第6節 水環境の監視等の体制の整備


1 公共用水域等の監視測定体制の整備


 水質汚濁防止法に基づき、国及び地方公共団体は公共用水域の水質の常時監視を行っています。このうち測定計画の作成及び公共用水域の水質調査に必要な経費について、地方公共団体に対して助成を行いました。これに加えて、国は、河川管理者の立場から、全国一級河川の主要な地点において、水質汚濁状況を把握するため、水質の測定を実施しました。
 平成16年度末現在、都道府県、政令市により118か所に水質自動監視測定装置が設置されており、その設置について助成を行っています。また、全国の一級河川の主要な水域についても、16年度末現在水系、280か所に水質自動監視測定装置を設置し、そのうち、256か所においてテレメータ化を図り、水質の集中監視を実施しています。
 排水の監視については、水質汚濁防止法に基づき、都道府県知事及び政令市長は、工場・事業場の排水基準の遵守状況を監視するため、必要に応じ工場・事業場に報告を求め又は立入検査を行っています。これらの監視行為に基づき、都道府県知事及び政令市長は、改善命令等の必要な行政措置を工場・事業場に行っています。また、関係地方公共団体において工場・事業場排水に関し水質テレメータ監視システムの整備が進められていて、国は必要な経費について助成を行いました。
 クロロホルムをはじめとする27項目の要監視項目については、環境省において公共用水域等の水質測定を行っているほか、都道府県においても地域の実情に応じ、必要と考えられる項目について同様の測定が行われています。

2 地下水の監視測定体制の整備


 水質汚濁防止法に基づき、都道府県等は地下水の水質の測定を行っています。地下水の水質調査により井戸水の汚染が発見された場合は、井戸所有者に対して飲用指導が行われるとともに、周辺の汚染状況調査が行われています。その上で汚染源が特定された場合は、指導等により適切な地下水浄化対策等が実施されています。

3 海洋環境保全のための監視・調査


 日本周辺海域の海洋環境の現状を把握するとともに、国連海洋法条約の趣旨を踏まえ、領海・排他的経済水域における生態系の保全を含めた海洋環境の状況の評価・監視のため、水質、底質、水生生物を総合的・系統的に把握するための海洋環境モニタリングを行いました。また、漂流するごみや海岸の漂着ごみ等の状況を把握するための実態調査を行いました。
 さらに、日本の周辺海域、海防法に定めるA海域、閉鎖性の高い海域等における海水及び海底堆積物中の油分、PCB、重金属等の海洋汚染調査のほか、海洋における重金属、油分等の海洋汚染物質の全般的濃度を把握するための海洋バックグランド汚染観測についても日本周辺海域及び西太平洋海域で実施しました。
 また、漁場の健康診断としての長期的な環境監視調査、油濁、赤潮等の発生監視調査を一体的に実施し、漁業者自身が行う簡単な採水調査の実施、観測機器の整備等、漁業者による監視調査への参加を促進する事業について助成しました。


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