環境省政策評価実施要綱(評価概要イメージ) |
1.政策評価の目的我が国の行政においては、従来、政策の効果の把握や社会情勢の変化に対応した政策の見直しのための評価機能は軽視されがちであった。 しかし、目指すべき目標から考えて政策のどこが不十分であるかを的確に知らなければ、効果的・効率的な行政の運営は難しい。 政策評価は行政庁がその使命と現状を的確に認識し、より効果的・効率的な行政活動を行うために自ら行う評価活動であり、また、評価の結果を公表することにより、国民への説明責任を果たすものである。 環境省においては、政策評価を導入するに当たって、以下の目的の達成を目指す。 (1)「企画立案(Plan)→実施(Do)→評価(See)(→企画立案(Plan))」という政策のマネジメントサイクルの確立 効果的・効率的な政策の運営のためには、政策の重点の置き方が適切か、予算や法律制度等の施策が国民の要請を踏まえているか、また、期待通りの成果をあげているかを確認し、政策にフィードバックすることが必要である。 このため、政策のマネジメントサイクルの中に制度化された政策評価システムを組み込み、何らかの理由で期待通りの成果をあげていないものがあれば、その改善策を検討し、新たな政策の企画立案に反映させていく。 これにより(2)以下の目的に資するとともに、成果を重視した行政運営を図る。 (2)国民的視点に立った効果的効率的な政策の運営 環境問題は国民の健康、生活に大きな影響を与える。国民の要請に沿った効果的な政策展開が求められるとともに、納税者の観点からコストの小さな効率的な行政が求められる。 このため、国民にわかりやすい目標を設定し、政策評価によって国民の声を適切に反映した取組を実施するとともに限られた行政資源(予算、人員等)の効率的な活用を図る。 (3)国民に対する説明責任(アカウンタビリティ)の徹底 政策は国民のためのものであり、政策の良否を最終的に判断するのは国民であることから、政策の立案過程とその結果を国民に対してわかりやすく説明する必要がある。 このため、政策評価の実施を通じて行政の透明性を確保し、国民に対する説明責任を果たす。 (4)統一的で整合性のある施策展開の実現 環境省の行政、さらには政府全体の環境行政の効果的・効率的運営のために、省全体を通じて統一的で整合性のある施策を進めることが必要である。 このため、政策評価を踏まえて、省全体の総合的かつ基本的な政策方針を確立し、これに基づき、各局等が、それぞれの施策を進める。 (5)職員の意識向上を通じた業務の合理化 政策評価の実施を通じて職員一人ひとりが国民本位で効率的な行政を目指す意識を醸成し、無駄な事務、無意味な事務を減らし、 業務の合理化を図る。 2.政策評価の基本的な枠組み(1)「政策評価」の概念 政策評価とは、「国の機関が主体となり、政策の効果等に関し、測定又は分析し、一定の尺度に照らして客観的な判断を行うことにより、政策の企画立案やそれに基づく実施を的確に行うことに資する情報を提供すること」(「政策評価に関する標準的ガイドライン」(平成13年1月15日 政策評価各府省連絡会議了承))であり、政策の大きなマネジメントサイクルの中に「制度化されたシステム」として組み込まれ、実施されるものである。 ここでいう政策とは、 [1]行政課題に対応するための特定の目的や目標を持ち、 であり、政策の評価では、 [1]政策の効果等に関する情報・データを収集し、合理的な手法を用いて測定又は分析する こととなる。 なお、政策の評価は政策の決定そのものではなく、評価結果を政策の企画立案に反映させることによって、 より有効適切な政策の決定・改善につなげるものである。 (2)評価の対象範囲 政策評価の対象としての政策は、予算措置、政策金融、税制、法律に基づく施策等で構成されるが、次のような区分でとらえられる。 「政策」:特定の行政課題に対応するための基本的な方針の実現を目的とする行政活動の大きなまとまり。 環境省においては各局部の分野が、ほぼ環境問題の課題毎に分かれていることから、 上記を踏まえて以下のような区分で政策評価の対象を考えることとする。 「政策」:環境省全体の行政活動 (3)政策評価の時点 政策評価は、施策・事務事業の企画立案の段階で行う「事前評価」と着手後に行われる「事後評価」がある。 既存施策の評価である事後評価と新規施策の事前評価は一体的に行われることも多い。 事前評価を行う目的は、施策・事務事業の企画・立案の際に、検討の過程を体系化することにより、 その効果や効率性を高めること及び企画・立案の意思決定過程を透明化することであり、事後評価を行う目的は、 問題が発生する原因を探り、施策・事務事業をより良いものへと改善することである。 1) 事前の評価 2) 事後の評価 (4)評価の観点 環境省においては次のような環境政策の特性を踏まえた評価の観点及び「政策評価に関する標準的ガイドライン」にある 評価の一般的基準を基本としつつ、評価の目的、評価対象の性質等に応じて適切な観点等を選択し、総合的に評価するものとする。 1) 環境政策の特性を踏まえた評価の観点 2) 評価の観点の一般基準 (5) 評価手法 評価の手法については評価のプロセスの透明性・客観性を確保しつつ、評価の目的、評価対象の性質等に応じた合理的な方法を適用していく。 したがって、できるかぎり定量的な評価を行うこととし、定量的な評価が困難である場合には、可能な限り客観的な情報・データや事実に基づく定性的な評価を行う。 また、定量的な評価手法の開発に努めていく。 3.政策評価の実施の考え方環境省においては「政策評価に関する標準的ガイドライン」に示された「事業評価」、「実績評価」、「総合評価」という標準的な三つの評価の方式に「全体評価」を加え、四つの評価の方式を組み合わせて政策の評価を行う。 また、既に行われている個別の公共事業、研究開発課題に関する評価については、一層の充実を図りつつ、 別途定めるところにより、引き続き実施する。 (1) 全体評価 1) 全体評価の対象と目的 (2) 事業評価 1) 評価の対象と目的 (3)実績評価 1) 実績評価の対象と目的 (4) 総合評価 1) 総合評価の対象と目的 ※注)11の戦略分野 2) 総合評価の観点 4.評価結果の政策への反映評価結果は、環境省全体の政策の方針の策定、予算・機構定員の要求、法令等による制度の新設・改廃、各種長期計画の策定といった企画立案作業及び査定作業において、重要な情報として活用し、反映させる。 環境省全体の政策の方針の策定については全体評価の結果を、政策等の見直しについては事業評価、実績評価及び総合評価の結果を特に活用するものとする。 具体的には 5.評価結果の公表1) 政策評価の評価結果等の公表 6.政策評価の実施体制・組織1) 幹部からなる会議 7.政策評価の運用に当たって考慮すべき事項(1)施策等の特性を踏まえた柔軟な運用 環境行政は、規制、補助金、経済的手法等様々な施策を組み合わせて行われており、それぞれの評価手法は業務や施策等の特性によって自ずから異なる。定型的な評価方式に意味があるのではなく、政策のマネジメントサイクルを確立すること、目標を明確にした行政運営を行うことが重要である。 その意味から、制度の細部に拘泥することなく、評価の目的を理解した運用を行うことが重要である。 (2)段階的導入 政策評価は、いずれもこれまでの行政プロセスの中で、様々な形で実質的に行われてきているが、体系的、制度的に導入するのは、新しい試みである。しかしながら、政策評価は、形式的な運用に陥るならば、行政組織に膨大な事務負担をかけるばかりで効果が見られないという事態を招く可能性を持っている。このため、環境省では、全組織を挙げて、政策評価の考え方と実際の進め方についての理解を深めながら、段階的に着実な導入を図っていく。 また、全体評価や実績評価については、その導入過程における政策の体系化等の作業が政策の改善と職員の意識の向上等を通じた組織の活性化に有効であることから、導入過程における作業を重視することとする。 総合評価については、当面、政策評価広報課において試行的に実施し、手法を検討した上で必要に応じて段階的に導入していくこととする。 (3)評価制度等の継続的改善 政策評価は世界的に広く導入されているが、先進事例を見ても、まだ完成されたものはなく、試行錯誤が重ねられている状況である。したがって、環境省においても、環境行政に最も適した政策評価システムの確立に向け、常に制度の見直しを行い、改善を図る努力を継続する。 政策評価導入を契機とするマネジメント改革の持続性を担保するため、政策の企画立案、実施に関わるすべての職員が、 政策のマジメントサイクル確立、目標による行政運営等の理念を共有し、それらに基づき業務の改善にそれぞれの立場で努めることとする。 |
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環境省大臣官房政策評価広報課 |