ユキドリとコケ
2010年12月27日(月)
12月26日から27日にかけて、コケなどを調査する隊に同行して、ラングホブデの雪鳥沢という露岩地域へ行きました。
この雪鳥沢というのは、真っ白なユキドリという鳥が、トウゾクカモメなどの外敵の襲撃を避けるために切り立った沢の崖に多くで繁殖していることからその名が付きました。ここは、ユキドリの繁殖地であるだけでなく、その沢沿いにはいろいろなコケなどの陸上生物が多く生育していることから、第41南極特別保護地区という保護地区に指定されています。
残念ながら今回は繁殖のシーズンには早すぎたようで、あまり多くのユキドリを見ることはできませんでした。しかし、沢沿いには、トウゾクカモメに襲われた跡と思われる無数のユキドリの羽や骨が落ちていました。南極では微生物がきわめて少ないため、死骸などの分解が遅く、古い死骸等もきれいなまま残っていることが多いのです。
しかし、この死骸や糞なども、わずかずつですが分解され、また雪解け水に成分が染み出てこの沢を流れることになります。これを養分として、多くのコケがこの沢筋に自生しているのです。
一見「鳥とコケ」なんて結びつきませんが、南極のような生物や資源が限られている場所では、その密接な関係が見えやすくなっていて、とても面白いです。