード法に基づき平成18年10月より順次使用規制を開始するとともに、「建設業に係る特定特殊自動車排出ガスの排出の抑制を図るための指針」に基づきNOx、PM等大気汚染物質の排出抑制に取り組んでいます((1)参照)。一方、オフロード法の対象外機種(発動発電機や小型の建設機械等)についても、オフロード法と同等の排出ガス基準値に基づき策定した「排出ガス対策型建設機械の普及促進に関する規程」等により、排出ガス対策型建設機械の使用を推進しました。また、これら建設機械の取得時の融資制度を措置しました。

3 微小粒子状物質に関する検討

 微小粒子状物質PM2.5)については、PM2.5の健康影響に係る疫学研究、動物実験、曝露調査に関する調査研究を実施し、その成果を取りまとめました。また、諸外国における知見の情報収集を実施し、これらの国内外の科学的知見を踏まえ、学識経験者により構成される検討会を開催し、健康影響に関する評価を進めました。さらに、粒径がおおむね50nm以下の極微小粒子(環境ナノ粒子)についても、生体影響が懸念されていることから、動物実験等の調査を実施しました。



前ページ 目次 次ページ