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里なび
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保全活用に関する文献検索
- 文献名
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平等化システムとしての新しい総有論の試み
- 出版年
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2004
- 出版社
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ナカニシヤ出版
- 掲載雑誌
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平等と不平等をめぐる人類学的研究
- 巻/号/ページ
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書籍のため省略 / 書籍のため省略 / 241-273ページ
- 著者名
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菅豊
Yutaka Suga
- 目次
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書籍内の一部のため省略
- キーワード
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記載なし
- 要約
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土地所有に関して日本で積極的に議論されてきた課題として、共同所有、特に総有の問題がある。総有とは、所有物の持分権が最初から構成員に認められず、そのため処分や分割請求が認められない共同所有の形態である。本稿では総有論の流れを素描し、その特質と問題点を再検討する。総有はそもそも、法学者の間で、ドイツの法学者オットー・フォン・ギールゲがいうところのGesamteigentumの法学的訳語として理解されてきた。しかし、ギールゲが理念化した総有と、日本の入会の実態的あり方とは厳密には異なっていた。一方非法学系の社会科学においては、1960年代以降農村社会学、農村経済学において、日本の農村社会の実態を理解する際に有効であるとして総有という言葉がその概念を拡大し利用されてきた。1990年代に入るとコモンズ論の影響を受けた新しい総有論者によって、総有論は前近代的概念から現代―未来的概念へと昇華された。前近代的な土地所有や階層の不平等と、それを平等へと引き戻す社会的仕組み―前近代的総有-に対する知見は、現代的な弱者保護策、平等化システムとして新しい総有論を構築するための見取り図となるであろう。
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