第3節 閉鎖性水域などにおける水環境の保全


 水質汚濁防止法等に基づく排水規制、下水道や農業集落排水施設等生活排水処理施設の整備や住民参加等による生活排水対策、河川等における浄化対策や流量の確保等の各種の施策を総合的に実施します。湖沼については、湖沼水質保全特別措置法に基づく「湖沼水質保全計画」の策定されている琵琶湖や霞ヶ浦等10湖沼について、同計画に基づき、各種規制措置のほか、下水道の整備その他の事業を総合的・計画的に推進します。平成17年1月に中央環境審議会から環境大臣に答申があった「湖沼環境保全制度の在り方について」を踏まえ、第162国会で、湖沼水質保全特別措置法が一部改正されたことを受け、流出水対策や工場・事業場に対する規制の見直しによる湖沼に流入する汚濁負荷の一層の削減、水質浄化機能を確保するための湖辺の環境の適正な保護、住民の意見を踏まえた施策の推進等を図ります。また、未規制・小規模事業場等の排水管理施策の検討、及び流入負荷や内部生産による汚濁メカニズムの解明とより効果的な湖沼水質保全計画の策定に必要な指針の整備等を推進します。富栄養化対策としては、海域も含めて、富栄養化等の状況の把握及び窒素・りんの発生源対策に関する調査を行います。このほか、水質悪化が著しい湖沼においては、流入河川において直接浄化施設の整備を実施します。
 東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海においては、化学的酸素要求量(COD)、窒素及びりんを対象とした水質総量規制を引き続き実施するとともに、次期総量規制のあり方について検討を行い、これを踏まえ総量削減基本方針を策定します。瀬戸内海については、瀬戸内海環境保全特別措置法及び「瀬戸内海環境保全基本計画」等に基づき、水質の保全、自然海浜の保全などの諸施策を引き続き推進します。有明海及び八代海については、有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律に基づき、流入する汚濁負荷量の削減に向けた調査研究の実施等、当該海域の環境の保全及び改善等のための施策を引き続き推進します。
 港湾及びその周辺海域においては、赤潮や青潮等が多発する海域の環境を改善するため、環境モニタリング等により汚染原因を解明する調査や赤潮・貧酸素水塊による被害防止対策、また汚泥しゅんせつ、覆砂、干潟・藻場の創出、海洋調査等の機能を有する環境整備船の建造や浮遊ごみ・油の回収など総合的な水質改善に取り組みます。都市再生プロジェクトによる大都市圏の「海の再生」の実現に向け、「東京湾再生のための行動計画」及び「大阪湾再生行動計画」に基づき、引き続き、海域環境改善のための各種施策を展開します。さらに、他の改善が進みにくい閉鎖性海域についても「全国海の再生プロジェクト」として「海の再生」を推進します。
 また、三重県英虞湾では、水産基盤整備事業によりしゅんせつを行い、漁場環境の改善を図ります。さらに、漁港内外の静穏水域において風力等自然エネルギーを活用した水域環境改善手法の調査を行います。


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