自然環境・生物多様性

第60次南極地域観測隊同行日記

 環境省では、南極地域観測統合推進本部(本部長:文部科学大臣)が組織する「南極地域観測隊」に定期的に職員を同行させ、主として我が国昭和基地周辺の環境や動植物の状況等について、現地調査を実施してまいりました。
 第60次南極地域観測隊夏隊(平成30年11月25日~平成31年3月21日)にも、1名の環境省職員が同行します。
 このページでは、南極で活躍する環境省職員の現地からの声を「第60次南極地域観測隊同行日記」として紹介します。

環境省職員日記

第5回:野外調査に行ってきました ~露岩域について~

2019110()

こんにちは。

10日間ほど泊りがけで野外調査に出かけていましたので更新が遅れていましたが、無事昭和基地に戻ってきました。

今回の調査では、ラングホブデとスカーレンという露岩域で、南極特別保護地区の調査や別の観測チームの支援などを行ってきました。

調査の様子は改めてご紹介するとしまして、今回は日本ではあまり聞き馴染みのない「露岩域」についてご紹介します。

雪と氷の大陸というイメージが強い南極大陸ですが、氷床から岩が露出している地点が沿岸や内陸部の限られた地域に存在しています。これを露岩域(又は露岩帯、露岩地域とも)と呼びます。

露岩域には、コケや地衣類など南極に生息・生育する多くの生物が見られ、また、地面が草木に覆われることなく露出しているため、生物や地質等の研究・観測を行うための絶好の地域となります。

<露岩域『スカーレン』 写真奥が南極大陸の氷床、手前は海氷。>

<スカーレン氷瀑 氷床から地面が露出している>

なお、ラングホブデとスカーレンは、ノルウェー語でそれぞれ「長い頭」、「頭蓋骨」という意味の地名です。

昭和基地周辺は、かつてノルウェーが空から調査を行っており、各地にノルウェー語の地名がつけられています。

昭和基地がある東オングル島もノルウェー語の地名で、ノルウェーが領有権を主張している地域にあたりますが、現在は南極条約のもと領有権は凍結されており、各国によって科学観測が行われています。

南極は夏真っ盛りとなり、野外での調査や昭和基地での設営作業は佳境に入りつつあります。次回は、そんな観測隊の活動についてもご紹介していきたいと思います。

第4回:昭和基地に到着 ~南極の基地について~

20181226()

こんにちは。

1225日についに「しらせ」が昭和基地沖に接岸しました。観測隊員の多くはしらせからヘリコプターに乗り、しらせの接岸を待たずに昭和基地に向かうため、南極での第60次南極地域観測隊の活動はすでに始まっていますが、これから本格的に南極の陸域での活動が始まることになります。

日本の南極観測の拠点になっている昭和基地ですが、南極には各国が観測のためにいくつもの基地を設置しています。

今回は南極に建設されている「基地」についてご紹介します。

<昭和基地>

「基地」という言葉を聞いて、軍事基地を思い浮かべる方もいるかと思いますが、南極には軍事基地はひとつもなく、各国の観測基地と観光客向けの施設等があるのみになっています。

これは、南極条約で南極地域は、平和的目的のみに利用するという規定があり、平和的目的のための軍の要員・備品の使用を除いて軍事的利用が禁止されているためです。

現在、南極には40以上の基地があり、日本は、昭和基地、あすか基地、みずほ基地、ドームふじ基地の4つの基地を有しています。日本最大の基地である昭和基地では、夏期間に100名程度、冬期間に30名程度の人員が、各種観測や、観測に必要な設備やインフラの建設・維持管理等のため働いています。

昭和基地では、観測隊員や観測隊同行者、観測隊の支援を行う自衛隊員を除いて、ほとんど人は訪れませんが、南極点近くにあるアメリカのアムンゼン・スコット基地やクルーズ船が多く訪れる南極半島にある基地では、多くの観光客が訪れ、中には観光客向けにお土産を売っている基地もあります。また、チリのエドゥアルド・フレイ・モンタルバ基地には、観測隊員の家族向けの小学校がある基地もあり、南極の基地は観測を主目的にしているものの、様々な個性を持った基地があります。

<空から見た昭和基地>

観測のため様々な施設が建てられています。

これから本格的に調査が始まり、昭和基地や周辺の地域に行くことになりますので、今後また詳しい様子をご紹介していきたいと思います。

第3回:定着氷縁に到着 ~氷海について~

20181217()

こんにちは。

昭和基地に向かう「しらせ」は、氷海の氷を砕きながら進み、1216日に定着氷縁に到着しました。

今回は日本から昭和基地に向かううえで避けては通れない、氷海についてご紹介します。

南極大陸の周辺の海域は、海面が凍った氷海に囲まれています。氷海の氷自体は海水が凍った海氷ですが、その上に雪が積もり一見すると陸のようにも見えます。

海氷に覆われた海域の範囲は季節や年で変動しますが、最も範囲が小さくなる夏の間でも350万㎢ほど、冬には約6倍の2000万㎢ほどにも拡大するとされています。南極大陸の面積が約1400万㎢ですので、海氷を含めた見かけ上の面積は大陸の2倍以上にもなり、そのスケールの大きさに驚きます。

また、海氷は基本的に大陸沿岸から形成されますが、海岸に固着して動かないものを「定着氷」、海流によって海を運ばれるものを「流氷」と呼びます。現在しらせは、南極大陸近くの定着氷の外縁に到着したことになります。

<流氷(1214日撮影)>

<定着氷(1216日撮影)>

海氷の上に雪が積もり一見すると陸のようにも見えます。

氷海航行中は、しらせと氷がぶつかる音や砕氷機のプロペラの音 、振動など、氷を砕き割りながら進むしらせの豪快さを感じる船内でしたが、昭和基地上陸準備のため停泊している今は、船内がやけに静かに感じます。

定着氷縁から昭和基地は目と鼻の先。

ヘリコプターのブレード取り付け等、上陸への準備は佳境に差し掛かっています。

私もいよいよの上陸に向けて最後の用意を進めたいと思います。

※最新の記事を表示しています。以前の物は過去の南極地域観測隊同行日記をご覧下さい。

環境省による南極地域現地調査の概要

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